丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます   作:黒霧春也

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 10月6日、16時10分。
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30話・問題の洗い出し

〈紙に纏めた内容〉

①、次のトレーナーが来ているのに『あなをほる』を使われたフィールドを整備しなかった。

②、シフトの管理ミスを起こして非番の日にジムリーダー代理を緊急で出勤させた。

③、ジムに来たトレーナーの適正レベルよりもはるかに強いポケモンを使いボコボコにして相手の心をへし折った。

④、事前連絡もなしにジムを臨時休業させて挑みに来たトレーナーを困惑させた。

⑤、単純にジムの意識レベルと練度が低い←ルージュの主観

 

〈アスナさんの弁解〉

①、次のトレーナーなんてすぐ来ないと思って整備を忘れていた

②、ジム関係の出張を忘れていて、仕方なく非番の代理に出てもらった。

③、管理ミス。

④、休んだ日は、代理の1人が結婚式を挙げる時で役所には連絡したつもりだったが届いてなかった。

⑤、ルージュの父親から引き継ぎの指導はあったが、不器用なので上手く行かなかった。

 

 アスナさんに聞いた限り、うっかりミスが多い気がする。

 

「クウヤは意見を纏めてどう思った?」

「……主観で言うが、このままだとジムの経営が傾きそうだな」

「ええ!? 代々あたしの家系が守って来たジムが潰れるの!」

「まあ、あくまでこのままだと」

 

 正直アスナさんにもタメ口で話しているが、向こうは気にしてないみたいでズバズバと意見を口にする。

 

「ならここはボクが建て直すしかないよね」

「その前にルージュのお父さんは?」

「お母さんと違う地方に遊びに行っているよ」

「……それって少なくとも2ヶ月以上だよな(汗)」

「あたしへの引き継ぎが終わった3ヶ月前から行っているわ」

 

 つまり3ヶ月前から前ジムリーダーは奥さんと旅行に行っており連絡も取れない状況なのかよ……。

 

(普通に考えてもやばくないか?)

 

 ではお爺さんのムラさんに協力を仰げばいい。俺はその事を口にするが2人は首を振った。

 

「それが出来たらやっているわ!」

「胸を張って言うことか?」

「少なくともボクは違うと思う」

 

 楽観的なアスナさんに俺とルージュは思わずマジレスで突っ込んだ。

 

(どうするんだよ)

 

 このまま監査とか来たらほぼ間違いなく指導対象で、最悪はジム自体が解体される。

 そんな事になればジムで働いている人達がクビになるので防ぎたいところ。

 

「てか、リーグからの監査が来たらやばくないか?」

「それはボクも思うけど」

「けど?」

「ボクはアスナと違って引き継ぎを受けてないからよくわからないんだよ」

「……お前、よくそれでフエンジムを乗っ取ったな!?」

「えっへん!」

「褒めてないわ!」

 

 無表情でボケられたので俺は思わず突っ込む。

 するとルージュは少し嬉しそうにしていたので微妙な気持ちになりながらお茶を飲んだ。

 

「ハアハア……。と、とりあえず話を戻すぞ」

「うん、それでクウヤの視点だとどうすればいいと思う?」

「正直、ジムの勤務状態や引き継ぎの内容を聞かないとほぼ無理だな」

「前者はともかく引き継ぎの内容はアスナに聞いても無駄だよ」

「あ、それはなんとなくわかる」

「えー! それは酷い!」

 

 俺達は呑気に冷たい水を飲んでいるアスナさんにジト目を向けつつ会話を続ける。

 

「あのー、そうなると建て直すのは難しくないかしら?」

「「今更言うの?」」

「ううっ、ごめんなさい」

 

 先程のジト目から冷気が籠った目を向けるとアスナさんはさらに身を縮こませる。

 

「まあ、結局は元責任者が帰ってこないと無理だな」

「それはそうなんだけど……」

「んっ? アスナは何か引っかかる事があるの?」

「じ、実は」

「「実は?」」

 

 何か言いにくそうにモジモシとしている彼女にルージュは頭に疑問符を浮かべた。

 

(また嫌な予感がする)

 

 俺は少しビビりながらアスナさんの方をジッと見ると、彼女はとんでもないことを口にした。

 

「フエンジムの問題がポケモンリーグ本部に伝わったみたいで1週間後に監査の人が来るのよ」

「来るってまさか!」

「そう! このフエンジムに!」

「「……」」

 

 ババンと勢いよく立ち上がったアスナさんを見て、擁護する気力すら無くなった。

 

「なあルージュ」

「何かなクウヤ君?」

「正直、女性相手にあまり言いたくないがアスナさんを殴りたくなった」

「なるほど、それはボクも強く思うよ」

「ちょっ!? それは酷くない!」

「酷いのはアスナの方だよ!?」

 

 ルージュが焦りながら突っ込んでいるので、俺はなんとか冷静に状況を纏めた結果……。

 少し考えるだけでも冷や汗ダラダラな状態……というよりも記憶をなくして逃げたいんだが!

 

(と、とりあえずどうしよ?)

 

 最初はエルさんに頼まれてルージュの横暴を止めるつもりが、いつの間にかフエンジムの存続問題に発展した。てか、こんなジェットコースターレベルの超スピードで展開が進んで欲しくないんだけど!?

 なので口喧嘩をしている2人を放置して逃げようとするが、立ち上がった瞬間に彼女達はコチラに向いた。

 

「クウヤ、普通に考えてアスナが悪くない?」

「ええ!? ルージュが限界を超えた過度な訓練をさせる方が酷いわ!」

「ちょっ!」

「「クウヤはどっちが悪いと思う?」」

「……いい加減にしろ」

 

 ここまでの理不尽な内容に口喧嘩。

 正直イライラを我慢していたのだが、堪忍袋の尾が切れたので俺は自分でもビックリするぐらいの低音で静かにキレる。

 

「俺は数時間前にフエンジムに来た通りすがりのモブトレーナーで、ジムバッジを貰って観光したら離れようとしたんだぞ! なのに、エルさんには半ば強引に捕まりお前らは言い合いばかりで問題を解決しようとしない」

「「……」」

「最終的にはどっちが悪いと責任の押し付け合いでジムの存続問題とかあるのにお前らふざけているのか?」

 

 15歳くらいの小娘にボロカス言うのは苦しいし、俺が言える立場ではないのは重々わかる。

 だけど言わないと収集がつかないと思い俺は心を鬼にしてコイツらを怒った。

 

「まずルージュ、お前は基本的に間違った事はしてないがやり方が問題だ。特に依頼されてないのにジムトレーナー達を鍛えたりするのはおかしくないか?」

「そ、それは……」

「このジムが大切なのはわかるが、それなら正規の方法でやればいいだろ」

「う、うん」

 

 まずは問題が軽い方を叱りつけると、アスナがニコニコしていたので容赦なく頭に拳骨を落とす。

 

「い、いたぁ!? いきなり何するのよ!」

「お前がシッカリしていればそもそもこんな事にならずルージュも納得していたんだぞ」

「うっ!? だけど!」

「だけどじゃない! それに言いたくはないが、お前のせいでジムが潰れるかもしれないからな」

「!? そんなの嫌よ!」

「なら建て直すために動かないと」

「そ、そうね! でもあたしができるわけが……」

 

 ポロポロと涙を流し始めたアスナさん。

 俺は流石にいい好きたのでバツが悪くなりながら彼女の頭を撫でる。

 

「ああ、まぁ、建て直す手はあるにはあるぞ」

「!? 本当!」

「……その方法は?」

 

 涙を拭いたアスナさんは顔を上げ、さっきまでシュンとしていたルージュも反応した。

 俺は2人の表情を見ながら一言。

 

「確実とは言えないか、あるジムリーダーとコンタクトが取るんだよ」

「コンタクト……そうか! そのジムリーダーに立て直しを手伝って貰えばいいんだね」

「簡単に言えばそうなる」

「なるほどね」

 

 ルージュの方は理解したみたいで頷いていたが、アスナの方は少し渋い表情を浮かべていた。

 

「みんなにはどう説明しよう?」

「言いにくいがありのまま言うしかないだろ」

「そうよね……まあ、ジムが潰れるよりはマシね!」

 

 ネガティブになりかけていた彼女は自分の頬を思いっきり叩いた後に立ち上がる。

 そして2人はジムの関係者に状況を説明。最初は荒れたみたいだが、アスナとルージュがなんとか頼み込んで最終的には理解してもらった。

 

(さてと、今度は俺の番だな)

 

 ここまで関わる事になったので俺は気持ちが重くなったが渋々行動に移し始めた。

 

 

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