丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます 作:黒霧春也
ロカさんがスーパーボールから繰り出したのは、二足歩行でガッチリとした体格で頭にツノが生えているガタイのいいポケモンが現れた。
「ドォン!」
「さ、サイドン……」
最初のジムでサイドンが出てくるとは思ってなくて、思わず膠着してしまう。だが、フィールドにいるルナは平然としておりスカートを掴み笑っていた。
「キルッ!」
「へぇ、貴方のポケモンは余裕そうね」
「そ、そうですね」
「ルルゥ!」
「え? アイツを倒したらご褒美がほしいって?」
「キル♪」
「まあ、限度さえ超えなかったらいいよ」
「!!?」
コチラの受け答えに目を輝かせる彼女ことキルリアは舞い上がっており、コチラのやりとりを見ていたロカさんは苦笑いを浮かべた。
「き、君とキルリアはかなり仲がいいね」
「互いに命の恩人ですからね」
「ルル」
なんか頬を染めているルナを見て、後戻りできない恐怖を感じるが……。
(まあ、覚悟を決めるか)
いろんな意味で覚悟を決めないといけない。俺は頭が痛くなっていると、審判の人が声をかけてきた。
「すみませんがそろそろ開始してもいいですか?」
「もちろん!」「あ、はい」
真顔の審判さんがコチラを一瞥し、旗を天高く上げながら声を張り上げた。
「では、バトル開始!」
「サイドン、いわなだれ!」
「ゴオォ!」
「ルナ、テレポートからのチャームボイス」
「ルルゥ!」
サイドンが出現させたのは、イワークの時とは比べ物にならない程の大量の岩。それをルナに向かって放出するが、彼女はテレポートで相手の後ろに回って『チャームボイス』を放つ。
だが……。
「ドン!」
「ちぃ、効いてないのか」
イワークの時はかなりダメージが入っていたが、レベルの差なのかサイドンにはそこまで効いてないみたいだ。
(これが差か)
先程と同じ攻撃が通じたのは何か罠があるかもしれない。
俺は気になることが思い浮かび警戒していると、向こうが派手に動く。
「なら、今度は全方位にいわなだれ!」
「!? なんとか回避してくれ!」
「ドンッ!!」
「ルル!?」
全方位の『いわなだれ』、サイドンは周りに大量の岩を生成。そのまま適当に周りに放り投げ始めた。
(マズイ)
ルナはテレポートを使って距離を取ったり岩陰に隠れるが、岩同士がぶつかった破片でダメージを負う。
「キルッ!?」
「やっと攻撃が当たったわね!」
ロカさんは喜んでいるが、流石に体力を使ったのかサイドンは軽く息を吐いていた。まあ、作戦がゴリ押しなのでしんどそうに見える。
「大丈夫かルナ?」
「ルルゥ!」
まだまだ余裕そうに立ち上がったルナは、闘志を燃やしながらサイドンを睨んだ。
「へぇ、面白いわね!」
「ドルゥ!」
向こうもやる気みたいなので、正直少し厳しい戦いが続きそう。だが、ここでは負けたくないので俺は……。
「まあ、これで終わりよ! サイドン、とっしん!」
「ドォン!」
「ルナ!」
「ルゥ」
「え?」
サイドンが得意としている『とっしん』攻撃。それをルナは小さい石を「ねんりき」で相手の足元に置いた。うん、そのおかげで相手が勢いよく転けて岩に直撃した……。
(そんなのありかよ!?)
アニメでありそうな戦法だが、現実で見ると迫力がすごい。そう思っていると、追撃をする為なのか、周りの岩を『ねんりき』で浮かし始めた。
「ルルゥ!」
「ドオォン!?!?」
「さ、サイドン!?」
フラフラしているサイドンに向けて、ルナはありったけの岩をぶつけ。トドメに相手の体を空高く飛ばした。
「ドドン!!」
「うわっ!?」
高所からの落下で、勢いよく地面にめり込んだ相手は動かなくなる。結果、審判がサイドンを確認して声を上げた。
「サイドン、戦闘不能! よって勝者クウヤ!」
「か、勝っちゃったよ」
「ルルゥ♪」
勝負に勝ったおかげでルナが嬉しそうに抱きついてきた。うん、ダメージを負っているので早めにポケセンに行きたいな。
そう思っていると、サイドンをボールに戻したロカさんが笑いながら近づいてきた。
「まさかサイドンまで突破されるとは思わなかったよ」
「ええ、自分でもビックリですよ」
「ルル!」
強い視線を感じるがスルーしつつ、俺はロカさんからストーンバッジと賞金が入った封筒をもらう。
「ありがとうございます」
「いやいや、コチラも勉強になったわ」
カラカラと嬉しそうにしているジムリーダー代理。まあ、本当はツツジと戦いたかったが仕方ないか。
(さてと、そろそろ行きますか)
長居すると次のトレーナーの邪魔になるので、ルナを肩車しながらカナズミジムから出ていく。(ついでにジムバッジが入るケースも貰いました)
ーーーー
ポケセンに戻りルナを看護師さんに預けた後、併設されているフレンドリーショップを覗く。
(賞金で10万円も入っているとは)
封筒の中身を確認すると1万円札が10枚も入っていたので、思わず叫びそうになった。だが、周りの人もいるのでなんとか我慢して商品を確認する。
「うーん、欲しい物が多いな」
特に鞄やアイテム類が欲しい。なので、リュックサック型の大きめの鞄やお金を入れる財布。アイテムは傷薬やモンスターボールなどを購入。そのおかげで1万5千円ほど飛ぶが、必要経費なので受け入れる。
「これで……」
無一文の丸腰状態からここまで立て直せたのは我ながら良かったと思う。まあ、ほとんどはルナのおかげなので感謝しないとな。
(てか、イワークはともかくサイドンを倒せるとは)
確かキルリアへの進化レベルは20だったはず。対する相手のレベル30くらいはありそうな見た目。うん、普通にすごいな。
「色々考えても仕方ないし、アイツを待ちますか」
自販機で購入したサイコソーダを飲みながら、俺はルナが回復するまでロビーで待つ。
そして回復した彼女と共に昼ごはんを食べた。……なんかルナに指示されてアーンさせられたが。
(これ懐かれているどこじゃないよな)
もはや恋人に近い気がすると思いながら俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。
18時00分、誤字脱字報告ありがとうございます!
10月2日、13時53分。誤字脱字報告ありがとうございます!