丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます 作:黒霧春也
昼ごはんを食べた後、朝の時と同じくカナズミシティの探索を進めつつ適当にブラブラと歩く。
「午後になると人が増えてきたな」
「ルル」
道路を見ると子供たちが元気よく走り回っており元気そうだが、ルナは特に気にせずに屋台の方に視線を向ける。
「ルルゥ♪」
「そ、そうだな」
ルナが屋台のアイスを食べたいと言ったので二つ購入して、公園のベンチに座ると彼女は美味しそうに食べ始めた。
「うん! うまい!」
「キルッ」
俺が選んだのはモモンの実味のアイスなのだが、現実のモモみたいに甘いくてスッキリした口溶け。てか、めちゃくちゃ美味しいのでパクパク食べてしまった。
「ふう、ごちそうさま」
「ルゥ」
コーンまで食べ終わり俺とルナは改めて周りを見ていると、少し離れた所でポケモンバトルをしている子供たちを見つけたみたいだ。
「ルルッ!」
「ちょ、なんでシャードボクシングをしているんだ?」
「ルゥ!」
「……察した」
どうやら彼女はバトルをしたいみたいだ。てか、さっきジム戦をしたのにまだ戦いたいのか……。
(まあ、いいか?)
ポケモンの世界で戦闘狂なやつが多いのは、アニメやゲームを見てわかっていたことで今更気にしても仕方ない。なので俺はルナを肩車しながらバトルフィールドに近づく。
「さてとどう声をかけるか」
「ルルッ!」
「普通にいけと!?」
ルナの意見を聞いて焦っていると、モンスターボール印の帽子を被った中性的な見た目をした少年のヒトデマンが相手のポケモンを撃破して喜んでいた。
「やりぃ! これで5連勝だぜ!」
「ヘァ!」
「ぐっ! 戻れジグザグマ」
相手のポケモントレーナーがジグザグマをボールに戻した後、悔しそうにお金を渡していた。
そして勝利した少年は笑顔のまま周りを一瞥した後、嬉しそうに口を開く。
「次の相手は誰だ?」
「ルルゥ!」
「おお、やる気がありそうなやつが出てきたな!」
相手の言葉にルナが勢いよく肩から降りてフィールドに立った。
(仕方ない俺も行くか)
俺も覚悟を決めてフィールドに立つと、相手の少年がいやらしそうに笑う。
「黒髪のお前がソイツのトレーナーか?」
「そうだが?」
「はっ! 見た目はいいがパッとしないな」
「それは自覚している」
「ルルッ!」
天狗になっているがコチラを煽り、その言葉を聞いたルナが相手を強く睨んだ。だが相手はそれを軽く受け流し、ヒトデマンも余裕そうにしていた。
「まあ、せいぜいオレを楽しませろ!」
「ヘァア!」
「うーん、楽しめるかわからないけどな」
互いのポケモンが一定の距離を取り、互いに見合っている。そして……まずは相手から動き出した。
「いくぞ! ヒトデマン、みずてっぼうだ!」
「ヘア!」
「ルナ、チャームボイス!」
「ルルルッ!」
ヒトデマンは口から勢いよく水を吐くが、コチラの『チャームボイス』とぶつかり打ち消された。
てか、技のぶつかりはルナに軍配が上がりヒトデマンにピンクの音波が直撃した。
「ヘァァ!?」
「ひ、ヒトデマン!」
「いまだ! ねんりき!」
「ルッ!」
吹き飛んだ相手に向かって『ねんりき』を飛ばし、空中に打ち上げた後、勢いよく地面に叩きつけた。うん、やっぱりこの攻撃はえぐいな……。
(だ、大丈夫か?)
さっきはジムリーダーのポケモンだから気にしなくても良かったが、今は一般トレーナーなので心配になる。
「ヘァァ……」
「ぐっ」
「ヒトデマンは戦闘不能みたいだな」
「うう!」
なんかすごい大人気ない気がするので胸が痛くなるが、帽子の少年は半泣きになりながらヒトデマンをボールに戻した。
「つ、次はこのポケモンでバトルだ!」
「ルルゥ」
「あ、はい(汗)」
かなり悔しいのか違うボール……って、ゴージャスボールじゃん!?
(最新作では1個3万円もするボールなんだが)
あの少年はお金持ちなのか?と思っていると、彼は黒を基調としたボールを空高く投げた。
「いけ、ニドリーナ!」
「ガルゥ!」
「おおう……」
相手が繰り出したのは毒タイプのニドリーナ。相性的には互いに弱点がつけるので、少し苦しくなりそうだ。
「こいつでお前を倒してやる!」
「ルル!」
「まあ、コッチも簡単には倒されたくないけどな!」
相手はやる気みたいで足で地面をかいている。対するルナはリラックスしながら相手を見ていた。
「いくぜ! どくばり攻撃!」
「リナッ」
「ルナ、テレポートからのねんりき!」
「ルル♪」
「なっ!?」
ニドリーナが放つ『どくばり』をルナはテレポートで回避。転移先は相手の後ろで、そのまま『ねんりき』を放ち吹き飛ばす。
「効果は抜群だな」
「だが! まだ終わってない」
「ランッ……!」
流石に『ねんりき』だけでは倒しきれなかったのか、ニドリーナがなんとか立ち上がった。だが結構フラフラなので……。
「とりあえず追撃のねんりき」
「ルルゥ!」
「ちょ!?」
隙だらけだったので効果抜群の『ねんりき』を使い普通に倒しました。うん、相性がいい技があると楽だな。
ーーー
帽子の少年から賞金を受け取った後、彼にジャージの裾を掴まれた。
「なぁ、お前はそのキルリアをどうやって成長させたんだ?」
「成長? いや、コイツとは数日前に会ったばかりだぞ」
「いやいや、そんなに懐いているのにか!?」
俺に懐いているルナを見た少年は口を開け唖然としていた。てか、周りの人達も驚いているようだ。
「捕まえて数日でここまで懐くもんなのか?」
「確かに普通に考えたらおかしいよな……」
「だろ!」
相手の言葉に思わず頷くが、ルナとの出会いは互いに追い込まれていたので話が違う。だが今はその事を話したくない……。
「話を戻すが強くなりたいならポケモンジムでも行ったらどうだ?」
「……けた」
「うん?」
「だから、オレは昨日ジム戦をして負けてんだよ!」
「そ、そうなのか」
感情がぐちゃぐちゃなのか近くで叫ばれた。てか、半泣きになっているので少し苛めすぎたかと思い始める。
(そうなると離れたい)
コチラを見るギャラリーが多いのでこれ以上は目立ちたくない。
「まあ、また挑めばよくないか?」
「まさか無策で挑むのかよ!」
「そもそも俺には関係ないだろ」
「ルルッ!」
さっきから当たられているが、本来はただバトルをしただけ。なので俺は冷たく言葉を返していると、帽子の少年が涙を流し始めた。
「ううっ!」
「あ、おい!?」
最初は嘘泣きかと思ったが、顔を見ると本気で泣いている。すると、周りにいる人達が……。
「アイツ、流石に言い過ぎじゃないのか?」
「バトルに勝ったからって調子に乗りすぎよ」
「おれが強かったらこんなことにはならなかったのに!」
うん、やばい……。俺は冷や汗を流していると、ルナに髪の毛を引っ張られる。
「ルルッ!」
「え? 移動した方がいいって?」
「キィル」
周りからの鋭い視線をこれ以上浴びるのは嫌だし、ルナに迷惑をかけたくない。そう思い、俺は帽子の少年を連れてバトルフィールドから離れていく。
まあ、この時に俺は大きな勘違いをしているとはこの時は思ってもいなかった。
18時11分。誤字脱字報告ありがとうございます!
9月17日、17時26分。誤字脱字報告ありがとうございます!