丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます 作:黒霧春也
一通りバトルが終了した後、街中にあるカフェに移動。そのままケーキを美味しそうに食べている少年を見て思わずため息を吐く。
「それで俺の評判を落として何がしたいんだ?」
「え? そんなつもりはないんだけど? 」
「ルルッ!」
「ひぃ!? お、お前のキルリアは怖くないか?」
「そうか?」
さっきの強気さはどこに行ったのか……まあ、いい。
俺はメロンソーダを飲みながら少年・ツバキを観察しつつどう話していくかの展開を考える。
(まずは)
コイツの主観的な話だけだと内容のパーツが足りないので、俺はまとめるように言葉を返す。
「つまりツバキはカナズミジムに挑戦してボコられたんだよな」
「うぐっ、そ、そうだけど」
「で、ムカついたからその辺の新人トレーナーとのバトルで5連勝して調子に乗っていた」
「ぐっ! だけどお前のキルリアにボロ負けして今の状況になった……」
「ルルッ♪」
「な、なるほど」
先程と同じく自信がなくなったのかまた半泣きになるツバキ。
うん、流石に不憫に感じるのでフォローは入れておく。
「でも手持ちの相性的に岩タイプメインのカナズミジムは勝てそうじゃないか?」
「それはオレも思ったんだが……」
「だが?」
(歯切りが悪いな)
水タイプのヒトデマンと格闘技の『にどげり』を覚えるニドリーナは有利なはず。ジム側が強いポケモンを使って潰してくるならともかく、そう簡単にはボコられないと思うが……。
俺は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるツバキに視線を合わせていると本人がポツリと一言。
「ジムトレーナー5人抜きが出来なかったんだよ」
「あー……」
回復なしでの5人抜きの方か。
まあ、相手はジムトレーナーなので慣れてない新人トレーナー勝ち抜きは難しいのか?(ルナの場合は本人の強さがおかしいので例外)
「ルルッ?」
「おい、キルリアに不思議そうな顔をされたぞ!?」
「そりゃそうだろ」
「お前もかよ!」
どどめの追い打ちをかけるルナとオレの態度に、ツバキはショックを受けたのか涙目になりながら頭を抱えた。
(俺が逆の立場なら同じ気持ちになっていたかもしれないな)
同情はできるが難しい立ち位置なので俺自身も考えることが多い。
そう思っていると隣でチョコレートケーキを食べ終わったルナが動いた。
「ルルッ」
「うん? どうした」
「キルッ!」
彼女は俺の膝に座った後、何かを訴えるような視線を向けてくる。
うん、何故かわからないが彼女が何を言いたいかがわかってしまう。
「もしかして何か感じる物があるのか?」
「ルル♪」
……前置きが長いので結論を言うとルナの勧めやツバキに頼みこまれて俺は手助けする事になった。
(まあ、俺もリアルバトルはぎこちないから勉強するのはアリか)
自分でも足りてない部分を補強するためにツバキの頼みを聞きつつ、自分もレベルアップできるようなやり方を探し始める。
ーーー
カフェから出てポケセンで手持ちのポケモンを回復させた後、ツバキからバトル用の施設があると聞いたのでコイツと一緒に向かう。
「ここがそのバトルステーションなのか?」
「ああ、そうだぜ」
俺達の目の前にあるのはカナズミジムと同じくらいの大きな建物。見た目はポケモンアニメに出てくるバトルマニアの施設に似ている。
(とりあえず入ってみるか)
最初は緊張するので表情が動かないがなんとか自動ドアを開けると。
「ようこそバトルステーションへ!」
「あ、はい」
「きみ、テンションが低いよ」
「え? す、すみません」
コチラを対応してくれたのは真っ白な柔道着を着た角刈りの男性。うん、キャラが濃そうだな……。
「あの! オレもいるんだけど?」
「おお、すまない」
「おいおい、しっかりしてくれよ」
呆れた表情を浮かべるツバキと申し訳なさそうにする角刈りの男性。
(って、こんな事をしている場合じゃないな)
最初の受け答えの時点で失敗したが俺は気を取り直して口を開く。
「あの、ここでバトルトレーニングが出来ると聞いて来たのですが」
「確かにできるが、もしかしてカナズミジムに挑戦するつもりかい?」
「いえ、ジムは突破しました」
「そうか……って、え?」
「ちょ、お前!」
「ルルッ!?」
角刈りの男性と話している流れで、カナズミジムを突破している事を伝えると隣にいたツバキに腕を掴まれる。
「なんだなんだ!?」
「あのな、お前がカナズミジムを突破しているなんて聞いてないぞ!」
「そりゃ聞かれなかったからな」
「ちょっ!?」
ギャンギャンと叫ぶツバキを見て俺はジト目で返答。まあ、聞かれなかったのでキレられても知らないんだが。
「ふ、2人とも。ここだと目立つし離れるぞ」
「わかりました」
「……はい」
不貞腐れている奴を引き連れて、俺達3人+1体は入り口から離れてソファーに座った。
「さて、君達はバトルステーションを使うのは初めてだろ」
「そうですね」
「いや、オレは違う街で使った事があるぜ」
「なるほど……では、名前を聞いていいか?」
角刈りの男性はガンスと名乗ったので、俺とツバキも自分の名前を口にする。
(ガンスって違う物が思い浮かぶな)
ガンスさんはコチラの名前を聞き。手に持っていたタブレットを使い何かを検索し、画面を見せてきた。
「さてと、君達の実力が知りたいから職員とバトルしてもらってもいいか?」
「もちろん!」
「あ、はい」
画面に映っている内容を確認して、俺達はバトルステーションの職員さんから指導を受ける事になった。
そして、ふと思う。
(これ、俺が手助けしなくてもよくね……)
ぶっちゃけバトル施設で訓練した方が何倍も経験値になると思うが、ここまできたら巻き込まれる感じで俺も進んで行った。
ーーー
1日目、まずは実力を見るために職員さんとポケモンバトル。その結果は5連勝止まりだったがいい経験になった。(賞金はそこそこ貰えた)
対するツバキは、実戦経験が足りてないのか職員さんに翻弄されて苦しい戦いを強いられた。まあ、それでもセンスの高さでなんとか勝ち星を上げた。
2日目、昨日のバトルで分かった欠点。俺の方は戦い方の戦術が拙いのでそこの強化。ツバキは、バトルの経験が足りないので実戦をメインにプランが組まれた。
3〜9日目は、課題に取り組み自分の現実や、足りない部分を把握して対策していく訓練。後はバトルの経験を積む為にバトルステーション登録している新人トレーナー達との実戦+その後に反省や対策を繰り返す。
そのおかげでルナが前よりも強くなり、連携も上手くいくようになった。
そして最終日。俺とツバキは1対1の真剣勝負をする事になった。
「さあ、君達の成果を見せてもらうぞ!」
「「はい!」」
俺とツバキはお互いにバトルフィールドに立ち顔を見合わせる。
(うん、十日前よりもいい顔をしているな)
思わず笑みが溢れそうになるが我慢して相手の顔をしっかり視界に入れる。
「さてと、前と同じく勝たせてもらうね」
「はっ! それはどうかな?」
コチラの挑発に余裕そうな表情を浮かべるツバキ。
俺は少し笑いそうになりながら隣にいるルナに視線を向けた後、彼女をバトルフィールドに送り出す。
「頼むぞルナ!」
「ルルッ!」
「やっぱりお前はキルリアだよな」
「そりゃそうだろ」
何か面白そうにしているので、俺もテンションが上がっていると、向こうも自慢のゴージャスボールを投げた。
「ならオレも! いくぜニドリーナ!!」
「リナッ!」
「なるほど……。前よりもかなり強そうだ」
「逆にそのままならサボっていたことになるぞ」
「確かに!」
この10日間で実戦経験を積んだのか、出会った時よりもニドリーナの表情が凛々しい。
(まあ、そんな事を気にしている場合じゃないな)
10日前の場合は余裕に勝てたが、今回はそうはいかない気がする。俺は油断せずに相手を見ていると審判のガンスさんの声が会場に響く。
「では、バトル開始!」
「先手必勝! ニドリーナ、かみつく!」
「リィ!」
「ルナ、ねんりき!」
「ルゥ!」
相手は悪タイプの技の『かみつく』を選択して接近してくるが、コチラは特殊攻撃の『ねんりき』を選び迎撃。前と同じく後方に吹き飛んでいった。
「ニドリーナ!」
「リリィ!」
「ぐっ、前よりもタフになっているのか」
効果抜群の攻撃を受けてもニドリーナは立ち上がった。
しかも前みたいにフラフラじゃなくて今回はしっかりと足を踏みしめていた。
「あれだけ鍛えたら強くはなるぜ!」
「そうか……なら、本気で行かないとな!」
「ルルッ!」
勝負は序盤で互いに余裕がある。
なので俺とツバキのポケモンバトルは続いていく。
ー〈施設紹介〉ー
・名前、バトルステーション
・説明1、アニメブラック・ホワイトに出てきたバトルクラブとそっくりな施設で基本的にバトルの特訓ができる施設や他のトレーナーとのマッチングを担当している。
・説明2、担当職員は事務の人達以外は基本的には腕利きのトレーナーで指導も基本的に上手い。
10月2日、14時21分。誤字脱字報告ありがとうございます!