丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます   作:黒霧春也

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 11月1日、16時17分。
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56話・本戦一回戦

 1回戦の第1試合、俺(クウヤ)&ルージュVSバルク選手&ミツネ選手がバトルフィールドで向かい合った。

 

(相手も着物が似合うな)

 

 服装が日本の鎧ならさらに似合いそうな雰囲気をされた男女2人。彼らは寡黙なのかほとんど話さない。

 その為、こちらもほぼ何も話してないと実況の方から何か聞こえてきた。

 

『ミクリさん、今までのデータを見てどちらが勝ちそうですか?』

『うーん、彼らのタイプは真逆だからわからないですね』

『真逆ですか?』

『はい。大会データを見る限りクウヤ選手&ルージュ選手は1体ずつのみで予選を突破している』

『ほうほう、逆にバルク選手&ミツネ選手はポケモンを入れ替えて勝ち上がってますね』

『ええ! なのでどちらが有利とは明確には言えないです』

『ならほど! ミクリさん、ありがとうございます!』

 

 ミリアさんの質問をミクリさんは綺麗に返答。そのまま何回か彼らは会話のキャッチボールを続けた後、こちらの準備が終わったのを確認して一言。

 

『では審判さん、よろしくお願いします!』

『はい! これより第1試合のポケモンバトルを開始します!』

『それでは先行のバルク選手&ミツネ選手、ポケモンを繰り出してください!』

 

 アナウンスを聞いた対戦相手の着物を着た20代くらいの七三分けをした男性のバルク選手、ピンク髪にサイドテールをした女性のミツネ選手が互いにポケモンを繰り出した。

 

「ドサイドン、お願いします!」

「行きます、ラグラージ!」

『バルク選手が繰り出したのはガッチリとしたガタイに自慢のツノが生えた大型のポケモンであるドサイドンだ!』

『ミリアさん、ドサイドンもいいですがミツネ選手のラグラージもかなり鍛えられてますね」

『おお! 水タイプを扱うミクリさんでもそう思われるのですね』

『ええ、私が使っているラグラージにも引けを取りませんよ』

 

 Aブロックを勝ち抜いただけあり、相手のポケモンはかなり鍛えられている。

 ……なら相手に不足はない。

 

『では後攻のクウヤ選手&ルージュ選手、ポケモンを繰り出してください!』

 

 前半組の紹介が終わったので次はコチラの番なのだが……。

 

(セリフを考えてねぇ)

 

 さっき出会ったスタッフさんにセリフをお願いします。と言われたので互いに視線を合わせた後、思いつく限り頑張ってみる。

 

「汚れた水よ、我がポケモンの力を受け浄化せよ! いでよ、シズク!!」

「紅蓮の炎が集まる時、聖なる光に包まれる! いきなさい、エンテイ!!」

 

 顔が真っ赤になるくらい厨二な言葉に恥ずかしくなるが、観客席の人達がコチラに強い視線を向けてくるので我慢する。

 

(こ、これでいいのか?)

 

 油断すると顔を追いたくなるがそれはさておき。シズク(スイクン)とエンテイがボールから出た瞬間、フィールドの空気が大きく変わる感じがした。

 

『!? 人間……いや、まさか!』

『み、ミクリさん! 今スタッフさんから貰った情報によりますと彼女達は伝説のポケモンです!』

『あ、青髪の女性はスイクンで赤髪タテガミの女性はエンテイですが……』

 

 実況席にいる2人の言葉とシズク達の正体を知った観客達は声をあげて驚いた。

 

「すげぇ! 伝説のポケモンだ!」

「しかも擬人化しているわ!」

「めっちゃ強そうですね」

 

 キンセツ学園の時とは違い誹謗中傷は少なかったのでホッとする。

 

「大丈夫?」

「べ、別に気にしなくていい」

「わかったけど無理な時は言ってよ」

 

 昔の事を思い出して不安になるがルージュが支えてくれたので落ち着く。

 

(やっぱり伝説のポケモンの影響は凄いんだな)

 

 周りを見ていると伝説のポケモンの大きさがわかるが……いかんせん残念美人のシズクなので現実に戻るとなんとも言えなくなる。

 

「ダンナー! この感じは久しぶりッスね」

「ああ! 思いっきりやってこい!」

「うす!」

 

 ピョンピョンと飛び跳ねているシズクのおかげでいつも通りに戻り、隣にいるエンテイも口を開いた。

 

「はっ! 面白い状況だな!」

「エンテイ、相手は強敵だから油断しないでよ」

「わかっておる!」

 

 エンテイの方も気合を入れたみたいでニカッと笑い俺も頷き返す。

 そして、コチラの準備が完了すると実況席の2人のテンションが上がった声が聞こえてきた。

 

『予想外の出来事はありましたが審判さんお願いします』

『はい! では、バトル開始!』

 

 審判さんの合図で俺達4人は互いに動き始める。

 

「シズク、ラグラージにれいとうビーム!」「ハアァッス!!」

「エンテイ、ドサイドンにじんつうりき!」「これでもくらいやがれ!」

「ドサイドン、ストーンエッジ!」「ドサァ!」

「ラグラージ、ハイドロカノン!」「ラグゥ!」

 

 互いに放つ技がフィールドでぶつかり、その余波を受けるが……。俺はコチラをチラッと見るシズクに頷き、次に何をするかを言葉にする。

 

「「シズク(エンテイ)、しんそく!!」」

「ッス!」「!」

「ラグッ!?」

「ドサァ!?」

「なに!?」「ええ!?」

 

 砂埃が晴れた先、相手のポケモンが『しんそく』を受けて吹き飛ぶ姿が目に入る。

 そのため、チャンスと思い追撃を仕掛けた。

 

「シズク! ラグラージにれいとうビーム!」「これでも喰らえッス!」

「エンテイ! ドサイドンにアイアンヘッド!」「砕け散れ!」

「ラグゥ……!?」「ドサァ!」

『な、なんと! スイクンとエンテイが相手を圧倒してます!』

『伝説のポケモンなので強いとはわかってましたがここまでとは……』

「こ、このままだとオレ達は引き立て役になるぞ!」

「わかっているわ! でも!」

 

 バルク選手とミツネ選手は2人とも焦っているのか言い合いの喧嘩を始め。俺達は互いに顔を合わせた後に一言。

 

「「じんつうりき!」」

「じゃあ、終わりッス!」「そのまま喧嘩してやがれ!」

「「!?!?」」

 

 トドメの『じんつうりき』を受けたドサイドン&ラグラージは綺麗に吹き飛び、そのまま地面に倒れて動けなくなった。

 

「ど、ドサァ」「ラグゥ」

『ドサイドン、ラグラージ戦闘不能! よってこの勝負はスイクン、エンテイの勝ち!』

「「「わああ!!」」」

『決着! この勝負、私はクウヤ選手&ルージュ選手が圧倒したように見えましたがミクリさんはどう思われますか?』

『正直に言えば同じくとしか言えないですね』

 

 項垂れるバルク選手とミツネ選手をよそに、俺とルージュは互いのポケモンを連れてフィールドから離れていく。

 

〈余談〉

 

 控え室に戻ってくるとシズクが抱きついてきたので頭を撫でつつ。

 

「ありがとなシズク」

「これくらいは大丈夫ッスがウチはシメをやりたかった!」

「そこは悪いがアイツを出したくてな」

「やっぱりそうッスよね」

 

 目を伏せるシズクに俺はさらに言葉を返す。

 

「ただ別にお前らをあい……」

「あい? なんスか?」

「いや、なんでもない!」

 

 愛していると言いかけたが恥ずかしくなって口を紡ぐ。だが彼女には伝わったのかニヤッと笑い俺の耳を甘噛みしてくる。

 

「ううっ! ちょっ!?」

「フフッ、ダンナはここが弱いッスね♪」

「お、お前な(汗)」

 

 一通り甘噛みされた後にシズクは一言。

 

「でも嬉しかったッス!」

「そうか……ならさ、また楽しむか?」

「!?!? それってデートのお誘いッスか!」

「あ、それは」

「ありがとうッス!!」

(や、ヤベェ)

 

 思わず口走った言葉を飲み込めずそのまま流されてしまった。でも嬉しそうにしている彼女に俺は苦笑いを浮かべながら頭を撫でるのを再開した。

 

〈追伸〉

 

 少し離れたところにいるルージュには冷たい視線を向けてられていたので凍えるかと思った。

 

 




 11月1日、16時38分。誤字脱字報告ありがとうございます!
 11月2日、15時07分。誤字脱字報告ありがとうございます!
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