丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます   作:黒霧春也

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 11月17日、16時12分。
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69話・ツバキ視点

〈ツバキ視点〉

 

 ……アイツ変わっていたな。

 

 オレは観客席にいるクウヤを見た感想がそうだった。

 

(カナズミの時とはだいぶ印象が違ったぜ)

 

 最初にカナズミシティで出会った時は「こんな陰キャな奴」と思ったが、今のアイツはその時とは全く違う。

 てか差がありすぎて別人だと思ってしまうくらいである。

 

「それにアイツの隣にいたのは……」

 

 半月前くらい前、テレビでやっていた大型バトル大会inカイナの時の本編に映っていた奴。

 確か擬人化したスイクンとか言っていたな。

 

「チッ、アイツの方がオレより何倍も前に進んでいるじゃねーか」

 

 伝説のポケモンを持っているわ、当時キルリアだったのかサーナイトまで成長している。しかも見たことの無いメガ進化またあるとか。

 オレは心の中で渦巻く劣等感を感じていると、主催のアナウンスが始まった。

 

「これよりポケモンスカイリングを開催します! ルールはドローンに吊り下げれているリングを掴み規定の場所に置くと商品ゲットになります」

 

 細かく説明を聞きたいが胸のモヤモヤは無くならない。というかアイツが参加しないのが納得できないが、オレが邪魔したせいでもあるのでそこは言えない。

 

(今度はポケモンバトルを申し込んでやる!)

 

 たとえ勝てなくても今のモヤモヤがマシになるはず。それにオレの親はカントーでリーグトレーナーをしているほど優秀なポケモントレーナー。

 オレにはその血が流れている……過去の思いたく無い敗北はあるが、今は気にせず首を振り説明を聞く。

 

「それでは参加トレーナーは前半、後半に分かれてもらいます」

 

 大会に参加するトレーナーは50人から60人ほどでオレの番号は35番。すると前半組で呼ばれたので思わず笑う。

 

(オレが勝つ!)

 

 優勝すればランダムに進化の石が一つもらえるのは大きい。そう思ってオレは全番組のトレーナーが向かうフィールドに歩いて行く。

 

 ーーー

 

 前半組の中で有名なポケモントレーナーは見当たらない。

 

(これなら余裕そうだな)

 

 オレはピジョットが入ったボールを手に取った時、ちょうどいいタイミングで指示を出してきた。

 

「では、前半戦スタート!」

「「「!!」」」

 

 審判の合図と共にオレはピジョットを繰り出して指示をしようとするが、隣にいたホットパンツの少女が繰り出すポケモンに思わず目が点になる。

 

「お願いラティオス!」

「えええ!?」

 

 いやいやいや!? ら、ラティオスだと……。ってガチの伝説ポケモンのラティオスじゃん。

 オレは昔家族でアルトマーレに行った事があり、その時にたまたまラティオス・ラティアスの写真を見たので。

 

「な、なんだあのポケモンは!」

「めっちゃ強そうよ!」

(そりゃ伝説のポケモンだからクソ強いぞ!)

 

 一般ポケモンよりも一味も二味も違う伝説のポケモン。

 オレは思わず固まっていると、ラティオス使いのトレーナーが動き出す。

 

「一気に行きます! ラティオス、周りにラスターパージ!」

「!! ピジョット、こうそくいどうでよけろ!」

「ピイィ」

 

 いきなり攻撃を放ってきたラティオスになんとか反応したオレはピジョットに回避を指示。

 ここでなんとか回避はできたが周りのポケモン達は次々と倒れていく。

 

(なんて強さだ……)

 

 最初はクウヤのみ注目していたが、身近にこんな強いトレーナーがいるなんて。

 オレは気を引き締めるために頬を叩く。

 

「ピイィ!」

「わかっている! ピジョット、ラティオスは基本的に無視してリングを取りに行け!」

「ピイィィ!」

 

 流石に正面からぶつかるのは勝ち目が薄いが今回はバトル大会ではなくスカイリング。

 つまりドローンにぶら下がっているリングを取って規定の場所に置けばいい。

 

(これがポケモンバトルじゃなくてよかった)

 

 てかラティオスが『りゅうせいぐん』を放ってさらに他のポケモンが墜落していく。

 うん、このままだとかなりやばい。

 

「後は5体ですね!」

「いやいや!?」

 

 隣にいる彼女はポケモンバトルと勘違いしているのか?

 オレは思わずツッコミたくなるが、彼女のキリッとした横顔に見惚れてしまう。

 

(あ、綺麗でかっこいいな)

 

 なんか心にドキッと来るので彼女から視線を外せない。すると、ドローンを追っていたピジョットに『ラスターパージ』が直撃したみたいで。

 

「ピイィィン!?」

「あ……ピジョット!!」

「よし! 後はリングを取りに行くだけですね」

 

 周りのトレーナー達は唖然としながらラティオス使いのトレーナーを見ている。

 まあ、自分達のポケモンがアッサリとやられたのは固まるしか無いよな……。

 

(り、理不尽すぎる)

 

 こ、この展開はアリなのか?

 てかルールには違反してないがこれじゃまるで。

 

「バトルロワイヤルのポケモンバトルじゃん!」

「「「!!」」」

「え? そうじゃ無いのですか?」

「「「当たり前だろ!」」」

 

 コイツ天然なのかよ!と俺は思わず突っ込んだ瞬間、ラティオスがリングを規定の場所においたので決着がついた。

 

『け、決着! 前半戦を優勝したのは圧倒的な力を見せたサファイア選手だ!』

「ブイ!」

「「「……」」」

 

 嬉しそうに観客席に向かって勝利ポーズをしているサファイアと呼ばれた彼女。

 その時他の参加者の気持ちはほぼ同じになったはずだ。

 

(((理不尽すぎる!!)))

 

 バトルあるとはいえ他の参加者達のポケモンを全滅させる。

 ある意味サファイアはズレているように見えるが、結果は結果なのでオレは仕方なく受け入れる。

 

「な、納得はできないけどな……」

 

 さらに強いモヤモヤを抱えながらオレ達はフィールドから離れていく。そして、後半戦がスタートするまでお通夜ムードになってしまった。

 

〈余談、クウヤ視点〉

 

 ポケモンスカイリングの前半戦を見た感想は、伝説のポケモンはやっぱり強いわだった。

 

「なあ主人? これ妾が出てもよかったかもしれんのう」

「……周りの被害を無視するならアリだったかもな」

「じゃろ」

「だ、ダンナ!」

 

 俺の膝に座りながらLサイズのコーラを飲む夜桜はカラカラと笑っている。その隣でシズクが不安そうな視線を送ってきたので一言。

 

「こ、後半戦はどうなるかな?」

「露骨に目を逸らしたッスね!」

「そりゃそうだろ!」

 

 周りの観客だって今回の結果で固まっているぞ!

 俺は思わず遠い目になりながら、コチラにVサインを送ってくるサファイアに一応頷く。

 そしてなんだかんだあり、後半戦の準備が始まった。

 

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