丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます   作:黒霧春也

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 11月24日、15時46分。
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70話・ポケモンスカイリング、その2

〈ポケモンスカイリング後半戦・カイラ視点〉

 

 前半戦、サファイアが容赦なくラティオスで無双していたの見て。

 

(わたしもラティアスを使えば同じことができるかな?)

 

 サファイアとはムロジムの時も含めて何回もバトルしている。だからあの強さは理解できるが……正直かなり悔しい。

 

「サファイアもバトルの天才なのね」

 

 よくわからない劣等感を感じて泣きたくなるが、ポケモンスカイリングの後半戦がある。

 なのでわたしは席から立ち上がり、会場に向かって歩いていく。

 

 ーー

 

 ポケモンスカイリングの会場。わたしは緊張したまま立っていると隣の人物が何かを口にしていた。

 

「あの落ちこぼれのサファイアがなんでラティオスなんか……」

「! アンタは!」

「! まさかここで貴女と会うなんてね」

 

 互いに顔を合わせて指を刺す……てかなんでコイツがここにいるの?

 

「アンタは確かエメラルドだったわよね」

「ええ、そうよ! あ、ちなみに貴女の名前はカイラで良かったかしら?」

「そうだけど?」

「……」

 

 前と同じ金髪だが今回はドリルヘア(?)みたいなクルクルヘアーになっており、服も綺麗なドレスに変わっていた。

 うん、変化がすごいと感じるけど今は気にしている場合じゃない……。

 

「あのさ、いきなり声をかけて来て何か用かしら?」

「……貴女はサファイアといて何か思わないの?」

「え? なんでそんな事を聞くの」

「個人的にアイツが気に食わないからよ」

「そう……」

 

 サファイアが個人的に気に食わない。

 わたしは彼女に言われたセリフがどうしても頭に残ってしまう、その理由はわからないけど。

 

(おそらく何かあるわね)

 

 彼女からは個人的に嫌っているだけでは無い、何かドロドロの感覚を受ける。

 

「まあいいわ。これはアタシ個人の感情だから……」

「何かあったのね」

「ええ、サファイアは親の仇だもの」

「!!」

「でも今の貴女に言っても仕方ないわよね」

 

 親の仇、この言葉を聞きわたしの心に大きな重しがのしかかる。

 

(一体何があったの……)

 

 まだ情報が足りて無いので頭を傾けていると、会場のスピーカーから大会運営者の声が聞こえる。

 

『これよりポケモンスカイリング後半戦を始めます! みなさん、ポケモンを出してください!』

「「「!!」」」

「来たわね!」

 

 隣にいるエメラルドは強い思いを瞳に灯し空を見上げた。うん、彼女の本気度が伝わってくるけど……。

 

(わたしも負けたく無い!)

 

 前半戦でサファイアが勝ったからわたしとここで負けたく無い。……もし負ける事を考えると胸が痛くなるが今は振り払った。

 

〈クウヤ視点〉

 

 時は少し戻り。

 俺はトイレの為に会場から離れていると、白い帽子を被った少年・ルビーと鉢合わせした。

 

「「あ」」

 

 手を洗い出ようとした時、隣の洗面台にいるルビーを見て思わず固まってしまう。

 

「こ、こんにちは……」

「あ、ああ。こんにちは」

 

 ルビーが恐る恐る挨拶をして来たのでコチラもなんとか復活して言葉を返す。

 そして離れようとした時、なぜかルビーに腕を掴まれる。

 

「すみません……。貴方はサファイアの師匠ですよね」

「ま、まぁ、そうだけど?」

「あの、お時間大丈夫ですか?」

「少しなら大丈夫だけど」

「ありがとうございます!」

 

 振り向くと手を離して頭を下げてくるルビー。てか俺の顔をよく覚えていたな……。

 

(記憶力がいいのか?)

 

 俺は思わず斜め上のことを思い浮かべていると、彼に連れられて近くのベンチに座る。

 そして自販機でサイコソーダを買って来てくれたので受け取った。

 

「これどうぞ」

「ああ、ありがとう」

「ええ」

 

 俺はサイコソーダを受け取り飲み始めるが、隣にいるルビーは俯いた表情を浮かべている。

 

「……何かあったのか?」

「!! それは」

 

 流石にここまで露骨に落ち込まれていると気になるので声をかけると、彼は顔を上げる。

 ……その時にルビーは悔しそうに涙を浮かべていた。

 

「ここまで露骨にされると気になるんだが」

「す、すみません!」

「まぁ、ゆっくりでいいから話してくれるとありがたい」

「はい!」

 

 少し復活したのか手に持っているミックスオレを飲むルビーに、俺はなんともいえない気持ちになる。

 

「お、落ち着きました。それで話なんですが、クウヤさんはなんでサファイアの師匠をしているのですか?」

「うーん、俺がアイツの劣等感に同情したからだな」

「! そうですか……」

 

 劣等感。

 この言葉を聞いた相手は目を大きく見開く。てかルビーの目から怒りみたいな感情を感じるんだけど?

 

(あ、地雷を踏んだな……)

 

 この雰囲気は前世でも感じたことがある重々しい雰囲気。俺は思わず離れたくなるが、ルビーがいきなり俺の胸ぐらを勢いよく掴んだ。

 

「それなら、なぜエメラルドを助けなかったんだ!!」

「!! いきなりなんだ!」

 

 彼の悲痛にも聞こえる叫び声を聞いた周りは「何事?」と言ってコチラを見るが、ルビーは関係なく言葉を吐いてくる。

 

「カイナでのバトルを見て貴方をすごいトレーナーだと思ったけど!」

「け、けど?」

「それならサファイアよりもエメラルドを助けて欲しかった……」

 

 先程よりも大粒の涙を流すルビーは、俺の胸ぐらから手を離して俯いた。

 

「貴方に当たっても仕方ないのはわかります! でもおれは!」

「とりあえず理由を話してくれるか?」

「え、ええ」

 

 ここで引いたら掴まれ損なのと個人的に聞いた方がいいと思い、俺は聞く姿勢をとる。

 そしてルビーの話を聞いた時、俺は……。

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