丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます   作:黒霧春也

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 12月1日、15時50分。
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71話・ルビー達の過去

 先程はルビーがいきなりキレて胸ぐらを掴んで来たことに驚いたが、すぐに向こうがハッとなり手を離す。

 

「す、すみません!」

「いや、大丈夫だ」

 

 焦って頭を下げてくるルビーに頷いていると、彼は頭を上げて苦虫を噛み潰した表情を浮かべる。

 

「少し長くなりますが大丈夫ですか?」

「ああ」

 

 言いにくそうにしている相手に冷や汗を流しながら言葉を返すと、向こうは天井を見上げながら改めて口を開く。

 

「おれとエメラルドは小さい頃からの幼馴染で、昔からたくさん遊んだりポケモントレーナーになる為に勉強してました」

「ほう……」

「それである日。いつもトウカジムで遊んでいるといきなり今のジムリーダーであるセンリさんが来たんです」

「え? それとサファイアを恨むのは何か関係があるんだ?」

 

 流石に話が繋がってないので頭を傾けていると、ルビーは焦らずに続きを話す。

 

「いきなりですみませんが、クウヤさんはセンリさんの前のジムリーダーを知ってますか?」

「いや知らない」

「なるほど、だから……」

「へ?」

 

 ここでルビーが何か納得したのか頷き、俺に説明するように話し続ける。

 

「結論だけ先に言うとセンリさんの前はエメラルドの父親であるクロウさんです」

「!! まさか」

「ええ……。それで、1年半前におれ達の憧れであるジムリーダーであるクロウさんがいきなりジムリーダーを下されたんですよ!」

「!?」

「しかも違う地方から来た奴に!」

 

 げ、原作ではセンリさんの前のジムリーダーは出てなかったが……。まさかこの世界ではとんでもないことになっているとは。

 俺は思わず固まっていると、ルビーが悔しそうな表情を浮かべる。

 

「正直クウヤさんに怒りをぶつけるのはおかしいかもですが、おれからすればイラつきが抑えられないです!」

「ちなみにその後はどうなったんだ?」

「仕事を奪われたクロウさんはお酒に溺れてエメラルドの家庭は崩壊しましたよ!」

「……」

 

 思っていたよりも重い、いや重すぎる彼らの過去。

 最初はムカつく奴らだと思っていたがこの話を聞くと大きく変わってしまう。

 

(確かにそれならサファイアを恨む理由はわかる)

 

 自分の家庭を崩壊させた相手の娘、そりゃムカつかない方が無理だわ。俺は納得する理由をルビーから聞いたので驚いていると、彼は少し落ち着いたのかミックスオレを飲んだ。

 

「ふう。これでおれとエメラルドがサファイアを嫌っている理由は分かりましたか?」

「ああ……。ただ質問いいか?」

「ええ、どうぞ」

 

 流石に今の状況だけだと情報が足りて無い。それにルビーの主観なので俺は聞きたい質問を投げかける。

 

「まずはジムリーダーを決めるリーグからはなんて言われたんだ?」

「それはおれも知らないですが、いきなり下されたみたいなのでおかしいと思います」

「そうか……。なら、その前にリーグから警告とかなかったのか?」

「もちろん! それにクロウさんはジムトレーナーさん達に慕われてましたからね」

「わけがわからん」

 

 原作の話的にはトウカジムのジムリーダーはセンリさん。

 そうなると何か原作に引っ張られた感じがするので……。

 

(これが原作補正なのか?)

 

 今までは特に引っ張られる事はなかったがここであるとは。

 俺は気持ちが悪くなって空を見上げていると、ルビーが続きを話して来た。

 

「他に質問はありますか?」

「ああ、ルビーはサファイア個人の事をどう思っているんだ?」

「正直に言えば大嫌いですね」

「それはエメラルドの件が関係なくてもか」

「……ええ」

 

 少し間があったがやはりルビーはサファイアの事は嫌いみたいだ。まあ、そこは個人的な物なので俺はなんとも突っ込めないが……。

 

(俺が言えるセリフでは無いが、サファイア自体はそこまで悪く無いよな)

 

 聞いているとリーグやトウカジムに問題があるのはわかるが、サファイア個人に恨む理由はあまり無いはず。

 だがある意味は関係者なので恨むなとは言えないが……。

 

「そうか。なら、話は変わるけどサファイアと一緒にいる俺やカイラにもイラつくのか?」

「……イラつかないとは言えませんね」

「だ、だろうな」

 

 やはり第三者の俺から見てズレているとは思うが、家庭崩壊したエメラルドの事を考えると否定はできない。

 なので俺ができる事は……。

 

「それと悔しいもありますね」

「悔しい?」

「あくまでおれの主観ですが、貴方にエメラルドの師匠になってくれたら嬉しかった」

「!! それは……」

「今更ですけどね」

 

 カラカラと笑うルビーは痛々しく、俺は胸が締め付けられる気持ちになった。

 てか話が重すぎるのでなんで返せばいいのかわからないんだが……。

 

(やっぱり俺には荷が重いな)

 

 最初にサファイアなら出会った時、主人公の助けになればいいな!みたいな気持ちだった。

 だけど今のルビーの言葉を聞いて自分のやらかした事を痛感させられる。

 

「この話を聞いてクウヤさんはどう思いますか?」

「お、俺の主観で言えばなんともいえないが答えだな」

「そうですか……」

 

 呆れたような表情を浮かべる相手に俺は思わず口を紡ぐが、少ししてなんとか喋る。

 

「ただ少なくとも俺がエメラルドと同じ立場ならサファイア達を恨むかもな」

「!! なら!」

「でも、本当に問題なのはアイツよりもリーグやセンリさんじゃ無いのか?」

「! それはさっきも聞きましたよ」

「ああ、だからハッキリ言ってやる」

 

 ここでハッキリ言わないと決着がつかないのは俺でもわかる。てか俺が偉そうにいえないのはわかるが、それを無視して強く発言する。

 

「お前らが恨むのは勝手でそれが間違っているとは言わない。でも俺的にはその色眼鏡でサファイアを見るのはやめてほしい」

「! そんな事ができるわけ無いでしょ!」

「だから俺的にと言った!」

 

 流石に俺もムカついたのか大声で叫ぶ。そして互いに睨み合いをした後にルビーがため息を吐く。

 

「そんな綺麗事はエメラルドの惨劇を知らないから言えるんですよ」

「ああ、だから続きがある」

「え?」

「お前らがサファイアを嫌う理由を本人は知っているのか?」

「!! それは……」

 

 この流れだとおそらくサファイアには伝えてなさそうだな。

 まあ、大嫌いな相手に向かって冷静に理由を話せとか言うのは難しいのはあるが、サファイアからすれば泣きたくなる案件だな。

 

「まあでも、お前らがサファイアを嫌う理由を知って良かったよ」

「お、おれも貴方と話せてよかったです」

「そうか、なら俺は席に戻るよ」

「は、はい!」

 

 ルビーは納得してないようだが彼の表情が少しだけマシになって気がする。なので俺はベンチに座ったままの彼に聞こえないように一言。

 

「……子供が納得できるわけないよな」

 

 流石にこの状況で冷静に判断するなんて10代前半ではほぼ無理だろ。てかいきなりハードな内容を聞いて固まるしか無いんだが……。

 

(簡単に助けるなんて俺には言えないよな)

 

 個人的には助けられるならそうしたいが、原作では登場しない俺がどうする事もできない。なら何かしら解決する方法を探すか、本人達が落とし所をつけるしか無いのが辛すぎた。

 

〈余談〉

 

 席に戻ると夜桜に遅いと言われたので謝っていると後半戦が始まったので俺達は観戦を始めた。

 

 




 12月1日、16時37分。誤字脱字報告ありがとうございます!
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