丸腰でポケモンの世界に転移したが持ち前の幸運(?)+αで生き抜いていきます 作:黒霧春也
ミドリの話はエメラルドが言ってなかった事、トウカジムの今の現状だった。
「お父さんがいた頃のトウカジムはエリートトレーナーが憧れる場所だったんですが……」
「でも1年半前にリーダーがセンリさんに変わって変化したんだろ?」
「表向きはそうなってますが実際は違います」
「「え?」」
彼女は何か知っているのか言いにくそうな感じで話を続ける。
「ワタシが知る限り、センリさんが来る半年前にゴルトっていうキザ男がジムトレーナーとして現れてからおかしくなりました」
「おかしくッスか?」
「ええ、最初はただのカッコつけに見えましたが……」
「その続きがあるんだな」
「はい! 実際のゴルトは何処かの御曹司らしく大金を使ってやばいことをやっていたみたいです」
「「……」」
やばい事が何かわからないが俺にはまだ妄想にしか聞こえない。そう思っているとミドリが悲痛な表情を浮かべる。
「それで1年半前にゴルトに反発していたお父さんはリーダーを下ろされました」
「な、なるほど……」
「これで色々つながるッスね」
「ああ、ミドリの話が本当なら厄介だぞ」
ジムを支配できるだけの権力を持っている。そう考えると相手はおそらく大きな組織……てか大企業の御曹司か。
「ちなみにお父さんはどうなったッスか?」
「それは、ジムを下された後に家を離れて行きました」
「! じゃあ生活は?」
「お母さんとルビーお兄ちゃん達がなんとか」
「ダンナ……」
「ああ、まずは下調べと準備しないとな」
流石に力はともかく他の物や情報が足りてない俺達。なので俺はシズクにミドリの世話をまかして離れてある人に連絡を取る。
「すみません。クウヤですがお時間大丈夫ですか?」
この人達の手助けがあれば大体解決できる。俺は状況を説明すると相手の了承を得られたので思わず笑う。
〈余談〉
ミドリが俺にこの事を頼んだ理由は、スイクン以外にカイナのタックバトル大会を見ていたかららしい。
ーー
さらに2日後、トウカシティ。
原作やアニメで見た時はそこそこ大きな街で人も普通だと思っていたが……。
ミドリと共に歩いていると住民から腫れ物を扱うような視線を受ける。
「く、クウヤさん。ごめんなさい」
「いや大丈夫だ」
この状況はある意味予想通りだったので受け流しつつ、ミドリの家に向かうと。
「なっ……!」
「こ、これは酷いわね」
家の敷地内には大量のゴミが投げ捨てられており、壁には色スプレーで色んな落書きが描かれていた。
「こ、ここがウチです」
「マジかよ……」
俺の隣にいるルナも絶句しており固まっている。てか、流石にこの状況はやばすぎる……。
(あの人達を呼んでよかった)
俺達だけだと力で解決できても根本的な問題を解決する事ができない。そのため俺はなんとか落ち着きつつ、ミドリの案内で家の中に入っていく。
すると、痩せた気味の30代中盤くらいの女性が暗い表情を浮かべながら出迎えてくれた。
「おかえりミドリ…。あ、お客さん?」
「うん! クウヤお兄さんとルナお姉さんだよ!」
「初めてクウヤさん」
「は、はい」
「こんにちは」
ミドリのお母さんことヒカネさん。彼女の案内を受けてリビングに案内してもらい椅子に座った。
そしてミドリから何があったのかを聞くと、ヒカネさんは目を見開き。
「み、ミドリ!」
「!」
ヒカネさんはミドリの頬を「バチン!」思いっきり張り、コチラに向かって深く頭を下げてきた。
「危ないところを助けていただきありがとうございました!」
「ええ、でもまだやる事があります」
「やる事ですか?」
何か怯えているような表情を浮かべるヒカネさんに俺は言葉を返す。
「あのバカ共に借りがあるので返したいんです」
「え?」
「確かにそうね」
結果論になるが俺の目が眩んでいた時に叱責してくれたあいつら。
(だから借りを返さないとな)
俺は苦笑いを浮かべながら立ち上がりルナにある頼み事をする。
「ルナ、ミドリ達をお願いしてもいいか?」
「ええ! ただ勝ってきなさいよ!」
「ハッ! 逆に俺達が負ける理由はあるのか?」
「フフッ、ないわね」
「な、何を!」
ヒカネさんはコチラの会話に焦ったように頭を上げた。まあ、何がなんなのか思考が追いついてなさそうだが……。
「クウヤお兄さんはワタシ達を助けてくれる」
「! ミドリ……」
「だからお願いクウヤお兄さん!」
「ああ、わかった」
俺はルナとレールにここを任せて家から出ていく。
するとガラの悪いトレーナーが集まっており、コチラにポケモンを繰り出していた。
「お前は何者だ?」
「さあな? でもお前らに答える理由ないだろ」
「そうかよ! まあ、アイツらには関わらない方がいいぞ」
「なんでだ?」
「ハハッ、そりゃ見せしめだからだよ!」
コイツら意外と答えてくれるな。
俺は内心でコイツら馬鹿じゃねと思っていると、他のチンピラ達が下品な笑いを浮かべる。
「ねえ兄貴! コイツ、イケメンだから後で食べてもいいかしら?」
「別にいいが他の奴らの事を考えろよ」
「ええ、もちろん」
女チンピラが何か言っておりリーダーもゲラゲラ笑う。てかコイツらなんでこの短時間で集まっているんだ?
「お前ら、俺達を付けていたのか?」
「いや? ここを見張っている奴らから連絡されて来ただけだ」
「なるほど……回答ありがとう」
相手は10人くらい。この状況で警察が来ないのは意味がわからないが、俺は腰のボールを手に取り投げる。
「ゴー、シズク!」
『ウチの出番ッス!』
「「「!?」」」
俺が繰り出してのはポケモン状態のシズク。つまり伝説のポケモンであるスイクンが出てきた事でチンピラ達の目が変わった。
「あのポケモン、なんかやばそうだな」
「あ、アニキ! アイツはスイクンッス!」
「なんだソイツは! ってごちゃごちゃ言っている場合じゃないか!」
「いくわよ! ゴルバット、どくどくのキバ!」
「ゴルァ」
なんか戸惑っているようだが、相手のゴルバットが動いたのでシズクは『れいとうビーム』で迎撃。
そのまま軽くゴルバットを凍らせて動けないようにした。
「な、なんなんだよアイツ!」
「スイクンは伝説のポケモンッスよ!」
「お前え!? それを先に言えよ!!」
チンピラの1人がスイクンのことを知っており説明するとリーダーがブチギレる。
だがその間にシズクの攻撃でチンピラ達のポケモンを次々撃破していく。
(このまま押し切るか)
街中で攻撃してもいいのか、と思われるがその辺は考えているみたいでシズクは技を上手く使い相手を倒す。
そしてチンピラのポケモンを全て倒した後、相手の足を凍らせた。
「く! こんな事をして仲間が黙ってないぞ!」
「オレ達の後ろ盾であるスカイ団を敵に回した事を後悔するんだな!」
「ほう、回答ありがとう」
やはりスカイ団が関わっているのか。俺はそう思いながらシズクと共に街を進んでいく。
そして戦いを挑んでくるトレーナー達を叩き潰しながらトウカジムに到着した。