――――悪の魔人ブウを倒してから月日は流れて三年後。地球は穏やかな平和を保ち続け、今日も何変わらぬ平和に包まれた穏やかな朝を迎えていた。
何一つ変わらない風景、何一つ変わらない澄み切った空気、太陽が昇り大地を照らす毎日、全てが綺麗に保たれてこの世界の歯車は動いている。
だがその太陽の光を遮る森の中のほんの些細な出来事、少年らしい声が森の中で響き合って軽快な足音が何度も何度も地面を踏み出す。
「おーい!見つかったか悟天!!」
「うーうん。全然見つからないよ~~。」
何かを捜し求めるように少年は森奥深くまで足を踏み入れて探し続けていた、目当ての物は一向に見つからずその一連の流れを続けて数時間。それでも彼等は見つけることができず。
「おっかしいなあ。ドラゴンレーダーだとこの辺にある筈なんだけどな~。」
薄紫色の髪を持つ少年の片手には丸い機械、不服そうにその機械を見ながら再確認。ポップな音が軽快に繰り返す様を見る限り彼等が求めている物は確実にこの近辺にあるのだった。
そしてもう一人、ドラゴンレーダーを持つ少年と然程歳の変わらない黒髪の少年はあちこちと動き回ってひたすらにそれを探す、そして突然少年は足を止める。目をキラキラと輝かせて――。
「ドラゴンボール、ドラゴンボールっと……あっ!あったーーーっ!!ドラゴンボールを見つけたよトランクスくん!!」
―――オレンジ色に輝く丸い宝石が地面にポツンと転がっていた、それを真っ先に見つけた黒髪の少年はすぐに両手で抱えてトランクスの元へと駆け寄っていく。
「よくやった!これで7つ全部そろ……ん?悟天、お前の足元光ってないか?」
「え? あ、ホントだ。なんか赤い石みたいなのが埋め込まれているね。」
ドラゴンレーダーを持つ少年は黒髪の少年の足元から淡い光が帯びている事に気づき指摘する。
指摘された少年がしゃがみ込んで確認すると其処には真紅の宝石が埋め込まれていた、少年に掘り起こされた事で宝石が姿を見せ淡い光を発していたのだ。
「赤い石? ま、いいや。早くドラゴンボールを並べようぜ。」
「わかったー。」
しかし彼等の目的は別にあり、トランクスと呼ばれる少年の手には更に同じような丸い玉が複数個、胸をドキドキと高鳴らせながら順番通りに丸い玉を並べていき最後に悟天が持っていた丸い玉をそこに置く。
「いいか悟天。この事はぜーったいに誰にも言うなよ? もしママ達にバレたらこっぴどく叱られちゃうからな。」
「うん!ボク誰にも言わないよ。」
「よし、じゃあ始めるぞ。―――いでよ、シェンローン!」
宝玉に対してまるで呪文の言葉を投げかけるようにトランクスは叫ぶように丸い玉に対して口にした。そしてそれに共鳴反応するように眩い光を次々と発する宝玉――。
太陽で照り輝く青空は一気に灰色の雲に覆われ暗闇が広がる夜空へ、異常気象というレベルを超えた現象が目の前で繰り広げられる中、少年達は無邪気に頬を緩ませながら輝くような視線を空に向けていた。
「―――…さあ、願いを言うがいい。どんな願いでも3つだけ叶えてやろう。」
大空に出現したのは巨大な竜、シェンロン――彼は少年達を見下ろしてはその一言を言い放ち願いを待つ。トランクスと悟天は成功した!とばかりにお互い顔を見合わせて子供らしい無邪気な笑顔で宣言する。
「オレと悟天を魔法の存在する世界に連れてってください!」
「承知した…。」
「やったー!これで本で見た魔法の世界に行けるぞーっ!!」
「ボク魔法を覚えたらたくさんお菓子を出して食べちゃうもんねー。」
夢物語のような会話を繰り広げている間に彼等は突然その場から姿を消していた。何一つ音も立てずに、まるで彼等がその場にいた事実が消されているかのように。
「願いを叶えたぞ。さあ、次の願いを……あれ?」
一人取り残された竜は困り果てたようにその場を佇む、本来なら三つ願いを叶える必要があるのだが別世界に飛ばされた時点で残り二つは無くなったも同然。
こうして、トランクスと悟天は夢にまで見た魔法世界へとドラゴンボールの力によって飛び立つことになるのであった――――。