「いい加減石の在り処を答えろ!」
「……絶対に教えられません。」
瓦礫の山が作り上げられる中で一つの建物だけは半壊状態で済んでいた。その理由はこの建物がギニュー達にとって貴重な存在だからだ。
彼等が襲撃した理由は全て此処にある。目当ての品物を問いただすギニューだが一向に話は進められずにいた。
(……今は向こうが話し合いやからええけど、戦えばこっちが負ける。どうしたらええんやろ………。)
勝算が無い。はやての思考は確信が存在していた、魔導師達が一方的に倒れ付していくという要素は勿論だが目の前の男は彼女が今まで敵にしてきた中で一番に厄介だ。
反応を示さないなのはとフェイトは絶望的な状況である事が予測できた。外部からの激しい爆音や轟音はそれを物語っているのだ、「絶体絶命」――何度も経験してきたそれが今、目の前に広がっている。
「そうか…なら、特別サービスだ。今教えるならこのミルクキャラメルを3個やろう。」
「………は、はぁ…。」
(……はやくイクスの所に行かないとあかんのやけどな……。)
ベッドで眠り続けるイクス。何を口にすればいいのかわからず、戸惑うカリム。周辺に倒れているのは護衛役であるナンバーズの二人、殆ど勝ち目が無い。
はやては思考し続ける。この絶体絶命の現在を突破する逆転策を。とにかくこの場を突破できる何かが存在していれば、彼女の険しい表情は崩れる事がなかった。
「…なんで石が必要なんや……?」
はやての藍色に輝く瞳はギニューを見据える。襲撃犯は何らかの目標を持つ事はわかりきっていた事だが、聖王教会の襲撃はその目標へのステップでしかないようにはやては感じていた。
「その石は強い力を放っている。つまりそれをフリーザ様が手に入れれば究極のパワーをもった宇宙最強の帝王になられるのだ。」
「それは危険です!この石は、そう簡単に扱えるような物ではありません…!!」
突然カリムは感情を露にして声を張り上げる、その言葉は決してこの場を打開する為の脅迫等ではない――真実味のある言葉。
だがギニューは声を張り上げて警告するカリムに動揺することもなく鼻で笑う。
「ふん、そんな言葉を聞いて怖気づくとでも思ったか?早く渡さなければ……。」
「――――ギニューさん。まだアレは手に入らないのですか?」
唐突にその場に不釣合いな足音が響く、その足音を耳にしたギニューは顔色を一変させた。
カリムもはやてもまた、何か不釣合いな物が此処にいることを直感的に捉えており、二人は胸騒ぎを感じながら新たに姿を見せた"悪魔"を目にする……。
とても人間だと形容しづらい真っ白な生物が其処に、はやてとカリムの目の前に現れた直後に二人の動物的本能がひたすら警告を告げていた。
「フリーザ様!? も、申し訳ございません!こいつらが中々石の在り処を吐かなくて…。」
「フリーザ、やって……?」
表面上は冷静に振舞いながらも、白い生き物に対してはやてとカリムは確実に焦りを感じていた。
フリーザの視線には生々しい殺意を感じるのだ。言葉に言い表せない独特な威圧感に対して二人は息を飲んでいれば案の定……。
「どうやら、此処にはガンコな方が多いようですね。それでは、あなた方には死んでいただきましょうか。」
「……はやて…。」
「っ……。」
抗えない死が眼前にある、だが最悪自身が死んでも彼等が求める石の在り処はわからないだろう。
もはや二人は死を決意していた。目の前の死を、受け入れるべき死を。なのはやフェイト…仲間達の事を思い出しながら。
「し、しかし殺してしまったら石の在り処が……。」
「その心配には及びません。恐らく石はこの中の誰かが持っているはずです。辺りから強い力を感じますからね…それに、石さえ手に入れればこの惑星ごと消し飛ばす予定でしたので。」
「なんてことを……!!」
惑星ごと消し飛ばす、普通ならありえない事だがそんな無茶苦茶な事を成し遂げられる実力を彼等は持っている。そして冷酷にもフリーザは言葉を紡ぐ。
「ほっほっほ。大人しく石を渡してくださるのなら寿命がほんの少しだけ伸びますよ。そうですね…3秒だけ待ってさしあげましょう、ギニューさん、カウントをお願いします。」
「わかりました。いーーーち!」
未練は残るが、それでも生き残る術が思いつかない。こちらが死を覚悟でなのは達が倒せるようにフリーザとギニューに傷跡を付けるか?
いや、この二人はそれさえも許してくれないだろう。残された3秒間ではやてとカリムが成し遂げるのは不可能だ。
「2秒」、ギニューは言葉を投げる、それでも彼女達は決して石の事は口にしない。
「さーーーーん!」
「時間切れです、死になさい。」
死の宣告と共に指先を彼女達へと向ければ煌びやかな光が収束する、尋常ではない殺意が発すその威圧感はギニューでさえも恐怖を覚えさせる光景だった。
それを間近で浴びせられているはやてとカリムはほんの数秒の出来事が途方もなく長く感じている。二人の心臓の鼓動は大きく、自身の死が嫌というほど目の前に存在しているのだと実感させられるのだが―――。
「消えた!」
「なにっ!?」
あまりにも突発的な展開にフリーザは目を見開く、眼前に居た二人の女性が突然消えた。まるで瞬間移動でもしたかのように、風を切るような音と共に二人は其処にいない。
慌ててギニューは周辺を見回した先に見据えたのは黒髪の男。本来なら其処に居るという事がイレギュラーであり、緊急事態というレベルを超えた危機なのだ。
「ふう~~危機一髪ってところか。」
「きっ!貴様はっ!?」
それぞれの腕で抱えられているはやてとカリムは自身の状態に唖然としてしまう、何時の間にか彼女達は悟空に抱えられていた。その状況はあまりにも唐突過ぎて思考が一瞬フリーズしてしまう。
更に首元には幼い手があった、彼女達がそれを見上げるような視線を送った先には眠り続けるイクスの姿。ぞの穏やかな寝顔に思わず安心感を覚えると同時に何故彼女が男性に背負われているのかと困惑を浮かべる。
「イクス様……!?」
「失礼ですが、貴方は……?」
「オラか? オラは悟空、孫悟空だ。」
「孫悟空………?」
「何故イクス様を……。」
「こいつイクスって言うんだな。たまたま入った部屋が炎に包まれててそん中で寝てたこいつを起こそうとしたんだけど全然起きなくってよ、仕方ねえから連れてきたんだ。」
彼女達からすれば疑問を抱かざるをえない程の奇妙な話である、だからこそはやては口を開いた。
「その……一体、何処から入ってきたんですか?」
恐らくフリーザ達も彼の存在を知る事はできなかっただろう、ギニューも唖然とした表情を浮かべてこちらに視線を向けている。
はやての質問に彼はキョトンとした顔を浮かべた。その表情は質問の意図を理解していないように見え、どう返答しようかと彼は思考しているようにも見えるのだ。
「何処って…上からだ。」
「う、上……?」
ぴん、と悟空は人差し指を突き立てて天井の方を指差す。しかし今度ははやての方がキョトンとした顔を浮かべることになってしまう。その心境はカリムも同様に、悟空の言う事が理解できずにいた。
何故なら上から来れるはずがないのだ、上には当然のように天井。決して誰かが破壊して穴が空いているわけではなく、ごく普通に当たり前のように天井が存在している。其処からどのような手段を持ちえて上から移動するのだろうか。
「な、なぜ貴様がここに……。」
「よう、フリーザ。また悪さしてるみてえだな。」
「どうやって中に入ってきたんだ!外は他の隊員たちが見張りをしていた筈だ……!!」
「どうやってって、普通に瞬間移動で入っただけだぞ。邪悪な気がバラバラで此処まで来るのに時間がかかったけどな。」
「瞬間移動…?」
悟空の言葉から出た“瞬間移動”という単語にはやては首を傾げる。その一方でフリーザは苛立ちを募らせている様子だった。明らかにフリーザはこの男が出現してから様子が可笑しい、丁寧で冷静沈着な印象を受けたはやてとカリムはそんな彼のギャップに戸惑いを覚えている。
今のフリーザとギニューは焦っている事が明白であり、各事件を解決してきたはやての勘が告げているのだ、確実にこの男を目の前にしてから様子が一変していた。口調が変化したのもその一つだろう。
「ん? あぁーーーっ!おめえギニューじゃねえか!! ははっ、カエルから元に戻ったんだな。」
「今頃気づいたか。そうだ、オレこそが地獄から蘇ったギニュー特戦隊の隊長、ギニュー様だ!!」
「あの…そろそろ下ろしてくれませんか?」
「ああ、わりいわりい。」
「…………。」
決して調子が崩れない悟空に対して思い出したかのように言うはやて、あまりにも唐突な展開で今自分達がどういった体制なのか、ようやく頭に入ってきた様子で呆れを含んだ苦笑を浮かべて言う。
ポーズを取って名乗ったのに相手にされず複雑な心境を表すようにギニューは言葉を失っていた。数秒後、はやてとカリムは地面に着地している最中でイクスは安らかに悟空の背中の上で眠り続けている。
「っと、ありがとうございます。」
「…イクス様を助けてくださり、ありがとうございます。」
「フリーザ様。どうやら、残っているのは我々だけのようです。他の隊員たちも一緒に呼び出された部下達も反応がありません。」
「おのれサイヤ人め……!」
「どうやって生き返ったかは知らねえけど、また閻魔のおっちゃんのとこに戻ってもらうぞ!」
「フリーザ様!正直、今の我々では分が悪いかと。ここは一旦退却を……。」
悟空は睨みを利かせた視線を二人へとぶつける、悔しまみれにフリーザは歯をギリギリと噛み締めて怒りを膨らませながら悟空にその独特な眼光を向けていた。
だが現状はギニューの言う通り。彼等には勝ち目がなく、その僅かな勝機さえもない。悟空が此処に現れた時点で既に戦況は逆転されたのだ。
「うるさいっ!宇宙の帝王であるこのオレがたかがサル如きに逃げるだと? ふざけるな…!!」
「きゃ…!?」
怒声を浴びせると同時にフリーザを取り巻いていた気は突如轟音を響かせて大地は震える、聖王教会に瓦礫が入り込み天井に罅が刻まれていく。
その光景は悪夢としか言いようがない、悲鳴を上げたはやてとカリムは立つ事も間々ならず体制を崩して地面に這い蹲る。それでも尚、取り乱す事はなく冷静に装う悟空はただフリーザを見据えるだけだ。
やがて地面が崩れ落ちていくと、はやて達の仕業によって隠されていた蒼色の宝石が天井と共に宙を舞う。
「ロストロギアが………!」
「バレてもうた…!!」
「――――それはオレのものだ…っ!!」
「させません!!」
突如顔を出すのは小さな少女、いや小柄過ぎるその少女は身長が低い等とお世辞で言えるレベルではない。だからこそ悟空はその少女を見て驚いた表情を浮かべていた。
丁度両手で掴めるほどの、まるで小人のような彼女は勇敢にも空中を落下するロストロギアに向かって浮遊する。しかし邪魔をするように伸ばされたフリーザの手に収束する殺意を含んだ煌びやかな光。
「あぶねえっ!!」
「えっ…!」
掌から発射された光弾にリインフォースⅡが命中する直前、悟空は彼女を掴むと同時にもう一つの片手によって“パァン!”と甲高い音を撒き散らして光弾を弾き返してしまう。
勢いは止まる事なく光弾は後方の窓ガラスを突き破って遥か上空へと虚しく飛来する。だがそれらの一連がはやてを始めとしたリインフォースⅡ、カリムにはまったく視界に入らない、故に今何が起こったのか理解できずに居た。
フリーザの突き出された手から予想するに攻撃の類、唯一それだけを理解したリインフォースⅡは悟空へと顔を向ける。
「あ、ありがとうございますぅ……。」
「おめえ、ちっこいのにムチャすんな~。危ねえからオラん中に隠れとけ。」
「えっ、えっとまってくださ…ひゃあ!」
掴んだ彼女に拒否する暇も与えずそのまま懐へと仕舞うと同時に堪えるような笑い声が響いて全員の視線はフリーザへと向けられ、当の本人は握り締めた宝石を目にして笑みを浮かべていた。
「くっくっく、ついに手に入れたぞ。これでオレは宇宙最強だ…!!」
「やりましたね、フリーザ様。お祝いに喜びのダンスを踊りましょう!」
「…………。」
悪どい笑みを浮かべるフリーザの傍でバレエのようなダンスを踊るギニュー。そんなギニューに対して何処か呆れを含むように呆然とした表情を見せるはやてとカリムにとっては彼等の事は理解できずにいる。
「あの石から強え力を感じるぞ……。」
「あれはロストロギアと言って、使い方次第で次元を消滅させるほどの危険な力を秘めた石なんです…!」
「この力を手に入れたからにはオレを呼び出したあの下等生物共と手を組む必要もない……後でじっくりと痛ぶって殺してやろう。」
掴み取った宝石はフリーザの手の中へと溶け込まれ、全身へとその力が吸収された途端―――突然変異でも起こったかのようにフリーザの気は膨れ上がっていく。
その異変に誰よりも先に気付いたのは悟空だった、眉がぴくりと動かし目を目開いてフリーザを見据える。
「とてつもねえ気だ…まだ増え続けている。」
「……悔しいけど、もう私達の力じゃどうにもならへん…!」
「きゃああっ!?」
フリーザの体内に存在する気は外へと溢れ出す、紫色の炎が凄まじい凶器となって地響きを引き起こし聖王教会を完全崩壊させてしまう、当然のように天井は落下し教会を形成していた柱や窓ガラスなどの部品は雨のように降り注ぐ。
その光景を目にした悟空は落下する寸前にはやてやカリム、イクスや聖王教会に残る者全てを一気に抱えて強引に上空を突破する。その脅威的な速度は数秒という次元ではない。
「うおおおおおおおお…っ!!!」
「ぐあああっ!!」
更に倍増する気は周辺に向けて衝撃破を激しく撒き散らし、未だにその惨事に気付かず踊り続けるギニューを遥か彼方へと軽々と吹き飛ばしてしまう。
やがて上空へと上り詰める悟空が見下ろして視界に入り込んだのは超絶的な大爆発。瓦礫の山を全て消滅させてツノや殻などの余計な器官を吹き飛ばしたフリーザは途方も無い殺意を剥き出しにしていた。
「やべえな…早くなんとかしねえとこの星のみんなが殺されちまう。」
「そんなこと……!」
「…どないしたらええんやろう、ロストロギアを取り込まれたらもう策はないで……。」
「なのはさん……フェイトさん…。」
決して口に出したくなかった諦観の言葉、はやての拳は力強く握り締められており悔しさに震えている。其処に恐怖が入り込んでいるのかどうかは誰が見てもわからないだろう。
その心境に近いカリムもまた大爆発を引き起こした張本人へと視線を向け、悟空の懐から顔を出すリインフォースはただ自身の仲間を思い浮かべ殺されるという悪夢が一瞬脳裏を掠めて振り払うように首を振るう。
―――このまま放置する訳にもいかない。ただ一人、悟空だけが冷静な態度を崩す事は無く純黒の瞳に悪魔を映し出していた。
「なんてパワーや………あかん、やっぱり放っておく事なんてできへん。」
「…そうですね、はやて。」
悟空達は聖王教会周辺に存在する森へと飛行し、地面に降下すると抱え込んでいたはやて達を解放させる。
「おめえ達、ここは危険だから安全なとこに……。」
「後ろから来ます!」
カリムの警告に思わず悟空は振り返って背後に迫る正体を見据えようとした直後、顔面に拳が埋まった。それだけで悟空は呆気なく吹き飛ばされ、悟空が吹き飛ぶ衝撃によって大量の木を破壊し尽くし地面に酷い傷跡を刻み込んでいく。
「がああっ!!」
だがフリーザの攻撃は終わる事なく、更に悟空の背後を奪い取って上空に向けた蹴りを背中へと叩き込む。悲痛な叫びと共に悟空は再び悪戯な腕力によって宙を舞う。
「くたばれええええ!!!」
「うわああああっ!!」
「きゃああああああぁぁぁぁ!!!」
「リインが……!」
今起きている現象を明確に把握する事も間々ならないはやて達にとって、突然木が破壊され地面が無残に抉り取られるという超常現象を目の当たりにしているような物だろう。
それでもその現象の原因ぐらいは予想が付く、異常なエネルギーの塊は衝撃破となって周辺を暴風の如く巻き取らしている。そして未だに悟空の懐に隠れ続けるリインフォースⅡに気付いて彼女は杖を握り締めた。
本来ならはやて達同様に降ろされる筈だったリインフォースⅡはフリーザの予期せぬ攻撃によってできなくなってしまっている。やがて数秒後…はやての足元に煌びやかな光と共に魔方陣が出現した。
「少しでも、あの人の援護になったらええんやけど…!」
「はやて、危険です!こちらに攻撃されるかもしれません……。」
「せやけど、このまま何もしなかったらもっと危険や!」
はやての言葉に押し黙ったカリムを差し置いて、はやては分厚い書物を開き魔法の言葉を復唱する。
「――――仄白き雪の王、銀の翼以て、眼下の大地を白銀に染めよ。来よ…氷結の息吹!」
上空に圧縮された気化氷結魔法…即ち複数の立方体が形成され、その力は増してく。彼女自身に存在する膨大な魔力が立方体に蓄積されるように発光体は照らし出す…。
「Atem des Eises(アーテム・デス・アイセス)……!!」
はやてが主に扱う魔法は広域攻撃魔法、文字通り広範囲に渡って攻撃が可能な魔法の事である。ある程度の詠唱も必要だが発動させれば一気に敵を大量殲滅する事が可能だ。
特に彼女が使用する魔法は桁外れであり、その圧倒的な魔力と攻撃性能は管理局内でも高い評価を得ている。その強大さは彼女自身も扱い切れない面が強い。
「はーはっはっは!あっけなかったな。それともオレが強くなりすぎてしまったか。」
彼女の発声が合図となり複数の立方体が高速飛来しフリーザの周辺へと着弾していく、派手な爆発音が支配する中で保たれていた熱が一気に消滅して極寒の地を作り上げる。
地面は蒼白色に塗り替えられ樹木は凍り付き、異常現象を体現させた環境はフリーザをも容赦なく氷結させようと絶対零度の牙が向く―――悟空を注視して高笑いしているフリーザは動作を引き起こす事が遅れ、彼の体温が急激に低下し蒼白の塊と化してしまう。
「凍った…やりましたね、はやて!」
「………っ!?」
蒼白の塊を見据えるはやては眉を顰めて張り詰めた表情を崩す事はなかった、そして数秒後…突然亀裂が氷を刻み込み耳障りな程の甲高い音を奏でてそれは木っ端微塵に砕け散ってしまう。
そしてその中身は邪悪なバイオレット色の炎をオーラのように身に纏うフリーザの姿があり、激しい電撃をその身で奏でながら不敵な笑みを露にはやて達の方角へと視線を向けていた。
「ふっふっふ、その程度の攻撃でこのフリーザを倒せるとでも思ったか。」
「っ……ちょっとだけでも傷、つけられると思ったんやけどな…。」
「はやての攻撃が、通用しない……!?」
氷点下の地上、手加減無しの一撃をフリーザに叩き込んだにも関らず当の本人は無傷。ただその攻撃は苛立ちを募らせるだけでまったく無意味に等しい。
やがてフリーザの片手をはやての方角へと突き出す、その動作が攻撃を予想させるのは容易ではやては杖を構えて戦闘体制を見せるが……。
「鬱陶しいハエ共だ…そんなに死にたければすぐに殺してやる!」
「なっ、体が……うごかへん…!?」
「はやて!!」
フリーザはただはやてに片手を突き出した、たったそれだけの動作に過ぎない。何か攻撃を仕掛けた訳でもないのに関らずはやては身動きを取る事ができずにいる。
「っくう、う……!!」
悲痛な声を漏らして顔を顰めてはフリーザを見据えるが全く意味は成さない、身体が浮遊しとてつもない激痛が彼女の体を蝕んでいた。
攻撃の正体が掴めない奇矯な不気味さと死の予感が合さりはやての意識は朦朧としていく。精神的、肉体的に限界は目の前である。
その光景を眺めつつフリーザは静かに手を握り締めようと力を強めようとした。
「くっくっく…――――うごおお…おお…!?」
――瞬間、彼の腹部に強烈な衝撃が入り込み、真っ白でシンプルな身体が宙を舞い蒼白の地面を抉り取る。何が起きたのか理解する事もできず無様な構図を晒したフリーザは殺気を放ち憎悪や苛立ち等に塗れて顔面に酷い青筋が浮き出ていた。
上半身を起き上がらせ、負の感情を与えた対象が視界に入り込んだ直後…抱えていた全ての感情は消し飛ばされフリーザは絶句する。
「――――フリーザ。おめえのスキにはさせねえぞ…!」
「な……!!」
逆立った金色の髪と透き通った碧眼、眼光を放つ悟空の姿に言葉が詰まるフリーザは圧倒されていた。驚愕とも称すべき目の前の現実に彼はただ唖然とした表情を向ける。
悟空の攻撃によって解放されたはやては地面に倒れ付し、朧な意識の海でその先を見据えて絶句していた。それはカリムも同様の心境で驚いた表情で彼を瞳に写す。
「なん、やろ……あれ…。」
「……黄金の、戦士―――まさか!」
蒼白色に煌く地面の真上から黄金の光を反射してより一層、幻想的な風景を描き出していた。この世の物とは思えない現実に圧倒されその場に居る者達は絶句する。
そしてカリムはある一つの予言が脳裏に映像となって回想していた。「聖地の国で古い結晶により異なる次元の死者蘇りし時、黄金の戦士が出現する」…誰もがハズれるであろうと予想した、最も可能生の低い予言。
金色のオーラに身を包む悟空の姿に場は騒然とし、ただ悟空の道着の懐に身を潜めるリインフォースⅡだけはキョトン、とした顔色で彼を見上げており……。
「ど、どうなってるんですかぁ……。」
こうして聖王教会襲撃事件は最終局面を向かえ、運命が記した予言通りの壮絶な決戦が始まろうとしていた―――――。
悟飯「こんにちは、悟飯です。石の力でパワーアップしたフリーザと超サイヤ人に変身したお父さん…。ナメック星での出来事を思い出しますね。」
なのは「にゃはは…わたし達とは次元が違いすぎて介入できないよ。」
フェイト「うん、だから今はあの人を応援しよう。」
ヴィヴィオ「悟天くんのお父さん頑張れーーっ!!」
リイン「悟空さん…。」
アインハルト「次回DragonballVivid『完全決着! 闇を切り裂け、光のスーパーかめはめ波!!』…です。」
悟空「終わりだ、フリーザ!!」