DragonballVivid   作:blacktea

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第15話 完全決着! 闇を切り裂け、光のスーパーかめはめ波!!

ジースとバータの体は既に消滅していた、悟飯の手によって。それは一時的に聖王教会周辺だけが安息を取り戻せた事に繋がる。

だが完璧に事態は収まったわけではない。気が抜けない状況は今も続いており、緊迫とした重々しい雰囲気がなのはとフェイト、シャッハと悟飯達を包み込んでいた。

 

 

「え、えっと、悟飯くん…だよね?」

 

「うん、久しぶりだねなのはちゃん。正直見違えたよ。」

 

「久しぶり悟飯くん…! わたしも、悟飯くんって聞いてすごく驚いたよ。なんだかかっこよくなったね…?」

 

 

重々しい空気が取り囲む中でなのはと悟飯、二人の再会に思わず両者は無意識の内に頬を緩ませて微笑を浮かべている。

それは無理もない。会う事はないと両者が互いに思っていた筈が、今起きている現状のようにあっさり破られてしまう事は二人にとって想定外だ。

 

先程までの雰囲気と反した二人の和やかな会話に目を丸くし、フェイトとシャッハは互いの顔を見て困惑を覚えた態度を見せていた。

 

 

「な、なのは?知り合いなの?」

 

「あ、うん……ほら、前に話した悟天くんのお兄さん。」

 

「はじめまして、悟天達がお世話になったみたいで…。」

 

 

軽く頭を下げる悟飯の行動には品を感じさせる、彼が語る言葉の調子は不思議と相手に好感を抱かせる不思議な何かが宿っているのだ。

その言動と仕草はジースとバータ、あの二人を圧倒した悟飯とフェイトやなのはに接する悟飯とではまるで裏表的な存在。初対面の印象が前者であるフェイトにとって現在の悟飯には奇妙なギャップを抱かせていた。

 

 

「い、いえ。こちらこそ…。」

 

「ところで悟飯くん、どうやってこの世界に来たの?」

 

「トランクスの荷物にあった発信器を頼りにタイムマシンでね……あ、そうだ! はいなのはちゃん。」

 

「え……これ…!」

 

 

衣服の懐から取り出した真っ白なリボンを差し出せばなのはは瞳を見開く。そのリボンは本来彼女の私物、決して戻る事のないリボン。

なのはが悟飯達の世界に訪れ元の世界に帰還する直前、形見代わりとして悟飯に渡した物だ。十数年前に築き上げた思い出が一気に溢れ出し、リボンを受け取る手が震え出していた。

 

 

「必ず再会するって約束したから。この世界にいるとは思ってなかったけど。」

 

「……ありがとう、悟飯くん。」

 

 

「それから」、と言葉を繋げればなのはの頬は赤色に染まっていく。何かを意に決したように息を吸い込んでは吐くという作業を繰り返す、そんな彼女の行動は悟飯にとっては奇矯に捉えていた。

疑問を感じて彼女が口にする言葉を待つ。だが一向になのはは口に出そうとしない、「ずっと前から…」と小さな声は辛うじて悟飯の耳に届く。背後からの軽快な足音も耳で確認しながら。

 

 

 

「兄ちゃーん、終わったよ!」

 

「ママー、わたし達で敵をやっつけたんだよ! ね、アインハルトさん?」

 

「はい……なんとか、ですが。」

 

「悟飯さん達の方も片付いたんだね。」

 

 

トランクスは周辺を確認した後に声を掛ける、実際見える範囲では敵の姿が見当たらない。あるのは傷跡とも呼ぶべき瓦礫となぎ倒された樹のみ。それらが散乱して、場所だけ視点を当てれば大惨事以外の何者でもない。

 

 

「あれ?ママ、どうして顔が赤いの…?」

 

「な、なんでもないよヴィヴィオ……それより、みんなお疲れ様かな。」

 

「こっちも、悟飯さんのおかげでなんとかなったからね…。」

 

「やっぱり兄ちゃんは凄いや!」

 

「ところでベジータさんは?」

 

「トランクスさんのお父様なら怪我をしたシグナムさんをヴィータさんの所に連れていった後、何処かへ飛び去ったと聞きました。」

 

 

アインハルトの話を聞いて納得したように全員は黙り込む、この世界に住む者は彼等と戦うにはあまりにも戦力が桁違いすぎるのだ。大怪我を負っていても何ら不自然な物はない。

 

 

「そういえば、なんで悟飯さんはオレ達みたいに気が減ってないの?」

 

 

サイヤ人の血を引いているからこそ理解できる気という重々しい何か、悟飯の体内で渦巻くそれはトランクスと悟天には不思議以外の何者でもなかった。

 

 

「え? なんでって言われても…ボクから見たら二人の気が大幅に減ってることが気になるな。」

 

 

疑問の真意を理解できていない様子で悟飯は首を傾ける、自身の気に異常が見られない事が逆にトランクス達にとっては異常に捉えつつある。

何故なら本来この世界に訪れた際にトランクスと悟天は気が減少した。即ち戦闘力の半滅、その異様な現象が悟飯自身に起きているようには見えないのだ。

 

戦闘力が半滅していない悟飯から見れば悟天とトランクスが異様な現象として写っている。

 

 

「…ボク達、この世界に来たら気が減っちゃったんだ。」

 

「この世界に来てから? それって……――――みんな離れろっ!?」

 

 

突然、聖王教会を崩壊させる程の爆発が巻き起こったのだ。轟音を響かせ高密度のエネルギーが凝縮されたそれは教会を中心として波紋のように瓦礫と樹が散乱する荒地を飲み込もうと膨張していく。

逸早く気付いた悟飯はなのはとフェイト、そしてシャッハを抱えて光景が線になるほどの猛スピードで戦線離脱する。あっという間の出来事になのはとフェイト、シャッハは声すら発する事はできずにいた。

 

 

「わっ、悟天くん…!!」

 

「っ……!?」

 

 

ヴィヴィオとアインハルトは瞬間的に身体を支配する浮遊感に戸惑いを覚えてそれの原因を目に捉える、悟天とトランクス――二人が彼女達をそれぞれ抱えて悟飯と同様に逃走を図っていたのだ。

他にも付近に居た傷だらけの魔導師達を二人の空いた手で抱えながら飛行は続く、やがて一定の地点に辿り着けば三人は降下して地面へと着地する。

 

 

「……聖王教会が、爆発したなんて。」

 

「なのはママ、あれ…!」

 

「あ、あれは一体…とても人間だとは思えません!」

 

「………っ、カリムさん、はやてちゃん、リイン、イクス…。」

 

 

俯き加減に名前を小さく呟くなのはの表情は読み取る事ができず、遠く離れた距離で破壊された聖王教会の跡地へと視線は注がれていく。

―――其処には真っ白な肌の怪物が居た、一見人間のような形状を持つ怪物だが手も足も顔も全てが人間とはかけ離れた生物だ。

 

そして崩壊した聖王教会の跡地に佇む怪物と向かい合わせに睨み合う逆立った金髪碧眼の男、後者の人物の正体に気づいた悟天は思わず身を乗りだし。

 

 

「あ、お父さんだ!!」 

 

「え? ですが、外見が全然違うと思うのですが……。」

 

「超サイヤ人になると、姿や雰囲気が少し変わるんです……。」

 

「そういえば、悟天くんの時も……。」

 

「ちょっと待って! 悟飯くんのお父さんは亡くなったって…。」

 

「いろいろあって生き返ったんだ。長くなるから後で話すよ。」

 

 

空中を浮遊し燃え盛る金色の炎を身に宿す悟空は真っ直ぐにフリーザへと眼光が貫いていた、その威風堂々とした姿に傷だらけの魔導師達は様々な事を口走り騒ぎ出す。

両者が何者なのかを、彼等は一体何処から?魔導師達にとっては回答が得られない動揺と混乱に満ちた会話ばかりが耳に響く中でなのはだけは過去に悟空が死んだ事を悟飯に聞かされてた為、眼前の光景に一番衝撃を受けていた。

 

 

「父さんと対峙しているのはフリーザか、前よりも邪悪な気が強くなってる…。」

 

「え? フリーザって…パパ達の故郷を破壊した……?」

 

「故郷を破壊……!?」

 

 

禍々しく輝き続けるオーラを宿すフリーザへと瞳を見開いてシャッハは見据える、残酷極まりない怪物は未だに動作を起こさず悟空と睨み合ったまま。

ただその場に居るだけで互いは途方もないプレッシャーを放ち続けており気が付けばシャッハは酷く冷や汗をかいていた。

 

 

「あれが、フリーザ……。」

 

「はやてちゃん達は、どうなってるの…!」

 

「大丈夫。父さん達の近くに複数気を感じるから生きてるよ。」

 

 

悟飯の言葉になのははほっと安心するように胸をなでおろす、アインハルトとヴィヴィオもまた暗い表情から目を見張って遠方の二人へと眼差しを向ける。

誰もが真剣な視線を注いで、行方のわからない勝負に対して不安を抱えているのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『穏やかな心を持ちながら、激しい怒りによって目覚めた伝説の戦士…。』

 

『星は壊せても、たった一人の人間は壊せないようだな。』

 

『オレは怒ったぞーーーっ!!フリーーーザーーーッ!!!』

 

 

 

フリーザの脳内で回想するのは忌々しい記憶の欠片、それが一つ一つ鮮明に映像として流れ出し額に青筋を浮かべて金髪碧眼の男へと鋭い眼光を向けている。

自身のプライドを蹂躙された屈辱、刹那に駆け抜けた全身の激痛、それ等がフリーザのプライドをズタズタに踏み潰すには充分すぎたのだ。

 

 

『これ以上、貴様と闘ってもムダだとオレは思い始めた…。』

 

『バカヤローーーーーッ!!!!』

 

 

恐怖と見下した感情が交差して、この世で恐れ見下していた人種…超サイヤ人に倒された出来事はフリーザが予想していた敗北の末路だった。

だからこそ防ぎ切れなかった悔しさ等の負の感情が目まぐるしく渦巻いて、フリーザを纏う邪悪な紫色の炎は更に激しさを増して地面に亀裂を刻み込んでいく。

 

 

「ふ、ふふふ…現れたなスーパーサイヤ人! これで誰が宇宙一なのかが決まる……。」

 

 

一方、悟空は自身の懐で唖然とした表情を浮かべるリインフォースⅡへと視線を落とす。状況を上手く理解できていない様子で目の前のフリーザへと視線を向けるだけの彼女に。

 

 

「おめえ、名前なんていうんだ?」

 

「ひゃい! り、リインはリインフォース・ツヴァイですぅ…。」

 

 

悟空の声に振り向いて見上げるような視線で、青い瞳に悟空を写しながら声を発す。穏やかな表情を浮かべる彼に不思議と安心感を覚えさせられながら。

 

 

「リインだな…。危ねえから舌噛まねえようにしっかり掴まっとけよ。」

 

「…はいです!」

 

「覚悟しろ!パワーアップしたオレの力で貴様を宇宙のチリにしてやる!!」

 

 

リインは悟空の忠告に従い懐へと自身の身を隠す、それはある種の危機意識が彼女の行動を増長させたに過ぎない。

目の前の真っ白な怪物は咆哮して真正面から悟空へと拳、脚を振り下ろし続ける。その一つ一つの動作だけで周辺へと凄まじい衝撃放を放ち地面や樹が次々と罅入りなぎ倒されては荒地を作り出していく。

 

視界に入らない速度で動く彼等を認識できない者からすれば突然地面が抉れ樹は破壊され、超常現象が引き起こされているかのように錯覚してしまう程だ。

ドゴォン!ドゴォン!と激しいぶつかり合いによって生じる強烈な轟音にはやて達は圧倒され口を開く事すらなくその現場を見据えていた。強風で舞い上がる髪を片手で抑えて、はやては言葉を紡ぐ。

 

 

 

「…一体、何がどうなっているんかわからへん。戦闘が目に見えないなんて、初めてや…。」

 

「そうですね……私も、これほどまでの戦闘を見た事がありません。」

 

「この戦い、なのはちゃん達も見てるんやろうな……どこかで。」

 

 

自身の経験と知識を凌駕した異常現象を体感する二人は現場を見据え事の成り行きが良くなるように願うしかない、なのはやフェイト達がこれを見た時…一体何を感じているのか、想像を膨らませながら。

 

 

「ハァ…ハァ……」

 

「どうしたフリーザ。息切れしてっぞ。」

 

「うるさいっ!」

 

 

戦況はフリーザの不利な状況が続いていた、というのも敵対する悟空は疲れた様子など欠片も感じさせていないのだ。涼しげで余裕を持つ相手の態度にフリーザは憎々しげに瞳を覗かせていた。

 

 

「くたばれええーーっ!!」

 

 

指先を悟空へと向けて、殺意と憎悪が混沌としながら紅色のエネルギーが凝縮される。瞬時に射出された光線――デスビームを悟空はまるで瞬間移動するかのように避け切ってしまう。

フリーザは諦めずに何度も何度もデスビームを放ち続けるが悟空は姿を消しては現れるという過程を繰り返し避け続ける。回避されたデスビームは遥か上空へと虚しく消えていくばかり。

 

 

「あの、リインは無事なんでしょうか…?」

 

「た、多分大丈夫やと思うけど……。」

 

 

攻撃が全く通用しない相手に痺れを切らしたフリーザは白い片手を広げて其処から巨大なエネルギー波を放出し、悟空へと襲い掛かる―――!

 

 

「………っ。」

 

「悟空さん、リイン、無事でいてや……!」

 

 

カリムは緊張感から息を飲む。何故なら光線は悟空と思わしき朧な影を飲み込んでいるのだ。薄っすらと浮かぶ人型のそれは確実に悟空へと命中した証拠である。

―――やがて視界に飛び込んできた光景はフリーザの期待を裏切る現象その物。手に汗が滲み、相手の姿にフリーザはある種の疑惑が生じていた。

 

 

「そ、そんなバカな…!! オレは宇宙一のパワーを手に入れた筈だ…それなのに………。」

 

 

全く傷一つ付いていない悟空の姿にフリーザは瞳孔を開き、全身に湧き上がる本能的な警告を感じ取っていた。先程までの攻撃は決して手加減した訳でもなければ油断した訳でもないのだ。

自身が持つ全ての力を注ぎ込んだ、故の結果はあまりにも惨めな現実。……だが一方で悟空は怪訝な表情を浮かべてフリーザを眺めていた。何かが可笑しい、と彼の瞳が語っている。

 

 

(どうなってんだ…急にフリーザの気が弱くなった。けど、まだとんでもねえ邪悪な気が消えてねえ……―――まさか!!)

 

 

奇妙な違和感を覚える悟空は眉を顰めてその原因を探る、それは極微量の違いから悟空は見つけ出す事ができたのだ。

フリーザの気とは異なったもう一つの何か。いや厳密にはフリーザとは異ならない、フリーザと全く同じ気を持つ誰か。そしてフリーザと近すぎる位置にその"誰か"が存在している。

全く同様の気を持つ点とフリーザとほぼ同じ位置に居る事が、正確な把握を狂わせた原因だがその正体不明の気は時間が経つにつれフリーザをも上回る気を蓄積していっているのだ。

 

 

「もう止めろフリーザ! おめえはその石にパワーを吸い取られてんだ!!」

 

「なんだと…!? ぐう!おおおお…っ!!」

 

 

突然悲痛な叫びを上げるフリーザの姿に全員は瞳を見開く。突如として起きた異変に誰もが疑問を抱いていた、片腕を押えて激痛に堪えるフリーザは先程までの態度と変わり痛々しい物へと成り代わっていた。

 

 

「なのはママ…どうなってるの?」

 

「わからないけど、フリーザに何かが起こったんだと思う……。」

 

「…もしかして、ロストロギアとか?」

 

「ロストロギア……ですか? どうしてロストロギアが…?」

 

「…なんていうか、フリーザの様子を見ていると……その。」

 

「フェイトちゃんの言う事…わかるかも、ロストロギアが反応してるようにも見えるよね。」

 

 

フリーザと悟空の周辺を旋回する桜色に輝く球体型の光はふよふよと浮遊する、その光はなのはが扱う魔法の一つ「エリアサーチ」である。

魔力で生成されたサーチャーと呼ばれる端末が球体内に組み込まれておりそれを通してサーチャーが認知した視覚情報を術者に送り込むという魔法。

この場合、術者はなのはとなるので遠くに居るフリーザと悟空の様子が端末を通してなのはに視覚情報として送信されているのだ。

 

 

「どういう事でしょうか……?」

 

 

なのはの言葉に不可解さを感じたシャッハは不安が入り混じったトーンの低い声で問いかける、理解できない事に少なからず不快な感情を覚えた様子で。

 

 

「…多分そのロストロギアにフリーザの気が吸い取られてるんだ。」

 

「気が吸い取られてる?」

 

「あ、だからあんなに苦しんでるんだね。」

 

「ねえねえ、ロストロギアってなーに?」

 

「ロストロギアはね、大昔に造られたすごく危ない遺産のこと…だよね?」

 

「うん、よく覚えてたねヴィヴィオ……あの石も、遺産の中の一つ。」

 

 

消滅してしまった世界、あるいは既に滅んでしまった技術の結晶―――それがロストロギアである。

今フリーザの手に塗り込んだ宝石は邪悪に煌いて力を無造作に吸い取り始めていた、その度にフリーザは悲痛な声を上げ忌々しく宝石が塗り込んだ手へと視線を落としながら。

 

 

「ふ…ふざけるな……!! オレは宇宙の帝王フリーザだ。こんな…こんな石ごときに……ぐおおおおっ!!!」

 

 

しかし現在に至るまでの経緯はフリーザにとって屈辱以外の何者でもない。故に怒りは頂点を越して眼前の相手へと牙を向いている。

極限にまで高められた負の感情は現状で最も必要とされる行動を無視してただ凶暴な特性を晒すばかり。フリーザは我武者羅に、紺色に染まった夜空へと飛翔していく。

 

 

「ど、何処に行ったんや……!」

 

「…嫌な予感がします。」

 

 

太陽の光は消え、真っ暗な空へと飛翔するフリーザの行動ははやて達にとって理解出来ない行動だった。なのは達もまた彼の行動が理解できない様子で目を離さずそれを見据えている。

だが時刻は夜を迎えて、暗闇が広がり視界が悪くなる中でフリーザの姿を視界に捉える事自体が難しくなりつつある。―――やがて遥か上空に到達したフリーザは暗闇の中で再び気を高めて邪悪な光を発す。その光は地上にいる者達からすれば一つの星空のようにも写るだろう。

 

 

「ハァ…ハァ……宇宙最強はこのオレだーーーーッッッ!!」

 

 

凄まじい怒気を孕んだ叫び声が宙を駆け抜ける、強引に気を高め続け歪な光が覆いながら、だがフリーザの行動を目にしても悟空の冷静さは崩れずその張り詰めた険しい表情からは彼の行動を見据えようと視線を向けていた。

フリーザは両手を天高く掲げて禍々しい光弾を形成する。それは夜を照らし出し異様な光を発して巨大化していく、同時に光弾を包み込む邪悪などす黒い光が更に増強させ鋭い牙を向き始める―――…その邪悪な光だけは、悟空の持つ記憶と相違が生じて眉を顰めながら。

 

 

「あの光はなんでしょうか……?」

 

「えっ、光?どこにあるの?」

 

「あそこだね……どんどん大きくなってる、凄い大きさだ…。」

 

 

地上から上空を見据えて、視界に入り込んだのは一つの光。それは夜空に浮かぶ星のように煌く物だったが徐々にそれは変化していく―――ハッキリと視認できる程のサイズになるそれは只の光ではない事が直感的に彼女達は理解していた。

 

 

「この星ごと消えて無くなれえええええーーーッッ!!!」

 

 

耳にするだけで不愉快さが伴うような、憎悪で塗り潰された咆哮と共に筋肉質な真っ白な手を振り下ろす。特大サイズを持つ光弾…別名デスボールはなのは達、はやて達が居る地上へと滑空する。

 

 

「あんなものが地面に直撃したらこの星そのものが破壊されてしまう……。」

 

「え……!?」

 

「うん、それぐらいの威力は持ってるね…。」

 

 

どす黒い光が覆い始め、更なる膨張を続ける巨大な光にアインハルトやヴィヴィオは不安な顔色を浮かべ始める。今視界に入り込んでいるそれは世界の終わりを告げる絶対的な存在。

夜空に浮かぶ星のような輝きを発していた光弾は徐々に地上に接近している事を示すように視界にくっきりとそれは写り込んでいく。同時に地面は悲鳴という名の暴風が荒れ狂いながら。

 

 

「大変だ! 急いで止めなきゃ…!!」

 

「いくぞ悟天!!」

 

「まて、悟天!トランクス! ここは父さんに任せるんだ。」

 

 

慌ててトランクスと悟天は宙を飛翔しようとした直前、降りかかる静止の声に思わず二人は悟飯へと目を向ける。その瞳は決して揺らぎを見せず、真剣な物である事に二人は立ち止まる事となった。

その間にもフリーザが形成した巨大な光弾は力を増していき、大気が震えるように強風が吹き荒れ地震が地上で襲い掛かり、世界の終焉を表すように形を成していく。

 

 

「こ、怖いですぅ…どうなっちゃうんですか……。」

 

「心配すんな。この星を消させはしねえ…。」

 

 

悟空の懐に身を隠すリインは巨大な光弾を目にして怯えた声を発す、目の前のそれは只の光弾ではない。異常な程に収束した力の集合体―――目にしただけで衝動的に不安を抱かせるそれは恐怖その物である。

見下ろして励ます言葉を投げかければ悟空は腰を低く上空のフリーザを見据えて攻撃態勢へと入り始めていく、その過程がリインにとって印象に残る行動故に瞳を見開ききょとんとした表情を露にさせながら。

 

――――腰付近に両手を落として構えを取る、同時に悟空自身の体内に持つ気を両手を通して収束させていけば一つの発光体が形成され、それは徐々に膨張して夜を照らし出す。

 

 

「かああああぁぁぁぁ…めええええぇぇぇぇ……。」

 

 

暗闇をかき消すが如く閃光は輝き続ける、膨大な気を凝縮し続け前方の敵に牙を向こうとそれは発光し続ける。だがフリーザが解き放った邪悪な光弾と比べればその大きさは圧倒的に小型な物。

 

 

「はああああぁぁぁぁ…めええええぇぇぇぇ……。」

 

 

掛け声と共に発光体は煌く、悟空自身は突如金色の炎を身に纏いそれを燃やし続ける。夜空に輝くそれ等の輝かしさにはやて達、なのは達…魔導師達は静かに見惚れていた。

同時に隕石並みかそれ以上の巨大さを誇る邪悪な光弾を覆うどす黒い光でより一層、フリーザが掲げる特大の光弾は威力が跳ね上がり核兵器とは比較にならない程の攻撃力を秘めて更に更に膨張し続けて全てを呑み込もうとするが。

 

 

 

「これで終わりだあああーーーーーーーッ!!!」

 

「――――波あああああああーーーーーーーっ!!!!」

 

 

 

悟空は両手を突き出し、暴風を巻き起こしながら前方の敵を撃ち貫くが如く特大の光線を射出。大気を切り裂いて撃ち放たれたそれはフリーザの強大な光弾に対抗する程の絶大な威力が兼ね備えられていた。

それはつまり、今悟空が居る世界――ミッドチルダを滅ぼす程の凶悪な破壊性能が秘めた巨大な光線。一秒よりも速く光の速度となって視界にも留まらずただ一直線に撃ち出す。

その圧倒的な威力を目の前にデスボール――いやフリーザが対抗する術は存在しない。勝敗など最初から決まっていたかのようにデスボールはかめはめ波に直撃した途端、衝撃に耐え切れず易々と押し退けてフリーザへと迫り行く。

 

 

「おおおお…ッ!? ちくしょう!! ちく…しょ…お…う………。」

 

 

悔しさに滲んだ声と共に呆気なく自身が撃ち放ったデスボールとかめはめ波に飲み込まれフリーザは塵も残らずに消滅する、惨めな末路を辿る彼に同情を抱く者は誰一人としておらず、直撃した風景を視界に入れた者は安心するように頬に緩みが生じながら。

――やがてかめはめ波とデスボールが遥か上空に消え伏せれば唯一残ったのは青白く輝き続けるロストロギア。ピキィン、と自ら光を発す宝石は先程の攻撃による衝撃からか罅が入り始め小さな欠片と化して穏やかに吹き抜ける風に流されながら地上へと落下していくのであった。

 

 

「ふうっ、もう大丈夫だ。」

 

「た、助かりましたぁ~!」

 

 

夜空に紛れながら、地上に居る者達の姿を確認すれば誰一人として怪我を負っていない事に不意に小さな笑みを浮かべた悟空はゆっくりと降下していく。途中で超サイヤ人から解除すれば元の黒髪黒目へと姿を変えて。

 

 

「リイン!怪我はないやんな…!?」

 

「お父さーーーん!!」

 

 

はやてとカリムは悟空達へと息を切らしながら走り寄っていく。同時に叫び声が駆け抜けてはやて達とは反対向きに走り寄ってきたのはなのは達。悟天は満面の笑顔を浮かべながら悟空を見上げていた。

 

 

「はいっ、悟空さんのおかげで助かりました!」

 

「はぁ、はぁ……やっと追いついた。二人とも大丈夫そうだよ、ママ!」

 

「騎士カリム! ご無事で…。」

 

「よかった……みんな生きてて。」

 

「正直どうなるかと思いましたが…何事もなくてよかったです。」

 

 

悟天の後から追いついてくるなのは達は現状に対して安心感を覚えるように緩やかな笑みを浮かべる、先程まで世界自体が危険に晒されていたにも関らず平和に何事もなかったかのような安息を取り戻した現状には非現実感さえも覚えさせられつつ。

そして地面を踏む沢山の足音に気付いた悟空達は目を丸くしてその張本人へと視線が注がれる、其処には見慣れた女性を初めとして大勢の武装した魔導師達の姿。聖王教会の悲惨な現実に対して眉を顰めるように彼等は直視しながらも、場を取り囲む和やかな雰囲気には疑問を抱いた様子で。

 

 

「なのはさん、フェイトさん、怪我は……え!? アインハルトに、ヴィヴィオ…?」

 

「どうして貴方達が此処に…!?」

 

「……どうやら終わったようだな。」

 

「シグナムーーーッ!!」

 

 

スバルとティアナは眼前の本来なら居ない筈の相手が何も不自然なくなのは達に溶け込んでいる様子に唖然とした表情を浮かべており、心境的には他の魔導師達と対して変わらない疑問が脳裏を支配していた。

直後に、背後から額や腕に包帯を巻いたシグナムが場の状況を察したように冷静な声で呟けばティアナ達と一緒にきたアギトが彼女の胸に飛び込む。そして彼女達の問いにハッと表情を一変させるヴィヴィオとアインハルト、悟空達は本来の目的の一つを思い出す。

 

 

「とりあえず話を伺いたいので管理局まで同行してください。」

 

「…私達も同行した方が宜しいのでしょうか?」

 

「でも、リオやコロナ達を待たせていますし……。」

 

 

―――それは時空管理局、特にスバルやティアナに干渉される前にフリーザ達を倒す事。ばったりと出会ってしまった現状は本来望まぬ形であり、スバルの言葉に友達や仲間を待たせているヴィヴィオ達の表情は難色を隠せず。

 

 

「わりい悟飯、オラこいつらを送り届けてくっから後は頼んだぞ!」

 

「え? お、お父さん!!」

 

「消えた…っ!?」

 

「ヴィヴィオ達だけじゃなく、悟天とトランクスもいなくなってる……。」

 

「ほんと不思議な人やな。」

 

「にゃはは、悟飯くん。大変だと思うけど色々とお話聞かせてね?」

 

 

二人の呟きが聞こえていた悟空はすぐにヴィヴィオとアインハルトの手を掴んで瞬間移動してしまう、その際に悟天とトランクスもどさくさに紛れて悟空と一緒に消えていたのだ。その結果、たった一人取り残された悟飯が彼女達に同行して説明する事になるのだった。

 

 

 

 

 

 

白銀色に輝く球体は一筋の真っ白な線を残しながら宙をふわふわと飛行していた、その形状は俗に言う人魂と呼ばれる物に類似している。

ゆらゆらと輝き続ける人魂は光が通らない森の奥へ。何かに誘われるように道を突き進む。ある程度、範囲の広い地点へと到着した途端に地面に描かれた不気味な魔方陣へ吸い寄せられ吸収されてしまう。

 

魔方陣の外枠に佇むフードで身を包んだ男女が心底不愉快そうに、つまらなさそうに声を上げる。

 

 

「やっぱりこいつ裏切る気だったのね。」

 

「だろうな。だが、その結果が自己崩壊。アレを抑え込めるのは俺達"古の民"でなければ不可能だ。」

 

 

森の奥、比較的フリーザと悟空との戦闘で生じた被害が少ない其処は月光に照らされ森林独特の不穏な空気に包まれている。

フードで覆い隠された二名は聖王教会の様子を眺めて、続々と時空管理局の人間が集まっている風景を瞳で捉えていた。

 

 

「でも、アレは金髪の男が放ったエネルギーで消滅しちゃったんじゃないの?」

 

 

女性が口走る、表情が読み取れない茶色のフードで身を包んだ男に振り返りながら。彼女自身はロストロギアを脳裏に浮かべながら呟く。

 

 

「いや、石の反応は僅かだがまだ残ってる…欠片を全て集めればいま一度力が蘇るだろう。問題は金髪の男とその仲間だ…。」

 

「本当にあいつら何者なのよ。折角お父様から授かったロストロギアの力で負のエネルギーを持つ死者を蘇らせたのに、あんなあっさり倒されるなんて…こうなったら次はもっと強い奴を復活させてやるわ!」

 

 

悟空、悟飯、ベジータ、そして悟天とトランクスの事を思い出しては憎々しげに憎悪が入り混じった声で吐き捨てる。

彼等が居なければ、彼等がこの世界に存在していなければ確実に事はフードで覆い隠す男女の計画通りに進行していた。失敗など全くない、成功だけで綴られる未来が。

それを根底から覆した五人組は忌々しい程に女の記憶にこびり付いていた、だが反して男は女と違い平静を失わず彼を中心とした漆黒の魔方陣が展開される。

 

 

「……まずは欠片を集める事が優先だ。戻るぞ、ナナ。」

 

「はい、兄様!」

 

 

真っ黒な粒子が男女を取り囲むように浮遊して閃光が駆け抜ける。刹那に巻き起こった漆黒の光が彼等を別の場所へと転移させて、森は再び静寂を取り戻したかのように風が吹き抜け森の音を奏でていた。

 

 

「なるほど…奴等がフリーザ達を呼び出していたのか。すぐに片付けてやるつもりだったが、奴等が蘇らせた死者をブッ倒していくのも面白そうだ。くっくっく……せいぜい強い相手を呼び出すんだな。」

 

 

只一人、背中を樹に預けながら不適に口角を吊り上げてフードを被った男女の様子を静観していた男は愉快そうに声を上げる。これから巻き起こる未来を想像して堪えるように笑う。

不気味な未来だけが描かれながら、悟空達は無事フリーザ達を撃破して一時の安息と平和を取り戻すのであった――――。




悟空「オッス!オラ悟空!! あいつら何者なんだ? フリーザの魂が吸い込まれちまったぞ。」

ピッコロ「フリーザ達が蘇ったのは奴等の仕業と見て間違いなさそうだな。」

ベジータ「ふん、一度倒された奴等などオレの敵ではない。」

悟飯「ですが、フリーザ達がこっちに来たとなれば地球が少し心配ですね。」

トランクス「でも、帰れないんだよなぁ~。」

悟天「誰か迎えにきてくれればいいのにね。」

悟空「次回DragonballVivid「地獄に異変? 消える死者達」」

???「過去に来るのも久しぶりだな…。」
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