―――3日後。カプセルコーポレーションには大勢の悟空達の家族や仲間達が集まっていた。これほどの人数が集まるのは数年前のパーティー以来だろう。その中にはデンデや界王神まで混ざっている。
「…すまんトランクス。みんなに話したら一緒に異世界に連れていってほしいらしくて。」
「は、ははは…。」
申し訳なさそうに謝るクリリンに対してトランクスは苦笑するしかなかった。明らかに見送る側よりも一緒に同行する側の人数が多い。悟空の妻で悟飯と悟天の母親のチチ、ミスターサタンの娘で悟飯と同級生のビーデル、悟空やクリリン達の師匠で武術の達人と呼ばれた亀仙人、悟空やクリリンと同じ亀仙流で仲間のヤムチャ、たまたま地球に遊びに来ていたベジータの弟ターブル等。
「チチ~ここはクリリン達に任せてオラ達は待ってねえべか?」
「おっ父は黙ってけろ! オラが心配して待ってても悟空さ達は全然帰ってこねえ。きっと向こうで楽しく遊んでるだ!」
「ビーデル、やっぱ止めないか? パパはお前の事が心配で…。」
「もう! 何度も言ってるでしょ。私は絶対に異世界に行くの! 悟飯くん、今頃約束の女の子と再会して仲良くなっちゃってるかもしれないのよ。」
「だったらパパも「こなくていい!」ブウさ~~ん。」
「サタン、異世界の食い物ってウマイのか?」
「よーし、向こうで美人な彼女をゲットしてくるぜっ!」
「頑張ってくださいヤムチャ様!」
「どうせムリだろうけどな。」
「うひょ~~早くピチピチギャルに会いたいのう。」
「はぁ…天下の武天老師と言われたお方が…嘆かわしい。」
「海ガメも大変だぎゃな。オレは絶対にいかねーぎゃ。」
「界王神様もトランクスさん達と一緒に同行する予定なのですか?」
「はい。ご先祖様がなにかトラブルがあった時の為にお前も着いて行けと仰ったので…。」
同行する側の中には娘が心配で着いて行く者や上からの命令で同行する者もいる。だが、こんな大人数を連れていける程タイムマシンのスペースは広くない。
「これだけ希望者がいるならボクは行かない方がいいかな。」
「きっとお兄様なら無事よ。」
「すみませんターブル叔父さん。父さん達は責任持ってオレが連れ戻します。」
「うん。ありがとうトランクス。」
あまりの希望者の多さに同行を辞退するターブル。トランクスは自分の叔父に謝罪の言葉と同時に必ず異世界から連れ戻すと約束する。出会った当初はベジータに弟がいる事に衝撃を受け、どう接すればいいかわからなかったが今は家族のように親しく交流をしていた。
「で、結局誰を連れて行くんだ?」
壁に寄り掛かっていた黒い長髪の少年、17号の発言によって全員の視線はクリリンとトランクスに向けられる。自分の意志で同行を希望する者は自分を選べと、誰かに命じられて同行する者は自分を選ぶなとそれぞれ目で訴えかけていたのだ。
「オレとクリリンさんは決まっているので、連れて行けるのは残り3人ですね。」
「仕方ない、ここは公平にクジで決めるか。」
話し合いも考えたが、あのメンバーを見ると永遠に終わらなさそうに感じたので誰もが公平になれるようクジで決めることになった。見送り側は箱を用意して人数分のクジを作っていく。
「えー…今からみんなにはクジを引いてもらいます。それで当たりの玉が出たら一緒に同行するってことで。」
(チャーンス! ブウさん、頼みましたよ。)
(わかった。)
クジで決めるとわかった瞬間、サタンはブウにひそひそと小声で何かを伝える。そんなやり取りをしている間に希望者は順番にクジの玉を引いていく、そしてビーデルの番となった時、ピンクの太った魔人が指を軽く動かす。
「…やったーっ! 当たった!!」
「―――なにいっ!?」
当たりの玉を手にして喜ぶビーデル。だが、サタンはありえないような光景を目にした表情で驚いていた。そしてすぐにブウに視線を向ける。
「ブ、ブウさん!ビーデルが当たりの玉を持っていますよ。」
「ああ。オレが当たりの玉に変えた。」
「ええええっ!? なにやってるんですか!当たりを引かせちゃダメでしょ!!」
「違うのか?」
サタンが頼んだ事はブウの能力でビーデルが引く玉を外れの玉に変えてもらう事だったのだが、ブウは勘違いしてビーデルの引く玉を当たりの玉に変えてしまったのだ。予想外の出来事にサタンは頭を抱えながら項垂れた。
「おーい、後引いてないのはサタンとブウだけだぜ。」
既に全員がクジを引き終わっており、当たりの玉を持ったビーデルと界王神以外の希望者は外れの玉を持って落ち込んでいたり喜んでたりと様々な反応を見せていた。全員が引き終わって当たりが2人しか出ていない事実は、サタンかブウのどちらかが当たりの玉を引くことを示す。
「これで当たればビーデルと一緒にいられるがブウさんと離れてしまう。外れれば私一人だけになってしまう…。」
サタンにとっては当たっても外れてもブウと離れる結果となるのだ。出会ってから三年の間にサタンとブウのお互いの関係が親友にまで値する。
今でこそブウはサタンや他のメンバーと友好な関係を築いているが昔は悪の魔導師バビディに従い多くの人間を殺してきた。だが、サタンの活躍でブウは人を殺さなくなり善と悪の魔人と別れた後もサタンを守る為に戦ったのだ。悪の魔人ブウが倒された後、ドラゴンボールでブウに関しての記憶が関係者以外消され、魔人ブウはミスター・ブウとなったのである。
「そうだ! もし当たっても私とブウさんが辞退すれば! …あ、そしたらビーデルと……。」
仮に当たってから辞退すれば娘のビーデルと離れる事になる。どれを選んでも親しい者と別れてしまう運命。そんな真剣に悩んでいるサタンにブウは声をかける。
「サタン。オレ、いい方法を思いついた。」
「へっ?」
「ビーデルさん。必ず悟空さと悟飯と悟天を連れ戻してけろ。」
「はい! 悟飯くん達は私がぜーーーったいに連れ戻します!」
(悟飯も災難だな……。)
「界王神様、どうかお気をつけて。それとピッコロさん達のことを宜しくお願いします。」
「ありがとうございます。地球の方は頼みましたよ。」
「クリリン…絶対に生きて帰ってこいよ。死んだら絶対に許さないからな!」
「急になに言ってるんだよ18号。大丈夫だって、お前達を残して死んだりしないから。」
「クリリン、土産は頼んだぞ~。」
「わしはギャルの写真「老師様!」無事に帰ってこい。」
同行することが決まった者達はそれぞれの関係者に見送られてタイムマシンに搭乗していく。結局、メンバーはトランクス、クリリン、ビーデル、界王神、そしてブウに決まった。だが、見送る側にサタンの姿が見当たらない。それを疑問に感じたビーデルはブウに尋ねる。
「ねえ、ブウさん。パパはどうしたの?」
「サタンならここにいるぞ。」
そう言ってブウが指を差すのは自分の腹部。まさか父親を食べたのかと頭に浮かんだが仲のいい二人に限ってそれはないとすぐに考え直し、別れが辛くて顔を出せないのだろうと勝手に解釈してタイムマシンへと搭乗した。
やがて全員がタイムマシンへの搭乗を終えればトランクスは出発前の最終確認を行う。いよいよ出発の刻が近づくに連れて全員の緊張が高まっていく。
「よし、座標の方も問題ないな。それでは行ってきます!」
起動スイッチを押すと上部ハッチが閉じてタイムマシンは上空へと上昇していく。そして一瞬の内に見る影もなく姿を消した。
「ん? ヤムチャの姿が見えんぞ。」
「プーアルのやつもいないな。」
「二人ならブウさんと話しているのを見かけましたよ。」
「クリリンを頼んだよ……17号。」
こうしてトランクス達は異世界へと向かったのだが、果たして彼等は無事に悟空達と再会することができるのであろうか――――。
未来トランクス「こんにちは、トランクスです。過去以外の世界に行くのは初めてだから、ちょっと緊張するな…。」
クリリン「悟空達も心配だけど、やっぱ一番心配なのはブルマさんだよなぁ。」
ブウ「サタン、大丈夫か?」
キビト神「次回DragonballVivid「力を取り戻せ!チビ達のドタバタ合宿修行」」
ビーデル「待ってなさいよ悟飯くん!」