「やっぱ神龍だったか。いきなり夜になったからオラおどれえたぞ~。」
二人が消失したその場にもう一人の人影が現れる、突風を撒き散らして宙から降り立ちやってきたのは四方八方に伸びた黒髪に山吹色の道着を着込んだ男。
目の前の巨大な竜を見上げれば少々驚いた様子で周辺へと視線を向ける、当然其処には誰一人として人影も何もない。彼は改めて問いかける。
「なあ、悟天とトランクス見なかったか?さっきまでこっちから二人の気を感じたんだ。」
「…孫悟天とトランクスは一つ目の願いで魔法の世界に向かった。」
―――魔法の世界?拍子抜けた声が思わず漏れ出る、首を軽く捻っては魔法の世界がどういうことなのか、思考。
だが、彼にはその魔法の世界についての知識はまったく無いせいかすぐに思考は中断する。
「魔法の世界か……よくわかんねえけど、二人はその世界にいるんだな。」
目を真ん丸くキョトンとした表情を見せながら男は一先ずそれで納得することにした。後に逆立った黒髪を持つ男と全身緑色の男、更にはまた四方八方に伸びた男と似た顔の男が空中から降り立つ。
「ち…あのバカ息子め。まったく成長しとらんな…。」
「ああ、悟飯の頃とは大違いだ。神龍をくだらんことに使いおって。」
荒々しい口調で吐き捨てる男、それに同意する緑の男。山吹色の道着の男から神龍から聞いた話を聞くと呆れ返った表情を見せる、道着の男に似た顔の男は状況を理解すると暫く思考してから顔を上げた。
「お父さん。とりあえず、次の願いで二人をこの場に呼び戻すというのは……。」
「そうだな。神龍! 悟天とトランクスを此処に呼び戻してくれ。」
「…それは不可能だ。魔法の世界は無数に存在する故にどの世界に向かったのかはわたしにもわからない。そして次元を超えた先はわたしの力を遥かに超えている為、干渉できないのだ。」
「いいっ!? そうなんか。まいったな~、このまま悟天が帰ってこなかったらオラ、チチにメシ抜きにされちまうぞ。」
「そういう問題じゃないですよ…。」
「お前はメシのことしか頭にないのか。」
食事を抜きにされたときのショックさは計り知れない、勿論悟天達のことも心配してはいるが悟空にとっては食事が抜きにされることもそれに並ぶほどの恐怖らしい。
「面倒をかけさせやがって…オレが直接連れ戻してきてやる。」
「ま、待ってください! 神龍はその魔法の世界が無数にあると言ってます。だからベジータさんが悟天達のいる世界に行ける保証はありませんよ。」
「それに、仮にその世界に行けたとしてどうやって戻ってくるつもりだ?」
打つ手なしと言わんばかりの反論、どれも間違った論ではないせいでそれに対しての否定もできずに彼等は途方にくれてしまう。
「しょうがねえ、一回戻って考えるか。みんなで考えればなにか方法が見つかるかもしんねえし。」
「そうですね。では、ボクはクリリンさん達を呼んできます。」
「ふん…。」
「なら、オレは神殿に戻る。デンデならなにか知ってるかもしれんからな。」
それぞれの方向性を決めた男達はその場から姿を消す、一刻も早く魔法の世界へ飛ばされた少年達を見つけ出して連れ戻さなければならないのだ。
「あの~……願いは?」
―――蚊帳の外にいた神龍はまたまた取り残されてしまっていた。