DragonballVivid   作:blacktea

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第21話 悪の銀河戦士襲来!? 狙われた魔法少女

「「はぁ…はぁ…」」

 

 

あれから数時間程の時間が経過し夜空に月が浮かび始めた頃。息を切らして月光に照らされたトランクスと悟天は悟飯の指導の元で修行に励んでいた。二人が逃げ出さないようピッコロも背後で様子を眺めている。

 

 

「よーし、5分休憩したら次は二人で組手だ。」

 

「「えぇ~~っ!!」」

 

「みんなー、飲み物もってきたよ~。」

 

 

間の抜けた声は重なる、同時に足音が響いてトランクスと悟天、悟飯はそれに反応して振り向ればピッコロも横目を向けた。

四人の視界に入ったのはジャージ姿のなのはとフェイト、ペットボトルを片手に持つ二人は頬を緩めて笑みを浮かべて彼等に近付く。

 

 

「二人とも頑張ってるね?」

 

「わっ!つめたーい!」

 

「ありがとうフェイトさん!」

 

 

腰を屈めて悟天とトランクスにペットボトルを手渡すフェイト、なのはも悟飯にタオルを渡すが、ふと疑問を感じる。

 

 

「そういえば、悟天くんとトランクスくんは元々の気が減ってるのに、どうして悟飯くんとピッコロさんは大丈夫なの?」

 

「え? うーん、たぶん悟天達が生身で次元を超えてきたからだと思う。」

 

 

なのはからの疑問に悟飯は数秒思考した結果を述べる。次元を超える、それは膨大なエネルギーを必要とする一つの現象。何か対策を取らない限り何が起きても不思議ではない。

悟飯達に影響がなかったのはタイムマシンという専用機器が次元を超える上での一つの対策となって気の半滅から逃れる事が出来たのだと仮説する。

 

 

「神龍の力は他の世界に送る事は出来ても、その世界の中まで干渉する事はできないんだ。

だから、無理に次元を超えた影響で悟天達のカラダに副作用を起こしたんじゃないかな。」

 

「オレ達はタイムマシンに守られて副作用が表れなかったのだろう。」

 

 

故にタイムマシン炎上の原因は"無理に次元を超えた事"、それの副作用に対してタイムマシンが防御的役割を担った結果が炎上。

仮に元の世界に戻る事になってもこの現象は再び起きるかもしれない、無事に帰れるかどうか……不安が悟飯の胸に小さく灯った。

 

 

「だったら、最初からママにタイムマシンを作ってもらえばよかったぜ。」

 

「そうすれば気が減ったりしなかったのにね。」

 

「お前等、まったく反省する気がないな…。」

 

「二人とも、あとで温泉に入れるから…もうちょっとだけ頑張ろう?」

 

 

不満を呟き続ける二人を宥めるようにフェイトは口にする。仕方なく悟天とトランクスは頷き、その穏やかな様子に悟飯は苦笑した。

 

 

 

 

「ははは、それじゃ修行を再開……あぶないっ!」

 

 

暗闇を一方的に照らし出す閃光、それが刹那の合図となって悟飯の片腕が伸び光弾を弾き返す。光弾は虚しく宙を彷徨い爆音が弾け飛んだ。

咄嗟の動作に驚くのも束の間――彼女達が上空を見上げた先には鉢巻を額に巻く男とそれ以上の巨体を持った男。

 

 

「何者だ!」

 

「あれって、人……?」

 

 

見上げた先に居る男達は薄気味悪い笑い声を上げながら悟飯達を見下ろす、その意図は掴めず悟飯達には動揺が走っている。

 

 

「「フフフフ……」」

 

「お、お前達は…!?」

 

 

目の前にいる者達の正体が信じられないと言いたげに瞳を見開いて焦りを見せる悟飯の姿、只事ではない――そう感付かされるのは容易く、なのはとフェイトもまた警戒心を一層強めて睨む。

 

 

「バカな…なぜ生きているんだ……。」

 

「……生きている?」

 

 

険しい表情を見せるピッコロと悟飯、後者は兎も角――前者の反応ぶりになのはは戸惑いを覚えていた。

彼の性格は冷静沈着、大きく表情を変化させる事は滅多に無い。だが、今のピッコロは動揺を露にしている。

 

 

「…あいつ等は昔、地球を支配しにやってきたボージャック一味だ。」

 

「地球を支配……!?」

 

 

ボージャック一味、かつて地球を支配しにやってきた"ヘラー"一族。ピッコロが口にした言葉にフェイトは驚きの余り声を上げた。

彼等はその存在自体が危険極まりない、故に四人の界王達によって封印されていたという過去を持っている。しかし、それ以上に不可解なのは―――

 

 

「貴様等は悟飯とトランクスに倒されたはずだ!!」

 

 

ボージャック一味は一度死んでおり、本来はこの世にいない者。彼等が存在している事実は異常である。

 

 

「これから死ぬお前達には関係ない。」

 

「この星はボージャック様に支配されるのだ。」

 

「ボージャックだと!? ヤツもこの世界に来ているのか…。」

 

「ボージャック……。」

 

 

彼等の言葉を耳にした悟飯達は前回の事件が脳裏に映し出されていた、フリーザとギニュー特戦隊―――彼等もまた死んだ筈の存在。

ある種の共通性が不意に浮かび上がった所でボージャックという単語が耳に入り、彼等は思考を遮断させた。

 

 

「「はああっ!!」」

 

「気を付けろ! くるぞ!!」

 

「レイジングハート・エクセリオン!」

 

「バルディッシュ・アサルト!」

 

 

なのはとフェイトの声が重なり、宙を木霊した直後に"セーットアーップ!!"という合図が鳴り響き二つの光が舞うが、彼女達が防護服を展開させた時にはピッコロと悟飯は二人組の男――ゴクアとビドーに対して攻防戦を繰り広げていた。

視界に捉えられない戦闘が発生している事を物語るように衝撃音は甲高く鳴り響く、目で追えないフェイトにとっては不気味な構図でもある。

 

だが打撃音は瞬時にして止んだ。同時に独特な鈍い音が宙を駆け抜けた。

 

 

 

「―――悟飯くん、ピッコロさん!! そこから離れて!!」

 

 

 

真夜中の空になのはは居た、無数の桜色の球体が夜空を支配し星空のような輝きを放つ。暗闇が支配する悟飯達の居る場所は一気に彼女の魔法で照らし出される。

一種の太陽的な輝きに照らされたピッコロと悟飯は空を仰いで擬似的な星空を視界に捉えれば彼等は驚いた表情を浮かべて瞳を見開く。

 

 

「なんだあれは!」

 

「凄い……!」

 

 

機械的音声は魔法名を口ずさむ、槍形状の形態を取るレイジングハートをゴクアとビドーへと勢いよく振り下ろした。

 

 

 

 

「  ア ク セ ル ツ イ ン メ テ オ ッ ッ !!!  」

 

 

 

 

―――流星群、それを体現した砲弾の雨は強風を発生させ二人へと降下する。元々なのはが扱う魔法自体が破壊力に優れた物が多く、この技もまた例外ではない。更に今回は気を利用して魔力の資質と量を付加しているのだ。

膨大な魔力の塊とかした砲弾が次々と着弾しては爆発を繰り返していく、爆風と爆煙が舞い乱れ次第にゴクアとビドーの姿が視界に捉えられなくなっていく状況の中、只では済まないだろうとフェイトはその光景に注目した。

 

 

「すっげー!!」

 

「やったー!」

 

 

トランクスと悟天もまた、流星群の輝きと絶大な威力に見惚れ感激の声を上げてゴクアとビドーが居た場所へ視線を向ける。

爆煙で彼等の姿を見失う中で――――響き渡ったのは笑い声。聞き慣れた、不快感が伴う嘲笑。

 

 

「「くっくっく………。」」

 

 

怪我は愚か、埃しか身体には残されていない。全くの無傷でその場に佇み宙に浮かぶなのはを見上げては嘲笑が木霊する。

 

 

「え………?」

 

「そんな……あれだけの攻撃を受けたのに…!!」

 

 

圧倒的な実力の差が構図化された現実、それは前回の聖王教会襲撃事件にも重なる光景。彼女達は守ろうと立ち塞がったが一向に敵わず、生死を目前した刹那がフラッシュバックしていた。

フェイト自身もそれは痛感しており、現状は再び前回のような危機的状況下である事を理解した様子で険しい眼差しで彼等を射抜いている。なのはが敵わない、それは自身もまた歯が立たない事を暗示しているからだ。

 

 

「悟飯、あいつらは合宿所に避難させた方がいいだろう。此処にいれば巻き添えを受けかねん。」

 

「そうですね(そういえば、どうしてボージャックはこっちに来ないんだ。)

 

 

先程からボージャックを含めた複数の邪悪な気は感じるが此処に向かってくる気配はない、むしろ遠ざかっているようだ。合流する気はないのだろうか。逆にそれが不気味に思えて悟飯は強張った表情を見せ気を感じる方角に視線だけを向ければ。

 

 

「確かあの方角は………まずいっ!」

 

「「「えっ?」」」

 

 

重苦しい空気は一気に重圧を増して圧し掛かった、張り詰めた表情を見せる悟飯の口から唐突に響く言葉にピッコロを除く四人は戸惑いを露にする。

 

 

「ど、どうしたの悟飯くん。」

 

「なにが不味いの?」

 

「ボージャックが合宿所に近付いている……。」

 

「「「………ええええーーーっ!?」」」

 

 

ボージャックが近づいている合宿場には大勢のメンバーが滞在しており、だからこそ衝撃を隠せない。恐らく彼女達は昼間の練習で疲れた身体を癒すべく温泉等で楽しんでいるだろう、そんな中でもし襲われてもしたら―――

 

 

「ってことは…………。」

 

「――――ヴィヴィオちゃん達があぶないっ!?」

 

「おい、待て悟天!トランクス!」

 

 

途端に強風は巻き起こりピッコロの制止を無視して悟天とトランクスは衝撃音と共に暗闇の空へと飛び去っていった。

 

 

「なのは、私達も行こう……! 」

 

「そうだね……でも、悟飯くんとピッコロさんは?」

 

「オレ達は此処に残る。こいつらを放っておくわけにはいかんからな。」

 

「それが終わったらすぐに追いかけるから。なのはちゃん達はみんなを避難させて。」

 

「わかった、二人とも無理だけはしないでね。」

 

 

軽く頷いてなのはは振り返る、同時にピッコロは何か思い付いたように表情を変化させ懐から物を取り出す動作と共に声を上げる。

 

 

「なのは! 念の為にこいつを持って行け。」

 

「これって……ありがとうございます、ピッコロさん!」

 

 

巾着袋を手に取ったなのははその中身を確認する、視認できたのは豆。思わずぱっと笑顔を覗かせてなのはは空を仰ぐ。

―――突風が吹き荒ぶ、桜色の光と金色の光が舞い散り二人はトランクスと悟天の後を追った。

 

 

「悟飯…さっきはああ言ったが、既に他の連中が奴等と接触している可能性も考えられるぞ。」

 

 

最悪の状況下をピッコロは想定し表情は強張る。――彼女達との実力の差は明確、故に勝敗は考える間でも無い。顔を向けずに敵を見据える悟飯は静かに呟く。

 

 

「そうですね。もしそうなったら悟天達だけが頼りです。もちろん、あの二人が束になっても厳しいかもしれませんが、二人の力を一つにすれば勝機はあると思います。」

 

「二人の力を一つに……その手があったか。ならば、向こうはあいつらを信じてオレ達は目の前の敵を倒すぞ!」

 

「はい!」

 

 

心残りは無い。眼前の敵を打破する。改めてピッコロと悟飯の視線はゴクアとビドーを捉える。

 

 

「「はあああっ!!」」

 

 

新たな邪悪な気は悟天達に任せて彼等の思考回路は眼前の敵を倒す事に回転し始めた最中、ビドーとゴクアは二人の懐へと飛び込み、彼等も即座に対応する。両者の間に存在する距離は短く感じ取らせる程の秒間の出来事であった―――

 

 

 

 

 

 

 

 

―――真夜中の時刻を指し示す頃、ヴィヴィオ達は訓練の疲れを取る為に天然温泉大浴場にて温泉を堪能していた。

途中、聖王教会から来たセインが騒動を起こすがリオの活躍とルーテシアとの交渉で事態は丸く収まり現在は彼女も加えて雑談を交わす。

 

 

「………ん?」

 

「どうしたのヴィヴィオ?」

 

 

ガリューから貰ったジュースを飲み干すとヴィヴィオは拍子抜けな声と共に思わず目を奪われる、リオがネックレス代わりに下げた欠片。それが目に止まっていた。

同様にコロナもヴィヴィオの様子に気付いて欠片へと視線をうつす、綺麗な欠片…見惚れながらコロナは小さく呟く。

 

 

「リオ、それ何処で買ったの?」

 

「えへへ~、綺麗でしょ? これは買ったんじゃなくて拾ったんだよ!」

 

 

楽しそうに口にするリオを傍から覗くヴィヴィオは引っ掛かりのような違和感を覚えていた。新鮮味の無い蒼色に輝く欠片、虹彩異色の瞳を丸くさせて記憶を手繰り寄せる。

 

 

(あれ? この石どこかで見たような……。)

 

 

思考し始めると徐々に違和感は真実味を増してより一層強く感じさせていた―――だがその思考は突然シャットアウトする。

唐突に、胸一杯に広がったのは負の感情。胸を抉る恐怖が気持ち悪い程に綯い交ぜになって彼女の視線を上空へと仰がせていた。

 

 

「―――小娘、その欠片を渡してもらおうか。」

 

「えっ……?」

 

「だ、誰………!!」

 

「……敵のようですね。」

 

 

困惑に満ちた顔色を浮かべるリオとヴィヴィオはアインハルトの冷静な一言が張り詰めた表情へと変化させる。

紺色の空には三人組のシルエット、威圧感を孕む声の主は明確な敵意と殺意が存在していた。ヴィヴィオ以外の者達も三人組へと視線を注ぐ。

 

 

「ふっふっふ……大人しく渡さないと痛い目に合うわよ。」

 

「此処で欠片を渡すのならお前達を奴隷として使ってやろう。」

 

「……ど、どど、奴隷…!?」

 

 

悪意に満ちた低い声が室内で反響する、月光が照らす大男の名はボージャック――彼の左右に位置する二人組みはブージンとザンギャ。彼等の見下ろす視線には背筋を凍らすような気味の悪さが伴っていた。

だが彼等が邪悪な存在である事を誰よりも理解していたのはアインハルトとヴィヴィオ。気の修行の成果が大きく出ている二人は彼等が何者であるかは愚問に等しい。

 

 

「…渡しちゃ駄目だからね、リオ。」

 

「誰だか知らねぇが、お前等にやるモンなんて一つもねーよ。」

 

「全くその通りね…。」

 

 

毅然とした、凛とした、声の主達は由々しく立ち上がる。スバルとノーヴェ、ティアナは上空へと強い眼差しで三人組を射抜く。

キャロやルーテシア…そしてセインも続いて立ち上がればヴィヴィオ達も不安そうに互いに顔を見合わせる。

 

 

「どうやら実力の差がわかってないようだな。ザンギャ、遊んでやれ。」

 

「――はっ!」

 

 

既に展開は予想済み、ボージャックとザンギャの一言は驚くに値しない。後のスバルの言葉が戦いの合図と化す。

 

 

「……みんな、いくよ!」

 

「「「「セーーーーットアーーーーップ!!!」」」」

 

 

凛とした透き通る声がキーワードを紡いで重なり合う、光輝する粒子は光と化してスバル達は専用の防護服を着用する。

 

 

「ウイングロード( エアライナー )ッ!!」

 

「「ブーステッドイリュージョン――……!!!」」

 

 

彼女達の足元に形成された魔方陣、殆ど同時に空中を螺旋状に展開する光の道。後者は空間を制圧するように入り混じり複雑な展開をしている。

やがて数秒も経たない内に出現する無数のティアナの幻影と橙色の弾丸、元々はティアナの幻術魔法でキャロの強化魔法によって幻影の精度は増している為、肉眼での判別は不可能だろう。

 

―――だが、ザンギャの放つ一撃が全てを終結させた。

 

 

「はあぁぁっ!!」

 

 

迫り来るスバルとノーヴェ、数々の弾丸を視界に捉えれば両手を左右に突き放ち波紋状に広がる衝撃破を撃ち放つ。

衝撃で湯が音を立てて空中を舞い台風の如く突風が荒れ狂う、想像以上の威力にヴィヴィオ達は言葉を失っていた。

 

 

「きゃあああぁぁぁぁあああっ!!!」

 

「うわあああああぁぁッッ!!」

 

 

スバルとノーヴェ、さらに後方支援のティアナとキャロは問答無用で壁を突き破り室外へと放り出された挙句に地面へと全身を強打させる。

変身魔法は強制解除して元の姿と化した傷だらけの彼女達にルーテシアとセインは怒りに表情を歪めていた。

 

 

「……もう終わり? 手加減してあげたのに大した事ないわね。」

 

「よくも、みんなを…うわあああぁぁっ!!」

 

「っ…! トーデス・ドルヒ……!!」

 

「ま、待って二人とも!!」

 

 

ヴィヴィオが声を上げた頃にはセインはザンギャに向かって走り出す、怒りに身を任せるようにルーテシアも魔法名を口挟み漆黒の短剣を次々と出現させる。

だがそれ等を妨害するように無数の糸がセインとルーテシアの身体を一気に縛り付けた、発光し続けるそれに驚愕し目を見開きすぐに解こうと全身に力を入れるが―――。

 

 

「これっ、解けない……!!」

 

「力が………。」

 

「ホホホホ…無駄だ。オレの生み出した結界でお前達のパワーは封じられた。」

 

 

嘲笑が響く、縛り付けられたルーテシアとセインは身動きを取る事すら間々ならず体力が結界を通じてブージンに吸い取られていく。

 

 

「もがけばもがくほどパワーが減っていくわよ。」

 

「ちっくしょう……!! お嬢、セイン………ッッ!!!」

 

 

苦痛に歪む二人は変身が解除されぐったりと項垂れる、ノーヴェの苦々しく吐き出す声に気付く素振りも無く二人は動かない。

――あっという間に危機的状況下に置かれ、現実感が沸かないヴィヴィオ達は呆然と立ち尽くして倒れた者達に目を配っていた。

 

 

「そん、な………っ。」

 

「お遊びは終わりだ。さあ、欠片をよこせ。」

 

 

勝ち目は一切無い、身を震わせて出す言葉が精一杯そうにコロナは後退りする。ボージャックが一歩踏み出すがリオ達は恐怖で膠着していた。

恐怖を押し殺し必死に思考を働かせるが目の前の現実が霞んで思考は纏まらない―――そんな中でヴィヴィオは一歩、ボージャックの前に出る。

 

 

「なんのつもりだ小娘。」

 

「っ…リオには、手出しさせません……!!」

 

 

両手を広げ、虹彩異色の瞳がボージャックを射抜いて立ち塞がれば兎のぬいぐるみも同様の行動を起こす。彼女の行動に表情を一変させるリオ達。

――"セットアップ"と小さく消えそうな声と共に光を纏い、ヴィヴィオは大人の姿へと変化する。それは即ち、宣戦布告。

 

 

「ほう、このオレを前にして抵抗する意志があるのは褒めてやろう。」

 

 

ボージャックは腕を彼女の背中に回して腹部に引き寄せるとヴィヴィオを締め付け始める、悪戯な腕力がヴィヴィオの背骨に降り掛かり骨を砕く勢いで力は増していく。

逃れようとヴィヴィオ自身も力を込めるが一向に動く気配が無い、途方も無い激痛と共に絶望が広がりヴィヴィオは悲痛の声を漏らした。

 

 

「うっ、あ……ぐ…ッ!!」

 

「くっくっく、いつまで耐えられるか見物だな。」

 

 

耐え切れない激痛に視界が霞み思考は乱れ始める、ヴィヴィオの意識は激痛で朦朧として目眩が過ぎり始める。歪む表情にリオ達の顔色は青ざめていく。

 

 

「ヴィヴィオ…!!」

 

「―――ヴィヴィオさんッ!!」

 

 

凛とした声が甲高く空間に反響する、物静かな彼女が珍しく叫ぶ光景だった。―――武装形態、小さく発した言葉の次にリオ達の視界に入り込んだのは碧銀の髪を持つ女性。

しかしボージャック目掛けて拳を叩き込む直前で発光する糸が彼女の動作以上の速度を持って絡み付く。一気に拘束されたアインハルトは構う事無く腕に力を入れるが異常な程の疲労感に戸惑いの色を見せ始めていた。

 

 

「ああああああああああぁぁぁぁっ!!!」

 

「ぐうッ! ヴィヴィ…オ…さん……。」

 

 

不自然に体力が奪われ意識を翻弄される中で耳に入るヴィヴィオの悲鳴、耳障りな不協和音が不快感と化して胸を抉る。故に、リオは叫んだ。

 

 

「…か、欠片……渡すよ!だから皆を放して!!」

 

「り、リオ………ッ、うあああぁっ……ぐぅっ…!!」

 

 

恐怖が胸一杯に支配する中の敗北宣言を口にするリオ、僅かに霞んだ声で自身の名前を呼ばれた彼女は泣きそうな顔でボージャックを見上げていた。

 

 

「もちろん欠片はいただく。このガキを始末した後にな。」

 

「う、あああぁぁああ、ぁぁああ…………。」

 

「もう止めてーーーッ!!」

 

「これで楽にしてやる…。」

 

 

唖然とするリオ達に悲鳴は殆ど耳に入っていない、視界に映り込む光景が絶望で渦巻き現実の喪失感を覚えさせる。

死が眼前に、絶望が眼前に、自身の親友が死に絶える悪夢は途方も無く長い。

 

 

 

(なのはママぁ……フェイト、ママ………。)

 

 

 

ヴィヴィオは再び子供の姿に戻る。この状況下を打ち破る術など無い、全て手遅れだと彼女達はそう思っていたが―――――。

 

 

 

 

「やめろおおおおおおーーーーーーっ!!」

 

「―――があああッ!!」

 

 

視界に入らない超速度は音が空気に震動する以上に速い、それは正真正銘の異常な速度。

故にリオ達の目の前に広がったのは突然ボージャックが吹き飛ばされた絵図。何が起きたのかわからずリオとコロナは呆然としてしまう。

 

 

「ボージャック様!!」

 

「でりゃああっ!!」

 

「ぐっ…!」

 

 

ボージャックの顔面に何者かの拳が叩き込まれた。ザンギャは驚いて目を見開き、ブージンは即座に迫り来るキックに対し両腕を交差させる形で耐え凌ぐ。

地面に傷跡を残し鈍い音を響かせて後退したブージンの目が捉えた物は、超サイヤ人化したトランクスの姿だった。――金色の髪に蒼色の瞳を持つ彼はリオ達が知る彼とは異なった雰囲気を持っている。

 

 

「と、トランクスくん……それに、悟天くんも…!」

 

「……ヴィヴィオッ!アインハルトさんっ!」

 

 

ボージャックの顔面に拳を叩き込んだのは遠方で着地する悟天の仕業だ、トランクスと同様逆立った金色の髪と碧眼の姿となっている。やがてブージンが体制を崩した事で結界は解かれ力を失ったアインハルトはぐったりと地面に倒れ込む。

心配そうにコロナが駆け寄っていく中でボージャックから解放されたヴィヴィオは悟天によって横抱きで担がれ優しげな声が耳に届く。

 

 

「あとはボク達に任せて…。」

 

「ご、てん…くん………。」

 

「オレ達がすぐにやっつけてやるから。」

 

「うっ……ぐ…はい………。」

 

「リオちゃん、コロナちゃん、みんなを連れて遠くに離れて。」

 

 

シャットアウト仕掛けの、朧な視界に写り込んだ悟天の顔、頼り気のない子供っぽい顔付きとは違う彼の表情を見据えて頷けば安堵感を抱いてヴィヴィオの意識は暗闇へと落ちる。

トランクスもアインハルトに一言告げ、振り向き様にリオ達へ言葉を投げれば彼女達は力強く頷く、後に悟天は瀕死状態のヴィヴィオをコロナに預け早々に浴場から姿を消す。

 

 

「なんだあのガキ共は…。」

 

 

ひりひりと傷付いた箇所が痛む中でボージャックは怪訝な表情を浮かべて立ち上がる。明らかに先程までの者達とは格が違う、故にボージャック達は警戒心が沸き上がっていた。

そして吹き飛ばされたスバル達もまた悟天達の行動を静観し続けている、傷付いた身体を魔法で癒しながら―――。

 

 

「とは言ったけど、相手は3人……しかもオレ達より強そうだよなぁ。」

 

「トランクスくん!フュージョンだ!!」

 

「……フュー、ジョン…?」

 

 

明るい声が響き渡る、彼等の言動にスバル達は思わず首を傾げていた。それはボージャック達も例外ではない、やがて後に取る行動がより一層謎を深くする。

 

 

「フュージョン……その手があったか! よーし、いくぞ悟天!」

 

「…あのチビッコども、何をする気だ?」

 

 

トランクスの掛け声を合図として左右対照に並んだ二人はダンスのように奇妙な行動を取り始める。ぽかん、と口を開けてスバル達は目をぱちぱちと瞬きさせて眺めていた。

 

 

「「フュー……ジョン!」」

 

 

空中に舞い上がっていた湯が降下し波紋が広がるが、二人の掛け声で瞬時に止むと同時に轟音が鳴り響く。

 

 

「「はあっ!!」」

 

 

――幼き声と指が重なった直後、暴風は突発的に発生する。悪戯に物体を吹き飛ばして湯を宙へ浮上させながら力は収束していく。

空間自体に負担が掛かるように膨大なエネルギーが二人を中心に収束して蒼白に輝く閃光が花火の如く刹那に発光しているのだ。

 

 

 

 

「ジャジャーン!正義の死神、スーパーゴテンクスだーーっ!!」

 

 

 

静寂を取り戻した先に爽快に現れたのは奇妙な衣装を身に着けた一人の少年。ゴテンクスと名乗る声は悟天とトランクスを重ね合わせた物である事にスバル達は驚愕する。

黄金に照り輝く炎を猛らせて出現した彼の登場によって戦況は劇的に移り変わろうとしていた―――。




悟空「オッス!オラ悟空!! ついにチビ達がフュージョンしたな、ボージャック達に負けんじゃねえぞ。」

リイン「わわぁっ!ユニゾンデバイスなしで融合しちゃいましたぁ~。」

ミウラ「わぁ~~カッコイイですッ!」

レヴィ「すっごーい! ねえねえ、後で僕達もフュージョンやろう!」

ディアーチェ「断る! 死んでもあんなみっともないポーズなどするか。」

シュテル「王に同感です。流石にあのポーズは恥ずかしくてできません…。」

アギト「ルールー達、大丈夫かなぁ。」

悟空「DragonballVivid「主役のお出ましだ! 融合戦士ゴテンクス!!」

ゴテンクス「へっへーん、誰がこの世で一番強いか教えてやるぜ!」
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