「さっきの轟音は……!?」
「わからないけど、もう何か起きてるのかもしれない……。」
「なのはさん、フェイトさん、急ぎましょう!」
―――なのはとフェイトは悟天達に出遅れて合宿所に到着後、エリオとガリューに鉢合わせしていた。
早々に二人が口を揃えて言う事は温泉所が騒がしい事と念話が出来ない事、明らかに温泉所で異変が起きている事は明白でありなのは達の表情は雲っていく。
「皆、だいじょ―――……ッ!?」
廊下を走り抜け温泉所に辿り着いた途端、彼女達は絶句する。広大な浴室は浴室としての機能を失い既に損壊状態だった。
散らばる木屑、様々な部品の断片が地面に散乱する光景には混乱が伴う、故に彼女達が見通した光景も頭に入ってこない。
「…フェイトさん、なのはさん……?」
「エ……リオ、くんに、ガリュー……まで……。」
「スバルさん、ティアナさん……ッ!? 一体何が……!」
額から血液を流し傷だらけのスバル達と全く動きを見せないコロナに抱かれたヴィヴィオの姿―――フェイト達は急いで彼女達の下へ駆け寄っていく。
「ヴィヴィオ……っっ!!」
真っ先になのはは巾着袋を取り出すと一向に反応が無いヴィヴィオの口に仙豆を少々強引に飲み込ませる。
「ぅ、く……なのは、ママ…?」
「ヴィヴィオ、間に合ってよかった……!!」
急激に引いていく激痛に内心不思議そうに感じつつヴィヴィオは目を開ける、先にはなのはの顔。突然抱き締められ状況が把握できずヴィヴィオは呆然としていた。
「すごい、怪我がすぐに治った!!」
「不思議……!」
「なのはさん、アインハルトさんや他のみんなにも!!」
更に倒れているスバル達に次々と残りの仙豆を飲み込ませていく、怪我が目に見える形で癒えていく姿にフェイト達は驚愕の色を隠せない。
「あ、ありがとうございます……。」
「ところで、一体何が起きたの…?」
フェイトの問いにスバル達は顔を見合わせ視線は一定の方角へと示される、なのは達は反射的に彼女達が向ける方角へと視線を向け疑問符を浮かべた。
見知らぬ少年が襲撃したと思われる大男達と対峙している、その奇妙な構図に頭が即座に理解できずなのははスバルに説明を求めた。
「実はボージャックと言う大男とその仲間が突然襲ってきて…それで、対抗したんですがあたし達じゃ全然歯が立たなくて。そんな時、トランクスくんと悟天くんが駆けつけて…。」
「悟天くんとトランクスくんが戦ったの?」
「でも、二人の姿が見えないよ。」
なのはとフェイトより先に二人が温泉所へ到着した事は明確である故に姿がないことに疑問を感じる。そして次に紡がれた言葉が疑問を深める事となった。
「あ、いえ。その後、フュージョン……って言いながら不思議な踊りをして指を重ねたら二人があの姿になったんです。」
「「フュージョン…?」」
スバルが続けて口にした言葉になのはとフェイトは理解出来ず言葉に詰まってしまう、それはスバル達も同様の心境、故に困り果てた顔色を浮かべる。
悟天とトランクス――まるで二人を重ね合わせたような少年を目の前に彼女達は呆然と立ち尽くすのであった。
「さーて、どの技にしようかな~。」
険しい表情でボージャックの鋭い眼差しが金髪の少年へと射抜く、フュージョン―――そのキーワードが彼の脳内でグルグルと回転し続けている。
だが当の本人はその眼差しを完全無視してその場に座り込んで胡坐をかいては腕を組んで考え事をしていた。
「どうせならみんながビックリするようなのがいいし…迷っちゃうぜ~~。」
「………あのガキを殺せ。」
「はっ。」
「おい! ゴテンクスッ!!」
「危ない…!!」
「ごてん、くす……?」
悪意に塗れた低い声とコロナとノーヴェの叫び声が交差、消え入りそうなヴィヴィオの声を耳にした者は誰もいない。
駆け抜ける刹那にザンギャが跳躍して座り込んだままのゴテンクス目掛けて一蹴を仕掛ける。
「え? うわあっ!?」
「ちっ……。」
すぐにゴテンクスは体制を整え大きく飛び退く、結果的にザンギャの攻撃を回避して地面に着地。ホッとノーヴェ達は胸を撫で下ろし安心のため息を吐く等の各反応を見せる中で…。
「コラーーッ!!いきなり攻撃するなんて卑怯だぞ!!」
「ひ、卑怯って………。」
「…………。」
張り詰めた重圧な空気をぶち壊す一言だった、呆れた物言いで呟くティアナに同調する者は多い。拍子抜けな言葉を投げられたザンギャ自身は押し黙ったまま、ゴテンクスは続ける。
「オレさっきから考えてたんだからさ~、ちゃんと空気よんでよね。」
「……アイツ、バカだろ。」
「あの、アインハルトさん。あの人は誰なんですか? それに悟天くんとトランクスくんは?」
目が覚めれば見知らぬ少年の姿があり、逆に最後に見た悟天とトランクスの姿が何処にもなくヴィヴィオは疑問を口に出す。
「ヴィヴィオさん、信じられないと思いますがあの人は悟天さんとトランクスさんが融合した姿です。」
「……え? えええええぇぇっ!? ゆ、融合?」
「まぁ、そんな反応するわよね。」
「ゴテンクスくん、またくるよ!!」
慌てて声を上げるスバルの言葉が合図となり、ゴテンクスの眼前に現れたザンギャは拳と蹴りを幾度と無く繰り返す――だが一発も彼には命中しない。
おどけた態度に反する実力の持ち主、それが彼を印象強く際立たせボージャック達に焦りや戸惑いが走り抜けていた。
「わわっ!」
「ちいっ、チョコマカと…。」
軽々と避け続けるゴテンクスに苛立ちを募らせたザンギャは舌打ちと共に口を開く、対しゴテンクスは意に介した様子も無い―――少年特有の幼き声が響いた。
「こんにゃろ~~オバサン!もう泣いて謝っても許さないからね。」
「お、オバ…サン………っっ!!」
ゴテンクスに指をさされたザンギャは呆気な声を上げる、無性に込み上げる怒りに顔を歪ませわなわなと拳を震わせ眼前の少年へ大人気なく睨み付ける。
その険しい表層にヴィヴィオ達は身震いする最中、再びゴテンクスは奇妙な指示を口にした。
「おーい、みんなー!巻き込まれたくなかったら目を瞑っててーーーっ!!」
大声で叫んだ言葉は室内に何度も反響、疑問符を浮かべるなのは達はゴテンクスの意図を察する事が出来ない様子で一先ず目を瞑り始めた直後――。
「いっくぞー!天津飯さん直伝!!」
「はあああああああッッ!!」
ザンギャは咄嗟に疾走、地面を蹴り一気にゴテンクスとの間合いを詰める。絶叫と共に大気を突き抜けて彼女の拳は猛威を振るおうとするが、目前で対峙するゴテンクスの全身は刹那に照り輝く。
「太陽拳―――ッ!!!」
開いた両手を額に添えて自身も目を瞑る、意図が不可解な動作にザンギャを含めボージャック達にも動揺が駆け抜けて一瞬の隙を生んだ。
ゴテンクスの全身は発光し、まるで太陽のように輝き全体を巻き込む。突然の出来事に対応できずザンギャはその光に包まれていく。
「うおおおおお……ッッ!!」
―――苦痛で塗れた呻き声が零れ出す。両手を顔に覆い表情を歪ませ呻き声は木霊する、その後、光が消失し閉じた瞳を見開いたなのは達は目を疑った。
「目があぁ……!」
「ひっひっひ~。ほらほらー、こっちだよ~~ベロベロベー。」
「ど、どうなってるの………?」
心底満足そうに満面の笑顔を浮かべ舌を出してはしゃぎ出すゴテンクスの姿、一方的に苦しみ出し身動きが取れずに居るザンギャの姿。
ヒステリックな甲高い雑音が共鳴し合う最中でフェイトは困惑した声を上げる。ゴテンクスの指示通り目を瞑り、顛末を見損なった彼女達に状況は理解出来ない。
「バカなヤツめ………。」
苦しみ悶えるザンギャの姿にボージャックは吐き捨てる、ブージンと共にゴテンクスの指示を聞き逃さなかった彼等は太陽拳を見事に防いでいた。
――それは数秒の出来事、真っ暗な視界の中でザンギャは拳を、脚を、宙で振るう。ゴテンクスの気を認知して次々と殴る、蹴る、殴る、蹴る、殴る、だが一つも命中しない。
「こ、この…っ!」
「おっにさーんこちらー手のなーる―――ぐあっ!?」
上機嫌な幼い声と共に軽々しく、華麗に避け切るゴテンクスだがその隙を付いて糸が飛ぶ。避け切るゴテンクスを縛り付け確実に捕獲したブージンは嘲笑。
「ホホホホ……。」
「アイツ、何やってんだよ…!」
「な、なんか調子にのりやすいみたいだね………。」
「でも、このままじゃ…!」
スバルとノーヴェを含めて各反応を示す女性陣、ブージンが駆使する糸の効力を身に染みた彼女達にとって現状は危険以外の何者でもない。
「しまったー!ぐぎぎぎ…力が出ない~~……。」
「ホホホホ。」
「なーんちゃって。」
「………え?」
腕や脚に力を込めるが身動きが取れず焦りを見せるゴテンクスの表情には不釣合いな笑み、気味の悪さにブージンは目を丸くして、 ゴテンクスは動作を起こす。
「ほいっと!」
「―――なっ!?」
間抜けな声と引き千切れた声は重なる、赤い紐状の発光体は無残に空中分解して地面に転げ落ちて消滅。ゴテンクスがほんの少し、ほんの僅か、力を加えただけで。
あっという間の出来事にブージンは唖然として全身を引き攣らせる、なのは達も圧倒的な実力差に形容すべき言葉が見当たらず静観するのみ。
「だーはっはっはー! バーカ、そんな技オレには通じないぜっ!」
「す、すごい……!!」
反則及の実力を前にリオは感激の言葉と共にゴテンクスを見据える、爽快な笑い声を上げる彼に敵は居ない。勝敗は既に結果が見えているのだ。
「さてと、そろそろ飽きてきたし終わりにしてやるよ。」
「くうっ…。」
「ボージャック様……っ。」
それを身に染みたザンギャとブージンがゴテンクスに勝つ術は存在しない、敗北が前提下の戦い。彼等が敗北したのは幼い子供一人、身に染みる屈辱感に苛立ちを募らせてザンギャは後方を振り返る。
「銀河戦士の恥さらしめ、消えろ!」
二人が振り返った先にはボージャックと発光体―――消えろ、死の宣告は冷酷に響く。迫り来る発光体は二人の視界一杯に広がり出す。
動揺で身体が膠着し更に近距離の状況下で、発光体を回避する手立てが浮かばなければ"回避する"という思考も、彼等には無い。
「があああああああぁぁっ!!!」
「そんな…また裏切られ……いやああああああぁぁぁっ!!!」
轟音、悲鳴、爆煙――なのは達は一連の出来事に瞳孔を開いて目にした光景を疑う。信じられない、彼女達はその一言に尽きる。
「げげっ!? 仲間を殺しやがった…。」
「ひど、い……っ!!」
「自分の仲間を手に掛けるなんて…!」
「なんて奴………。」
煙が晴れた先にザンギャとブージンの姿は無い、ボージャック――想像以上の悪意を目の当たりにしてなのは達は息を飲んだ。非情、冷酷、残虐、それ等の言葉無しで彼を語る事は出来ないだろう。
「小僧! 貴様の実力は認めてやる。だが、それもここまでだ。」
低い声、不愉快さで胸を抉る彼の声。ボージャックが懐から取り出したのは蒼色の欠片、合計四つ。それ等を目視するなのは達は疑問符を浮かべた。
ボージャックの意図を読むのはなのは達にとって困難である―――突然、禍々しい膨大な気を体外へ放出し雄叫びを上げ出す彼に圧倒され立ち尽くすのみ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
大気が震え地盤に亀裂が刻み込む、温泉所は忽ち崩壊の一途を辿る中で容赦無くボージャックが放つ気は周囲を掻き乱す。
暴力の渦、其れは無作為に存在する物体や障壁を破壊し尽くす所か更に肥大化して悪化し続けていく。地震、台風――人為的な自然現象は天変地異か何かだと錯覚を抱かされる光景だった。
「な、何が起きてるんだ…!?」
「っく……怪物じゃないの………。」
「みんな、吹き飛ばされないように気を付けて。」
「うわぁっ!石が……。」
リオは軽く悲鳴を上げて蒼色の欠片を見据える、照り輝く宝石を目の前に彼女は立ち尽くしたまま、膨れ上がる邪悪な気はより一層濃度を増すのであった―――。
悟空「オッス!オラ悟空!! 今度のボージャックは手強いぞ、油断するなゴテンクス!」
リイン「あっさりと仲間を殺してしまうなんて怖いですぅ…。」
アギト「まるで悪魔だ。」
ザフィーラ「戦局が再び傾きだしたな。」
シャマル「みんなの事が心配だわ。」
ヴィータ「ちくしょーっ!あたしが駆けつけられれば…。」
シグナム「無理だ。我々と奴では次元そのものが違う。」
はやて「今はゴテンクスくんを信じるんや!」
悟空「次回ドラゴンボールViVid『ぶっちぎりの頂上決戦! 超ボージャックVS超ゴテンクス』」
ゴテンクス「かんっぜんに怒った!」