DragonballVivid   作:blacktea

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ようやく中編の更新です。今回も色々ネタバレがあるので、観覧する時は注意してください(特に映画関連)


新たな魔人 その名はオゾット

「ん……此処は?」

 

目を覚ましたヴィヴィオは大自然に囲まれた森の中の大木に凭れ掛かっていた。

 

 

「そっか、わたし疲れて寝ちゃってたんだ……。」

 

 

ほんやりとだが記憶が蘇る。しつこく追及してくるはやて達から逃れる為にロッジハウスを抜け出してきたまではよかったが、全力で走っていた為か途中で疲労が溜まりそのままま大木に寄り掛かる形で眠ってしまったのだ。

 

直ぐに上体を起こして立ち上がるとロッジハウスでのやり取りを思い出す。

 

 

「どうして悟天くんの事になるとあんなにムキになるんだろう……。」

 

 

当初ヴィヴィオから見た悟天のイメージは“甘えん坊で自分達よりも幼く見える純粋な男の子”だった。しかし高町家での生活を始め、アインハルトとの再戦、聖王教会襲撃事件、カルナージでの合宿で少しずつ彼への印象が変化していく。

 

最大のキッカケはボージャック一味が襲撃した夜の事、圧倒的な力で仲間達が倒され自身も死の淵まで追い込まれた刹那――金色の炎を纏った幼き少年の拳がボージャックを殴り飛ばして気が付けば自分を抱き抱えていたのだ。その時の悟天の逞しい姿は今でも鮮明に覚えており、この時初めて少年を一人の男性として意識するようになった。

 

 

「やっぱりわたし悟天くんのことが好きなのかな……。」

 

 

前に読んだ恋愛小説では主人公の少女が同い年の少年に恋して胸を締め付けられる気持ちとなっていたが、まさか自分が主人公の少女の立場になるとは思いもしなかった。今まで同年代の男子と話して好意はあったがそれはあくまでクラスメイトとしてであり、こんなに胸がドキドキしたのは生まれて初めてである。

 

 

「ふぅ~……そろそろ戻ろ…ん?どうしたのクリス?」

 

 

ようやく気持ちが落ち着いてロッジハウスに戻ろうとしたが、ふいに彼女の愛機であるクリスに肩を叩かれて首を傾げる。クリスはふよふよと浮きながらヴィヴィオを誘導し森の奥まで来ると立ち止まり。

 

 

「何処まで行くの…――あっ!なにか落ちてる!!」

 

 

ヴィヴィオが目にしたのは金色に照り輝く指輪。金色のメッキで染められた指輪が地面に転がっていたのだ。手に取って見ると重さはそれほど感じず先程までの輝きは何時の間にか消失していた。

 

 

「わぁ~綺麗な指輪。誰かが落としたのかな?」

 

 

以前、カルナージに来た時は此処に指輪はなかった。だとしたらこの指輪はパーティーの準備に来た誰かの落し物かもしれない、もしくはロストロギアの可能性だって考えられる。何れにしてもはやて達に報告した方がいいだろう。

 

宝石をポケットに入れると踵を返して今度こそロッジハウスへと足を踏み出した――時だった。

 

 

「――きゃっ!」

 

 

“ドゴオォン!”と鼓膜まで響き渡る鈍い音が地面を振動させたかと思えば砂煙が舞い込む。それが幾度が続いた後に砂煙が薄まっていけば。

 

 

「フェイトママ!ピッコロさん!」

 

 

其処にはピクリとも動かずに長い金髪の女性と緑色の肌を持つ男性がうつ伏せに倒れていた。女性の黒衣の衣装は破けて露出した肌には痛々しい傷痣を残らせ、男性に至っては腕や足の傷口から紫色の血液が流れていた。その悲惨な光景にヴィヴィオは目を見開き呆然となるが新たに空中から地面へと足をつけた人物を目にすると直ぐに放心状態が解けて。

 

 

「なのはママ!」

 

 

白い防護服に身を包み、純白のリボンで一つに束ねた長い髪を揺らす女性。今、自分にとってもっとも頼りになり安心できる自慢の母親―――“高町なのは”の姿に歓喜の声を上げた。

 

 

「なのはママ、フェイトママ達が……。」

 

「………。」

 

 

傷を負って地面に倒れているフェイト達の事を伝えるがなのはは無言のままで口を開く事もなければその場から動く動作も見当たらない。

 

 

「なのはママ?」

 

 

聞こえてないのかと思いヴィヴィオはなのはの手前まで近づく。なのはの表情は俯いているのか前髪で隠れて見えず、何処か不自然さを感じながらも恐る恐るもう一度呼びかけてみる。

 

 

「どうしたの?なのはま…――うぐッ!?」

 

「ミツケタ……。」

 

 

ヴィヴィオが母親の手を掴もうとした刹那、突然なのはの腕が伸びてきて首筋を掴みとる。そのままゆっくりと持ち上げられていくと初めてなのはの表情が露となったがその素顔は歪んでおり、口角を吊り上げながら漆黒に染められた瞳が不気味さを物語っていた。

 

 

「うッ!んぐ……。」

 

「ふっふっふ、“ゴッドリング”を渡してもらおうか。」

 

 

首を掴む力が強く込められてもがき苦しむヴィヴィオ。じたばたと暴れ抵抗するが構わずになのはは彼女のスカートのポケットに手を入れて金色に輝く指輪を強引に取り出す。

 

 

「あとは指輪に魔力を与えれば、わたしは神の力を手に入れて魔人を超えた最強の魔神に生まれ変わるのだ!」

 

(最強の……魔神…?)

 

 

意識が遠のいていく中でなのはの言葉が耳に入る。“最強の魔神”それが何を意味するのかはわからないが、目の前にいる母親は自分の知る母親ではないと確信していた。

 

早速なのははその指輪を嵌めようと指を近づけた一瞬、ヴィヴィオの真上から飛び出たクリスがなのはの指にしがみ付く。

 

 

「っ、んあぁ……クリ…ス……。」

 

「邪魔だよ。」

 

 

しかし腕を強く払いのけてクリスを振りほどき、更にヴィヴィオを空中へと放り出す。

そして片手を前に突き出すと桜色に染められたエネルギーが収束し始めて邪悪な輝きを生み出し。

 

 

「バイバイ。」

 

 

宙を舞うヴィヴィオとクリス目掛けて放出する。一直線に伸びていく砲撃は呑みこまれればまず跡形もなく消し飛ばされるだろう。それ程までに凶暴な破壊力を持っていたのだ。

まさに絶体絶命の危機。なのはと同じ顔と声を持つ人物を見つめながらヴィヴィオは恐怖に打ち震えていた。

 

 

「――波ああああぁぁぁっ!!」

 

 

だが彼女達の前に現れた影が壁となって遮り、その影から放たれた青白い光の矢が邪悪さを持った桜色のエネルギーと衝突し、膨張した互いの光が消失。

 

 

「だあああっ!!」

 

「――があああぁぁっ!!」

 

 

更に横からなのはの顔面にめり込まれる足。純粋な力によって彼女の体は後方へ吹き飛ばされ幾度か大木へ衝突して貫いた後、地面へと背中を叩きつけられる。その拍子に金色のリングが零れ落ち草陰まで転がっていく。

 

 

「ヴィヴィオさん!」

 

「ア…アインハルト…さん……。」

 

「にゃあ。」

 

 

落下したヴィヴィオは地面へ激突する事はなく、翠色の髪を持つ女性によって受け止められる。クリスもアインハルトと共にいる豹柄の猫のようなぬいぐるみに支えられていた。

 

 

「大丈夫!?ヴィヴィオちゃん!」

 

 

空中から降下した悟天はアインハルトに抱えられたヴィヴィオの元まで近寄り心配そうに声をかける。この時、ヴィヴィオはさっきの青白い光は悟天が放ったものだと気づき大丈夫だと答えると「助けてくれてありがとう」と悟天とアインハルトに感謝の言葉を含めた笑みを浮かべる。

 

 

「くそっ!間に合わなかったか……。」

 

 

なのはを蹴り飛ばしたトランクスはフェイト達の安否を確認していた。ヴィヴィオが駆け寄った時は怪我を負った状態で倒れていたが、現在はそれに加えて頭から足まで灰色に塗り潰されて固くなり――石化していたのだ。

変わり果てた彼女達の姿を目に焼き付けるとトランクスはすぐに視線を倒された大木…なのはが吹き飛んだ方角へと鋭い眼差しを凝らして。

 

 

「アインハルトちゃん!ヴィヴィオちゃんを連れて今すぐ遠くに避難して!!」

 

「ですが、トランクスさんは……。」

 

「オレは悟天と此処でヤツを食い止める!これ以上、あいつのスキにさせるかっ!」

 

「うん!もうボク達しか残ってないからね。」

 

「え?それってどういう……。」

 

 

焦るトランクスを心配するアインハルト。食い止めると言うのは母親の姿に擬態した“ナニカ”に対してだとはわかるが、悟天の言葉の意味は理解できずヴィヴィオは頭を悩ませる。もしや、ロッジハウスにいる仲間達に何か起きたのだろうかとヴィヴィオは彼等に問いかけようとするも、再び起きた爆発によってそれは中断された。

 

 

「急いでアインハルトちゃん!」

 

「……ッ。ヴィヴィオさん此方です。」

 

 

アインハルトは唇を強く噛み占めるも自分達がいては足手纏いになる事も自覚しており、トランクスの指示に従い状況の掴めてないヴィヴィオを抱えたまま彼等に背を向けて走り出す。彼女の隣で浮遊していたクリスは草陰に転がった指輪を発見するとそれを掴んでヴィヴィオの肩に乗る。

――直後、背後から感じる邪悪な気と魔力。一度だけヴィヴィオが振り向いた先には色素の薄い赤い肌、龍のような長い尻尾、漆黒に染められた鋭利な二角、紫の鎧が身を包み、三つの真紅の瞳を持った異端な“悪魔”の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ、はぁっ……。」

 

「アインハルトさん……。」

 

 

トランクス達の足止めが成功したのか無事に森を抜け出したアインハルトとヴィヴィオは以前、遊びや訓練で使用した川辺に来ていた。

ヴィヴィオは未だ戸惑った様子でアインハルトを見つめる。その瞳は純粋に彼女の心配と何故このような状況になったのか理由を知りたいと。それに応えるようにアインハルトは息を整えると静かに語り始める。

 

 

「ヴィヴィオさんのお母様に化けていたのはあの怪物です。本人は“魔人オゾット”と名乗っていました。」

 

「魔人オゾット?」

 

「オゾットはヴィヴィオさんのお母様だけでなく、トランクスさんのお父様、管理局の関係者、トランクスさんのいた世界の死者の姿にも化けられます。最初に襲われたのはノーヴェさん、ザフィーラさん、ミウラさんで、私が遭遇した時はトランクスさんのお父様の姿でした。その後、フェイトさんやはやてさん達が駆けつけて一緒に戦ったのですが実力に差が有るだけではなくはやてさん達とゆかりの深い人物に化けて精神的に揺さぶりをかけられ……。」

 

「まさか、みんなやられちゃったのですか!」

 

「……はい。倒されたみなさんは全員石化してしまいました。最後まで残ったのは私と悟天さんとトランクスさん…それとピッコロさんとフェイトさんでしたが、フュージョンしたゴテンクスさんは幾度も姿を変えるオゾットに翻弄されてフュージョンが解けてしまい、フェイトさんとピッコロさんは私を逃がす為に囮になって……。」

 

「そんな……。」

 

 

アインハルトの説明を聞き終えてようやく悟天の言葉の意味を理解すると同時に後悔する。

何故あの時、自分はロッジハウスを出て行ってしまったのか。その場に残っていれば仲間のピンチを知る事ができて、はやて達と一緒に助けに向かえた。せめて眠りさえしなければ違う展開を作れたかもしれないと拳を震わせていたが、ふと一つ気になった事が頭に浮かびあがり。

 

 

「あの、なのはママや悟飯さん達はどうなったのですか? やっぱりオゾットに倒されて……。」

 

「……いえ、ヴィヴィオさんのお母様達はまだこの世界に到着していません。襲撃を受けた際にはやてさんが通信を送ったのですが繋がらないらしく……此処に向かっている事は確かな筈ですが。」

 

「え!?だ、だったらまだ希望はありますよ! 此処に向かってるならママや悟飯さんや悟天くんのお父さんがきっと助けにきてくれますッ!」

 

「……そうですね。あの方達ならこの状況を覆してくれるかもしれません。それまで私達は逃げ延びましょう。」

 

 

トランクス達が稼いでくれた時間を無駄にするわけにはいかない。なんとしてでも自分達は逃げ延びなければならないのだ―――最後の希望が到着するまでは。

 

 

「ところで先程から気になっていたのですが…それは?」

 

「あ、これは森の奥に落ちてて……。」

 

 

アインハルトの目線に入ったのはクリスが持つ金色の指輪。ヴィヴィオは指輪について知る限りの情報を伝える。発見した時は森の奥地で金色に輝いていた事、指輪の名前はゴッドリングでオゾットは神の力だと言っていた事から指輪には不思議な力が隠されているのかもしれない。

 

 

「ゴッドリング……もしかして、オゾットはその指輪を手に入れる為にこの世界に来たのでは!」

 

「じゃ、じゃあノーヴェ達を襲った理由は……。」

 

 

二人が導き出した結論――それはオゾットは指輪を探しにこの世界へと訪れたが、一向に見つからず探索していた時に偶然居合わせたノーヴェ達が指輪を所持していると思い込み襲い掛かって奪おうとした。つまり指輪を所持している可能性があると思われる人物を片っ端から襲撃したのだ。

 

――その時、彼女達がいる水辺に波紋が浮かび渦潮となって水流が天へと伸びていく。

やがて垂直に湧き上がる水流が二つに割れ、中から黒髪の少年と紫色の髪を持つ少年を左右の手で抱えた悪しき魔人の姿が。魔人はヴィヴィオとアインハルトを見下ろすと少年達を水面へと叩きつけるように投げ飛ばす。

 

 

「悟天くん!」

 

「トランクスさん!」

 

「ふっふっふ、逃げられなくて残念だったね。」

 

 

水中に沈んでいく悟天とトランクスを助けに向かおうとした少女達の道を阻むようにオゾットは現れる、不敵な笑みを浮かべながら。

 

 

「くっ、覇王空破――「無駄だよ」がっ!」

 

「アインハルトさん!?」

 

 

守るようにヴィヴィオの前に出て構えを取って拳を突き出そうとした瞬間、アインハルトの動作が停止する。身体を動かそうとしても彼女の意志を無視して硬直したまま。まるで金縛りにあったかのように……。

 

 

「これで邪魔者はいなくなった。さぁ、指輪を渡せ。」

 

「ヴィヴィオさん!逃げてくださいっ!」

 

「にゃあ、にゃあ。」

 

「あ、あああ……。」

 

 

背筋が凍りそうな威圧を放ちながらアインハルトの横を通り過ぎて迫りくるオゾット。女性の肩に乗ってた猫はオゾットに飛びつこうとするも簡単に振り払われる。必死にアインハルトが叫ぶが眼前で圧倒的な強さを見せつけられたヴィヴィオは戦意を喪失しガタガタと体を震わせるだけで声は届かず。そんな中でクリスは金色の指輪をヴィヴィオの薬指に嵌めこんでいき。

 

 

「指輪をよこせええええええっ!!!」

 

「いやああああああああああああああああぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

幼き魔法少女の悲鳴が響き渡った時、彼女の指に嵌めこまれた金色の指輪が輝きを取り戻す。

それは森の奥地で見た時と同じ光景。全体を覆う程の虹色の光にオゾットも思わず目を眩まして苦しむ。

 

 

「う、おおおお…ッ!!」

 

「これは…―――ヴィヴィオさんの魔力!」

 

 

金縛りが解けたのか自由に体を動かせるようになったアインハルトは虹色の光の正体に気づく。虹色に輝く光の正体は“ヴィヴィオの持つ魔力”だったのだ。恐らく嵌め込まれた指輪に無意識の内に魔力を込めたのだろう。

 

そのまま虹色の光は極太の光線と化し指輪を通じて一直線に水中へ伸びていくと水面を光が覆い尽くし―――

 

 

「なにか出てきます!」

 

「あ、あれは……っ!!」

 

 

輝く水面の中央から何者かが浮かび上がっていく。その人物は四方八方に伸びた赤髪、真紅の瞳に黒い瞳孔、やせ細った肉体に山吹色の道着を着込んだ青年。周囲には黄金の輝きが入り交ざった赤い炎のような闘気を身に纏っていたのだった。




(オマケ)

なのは「はーい、よい子のドラViVi講座の時間だよ。今回は魔人オゾットについて教えるね。それでは悟飯先生お願いします!」

悟飯(メガネ)「えー……コホン。では説明します。まず魔人オゾットは原作、アニメ、映画には登場していません。」

なのは「え?じゃあ、この小説の為に作者さんが考えた完全オリジナルキャラって事?」

悟飯(メガネ)「ううん、魔人オゾットはジャンプマルチワールドというイベントの為に原作者が画いたキャラなんだ。「ドラゴンボールZ V.R.V.S」ってアーケードゲーム用にね。だから姿と口調とかはそのままだよ。」

なのは「じゃあ、わたしやベジータさんに化けてたのは?」

悟飯(メガネ)「あれは半分オリジナルかな。ゲームでは実際ボクやお父さんやベジータさんに化けてたし技も使えたから他の人物にも化けられるんじゃないかって。強さは魔人ってつくくらいだからダーブラより上だと思ってる。もしかしたら暗黒魔界の住人だという噂もあるし。」

なのは「そっかぁ~。ところで最後に水面から現れたのって……。」

悟飯(メガネ)「それはまた今度! 以上、ドラViVi講座でした。」

なのは「バイバーイ!」
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