DragonballVivid   作:blacktea

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第4話 悲願を果たせ! 明かされる覇王の過去

女性の声が耳に入ってくると同時に何人もの人の気配を肌身で感じ取るトランクス、更に次々と他の女性のような声が降りかかってくる。

トランクスはノーヴェの家のベッドで寝かされていた、あの少女との戦闘により二人とも気絶してしまった所をノーヴェがわざわざ運んできてくれたのだ。

 

 

「とりあえず、あの男の子が起きてからこっちの説明はさせてもらうね。」

 

「…わかりました。」

 

「ん…この匂いは…?」

 

 

静かに目を覚ませば見知らぬ部屋と見知らぬ声、だが一部はどこかで聞いたことある凛とした声と甲高い声。

更に言うなら食べ物の匂いも漂っているのだ、それと同時にトランクスは自身の空腹状態に気づいて尚更空腹感が高まってしまったようにも感じてしまう。

 

 

「よう、やっと起きたか。」

 

「へ? えっと……。」

 

 

赤い髪を肩につくかどうかほどの長さを持つショートヘアーの女性が静かに部屋に入ってくると同時にトランクスと目が合う。

 

 

(そういえば、あの後倒れちゃったんだっけ……ってことはオレはこのお姉さんに誘拐されたのか…?)

 

 

あらぬことを想像していくトランクスは次第に警戒した目線になっていく、だがその前にノーヴェはまるで思考を中断させるが如く言い放つ。

 

 

「あたしはノーヴェだ、とりあえず朝食をとりたいからテーブルに来てくれ。ついでに話もな。」

 

「話? あ、うん…わかったよ。」

 

 

勿論そんなことを考えているわけもないのでトランクスにとっては意外な回答が降ってきたも同然、目を丸くさせながらトランクスはノーヴェの後を追う。

 

 

「この先にみんなが待ってるから。」

 

「みんな?」

 

ノーヴェについていった結果、行き着いた部屋にはテーブルの上に朝食が並べられていたのだ。更に周りには複数の女性の姿がトランクスの視界に入ってくる。

そんな中でトランクスは一人の少女に視線が向いてしまう、というのも女性が大勢いるこのメンバーの中でこの少女は少し浮いている――というよりトランクスからすればどこか見覚えのある少女なのだ。

 

 

「…あぁーーーっ!!」

 

「え……。」

 

 

トランクスはすぐにその少女の正体を見破ってしまう、意識が落ちる前に突然襲い掛かってきた女性だ。碧銀の髪と特徴的な青と紫の虹彩異色の瞳は一度覚えてしまえば忘れられない顔立ちである。

あまりに驚いたのか指を向けられた少女は困惑した態度でどう対応すればいいか困り果ててしまっていた。ティアナは少年の反応に驚いたような呆れたような苦笑いを浮かべながら様子を見守る。

 

 

「うん、元気で結構!とりあえず一緒に朝ご飯にしない?」

 

「その時に色々お話も聞かせてくれると嬉しいんだけど…。」

 

「オレは別にいいよ。」

 

「そっか、それじゃあそっちの椅子に座ってくれるかな?」

 

 

青髪の女性が笑顔を浮かべながら指示された椅子にトランクスは腰を下ろす。改めて部屋に全員が集まったかと思える状況。

少しの間に沈黙が流れ込むが、それを崩した一言を青髪の女性は微笑を崩さずに口で告げた途端に視線は女性の方へと集まっていく。

 

 

「まずは自己紹介からだね、あたしはスバル・ナカジマ…ノーヴェのお姉さんってところかな。それでこっちがあたしの親友で本局執務官の……。」

 

「ティアナ・ランスターです。」

 

 

スバルとノーヴェは姉妹というだけあって外見は少し似ているとトランクスは感じていた。オレンジ色の髪を背中ほど伸ばした女性は二人と比べると浮いているだろう。

しかしそれでも少女は未だに不安が胸に残りつつあるのか暗い表情を一切崩さずに話を聞き続ける。一方でトランクスは少女のような暗い表情を浮かべることはなかった。

 

 

「アインハルト・ストラトスです…。」

 

「オレはトランクスだよ。よろしく!」

 

「うん、よろしく二人とも。ところで本題だけど…アインハルトはどうして皆を襲ったのかな。」

 

「確か大昔のベルカの戦争がお前の中ではまた終わってないんだったか?んで自分の強さを知りたくて…。」

 

 

ノーヴェとアインハルトが交戦中に彼女が口に出していた事を思い返しながら話していく。少女は静かに頷きながら話はどんどん進められる。

 

 

「…あとはなんだ、聖王と冥王をブッ飛ばしたいんだったか?」

 

「最後のは……少し違います。」

 

 

重苦しい表情を浮かべた途端に隠すように俯く、膝に置かれ握り締められた手は震えだす。思った以上の反応を見せられトランクスを除いた女性陣は驚いた表情を見せていた。

 

 

「古きベルカのどの王よりも覇王のこの身が強くあること…それを証明できればいいだけで……。」

 

 

顔を上げた途端、ノーヴェと目が合い視線を交し合う。ぐっと力強く握り締められた拳と決意で固められた瞳が彼女を射抜いている。

 

 

「ようするにアインハルトちゃんは誰よりも強くなりたいってことだよね?」

 

「…はい、だから私は誰にも負けるわけにはいきません…。」

 

 

悲しみに溢れた表情から一変、アインハルトの虹彩異色は隣にいるトランクスの方に向けられていた。三人ともわけがわからず様子を見守ることにする。

だが一番にわけがわからないのはトランクスだった。鋭い視線をこちらに向けられて一体何なのかと疑問を抱いていれば―――。

 

 

「…次は必ずあなたに勝ちます。」

 

「……へ?」

 

「おいおい……。」

 

 

自身の強さを求め続けるアインハルトにとってはトランクスとの勝負による敗北は何か胸に響いた物がある、何よりトランクス自身は魔力を持っていない。

この世界では元々魔力を持っていなければ一般市民と対して変わらないこともあってトランクスとの敗北は衝撃的だったのだろう。

 

 

「そういや、お前一体どっからきたんだ?」

 

「どこから…って地球からだよ。ドラゴンボール…と言ってもわからないか。」

 

 

トランクスは此処にまで来るキッカケとなったドラゴンボールについてや魔法の世界について、もう一人の悟天という少年について細かく説明していく。

途中で彼女達の目が丸くなっていくことに不自然に思ってしまう、トランクスからすればアインハルトの話こそが不自然に感じざるをえないのだ。

 

戸惑いを露にするスバルを前にしながらトランクスは全員の態度がおかしくなっていることに首をかしげて様子を眺める。

 

 

「そ、それって本当……?」

 

「本当だよ。もしかして疑ってるの?」

 

「いや、そうじゃねぇけどよ…。」

 

 

途方もなく信じられない話が四人の本音なのだ、故に信じられないといった表情を浮かべているが話した本人であるトランクスは嘘をまったく吐いていない。

その事をしっかりと彼女達は見抜いていた。だからこそ余計に信じられないという感情もより一層強くなっていたのだ。

 

 

「…事情はわかったけど、あとで近くの署に一緒に来てくれる?」

 

「いいよー。ついでに悟天も探さないとだしね。」

 

「…トランクスさん、少しいいですか。」

 

 

間が空いた所でアインハルトは話を切り出そうと口にする、トランクスを含め彼女達の視線が一気にアインハルトへと集中すると同時に彼女異なった二つの色を持つ瞳を全員に向けながら語りだす。

それは彼女が最も追求したい分野であり挑戦状だった。

 

 

「先程も言いましたが、覇王を受け継ぐ私には敗北は許されません。だからもう一度私と勝負してください。」

 

「ええっ!? そ、それは構わないけど、昨日の戦いがアインハルトちゃんの本気ならオレには勝てないよ。」

 

「いえ、あの時の私には僅かな油断がありました。―――今度は初めから全力で挑みます!」

 

「凄い負けず嫌いだね…。わかった、いつでも相手になるよ。」

 

「…ありがとうございます。」

 

「じゃあ話も纏まったことだし…そろそろ署に行く支度をしよっか。」

 

 

スバルは優しげな微笑を称えながら全員に告げる、朝食も取り終えた所で全員は早速署に向かうために支度を始めていく。

途中、アインハルトは今日は学校があるからという理由により用意する荷物は周りと比べて非常に多くトランクスからすれば大変そうな印象が焼き付くのだった。

 

 

 

 

ノーヴェの家から一番近い署である湾岸第六警防署に到着すれば早速話などを聞く三人。だがトランクスだけはとばっちりなので腑に落ちない気分で注意を聞いていた。

後にもう喧嘩はしないという方針で決まった所ですぐに部屋から出ることができたのだ。思った以上に早く帰してくれて喜ぶところではある。

 

 

「まったく、なんでオレまで怒られなきゃいけないんだよ。」

 

「……すみません。」

 

「あ…いや、そこまで気にしなくていいから。」

 

「ですが、私が襲わなければこんな事には……。」

 

 

アインハルトが襲い掛かったことが発端となった為にそれを一番強く責任を感じていたのもアインハルトだった。

署に来る前までは明るさを取り戻していたが今では責任感からまた暗い表情と鳴ってしまっており、トランクスもまた途方にくれていたのだ。

 

 

「あーもう!終わってしまったことをいつまでも気にしたってしょうがないだろ。次から気をつければいいの!わかった?」

 

「……そう…ですね。」

 

「それと、オレのことは呼び捨てでいいよ。見たところオレとトシ近いみたいだし。」

 

「え…ですが……。」

 

「いいからいいから。ほら、言ってみて?」

 

「……ト、トランクス…さん。」

 

 

丁寧語を決して外さないアインハルトにとって相手を呼び捨てで呼ぶこと自体がまったく慣れない喋り方であった。

だが逆にトランクスにとっては常に丁寧語で更に自分の名前をさん付けで呼ばれること自体が慣れていなかったのだ。

 

 

「だーかーらー!なんで“さん”を…―――わあっ!!?」

 

「ようっ、何話してたんだ?」

 

「…色々です。」

 

 

突然ノーヴェが突拍子もなく会話に乱入すると同時にすぐ近くにいたトランクスの頬に冷えた缶を押し付ける。

冷たい感触が頬から伝わってきたことにトランクスは慌しい反応を示せば満足そうにノーヴェは笑っていた。

 

 

「で…あのさ、前から気になっていたんだけどよ。」

 

 

自販機で購入した円柱のような形状を持つ缶をトランクス、そしてアインハルトに渡していくと自身も椅子に座ってその缶の中身を飲み始める。

 

 

「お前がこだわってる戦争のことについて…詳しく聞かせてくれねーか?」

 

「あ、オレも聞きたい!」

 

 

必要な事情はすでにしてしまったものの、詳しい戦争の内容については彼等には話していない。

改めてノーヴェは問いを投げかけてトランクスも便乗するとアインハルトは再び暗い表情のまま一度は俯いてしまうものの、暫くすれば顔を上げて視線を交わし合おうとする。

 

 

「―――諸王戦乱の時代…。武技において最強を誇った一人の王女がいました…後の最後のゆりかごの聖王。」

 

 

覇王の記憶を受け継いでいるアインハルトの脳裏にはその記憶の中に出てきた女性を映像のように思い浮かべながら語り出す。

肖像画でその女性の姿を確認することはできるが映像となってその女性を見ることができるのは覇王の子孫であるアインハルトだけだろう。

 

 

「かつて覇王イングヴァルトは彼女に勝利することができなかったんです…。」

 

「それで時代を超えて再戦……か?」

 

「覇王の血は歴史の中で薄れていますが時折、その血が色濃く蘇る事があります……。」

 

 

色濃く蘇っている、それがアインハルトなのだろうとすぐにノーヴェとトランクスは察することができていた。

 

 

「碧銀の髪やこの虹色異色…覇王の身体資質と覇王流、それらと一緒に少しの記憶もこの体は受け継いでいます。」

 

「つまり生まれ変わりってこと?」

 

「まぁそれに近い状態だな……。」

 

 

自分の胸に手を添え、突然悲願の思いが溢れ出して今にも泣きそうな表情になっていけば声も多少荒げ始めていく。

 

 

「弱かったせいで強くなかったせいで彼は彼女を救えなかった…!……そんな数百年分の後悔が…私の中にあるんです。」

 

(そうか、だからあんなに勝つ事にこだわってたんだな。)

 

 

数百年にも及ぶ覇王の悲願、突然アインハルトはこちらに顔を向けたかと思えば彼女の虹彩異色の瞳には涙が積もっていた。そんな彼女を見たトランクスは複雑な表情を浮かべる。

 

 

「だけど、この世界にはぶつける相手がもういない…救うべき相手も守るべき国も世界も!」

 

「…いるよ、お前の拳を受け止めてくれる奴はちゃんといる。」

 

 

涙が止まらなくなり頬を伝っていく中で涙を止めさせた言葉をノーヴェは投げかけてアインハルトは泣くことをやめる。

内心では疑いの感情が湧き上がってくるがそれでも自分の思いや拳を受け止めてくれる人がいるのだと思えば気が楽になりつつはあった。

 

 

「そうそう、なんだったらオレがアインハルトちゃんが納得するまで受け止めてあげるよ。さっき勝負するって言ったし。

それに、一応オレも王族なんだぜ。サイヤ人のだけど…。」

 

 

椅子から立ち上がってアインハルトに歩み寄れば自信満々そうにトランクスは呟く、元々彼の父親が王子なのでその子供であるトランクスは歴とした王族だろう。

確かにトランクスほどの実力があれば受け止めてくれるかもしれないと一瞬思考が脳裏に浮かんだアインハルトは静かに「……ありがとうございます。」と返答した。

 

 

(どうせ暫くは元の世界には帰れないし、オレにとってもいい修行になるからね。)

 

 

トランクスはこの世界に立ち寄ってから日も浅い、アインハルトの言う戦争や王家についてはほとんど理解していないのだ。

王家についてはアインハルトを通じて多少知ることができたがそれでもちゃんとした知識のない浅知恵程度である。

 

それでも泣き出してしまうアインハルトを放っておけるほど非情ではない、彼等は王と王の勝負の約束を結ぶのであった。

 

 

「…それからもう一人、戦ってほしい奴がいるんだけどよ。」

 

「戦ってほしい人…?」

 

「ああ、今日の夕方辺りに。」

 

「…そうですか、わかりました。」

 

 

話に決着をつけたところでスバルとティアナに合流、全員が揃ったところでアインハルトは学校の為にすぐに署から出て行く。

スバルとティアナもアインハルトを学校まで送るという理由から彼女と一緒に行ってしまい残りはトランクスとノーヴェだけになったのだ。

 

 

「時間も余ったし、軽くトレーニングでもするか?」

 

「オレはかまわないよ。ノーヴェさんとも戦ってみたかったし。」

 

 

こうしてトランクスとノーヴェの二人は昼間、軽いトレーニングや散歩などを繰り返すことにより時間を潰す事にするのだった。

そもそもこの世界に来たばかりのトランクスはまったくこの世界を知らないこともなり、慣れていくための手段としてノーヴェは気を遣っていたのだ。

 

 

(でも、もう一人戦ってほしい人って誰だろう…。)

 

 

その途中でトランクスはふとノーヴェがアインハルトに言った言葉が突拍子もなく再生される。アインハルトは承諾したが一体誰と戦うんだろうと好奇心にも似た感情を原動力としてトランクスは考えていた。

―――果たして、ノーヴェの言うアインハルトに戦ってほしい人物とは…そして二度目の勝負の行方はどう転ぶのだろうか?




ピッコロ「お、オッス!オレ、ピッコロ……くそ、何故オレがこんなことを……。」

クリリン「まあ悟空が戻ってくるまでの代役みたいだけど。それにしても、トランクス男になったな~。」

ベジータ「よく言ったトランクス!それでこそサイヤ人だ。」

悟空「わりい遅れちまった。次回DragonballVivid「真っ向勝負!覇王と聖王とサイヤ人」」

ブルマ「トランクスー!負けるんじゃないわよーーっ!!」
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