妖精の魔王   作:ルノア

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眠りし悪魔の心臓

目的地まではまだ時間があった。

出来れば景色を楽しみたいところだがどうにも。

「気分が・・・・・・」

「ルノアール、これ使う?」

「なんだそれ?」

青い天馬(ブルーペガサス)の特注品の酔い止めの香り魔法(パルファム)だよ」

「なんでそんなものを?」

「ルノアールにプレゼントしようかなって」

「そうかならありがたくもらうとするよ」

ミラから手渡された小瓶のふたを抜き鼻元に持っていく。

すると少し強い刺激臭のあとだんだん体調がよくなっていく。

「すごいなこの魔法、俺の乗り物酔いがまるでなかったかのよう気分だ」

「だけど持続時間はそんなに長くないよ」

「どれぐらい持つんだ?」

「3分」

「結構、短いな」

「でも、3分間は景色とかを楽しめるんだよ」

「それもそうだな。よし、ならミラ」

「ん、何かな?」

「一緒に景色を楽しもうぜ!」

「そうだね!」

楽しい時間はあっという間である。

ミラと列車の窓から見える景色を見ながら盛り上がっているとすぐに効果が切れた。

「うっ、気分が・・・・」

「大丈夫?」

「大丈夫だとはいいがたいけど、大丈夫だ」

「あと4駅ぐらいかな」

「大丈夫・・だ」

俺はすぐに酔いから逃れるように眠りについた。

それから数分たっただろうか?

目を覚ますと目の前にミラの顔があった。

「えーと、どうした?」

「....もうすぐ目的地だよ」

「おっ、おう」

二人とも顔を赤らめお互いに顔を離す。

そして到着の汽笛がなる。

「おりるか」

「そうだね」

俺たちは荷物をまとめ列車からおりる。

駅を降りたそこには人の手が加えられていない自然の世界であった。

そこに少女が一人立っていた。

「そのグローブのマークから見るにあなたたちがクエストを受けに来てくれたのかい?」

「そうです」

「一応確認だけはしておくよ」

少女はどこからか羊皮紙を取り出しそれを広げる。

「これは探索クエストと言ってもS級じゃぞ」

「わかっています」

「入手してほしいのは悪魔の心臓じゃ」

「悪魔!?」

「それも心臓ですって!?」

「ある場所は大まかには分かっておる」

「大まかということは」

「ここからすぐの遺跡の奥地にある」

「ほんとに物探しなのか?」

「目的は物探しじゃ、だが少なからず魔物もうろついている」

「なら早く探すか」

「では、失礼します」

「うむ、無事で帰ってきておくれよ」

俺は先行して前を歩いて洞窟に入って行く。

それも後ろからミラが追いかけてくる。

「待ってー!」

歩きつずけて10分も経たぬうちに洞窟の入り口に

たどり着いた。

「ここか」

「そうだね」

洞窟の中は暗闇が広がっており先は見えない。

「見えないね」

「すぐに見えるようになる」

魔方陣からランタンを取り出す。

そして中に発火のラクリマをセットした。

するとラクリマが燃え始めランタンがその光を周りに広げていく。

「これで見えるようになっただろ」

「うわー、すごい」

「スごいだロ」

「えっ?」

突如、俺の声に俺じゃない何かが介入してきた。

「・・・悪い、ちょっと後ろ向いててくれ」

「・・・わかった」

ミラが後ろを向いたのを確認すると魔方陣から注射器を一本取り出す。

「・・黙ってろ、お前が出てくるような相手じゃない!」

小声ながらも怒気をはらんだ声で自分の中の悪魔に語り掛ける。

それに呼応すかのように額から双角の一本が飛び出す。

「黙ってろっていってんだろ!」

そして取り出した注射器を自分の首筋に突き刺す。

そこから体内に入って行く液体のおかげで角は粒子へとちっていく。

「もういいぞ」

ミラは無言のまま俺を見つめる。

「大丈夫だ」

今できる精一杯の笑顔をミラに向ける。

「つらかったら言ってね」

「わかった」

俺の中にいるのは悪魔すら喰らう悪魔。

真名は知らないだが凶悪性はよくわかる。

こいつは気を抜くと殺生行動に移らせようと俺に精神干渉を仕掛けてくる。

最近は薬で押さえていて表に出てくることがなかったから安心していたが

どうやら悪魔が近くにいるから出てきたようだ。

だが子守歌《ララバイ》の時には出てこなかったということはそいつ以上の者がいるということか。

「先へ進もう」

「そうだね、早く終わらせて帰ろ」

ランタンを携え暗闇の中を進んでいく。

 

 

 

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