妖精の魔王   作:ルノア

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魔性の討伐

二振りの剣が魔性の首をはねる。

宙を舞う異形、即座に振り返り胴を裂く。

裂かれた胴から出でたさらなる異形には怒れる竜の吐息をぶつけた。

内部より凍てつく異形は形を変え俺の魔法を無効化する。

紅蓮の炎となった異形は竜をとらえようと触手を伸ばす。

剣を手放し両の掌から魔力放出を行う。

勢いで距離を取り氷竜の魔力で目の前の異形を消し飛ばす。

魔力放出の直撃を受けた異形は周りに広がるような形で凍り付いた。

「いくら炎の身体でも純粋な魔力の塊をぶつけたんだただじゃすまないよな」

だが氷は砕け伸びた触手がわき腹を貫く。

「ゴパァ!?」

のどから血をが昇り吐き出す。

触手はさらに熱を持ち始めその温度を上げていく。

内臓を焼かれることを阻止するためにナイフを取り出し触手を切断する。

切り離された触手は魔力供給を失い消滅する。

異形は氷と同化し姿を変えていく。

「わりと全力で戦ってるんだけどな」

傷口を最低限氷で閉じる。

少し趣向を変えてみるか。

今までの攻撃は確実に殺すための使い方をした。

なら今度は・・・・

「壊すつもりでいこうじゃねぇか」

魔法陣から大火力長筒を取り出す。

これは西の国で開発された単発式の銃。

その分、ここらの国で作られたどの銃よりもすさまじい火力を出す。

「アイスメイク・チェーン!」

グレイの魔法を見て形だけを模倣した氷の造形魔法。

グレイとは違い主武装としてではなく補助として使うため片手で行使する。

その分、安定性と強度の面で劣るが片手間に行える点が便利だ。

氷の鎖は異形に巻き付き縛り上げる。

鎖の端には返し付きの刃をつくり地面に突き刺している。

その拘束により異形の身体に鎖が食い込み動きを止めさせる。

そしてすぐさま長筒に弾薬を込め異形めがけて発砲する。

弾丸は着弾と共に炸裂し異形の身を焼き肉片へ変える。

吹き飛ばされた肉片は飛び散り焼却されていく。

すぐさま戦槌を取り出し異形をつぶしにかかる。

残った部分の異形が無数の槍となり体を貫きにかかる。

戦槌は無数の槍ごと異形を叩き潰しにかかる。

それでも無数の槍はつぶしきれず残った槍が体を貫いていく。

その痛みに耐え戦槌は異形をつぶす。

すると中からまがまがしいラクリマがその姿をのぞかせる。

それをつかみ取り体から引き抜く。

それを追うように肉塊はラクリマを取り返そうと動く。

「わが身を贄としこの身に竜の加護を」

短い詠唱。

その言葉は彼の腕を竜へ近づける。

彼の手の中にあったラクリマは握りつぶされ粉々に散った。

それに同期するかのように肉片はひとつ残らず消滅する。

「勝った」

緊張が途切れ

体中に激痛が走る。

立つことすらままならずその場に倒れ伏す。

完全気を抜き自分の身体が動かなくなった瞬間、新たな気配が室内に現れた。

面をした何か。

その姿を視界にとらえても実像御正確に把握できない。

その手が俺の胸に置かれる。

「魔竜ルノアール、妖精魔王、所詮はこの程度だったということか」

その手に力がこもった瞬間、面はひどくゆがみ弾丸のように飛んでいく。

「ルノアールに手を出すな!」

意識が虚ろになっていく。

虚ろになっていく視界にとらえたのは昔のように髪を結いあげたミラだった。

そこで俺の意識は途切れた。


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