戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 ちょっと、100話目記念の話が想像以上にギャグ要素が無くなってしまったので、帳尻合わせ回です。次は本編を進めます。


依頼101件目:ドルマヤン「最近、私の糾弾に味を占めていないか」

「……それで、帥父はオールマインド達諸共住処を追われる形で戻って来たという訳なんですね?」

 

 アーシルの解説にドルマヤンは頷いた。解放戦線やRaDのメンバーも困惑していた。まさか、拉致して来た相手と一緒に戻って来るとは思っていなかったからだ。

 

「そうだ。アーキバスと惑星封鎖機構の連中に殺されかけた所、彼らに助けて貰ったのだ」

「だったら、何故別の拠点に向わなかったんだ? 少人数で行動するなら、拠点は幾つか確保している物だろう。私達だってそうしている」

「全部潰されました」

 

 フラットウェルの指摘に対して、オールマインドは身も蓋もない回答をしていた。それだけ敵対勢力が強大であることでもあったのだが。

 

「なんか色々とやっているみてぇだが、案外大したことねぇんだな」

 

 ヴォルタから飛ばされた心無い野次により、オールマインドの思考がスタッガー状態に陥った所で、スッラは気にもしないでカーラに交渉を持ち掛けていた。

 

「ここは一旦、手を組まないか? 連中からすれば、俺達は全員排除対象だ。各々の目的を満たすのはそれからにすればいい。アイスワームの時もそうだったろう?」

「嘗めた口利いてんじゃない。って、言いたい所なんだけれどねぇ」

 

 スッラのエンタングルならどうにかしようもあった。問題は彼の傍らに立っている、技研製の無人機体『SOL 644』だった。アイビスシリーズの1機であり、無人機なハズだが、動きが妙に有機的だった。

 

「ボス。あの機体、内部が何者かによって恣意的に制御されている。この動きはAIではない。だから、以前にサム達が話していたセリアが搭乗しているんじゃないか?」

『ご名答。優秀な相棒をお持ちの様ですね』

 

 チャティの推測は正確だった。そのことを証明するようにして、セリアは機体を使って掌を見せて左右に揺らす、と言う戦闘などとは全く無縁の動作をしてみせた。

 

「流石にソイツに暴れられたら面倒だ。サムを保護して貰ったのも事実だしね。でも、私達と一緒に行動するなら見張りは付けさせて貰うよ」

「当然だな。従おう」

「それと、オールマインドが収められているタブレット。ソイツも出しな。ていうか、タブレット程度に収まるのかい」

「必要部位を絞れば不可能ではありませんからね」

「つまり、喋るしかできないんですね! 私以下ということですね!」

 

 突如として口を挟んで来たノーザークから侮辱発言が飛んで来た。彼としては、自分より下の存在が出来たことを印象付けておきたかったのだろうが、当然の如くオールマインドは声を上げた。

 

「アリーナの紹介文では最大限の配慮をしていたのですが、今後はただの犯罪者として紹介しますね」

「アッスイマセン」

 

 結局、ヒエラルキーの最下層は覆ることは無かった。スッラのエンタングルが屈み、コックピットから降りて来た彼の容姿に戦慄した者は多かった。

 パイロットスーツの背中には大型のバックパックが装着されており、微かに見えるヘルメットの内部には、皺だらけのスッラの顔面に大量のチューブが接続されていた。また、彼の足が地面に深く沈んだのを見てカーラは察した。

 

「人間が機械を使って生き延びているのか、機械に人間がこびり付いているのか。分かったモンじゃないね」

「もう少し若ければ、全身を置換できたがな。生憎、もう手術に体が耐えられん」

 

 手渡されたタブレットにはオールマインドのロゴが表示されていた。コレをこの場で叩き割ってしまえば、彼女達の勢力が終わる。とも思えなかった。

 

「シンダー・カーラ。これから、暫しの間。よろしくお願いします。このタブレットに関しては如何に解析・改造していただいても構いませんので」

「そうかい。私が解析したいのはどちらかと言うと、あっちなんだけれどね」

 

 彼女の見上げた先には『SOL 644』の姿があった。技研兵器の中でも、特に技術の粋が詰め込まれたアイビスシリーズの1機となれば、技術者としての食指が動かぬ訳もない。

 

『オールマインドが許可をして、私の条件を飲んでくれれば解析させてあげても良いですよ』

「どういう条件だい?」

 

 スッラを仲介に挟んでの遣り取りであったが、これらを聞いていたドルマヤンには脂汗が浮かんでいた。つまり、先程のコーラルをキメた会話がされると言う訳で。自身の尊厳にも関わって来ることだった。

 

「カーラ。そう言った話は後でも良いだろう。まだ、近くに惑星封鎖機構とアーキバス部隊がいるかもしれない。一旦、ザイレムに再度潜入して安全を確保するべきだ」

「帥父の言う通りだ。ひょっとしたら、付けられているかもしれない」

 

 思惑を汲み取ったリング・フレディからのサポートに、ドルマヤンが頷く。だが、この息の合い方を良しとしない者もいた。セリアである。

 

『スッラ。カーラに伝えて。サムが義体を用意してくれるって話をしていたと』

「ちょ」

「だそうだ」

「ついでに、その時の会話ログです。我々の交渉が正当な物であったという証明の為に、周囲にオンスピーカーで流します」

 

 負けじと披露された連携で、ドルマヤンの性癖を含めた会話は暴露された。これに関して、周りの反応は様々だった。

 

「個人の趣味嗜好については、他者の権利や自由を害する物でない限りは尊重されるべきだ」

「私も叔帥と同意見だ」

 

 フラットウェルとラスティは相手の意見を尊重すると言う、人格者としての物だった。解放戦線のメンバーとしては行儀の良い回答であった。

 

「そんな! 帥父が懸想を!? いや、だが。そうだな。男娼を雇う位なのだから、人並みにはあるのだろうが……」

「否定する気も無い。日系のアーカイブには『玉藻の前』と言う妖艶な獣人の話も在る。むしろ、神秘的でさえある」

「……ツィイーにさえ接触しなければ、まぁ」

 

 堅物であるダナムは真剣に考え、ギリギリ許容できると言う範囲だった。一方、六文銭は深い理解を示している様であった。アーシルはやや否と言った具合だ。概ね、解放戦線の主たるメンバーからは受け入れられていた。一方、RaDのメンバーからと言えば。

 

「こんな毛むくじゃらの何が良いんだ? つうか、動物の癖に妙に人間らしいし、こんなんに興奮すんのか?」

「毛なら俺にも生えているぜ!」

 

 ヴォルタが典型的な無理解と拒否を示し、何も考えていないラミーは胸元を開けさせ、黒い絨毯を見せつけていた。勿論、ケモと比べる間もなく汚らしい物ではあったが。

 

「お、何だ。こう言うのが好みなんですか。でしたら、帥父。アーカイブから漏れた違法ケモ画像に興味はありませんか? 企業の規約に引っ掛かるということで闇に葬られた物もあるのですが……」

「なにっ」

 

 人の趣味嗜好が金に結びつくことを、ノーザークは重々に知っていた。容量も取らない割には、良い資金源にもなるポルノ類は商売道具として一通り揃えていた。

ドルマヤンの意思は多少揺れたが、そんな営業を掛けていたノーザークの機体に『SOL 644』がコーラルキャノンの砲口を向けていた。

 

「ドルマヤンさん。やはり、奥方の前で浮気はよくありませんよ」

『ヤダ。奥方なんて。口が上手いんですから』

 

 直ぐに意見を翻す辺りはノーザークだった。……だが、聞いていたメンバー全員が好意的に受け止めてくれている訳ではない。

 

「性癖がね・・・」

「きっしょ。もう口にするな」

「哀れ」

「ジジイの癖に節操無し」

 

 引き連れている解放戦線のメンバーや関係者。特に女性陣からは濁流の如き暴言を浴びせられ、更に反対者の意見も述べられた。

 

「帥父。う、嘘ですよね。そんな、ケモナーだったなんて」

 

 先程まで息の合っていたリング・フレディは虫の息になっていた。ここに来て性癖開陳に元の女を引っ張って来たのだから、ショックを受けるのも当然だが。

 

「ボス。どうして、ポルノ画像にこんな奇妙な物を?」

「チャティ。一部の層はこう言うのを好むんだよ。サムに関しては人間の女はダメでも、ケモならセーフ理論って所だろうね」

 

 図星だった。ドルマヤンの尊厳と威厳が奪われ続けていることも気にせず、オールマインドが問うた。

 

「結局、出来るのですか?」

「別に義体の開発は出来ない訳じゃないけれど、これに関してはデザインの問題になって来るね。後まぁ、ドーザーの馬鹿どもに作らせたらえぐい物が出来るよ」

『どんなのが?』

「以前、チャティに義体を作ろうとした馬鹿が居たんだが。こんなのを作りやがってね」

 

 引っ張り出して来た画像には人間ボディの義体が映し出されていた。問題なのはその外観である。

 スレンダーな手足や腰つき、そしてやたらと強調された胸部。その割には身長が異様に低いので、全体的に見てアンバランスで奇妙な物になっていた。顔面の造詣には異常なこだわりが見えた。オールマインドの声色が不機嫌になっていた。

 

「何ですかコレ? バランスが異様に悪いですし、胸元の強調が下品すぎますね。所詮はドーザーのデザインということですか」

「コーラルでラリった奴に作らせてもこんなのしか作らないよ。だから、ソッチの要求に応えるとすれば時間が掛かるんじゃないか?」

 

 セリアにもデータを送ったが、彼女は即座に拒絶を見せる訳でもなく、考え込んでいた様だった。そして、SOLの視線をドルマヤンに向けた。

 

『サムはこう言うの好き?』

「冗談はよしてくれ」

 

 この場にいる誰もが聞いたことが無い程、冷たい拒絶だった。どうやら、本人にロリの気は無いらしい。これに気を良くしたのは、フレディだった。

 

「そうだぞ! 帥父は私に興奮しているんだ! お前達はお呼びでない!」

 

 それはそれで問題なのだが、もう尊厳が微塵も残っていないドルマヤンは静かにアストヒクのコックピットに戻っていた。1人にして欲しいという意思を感じた。

 自己主張ばかりを続ける男娼を傍目に、流石に哀れに思ったのか。解放戦線のNo.2であるフラットウェルは言った。

 

「大体の方針は決まったし、一旦ザイレムに行かんか? 帥父が哀れになって来た」

「そうだね。よっし、乗り込むよ。オールマインドの監視は私とチャティでやる。SOLの監視はラスティ、ヴォルタ、ラミーに。スッラの監視は六文銭、フラットウェル、ノーザークに任せるよ。ダナムは破損個所の修理の把握に動いてくれ」

 

 先程までの糾弾会は鳴りを潜め、一瞬で仕事モードに切り替わった。

 ベイラムの方ではウォルター達がコーラル集積攻略に向けての準備を進めている中、カーラ達もまたオーバーシア―の目的を遂げる為に動いていた。

 

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