戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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依頼102件目:イグアス「なんか俺達の出番少なくねぇか?」

 カーラ達がオールマインド達と合流を果たしている傍ら、ウォルター達はブリーフィングルームに集っていた。

 レッドガンメンバーも同席しており、この作戦におけるベイラムの意気込みが伝わって来るようだった。G1ミシガンが声を上げた。

 

「今回の作戦は、お偉方の強い意向による物だ! 未だにルビコン各地では小競り合いが続いているが、連中にとってはどうでも良いらしい! 何故なら、指揮官として配置される精鋭共が、今は尻で椅子を磨いているのだからな!」

 

 彼の言う通り、未だにアーキバス&惑星封鎖機構との小競り合いが続いていると言うのに、現場で指揮官たり得るレッドガンメンバーに召集を掛けたのだから、如何に上層部が焦っているのかが伺えた。

 

「総長。この場にいる者達は、信用にたり得る後塵を残して来ているはずです。ですよね、ナイル参謀。イグアス。レッド……は、逢瀬に夢中でサボっていたので仕方ありませんね。デカイ尻が好みですか?」

「なっ!?」

「G3! ここは痴話をする場じゃない! 何なら、今この場で貴様の尻を膨れ上がらせてやろうか!」

 

 五花海がレッドを茶化し、真に受けた彼が言葉を失った所でミシガンの一喝が飛んで来た。決戦前だと言うのに、緊張感のない2人にイグアスが溜息を吐いた。

 

「さっさと本題に入れよ。俺達が攻略したウォッチポイント・アルファは、現在どうなってんだ?」

「G5。少しはお利口になったようだな! では、説明してやる!」

 

 ミシガンの解説に依れば、現在ウォッチポイント・アルファ周辺には何者の勢力も見当たらないらしい。以前の様に深部に何かが潜んでいる可能性が高いということだ。ナイルが加える。

 

「偵察部隊を向かわせた限りでは、ネペンテスも修繕を完了していたそうだ」

「まだ数日しか経っていないの、もう修理したんですか」

 

 ペイターも驚いていた。アレだけ大掛かりな砲台を数日で修繕できるだけの技術力が惑星封鎖機構には存在している。一度、撤退した後は相当に力を蓄えていたらしい。

 

「でしたら、以前と同じようにG13に向わせればよいと思います。例の砲台を前に多数での突入は自殺に等しい」

 

 五花海の言う通り、ネペンテスが以前通りだと言うのならレイヴンを使えば話は早い。しかし、ウォルターが首を振った。

 

「以前、アレだけ容易く破壊されたんだ。連中が何の対策もしていないハズがない」

「だが、どちらにせよ。あの入り口は狭く、多数の突入に向いていない! 今回もG13に切り開いて貰う形となる!」

「分かった!」

『相変わらず簡単に頷くんですから……』

 

 HAL826の修理はかなり進んでいたが、やはり間に合わなかった。となれば、A.NULでの出撃となる。これに対して心配を見せたのは、ブルートゥだった。

 

「幾ら、ご友人が強かろうとも。何が起きるか分からない以上は心配です。エア、彼女のことを支えて貰えますか?」

『勿論です』

「レイヴンが安全を確保次第、我々も続く! ただし、構造上。ウォッチポイント・アルファは非常に挟撃されやすい場所となっている! 故に! 表で見張りをする者達が必要だ! さぁ、名乗り出ろ! ビビッて奥へと進むのが嫌なら、今がチャンスだぞ!」

 

 ナイル、五花海、ペイター、スウィンバーンの4人が手を挙げた。見張りに名乗り出たメンツを見ながら、ナイルは察した。

 

「殆どの者が四脚AC使いだな。閉所に潜るのを避けたいと言った所か」

「私に至ってはHM型なんですけれどね。ただ、やはり閉所は苦手としている所なので、適材適所って奴です」

 

 ペイターはHM型をある程度乗りこなしているが、それでも開けた場所で備えたいのだろう。五花海とスウィンバーンも似たような物だったが、加えて後者にはもう少し理由があった様だ。

 

「恥ずかしながら、私の実力は先行部隊からすれば見劣りする。その代わり、貴様らの背中は守らせて貰う」

「決まったな! G5、G6、ブルートゥ! 貴様らは俺について来い! G13がこじ開けた道を進むぞ!」

「ハッ。野良犬らしく、ここ掘れワンワンしてくれよな」

「ワンワン」

 

 いつも通り、イグアスの挑発を素で返すレイヴンと一悶着ありながら、彼らの作戦は開始されようとしていた。

 

~~

 

 ウォッチポイント・アルファ。コーラル集積へと続く入り口の周辺には、ベイラムMT部隊の残骸が転がっていた。ゲートは固く閉ざされていたが、ウォルターによる外部からのアクセスで開かれて行く。彼からの通信が入る。

 

『おかしい。このゲート、殆どセキュリティが掛けられていない。誘い込まれている様だ』

「だったら、俺達は招待されているんだ! G13! お邪魔してやれ! 盛大にな!」

「オッケー!」

 

 レイヴン達は静かに入り口から入って行く。無人機はおろかドローンすら見当たらなかったが、エアは直ぐに異変に気付いた。

 

『周囲に電極反応。レイヴン! この空間全体に一斉放電が行われます! 干渉されたら、後は的になるだけです!』

「よっし! じゃあ、突破しちゃおう! 今回は私が機動担当!」

『分かりました! 武装はお任せください!』

 

 変形したA.NULは機体の前面部分にコーラルの刃を纏わせ、放電が行われるよりも先に、垂直に降下し始めた。放電地帯を通り抜けた所で、修繕されたネペンテスからの砲撃が飛んで来る。

 極めて正確な砲撃だったが、いずれも寸での所で回避しつつ。障害物の様に立ちはだかる、足場を切り裂きながら進んでいく。

 

『侵入者確認。隔壁を展開』

「エア! ぶち破って!!」

『はい!!』

 

 隔壁目掛けて、コーラルキャノンとミサイルを撃ち込んだ。立ちふさがる壁を破壊しながらすさまじい速度で降下していく。

 過ぎ去った場所では大量の放電が行われ、あるいは動体反応型ドローン達が突っ込んできたりもしたが、いずれもレイヴン達を捉えるには至らない。

 

「見えた!」

 

 全ての障害を突っ切った先、そこには修復されたネペンテスの姿があった。大量のプラズマミサイルの他、アーキバスの技術も参照にしたのか電針も放たれ、パルス弾も打ち込まれた。

 レイヴンはA.NULの変形を解除した後。コーラルバリアを纏いながら、腕部のオキシレーターから大型のコーラル刃を出現させて、砲台を切り裂いた。盛大な爆発が起きた。

 

『ネペンテス沈黙。レイヴン、お疲れさまでした。恐らく、今回の強引な突破をしなければ、途中で放電地帯に絡め取られていましたね』

「うん。正直、焦った」

 

 もしも、オールマインド達から新機体を受け取らなければ。あるいはHAL826で任務に挑んでいたら。自分達は砲撃の塵となって消えていたかもしれない。

 以前とは比べ物にならない程に増した殺意の1つ目を突破したレイヴン達は、待機していたミシガン達に通信を入れた。

 

~~

 

「行きましたね」

 

 見張りをしていたペイター達はミシガン達も突入したのを見送り、引き続き周囲を警戒していた。未だに動きを見せない惑星封鎖機構&アーキバスは不気味と言う外なかった。ナイルが彼に問う。

 

「ペイター。何故、1317を連れてこなかった?」

「アイツ、あんまり強くないですから。ツィイーと一緒にハゲの監視を頼んでおきました」

 

 友人ではあるが、戦場での信用は薄い様だった。しかし、そう言った割り切りは悪い話ではない。むしろ、能力と人柄を分けて考えられる能力は貴重とも言えた。

 

「それに、奴のLCはザイレムでの戦いで大破しているからな。どっちにせよ無理だった」

 

 スウィンバーンの言う通り、実際。現在は1317が乗る機体はない。と言うか、修理した所で上げて来る戦果と見合っていないと判断されたのか、彼の機体の修理は後回しにされていた。

 

「まぁ。でもよかったかもしれませんよ?」

 

 五花海の鯉龍が指差した先。そこには強襲艦がやって来る様子と、そこから発艦する機体達が見えた。すかさずペイターが飛び立つ。

 

「なるほどこれは修羅場になりそうで。さぁ、通さない様に努力しましょうね!」

「無茶を言う」

 

 ナイルが苦笑しつつも、降り立って来る無人機やLC達と向かい合う。彼らを率いているのは1機のACだった。

 四脚ACでありながら積載している武装未知の物が多いが、外観と雰囲気からバレンフラワーであることは察した。即ち、V.Ⅲオキーフである。ペイターと相対する。

 

「オキーフ先輩。前回は横やりが入りましたが、今回は負けませんよ?」

「言うようになったな。だが、俺も負けるつもりはない」

 

 『PFAU/66D』から放たれたパルスミサイルをシールドで防ぎながら、ペイターが突っ込む。地上部分でも同じく大規模な戦闘が始まり、ウォッチポイント・アルファにおける戦いの火蓋が切って落とされた。

 

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