戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 今まで。発振器(オーシレーター)のことをオキシレーターと誤字っていました。後日、差し替えます。

 そして、今日は評価を頂きました! 高評価ありがとうございます!


依頼103件目:深部2 ALT

 レイヴンが先行したことにより、侵入者を阻む罠の殆どは無力化されていた。ミシガン達は殆ど何の苦労もなく、彼女と合流した。

 

「アホ犬。突入の映像は見ていたぜ。こんな穴の中に垂直に突っ込んでいくとか、イカレてやがんだろ」

「一番手っ取り早いから!」

 

 簡単に言ってのけるが、途中で展開されていた隔壁に激突する可能性もあったし、地面にそのまま落ちて爆散する可能性もあった。彼女は見事に成功してのけたが、どう考えても人間業ではない。

 

「ですが、結果的にご友人の方法が一番理に適っていた訳でもあります」

「確かに。もしも、少しずつ突破していく形なら道中の放電帯に捉われていた所だろうしな」

 

 ブルートゥの意見にはレッドも頷いていた。実際、以前やった通りの降下を試みていれば、砲撃の塵となって消えていただろう。結果として、彼女の突入方法が一番合理的であった。

 

「どうやら、連中はしっかりと学習しているらしい! この先は盛大な歓迎が待っている事だろうよ!」

 

 ミシガンが先頭に立った。こういった強引な突破が必要となる場面では、レイヴンが有用なことが多いが、基本的には慎重な立ち回りが求められる。彼はその役割を担うに相応しい気質の持ち主だった。

 

「ブルートゥ! 貴様は俺のすぐ後ろをついて来い! G6隊列の中央へ。G5! 貴様は、G13を引き連れて後ろを見張っておけ!」

「最後尾か。ま、アホ犬でも番犬位の役割はしてくれるだろうさ」

 

 先頭にG1を。最後尾にレイヴンを。好き勝手に行動している猟犬部隊(ハウンズ)での作戦と違い、各々の能力に応じた配置となっていた。

 

「愉快な遠足の時間だ! 列から外れるんじゃないぞ!」

「はーい」

『本当に遠足みたいなノリで返事していますね』

 

 本来は皮肉が含まれた号令である筈だが、レイヴンの返事が間抜けに響いていた。彼女以外には緊張感が走り続けていた。ウォルターからの通信が入る。

 

『ミシガン。少し待っていろ。扉の向こうに何かブービートラップが仕掛けられているかもしれん』

「解析を頼むぞ!」

 

 ミシガンもスキャンを実行し、周囲の様子を探る。と、同時にロックされていた扉が開いた。レイヴンが叫ぶ。

 

「皆! 飛んで!!」

 

 レッドだけは少し遅れて飛んだ。開かれた扉の先には、リング状の超高出力エネルギーユニットに連結させた大型プラズマライフルの引き金を引く『AAP03:ENFORCER』の姿があった。

 強大な複合エネルギーが放たれ、流れ弾が大破したネペンテスに命中し大爆発を引き起こした。ミシガンが叫んだ。

 

「各員! 被害報告!」

「こちらブルートゥ。損傷軽微、問題ありません」

「こちらG6。多少の被害はありますが、問題ありません。

「G5、問題ねぇ。G13も一緒だ」

『どうやら、あの無人機はスキャンに反応して動き出すタイプだったらしい。お前達が来た時に何をしてくるかを想定したようなプログラミングだ』

 

 ウォルターの言う通りにプログラミングされた無人機だったとしたら、下手をすれば最初のスキャンで全滅していた可能性すらあった訳だ。

 

「以前とは全く違う様だ! 気を付けろ! 例の『執行者』は改造された上で、この施設内を徘徊している! しかも、俺達の行動を予測しているかのような良妻ぶりを見せてくれる! 奥まで進めば、出来立ての好物と一緒に向えてくれるかもしれんな!」

 

この場においても皮肉を切らさない気勢に、メンバーは勇気づけられる様な気がした。一層、慎重を期してゲートを潜る。

流石に構造までは変えられないのか、以前も通った道は順調に進んでいく。無人機などの襲撃も無く、先程のことを考えれば不気味な位に静かだった。不安を紛らわす様にレッドが声を上げた。

 

「なんで、こんな静か何でしょうね?」

「簡単よ。俺達に雑魚をぶつけても無駄だからだよ」

 

 イグアスも言う通り、ここにいるのはルビコンでも上澄みの者達ばかりである。

既に無人機とは何度も交戦して来ており、対処方法も分かっている。唯一の懸念は弾薬を消耗させられること位か。

 先頭を走るミシガンは定期的にスキャンを行いながら、周囲にギミックが無いか。あるいは、潜伏している機体が居ないかなどを調べていた。これらの情報は外部のウォルターとも共有されていた。

 

『ミシガン、隔壁の方に電源が入っていない。以前はどうしていた?』

「地下にある制御盤を操作しに行っていたが、確実に何かがあるだろうな。この分厚さだと、我々の武器での破壊は難しいか。G5! 以前もやった様に、電源を入れて来い! G13も連れて行け!」

「オラ、アホ犬行くぞ」

「うん!」

 

 もしも、尻尾が付いていたらバタバタと振っていた所だろう。

 この施設の構造を把握していることもあり、イグアスの足取りに迷いはなかった。南東にある部屋へと入り、地下へと続く穴の前へと辿り着いた。彼は念入りに周囲をスキャンしたが、以前のデータと差異が無いことを確認した。

 

「よし。この下に制御盤がある。機影も無きゃ、トラップもねぇ。俺が先に行く。お前も付いて来い」

 

 そうして、ヘッドブリンガーが穴の中に飛び込もうとした時のことである。イグアスは猛烈な耳鳴りに襲われた。即ち、エアが叫んでいた。

 

『レイヴン! 何かしらのギミックが作動しました。彼を急いで拾い上げて下さい!!』

「無理! 落とす!」

 

レイヴンはヘッドブリンガーを蹴り飛ばして地面に激突させていた。何が起きたか分からず、イグアスはよろめきながら悪態を吐いた。

 

「てめ…! このアホ犬! 何しやがるんだ!?」

 

 頭上を見たイグアスは気付いた。今、自分が落ちて来た壁面から、次々と隔壁が出現しているのを。もしも、自由落下に任せていれば隔壁に閉じ込められていたであろうことを。

 

「イグアス。大丈夫?」

「これ位、何でもねぇ! 畜生、惑星封鎖機構の奴ら。俺を嘗めやがっ…!?」

 

 そこでイグアスは信じられない物を見た。なんと、記憶にあった制御盤へと続く部屋の出入り口に隔壁が降りていたのだ。つまり、彼らはこの空間に閉じ込められたのだ。

 

「なんだこりゃ!? スキャンした時に異常はなかったはずだってのに!?」

『恐らく。構造を以前通りに擬態させていたのでしょうね。加工を施した後も、何ら変わっていない風に見せていたのでしょう』

「だってさ」

 

 当然の話だった。道中に何の変化も無かったこともあり、警戒心が緩んでいた。そして、この事を皮切りにする様に上階に機体反応が出現していた。

 それだけではない。ヘッドブリンガーに覆い被さったA.NULがコーラルシールドを展開した数瞬後、バリアがレーザーを弾いていた。しかし、周囲の景色に変化はない。

 

「ゴーストだと!? アイツら、スキャンで見えるはずじゃ……!」

『対応して来たのでしょうね。彼らのステルスパターンを把握します。耐え凌いでください』

「了解!」

 

 パァンと。レーザーウィップがコーラルシールドによって弾かれると同時に、攻撃してきた場所に向けて、レイヴンはオシレーターを発振させコーラルの刃を出現させていた。その切っ先は、姿の見えないゴーストを貫いていた。

 

『機体情報確認。ステルス機構把握。パターン更新。レイヴン、イグアス。スキャン情報を更新しました。これで、彼らを捉えられるハズです』

「イグアス! スキャンで見えるようになったってさ!」

 

 ヘッドブリンガーのスキャンを起動すると、先程まで捉えられなかった機体の姿を確認することが出来た。だとすれば、後は倒すだけと言う分かりやすい目的が出来た。

 

「姿が見えれば、お前ら何か怖かねぇよ。全員、ここでぶっ潰してやる!」

 

 『LR-036 CURTIS』と『MG-014 LUDLOW』が火を噴く。しかし、ゴーストを倒すには火力が足りないのか、返す一撃でレーザーが放たれた。

 肩部兵装の『SI-27:SU-R8』パルス・シールドを発生させて攻撃を防ぎ、チャージしたリニア弾がヒットし、態勢を崩した一瞬を読み取って。A.NULのコーラルキャノンが直撃し、爆散する。

 

「イグアス! 次!」

「命令するんじゃねぇ!」

 

 そんな口を叩きながらも、イグアスはかつての戦いを思い出していた。

 自身がこうして前へと出て、相手の攻撃を防ぎつつ、スタッガーを取った後、ヴォルタのキツイ一撃をお見舞いする。疑似的にではあるが、あの動きが再現できていた。

 

「テメェといると耳鳴りが酷くはなりやがるが、火力的には問題ねぇ。全部ぶっ潰すぞ!!」

「よっしゃー!」

 

 イグアスの攻勢に釣られるようにして、レイヴンもまた暴れ狂い。部屋内に居た改良型ゴースト達は瞬く間に蹴散らされて行った。

 

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