戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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依頼104件目:大豊核心工業集団「え!? 肩部兵装のガトリングガンをですか!?」

 イグアス達に起きた異変は、ミシガン達にも伝わっていた。と言うよりも、彼らにも同様の異変が起きていたと言っても良い。

 

『ブルートゥス。エアの方から通達が入って来た。どうやら、惑星封鎖機構達は新型のゴーストを投下しているらしい。迷彩パターンも渡された、貴様らのスキャン機能にも反映させておくぞ』

「流石です。ご友人!」

 

 ミルクトゥース達のスキャン機能も更新され、姿なき敵達の輪郭が露わとなる。閉所で相手が見えたなら話も早い。逃げられない程の物量を叩きこむのは、ベイラムの得意分野だ。

 

「そちらが歓迎してくれるなら、こちらも卸し立ての新品をお披露目してやらなければな! G6! 俺がエスコートしてやるから、連中をRaDの廃品回収所にご招待してやれ!」

「はい! 総長!」

 

 ミシガンのライガーテイルの両腕に装備された『DF-GA-08 HU-BEN』の砲塔が回転を始め、大量の銃弾が吐き出された。

 更に、背部兵装に積載された新兵装『DF-GA-09 SHAO-WEI』ガトリングキャノンからも銃弾が吐き出され、これらを浴びて身動きの取れなくなったゴースト達に対して、レッドのハーミットが次々と『SG-027 ZIMMERMAN』の散弾を叩きこんでいく。

 

「ご友人達が気張っている。私も遅れを取る訳には行きませんね」

 

 『WB-0010 DOUBLE TROUBLE』の刃が回転し、ゴーストの1機を捉えた。壁に圧しつけながら猛進することで、前面は切り刻まれ、背面が摩り下ろされ、爆散した。

 

『こちらはまるで問題ないが、エアやレイヴン達が気になる』

「総長、ご友人達はどうしますか? 向こうも無事ではありますが」

「ほぅ? 例の『お友達』のお陰か。通信手段を含め、俺達を分断したつもりだっただろうが、そうはいかなかったな!」

 

 実際、突入メンバーにレイヴンとブルートゥの2人が選ばれたのは、こういった事態に対応する為でもあった。

 

「総長。では、先輩やG13達のことを待ちますか?」

「そちらで分断を突破する手段はあるのか!」

 

~~

 

『制御盤の操作は出来るのですが、上階への隔壁は分厚いですし、エレベーターは下層にしか行かない様になっています』

「エレベーターの構造も変わってやがる。降りるだけしか出来ないのか」

 

 イグアスの記憶通りならば、制御盤の隣にあるエレベーターで上階に戻ることが出来たが、今は下層にしか行けなくなっていた。

 

『だとすれば、下層で合流する外ないか。貴様らが操作してくれたおかげで、こちらの隔壁は開いた』

『その方向で行きましょう。ミシガン総長にも伝えて下さい』

 

 カエサルとエアによる変異波形同士の交信により、辛うじて完全分断は避けていた。これらの決定がレイヴンの口を通して、イグアスへと伝えられた。

 

「このアホ犬とか……」

「フリスビー!!」

 

 破壊したゴーストの中心部に据えられていた円盤部分。彼らの特性とも言える、迷彩部分を担っていたのだが、今は見る影もなくレイヴンの遊び道具と化していた。

 一応、自分達が落ちて来た隔壁に向けてぶつけている様だが、まるで効果は無かった。

 

『レイヴン。意味のない投擲行動は機体の関節を痛めます、止めましょう。大人しくG5について行きましょう』

「は~い」

 

 イグアスにはエアの声は耳鳴りにしか聞こえていないが、レイヴンの反応からして何を言われたか位は想像できた。

 

「逸れるンじゃねぇぞ」

 

 比喩抜きで、本当に犬を牽引している様な気分になった。共にエレベーターに乗り、下層へと降りていく。定期的にスキャンで周囲にトラップやゴーストが居ないことを確認しながら、イグアスが口を開く。

 

「アホ犬。お前がルビコンに来てから、全てが変わった。アーキバスは惑星封鎖機構と手を組んじまうし、ベイラムは調子がいいし、上の連中はお前達にお熱で、ヴォルタの野郎はさっさと抜けちまいやがった」

「イグアスも一緒に行かなかったの?」

 

 レイヴンの返事に、イグアスは口ごもった。ヴォルタはさっさと次の人生を見つけ、上手く行っていることも分かっていた。自分は未だにACに乗り続けて、企業の手先となって動いている。

 

「借金。……いや、違うな。どういう形でも返せるモンだしな。アホ犬、お前は何で戦っているんだ?」

「生きる為」

「だったらよ、もしもだ。戦う以外の生き方があったら、あるいは戦うことで生きれなくなったら、お前はどうやって生きていく?」

 

 レイヴンとイグアスでは取れる選択が全く違っている。

 彼女は年若く、少女であるが故に選択肢が豊富であるように思えるが、教育なども一切されていない為、企業で働くことは難しい。現状、身を立てる為には戦う以外の選択肢が無いのだ。

 一方、イグアスも育ちは良くない。しかし、仮にも企業に所属しており、一定の知識もある。年齢的にもまだやり直しは利くが、今更慣れた場所から動く気概は湧いてこなかった。

 

『レイヴンはどんな風に生きたいか。とかは無いんですか?』

「分かんない」

 

 これは、エアもイグアスも与り知らぬことではあるが。そもそも、彼女には生まれた時から普通と言う選択肢が無かった。

 戦う道を選んだのではなく、それ以外の選択肢が今までも、これからも存在していなかった。

 

「ロクでもねぇ生き方してんな」

「ヘーキヘーキ! イグアスは?」

「テメェと一緒だよ。なんなら、俺もお前らの所に」

 

 言い終えるよりも先にエレベーターが到着した。周囲は岩肌が剥き出しとなっており、施設内でもかなりの下層部へと来ていることを察した。

 

「以前に『執行者』がいた場所よりも、奥の方へと来ている。ここはどこら辺になるんだ?」

 

 以前、ベイラムで突入した時に破壊した巨大な高炉は修理されていなかった。故に、侵入者を阻むレーザートラップも見当たらない。ただし、それ以外の存在が確認できた。

 

「あ! ミールワーム!!」

「エイシャァ…」

 

 モゾモゾと岩壁や天井を伝っていたのは、ルビコンのおやつことミールワームだった。イグアスも付近に、廃棄された養殖ポッドがあることは知っていたのだが……。

 

「いや、デカすぎんだろ!?」

 

 以前、この付近でACのつま先程の大きさもある個体を確認したことはあったが、視界に映る範囲のミールワームは大きいものであればヘッドブリンガーの腰ほどもある者もいた。

 

『もしや、ルビコニアンデスワーム化しかけているのでしょうか?』

「よしよし」

 

 器用なことに、A.NULのマニュピレーターを使って近寄って来たミールワームを撫でていいた。すると、ゾロゾロと大量のミールワームが彼女の機体へと集まって来たので、埋もれていた。

 

「おぶぇ」

「うぉおおおい!!」

 

 中量程度しかないヘッドブリンガーで重量級のA.NULを引きずり出すのは骨が折れた。ただ、このことに気を悪くしたのかミールワーム達は揃って口を開いて威嚇していた。

 

『この機体のジェネレーターはコーラル粒子を発しますから、おびき寄せてしまったんでしょうね』

「気色悪ぃ……」

 

 かと言って、追い払おうとすればロクでもないことになるだろう。進んで害をなしてこないなら、無理に排除する必要が無いにしても生理的嫌悪感までは隠せずにいた。

 

「出発ぅ」

「俺が引率しなきゃいけねぇのかよ……」

 

 癇癪を起してぶっぱなそう物なら、もれなくルビコンの染みになることだろう。問題はこれを率いて、先に進むべきか。ミシガン達と合流すべきか。

 

『上階には『執行者』が残っているのでしょう。合流して撃破すべきです』

「イグアス。どうする?」

 

 かなり深くまで来た為、地上部はおろかエア達も交信が取れずにいるらしい。規律的に考えれば、ミシガン達との合流を急ぐべきだろう。

 

「待てよ。地上部にも襲撃が入っているかもしれねぇんだろ? だったら、悠長にしているべきじゃねぇ。先を急ぐぞ」

『合流はしないんですか?』

「俺達の目的はコーラル集積の奪還だ。それさえ、出来れば別に『執行者』を撃破する必要もねぇ。行くぞ!」

「分かった!」

 

 イグアス達は先へ進む選択を選んだ。実際、コーラル集積を制圧することが目的なので間違いとは一概には言い切れない。ただし、彼の目論見には幾つか穴があった。

 一つ、このまま進んで仮に制圧できたとしても地上へと戻る手段が確立されていないこと。そして、成功したとしてもミシガン達に伝える手段がないこと。

 二つ、『執行者』と言う存在に気を取られて、惑星封鎖機構達の戦力を過小評価していたこと。V.Ⅲが地上部に投入されているということは、必然。重要拠点であるバスキュラープラントに配備される強力な戦力と言えば……。

 

~~

 

『V.Ⅰ。フロイト。分断したレイヴン達がこちらに向かって来ています。迎撃の準備を』

 

 ロック・スミスと名付けられた『IB-02』に、無機質な音声による通信が入る。有人仕様にカスタムされた機体であり、変形機構なども備えていない。

 左腕部にはアイビスシリーズ共通のオーシレーターを。右腕部にはコーラルキャノンを。そして、特徴的とも言えたのが同シリーズ『CEL 240』も使用していたオービットが収納された、3対の巨大な翼の様な背部兵装だった。

 

「了解」

 

 彼は短く返事をして、コックピット内でシミュレーターを用いて習熟訓練を続けていた。V.Ⅰフロイト、彼は強化人間と噂をされているが……普通の人間である。故に、習熟にも時間を必要としていた。

シミュレーター内では『CEL 240』や、これまでの情報から収集した『HAL826』を撃破しつつ、まだ見ぬ新型機がやって来ることを楽しみにしていた。

 

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