戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 仕事を終えて家路へと着いた疲れからか、ふかふかのベッドに体を沈めてしまう。睡魔とぶつかった作者に対し、執筆時間から言い渡された示談の条件とは……。


依頼107件目:今と昔

ウォッチポイント・アルファ入り口付近の戦いは、惑星封鎖機構側が優勢だった。ベイラムとタメを張れるだけの物量に加えて、機体とパイロット両面で優っている彼らが押しているのは順当と言えた。

 

「ペイター、投降しろ。そうすればお前だけでも助けてやる」

 

 オキーフから通信が入った。性能的にはACを上回り、半永久的に飛行できるフライトユニットを装備にしているにも関わらず、ペイターはバレンフラワーに勝てずにいた。

 

「ほぅ、私をですか?」

「そうだ。今、アーキバスはヴェスパー部隊長の大半を欠いている。今、戻ってくれば少なくとも上位のナンバーは保証される。本気を出した惑星封鎖機構に、一企業と独立傭兵集団が勝てる訳がない。賢明なお前なら分かるだろう?」

「なるほど。でしたら、オキーフ先輩が繰り上がって、私がV.Ⅲに収まるかもしれませんね。実にいい響きだ。」

 

 オキーフからの提案は魅力的だった。今まで、ヴェスパー部隊長の最下位ナンバーとして燻っていた身としては、アーキバス時代からは考えられない出世となるだろう。

 実際、この戦場で見る限り惑星封鎖機構は強大であり、それと手を組んだアーキバスがバスキュラープラントを入手した暁には、企業として躍進する可能性は高い。そうすると、必然的に自分の権力もそれなりの物になるだろう。

 

「戻って来い。お前ほどの人材を殺すのは惜しい。かつての後輩の好だ。裁判に掛けられたとしても、弁護してやる」

 

 状況的に有利だからこそ仕掛けられる交渉。ペイターはかつて似た様なシチュエーションに遭遇したことがある。

 あの時、こうしてHM型に搭乗していた惑星封鎖機構のパイロットに命乞いをしていたことを思い出した。あの時は自分が擦り寄っていたが、今度は招かれる立場になったことを考えると、出世した物だと思っていた。そんな過去を脳裏に過らせた上で答えた。

 

「断ります。私、今の生活が好きなんですよ。給料も碌にないし、私のことをバカにする同僚も居れば、非難も浴びますが、こうして乗り回したかったLCにも乗れていますしね。それに」

「……なんだ?」

「レイヴン達といると楽しいんですよ。腹芸も、処世術も好きに使って良い。素直でいられます。オキーフ先輩、こっちに来ませんか?」

 

 逆に勧誘を掛けられていた。変わった後輩に対して思うことがあったのか、彼はルビコンに来て以来、久々に声を上げて笑った。

 過酷を極める戦場には似つかわしくない物であったが、オキーフにとっては重要なことだった。

 

「お前から、そんな意見が出るとはな。引き込みたければ、変わったお前を見せてみろ」

「はい!」

 

 ルビコンの空にパルス、プラズマ、レーザー3色のエネルギーが奔る。ぶつかっては散り、雲散霧消していく中で彼らの戦いは加速していく。

 一方、地上の戦いにも異変が起きていた。切っ掛けは、ナイルがたった1機でカタフラクトを相手にするという無茶振りを遂行していた時のことだ。上空から1機のACが降下して来たのだ。

 

「落ちろ」

 

 フリーフォールの最中に態勢を整え左腕を突き出しながら、カタフラクトの頭上に降り立つと同時に『PB-033M ASHMEAD』から杭が打ち出された。

 カタフラクトの装甲を貫き、ジェネレーターを潰し、弾薬に引火すると。コックピットが排出された数瞬後、大破炎上した。ナイルは直ぐに通信を入れた。

 

「お前は、多重ダム防衛の時の!」

「あの時の機体か。こちら『レイヴン』、お前達を援護する」

 

 戦場全体に動揺が走った。レイヴン達は先に突入したはずであるとするなら、この場にいる存在は何者なのかと。ただ、一つ分かることがあるとすれば。

 

「2羽だ! 勝利の象徴であるレイヴンが2羽もこちらに付いているんだ! 負けるはずがない!!」

 

 一瞬でカタフラクトを始末したこともあり、レイヴンと名乗るに相応しい実力者であると判断されたのか、ベイラムのパイロット達の士気が昂揚する。

 

「つくづく、俺達はレイヴンと縁がある様だ」

 

 その存在に運命を導かれている様な、奇妙な力さえ感じていた。戦場が一瞬で覆ることは無いが、カタフラクトが撃破され浮足立った瞬間を活かさねば、ベイラムに勝利はない。ナイルが号令を放った。

 

「全隊員に告ぐ! 俺達には2羽の鴉が付いている! 負けるはずがない! 運命は俺達に微笑んでいるぞ!!」

 

 たった、1機の介入で戦場は大きく揺れ動いていた。レイヴンが駆る『ナイトフォール』が駆ける。機動力、技術の差、マシンスペック。それらを一笑に付さんばかりの動きを持って、戦場を羽ばたいていた。

 

~~

 

「遅刻だ! 時間厳守だと散々教えたはずだぞ!!」

 

 換気ダクトへとやって来たライガーテイルの損傷は酷い物だった。肩部兵装は破壊され、左腕部も喪失していた。辛うじて、右腕部は残っていたが『DF-GA-08 HU-BEN』は失われていた。

 

「総長。一旦、ここに退避していて下さい。その機体で進むのは無茶です!」

「ご友人の言う通りです。例の『執行者』と戦うにしても、その状態では無理があるかと思います。せめて、補給シェルパでもあれば」

 

 レッドとブルートゥの抱いた考えは一緒だった。もしも、ここが開けた場所であるなら補給シェルパの要請も出来たかもしれないが、こんな深部に派遣するのは不可能だった。だが、ミシガンにとっては慣れた状況だった。

 

「だったら、ある物で何とかしろ! そこら中に便利な残骸が転がっているだろう!!」

 

 制御盤へと向かう道中に破壊した『AM01: REPAIRER』の残骸が散乱していた。その中には、比較的損傷の少ないレーザーガンも転がっていた。

 ライガーテイルはそれを拾い上げ、引き金を引いた。線の細いレーザーが発射されるだけだった。その上、煙まで吹いていた。

 

「危険です。ショートして爆発する可能性もあります。ご使用をお控え下さい」

「総長。そう言うことでしたら、自分の『SG-027 ZIMMERMAN』を1丁」

「それは、お前が使え。よし、進むぞ!」

 

 2人の忠告を他所に、ミシガンはレーザーガンを携行してダクトを進んでいく。変わらずスキャンを飛ばしているが、ゴーストなどのステルス機は見当たらない。

 戦力が尽きたのか、あるいはこの先に待ち構える存在を考えれば、その様な物も必要ないと判断してのことなのか。ミシガン達は奥地へと進み、とあるゲートの前でピタリと足を止めた。

 

「G6! お前達が『執行者』と戦ったのは、この先にある部屋だったな!」

「はい! 機体の反応も確認できます。もはや、強襲する必要もないと踏んでのことなのでしょう」

 

 レッドの機体がスキャンを飛ばすと、隔壁の向こうには『執行者』の反応があった。どうやら隠れる必要も無いと判断してのことらしい。機械らしからぬ泰然とした様子だった。

 

「行儀の良い奴だ。行くぞ」

 

 ミシガンが隔壁を開く。部屋の中央には『執行者』の姿があった。あの時と違い、空戦機能を可能とする追加ユニットを装備した状態で。

 技術的には惑星封鎖機構とアーキバスの技術で生まれたハイブリッドと言った所だろう。パルスシールドを展開しながら、大量のミサイルを放ち、超高出力ユニットに大型レーザーを連結させ、複合エネルギーを照射して来た。

 

「作戦に失敗した屑鉄同士のリサイクル兵器と言う訳か! 良いだろう! ゴミはゴミ箱へ!! 今度は拾われない様に徹底的に掃除してやる! 愉快な清掃の時間だ!!」

 

 3機が散開すると同時に、執行者も飛翔する。バルテウスと違い、コアユニットの重量問題もあり、幾らか飛行速度は緩やかな物の様に思えた。それでも、パイロットの負荷を考えない機動は驚異的という外ない。

 そう。執行者は強敵だった。激闘が予想される中、他2機と比べて機動力の劣るミルクトゥースが向かった先は空では無かった。

 

『ブルートゥス! 馬鹿真面目に付き合ってやる必要はない! さっきも解除して魅せた。このまま、隔壁を開いて先に進むぞ!』

「発想は悪くありませんが。まるで、可哀想なお友達の手法の様ですね」

 

 そう。ブルートゥ達が向かったのは執行者ではなく、彼が門番をしていた隔壁だった。先の一件でコツを掴んだのか、カエサルとブルートゥは尋常ではないスピードでロックを外していく。

 当然、執行者がそれを許す訳もなく。彼を葬るべく、大型レーザーを超高出力ENユニットに連結させようとすると、ミシガンが先程拾って来たレーザーガンの銃身を差し込んで来た。

 

「すまんな! このレーザーガンは不良品だ! 返品させて貰うぞ!」

 

 レッド達が破壊して、見た目は綺麗ながらも内部が損傷していたレーザーガンを超高出力ENユニットに接続した結果。銃身から光が漏れ、連結機構を巻き込んだ上で爆散した。

 同時に他の箇所にも誘爆したのか、追加ユニットの一部が破損し、高度が下がっていく。さらなる誘爆を避けるために、執行者は自ら追加ユニットをパージした。以前と同じ姿で、同じシチュエーションの中。G3とG5に撃退された執行者は、またしてもレッドガン部隊を相手にしていた。

 

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