戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 新年が明けましたが、色々と大変なことが起きています。私が出来るのは変わらぬ日常を送ることだけです。


依頼109件目:一応AC6の二次創作です。一応

「4機か。対処できない範囲ではない」

 

 レッドとブルートゥも戦いに参加して来たが、フロイトに焦る様子は見当たらない。彼の興味はただ一人、レイヴンだけに注がれていた。

 大量のオービットによる包囲攻撃は、まるで多数の機体を相手取っている様な錯覚を覚える程だった。いや、むしろ相手がMTなどの機体であればどれだけ良かったことか。

 

「この!」

 

 レッドが『SG-027 ZIMMERMAN』の引き金を引く。散弾が放たれることを予知していたが如く、オービットは回避機動を取りつつ背後に回り込んでコーラル性のレーザーを放っていた。

 実弾でも光学兵器でもない攻撃は、装甲に施されたいかなる耐性をも無視して機体にダメージを蓄積させていく。また、オービットの攻撃はレーザーによる点射撃だけでは無かった。

 

「クソッたれ!!」

 

 ヘッドブリンガーの右腕部が宙を舞った。オービット同士が集合、連結した際に形成されるエネルギーはブレードとしても機能していた。更に、小型であることから小回りも利いた。

 

『信じられん。このオービット群は奴が操っているのか? レイヴンとエアを相手取りながら?』

 

 なので、ミルクトゥースの様な頑強な機体には、レーザーによる照射もせず、ソードで切りかかることもせず。オービットの先端にエネルギーを集中させて突撃して来る、自動式のニードル弾の様に動いていた。

 

「アーキバスのトップにして、アリーナ最強は伊達ではないということですね!」

 

 ブルートゥの視線の先ではレイヴン達が常識外の戦闘を繰り広げていた。ミサイルとオービットの弾幕が行き交う中、オーシレーターから発生したコーラル刃で切り結んでいる。

 しかし、互いの装甲はコーラルの爆発などで削がれて行っているというのに、動きに焦りが見当たらない。

 

「個人相手に戦っている気がしないな。機体制御と火器管制が分担されている。噂に聞いていた変異波形も戦いに協力していると言った所か」

『二人掛かりに対抗するなんて。どれだけの怪物……!』

 

 他の3機もオービットによる被弾を覚悟しつつ、接近を試みている様だが、その程度の動きが予想できない訳もなく。確実に足を止められ、追撃を入れられていた。

 だが、考え方によれば立派な協力と言えたかもしれない。彼らにターゲットが分散しなければ、これら全ての包囲攻撃が自分達に向っていたのだから。

 

『レイヴン。彼の心は読めないのですか?』

「読める。けど、意味が無い。思ったら、もう行動を終えている」

 

 思考がほぼ反射レベルになっていると言うのか。そんな境地、強化人間ですら聞いたことが無い。それでもレイヴンが食らいつけているのは、エアと2人掛かりでアイビスシリーズと言う傑作機を用いているが故だろう。

 

「今、俺は人生最高の瞬間に立ち会っている。だけど、同時に残念でもある。生き残るのがどちらだとしても、これ以上の時間が今後訪れることは無いだろうからな」

 

 そんな機体とパイロットの粋を集めた状況を、フロイトは心の底から楽しんでいた。彼らの激闘に呼応するようにして、周囲の水面にコーラルが励起し、2機へと吸い込まれて行く。エネルギーが枯渇することなく、さらなる力が供給されアイビスシリーズの戦いは、いよいよ誰も近付けない領域へと突入していく。

 

~~

 

「エイシャァアアアア!!」

 

 コーラルの激しい活動にミールワーム達も堪えられなくなったのか。崖から落ちて潰れた残骸が積もり、一つの道が出来ていた。

 水面へと降り立つと、全身にコーラルを浴びせるようにして転がり回った。レイヴン達の戦場に次々とワーム達が這って来る。栄養が十分に満ち、変態する者もいた。

 

「なんだこれは」

 

 ミシガンの理解を超える光景だった。そして、長年戦場に身を置いた彼だからこそ走る勘と言う物があった。今の状況は惑星封鎖機構にバスキュラープラントを接収されるより、はるかに不味い状況になり掛けている。

 そう。フロイトとレイヴンの戦いを他所に、ワームやビートル達が存分にコーラルの満ちた吸い上げ機構へと取り付こうとしているのだ。

 

「G13! V.Ⅰ! 戦いを止めろ! お前達の戦いで、コイツらがおかしくなっている! このままじゃ、予想さえ出来ないことが起きるぞ!!」

 

 ミシガンの忠告が彼女達に届く訳もない。オービットに焼かれ、戦いの余波で潰れ、跳ね飛ばされたとしても。何かに導かれるようにして、突き進み、辿り着く。

 それは、生理的嫌悪感を催さずにはいられない光景だった。黒い甲虫がバスキュラープラントの外周を埋め尽くし、樹液を求めるようにして上へ上へと上がっていく。1匹1匹のサイズも既にAC近くまで肥大化しており、こんな物に集られれば次第に耐え切れなくなる。

 

「G5! G6! G13! ブルートゥ! V.Ⅰ! 引き上げろ!! 戦っている場合じゃない!」

 

 ミシガンの声が届いた。というよりも、流石にこんな異常事態を前にすれば任務を遂行している場合ではないと判断したのか、彼らは一旦戦場から離脱していた。そして、この光景を目の当たりにして皆が絶句していた。

 

「な、何だこりゃ……。おい! テメェは何か聞いてねぇのか!?」

「流石に、この状況は予想していなかったな」

 

 イグアスは激昂していたが、フロイトは軽く流していた。既に交戦の意図は無くしているのか、大量のオービットは背部兵装に収納されていた。

 

「バスキュラープラントに張り付いている以上、手荒な手段で落とす訳にも行きませんしね。どうするべきでしょうか?」

 

 ブルートゥの言う通り、強力な武器を使って排除しようものなら倒壊する可能性さえあるのだ。そもそも、追い払えるかも疑問だが。

 

「待って下さい。アレを!」

 

 レッドが指差した先。そこには、ロックを破って降下して来たのだろうか。大型のレーザー兵器を抱えた『執行者』が迫っていた。

 護衛対象が大量の虫に集られているのを発見して、排除しようとレーザーパイルを展開しながら近づいた矢先。デスビートル達の角から一斉にコーラル性のレーザーが放たれた。

 機動力を活かして攻撃を避けてはいたが、その内。単調なレーザーだけではなく、ルビコニアンデスビートルの際にも見せたコーラルミサイルをも放ち始め、遂に捕らえられた瞬間。一斉に攻撃が降り注ぎ『執行者』は爆散した。

 

「俺達はいつから怪獣映画の世界に迷い込んだんだ?」

 

 ミシガンとしてもこういう外ない。ただ、このまま突っ込むのが自殺行為であることには間違いない。フロイトが先んじて飛び立った。

 

「一旦、惑星封鎖機構に指示を仰ぐことにしよう。そちらも対策を考えた方が良い。事態は俺達に予想できる範囲を超え始めているからな」

 

 背部兵装に収納されたオービットはブースターとしても転用できるのか、ロック・スミスは凄まじい勢いで地上部へと戻って行く。

 

『……レイヴン。一体何が起きているのですか?』

「わかんない」

 

 誰に分かる訳もない異常事態に、いつまでも呆然としている訳にも行かない。撤退する際の懸念事項であった『執行者』も排除されたので、彼らは急いで地上部へと出た。

 

~~

 

「ペイター。勝負は一旦お預けだ」

「え?」

 

 オキーフが有利だったにも関わらず、彼は急遽踵を返した。上空でも奇妙な停止が発生しており、ウォルターから通信が入って来た。

 

『ペイター。聞こえているか? 不味いことになった。一旦、戦闘を切り上げて撤退しろ。俺達の予想を遥かに超える事態が起きた』

「は~? なんですか? まさか、コーラルの怪獣でも出たんですかぁ?」

『そうだ。ミシガンからの写真もある。このままでは、全ての思惑がご破算になるかもしれない』

 

 送られて来たグロ画像を見て、ペイターの全身に鳥肌が立った。流石にベイラム、惑星封鎖機構、アーキバスも戦っている場合ではないと判断したのか、間もなく停戦命令が出た。

 

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