戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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依頼110件:真レイヴン「見つけた」ノーザーク「どうして」

 アルファポイント入り口の両企業の激闘は、突如として発生したハプニングに寄って撤退を強いられた。一瞬だけ姿を見せた『ブランチ』のレイヴンもまた、何処かへと去ってしまった。

 帰投したレイヴンやミシガン達から報告を受けた、ベイラムの上層部及びウォルターは頭を抱えていた。

 

「本当にコーラルとは何を起こすか分かった物じゃない」

 

 ベイラムが奪還するパターンと惑星封鎖機構が防衛するというパターンの両方は考えていたが、流石にコレは想定できる範囲の出来事では無かった。

 ウォルターのみならず現場にいた者達も頭を抱える中、レイヴンは飼っているミールワームにコーラルを塗していた。ゲージ内では、投下された糧を貪る様にワームが口をパクパク動かしていたが、それだけだった

 

「アレ? 変態しない」

「多分、ちょっとやそっとの量じゃ変わらないんだろうね」

 

 ツィイーも同じ様に観察している。この場では、レイヴンに次いでミールワームの生態に詳しい彼女が言うのだから、実際、簡単に変態する物では無いのだろう。

 集合体恐怖症でなくても、あんなグロテスクな物を見た後に直ぐに愛でられる精神だけは、猟犬部隊(ハウンズ)のメンバーとしても理解しがたい物だった。ふと、スウィンバーンが彼女に疑問を投げた。

 

「レイヴン。貴様は心が読めるんだったな。ミールワームが何を考えているとかも分かるのか?」

「何も考えてないよ?」

 

そりゃそうだ。虫にそんな複雑な思考をする精神機構がある筈がない。

つまり、本能だけで行動している訳だが、食料であるコーラルを目指して殺到するという原理自体は理解できる。

 

「今の所、企業としてはミールワーム共を剥がしたい所でしょうね」

 

 ペイターはモニタの方を見た。ベイラムの観察部隊が現場を撮影していたが、昇る最中にかなりの栄養を摂取できたのか、殆どが甲虫状態になっていた。黒光りする節足動物が壁をよじ登って行く姿は、どうしてもアレを彷彿とさせる。

 同じ様に、惑星封鎖機構&アーキバスも偵察を出しているのか、ドローンがレーザーで焼き払おうとすると、彼らは一様にしてターゲットへと狙いを付け、角部分からコーラル性のレーザーを撃ち返して来た。

 

「御覧の様にコイツらを剥がすのは至難を極める。だからと言って、範囲攻撃を仕掛ければ、バスキュラープラントが傷つく」

 

 ウォルターが一番頭を抱える所がここだった。何もしなければ彼らの重量で折れかねないし、何とかしようとすればバスキュラープラントに被害が及ぶ可能性が非常に高い。

 最終的にはこれを折るのが目的だとしても、それは一定以上まで延伸して、増殖させたコーラルで一気に焼きはらわねば意味が無いのだ。

 

「ねぇ、ウォルター。それならカーラ姉さんに通話を入れてみたら? とりあえず、現状だけでも知らせておかないと」

「そうだな……」

 

 自身が状況を整理するので精一杯の中、ツィイーに勧められたウォルターは彼らに電話を入れた。

 その傍ら、何時まで経ってもミールワームが変態しないことに飽きたのか、レイヴンは部屋を出て、スネイルのいる医務室へと向かっていた。

 

~~

 

 報告を受けたRaD、解放戦線、AM陣営も愕然としていた。もはや、コーラルに不可能は無いのかと思わざるを得なかった。ヴォルタがドルマヤンへと尋ねる。

 

「あの虫ってのは、あんな発生の仕方をするのか?」

「いや。少なくとも、私が生きて来た半世紀の間には見たことが無い」

 

 このルビコンに付いて詳しい彼が知らないとなれば、本当に誰も知らないのだろう。そんな中、ダナムが叫んでいた。

 

「アレはルビコンの怒りだ!! コーラルを搾取しようとする企業の悪辣さに対する怒りだ! そうに違いない!!」

「だそうだが。同じ、コーラル出身としてどうだ?」

『いや、別に。同じ人間だからって、同じ考えを持っている?』

 

 スッラの問いに対して、セリアは淡々と答えていた。少なくとも彼女は現状に満足しているのだから、変なことはしないだろう。

 件の甲虫達の行動原理を解析するよりも先にするべきことがある。と、ミドル・フラットウェルが問うた。

 

「あのルビコニアンデスビートルが何者なのかはともかくとして。我々はどう動くべきだ? カーラ。バスキュラープラントはアレの重量に耐えきれるのか?」

「いや、あんなに重量掛けられたら無理だろうね。しかも、中のコーラルを吸っている。ってことは少なからず、建設物を傷つけている可能性もあるだろうしね」

「てことはよ。放っておきゃ、俺達の目標は達成されるんじゃねぇか? これも、コーラルの賜物だな!!」

 

 ラミーがカラカラ笑いながらジョークを飛ばしていたが、これだけ損耗した後でバスキュラープラントが折れようものなら、企業も撤退せざるを得なくなるだろう。

 だが、長期的には資源や資材さえ蓄えれば、あるいはアプローチを変えさえすればコーラルを摂取できる可能性はあると。恒久的な平和に辿り着くには、今一歩足りない。

 

「しかし、何故この虫達は上へ上へと?」

「六文銭。それは、私がお答えします。コーラルは密閉状態になると増殖速度が増加するという特徴がありまして、空気が薄くなって来れば来るほど増加していくのです。故にバスキュラープラントで吸い上げられた物は、星外に行くまでの間に増殖している。という、吸い上げと増産を兼ねたプラントなのです」

 

 つまり、ミールワーム達は本能的にコーラルの多い場所へと向かっているのだろう。道中でタップリと御馳走を食しながら。ゴホン、とフラットウェルが咳払いをした。

 

「話を戻すとして。結局、我々はどう動くべきだ? 今の所、あのワーム達を排除した所で惑星封鎖機構と企業が喜ぶだけにしか思えん」

「そうだね。……もう、行動を早めるしかない。高くない場所で折れて、不完全燃焼。って終わり方は良くないね。ザイレムの表面は禿げて居ても、飛び立てる状態だ。虫達に取られる前に動くよ!」

 

 企業達も対応を選んでいる中、最初に集団としての行動を決定したのはカーラ達だった。全員がザイレムの機能を修復させるべく、動き出した。その中にはオールマインドの姿もあった。

 

「貴方達のせいで私は歌い出すし、煽るし、名前を間違える変なAIとして認識されているのですが。この修理を終えた暁には、これら風評被害の撤収を手伝って貰いますよ」

「出来てから言いな!」

 

 多分、修理したとしても撤回の手伝いはしないだろうなと、全員が予想している中。ふと、ラスティが思い出したようにつぶやいた。

 

「そう言えば、先程からノーザークの姿が見ないが」

「あぁ。奴なら、最近入って来たブランチの『レイヴン』に追い回されているぞ。昔、パイルアンカーの開発費として多額のCOAMをだまし取っていたらしいからな」

「そうだったのか」

 

 スッラが淡々と説明をしていた。道理で、妙に話がスムーズに進んだと思ったら、余計なことを言う奴が居なかったからであるらしい。

 

「もう直、我々の大望が成就するか否かだ。ここまで来て、少なくない犠牲もあったが、帥父や叔帥達と一緒にこの局面に臨めることは嬉しい」

 

 誰がいつ犠牲になってもおかしくない戦いの連続であり、自身さえもそうなる可能性はあった。しかし、彼の命は戦友によって救われた。

 

「ベイラム、惑星封鎖機構&アーキバス。……それと、オールマインド陣営。今は、私達に味方をしている様だが、どう動く?」

「さぁな。背中にだけは注意しておけ」

 

 現在は協力関係にある為か、警告だけを残してスッラもまたザイレムの機能修繕に急いでいた。……主にオールマインドの監視としてだが。

 

「戦友。この戦いが終われば、君は。何をして、何処に向かいたい?」

 

 いよいよ大詰めとなって来たことを予感させながら、ラスティは彼女の顔と未来を思い浮かべていた。

 

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