戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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依頼111件目:上層部「我々の作戦は完璧だ」AM「なんか言っている……」

 ベイラム及び惑星封鎖機構&アーキバスは互いにドローンを飛ばし合い、星外へと延伸するバスキュラープラントを昇っていく、ルビコニアンデスビートル(小型)達の様子を観察していた。

 ただ、昇って行き、時折休むように停止する。不思議なことに、生存競争に身を置くはずの彼らは、他の個体を蹴落とすことなく行儀よく一律に行動をしていた。まるで、何かしらの意図を持って動いている様だった。

 だが、彼らを間近で観察しようとドローンを更に近付けて行くと、一斉に攻撃が飛んできて、落とされた。

 これに関しての会議は日々紛糾していた。ベイラムの上層部も現場の主任たるミシガンを招いて意見を交えていた。

 

「星外からの狙撃による引き剥がしは?」

「難しいだろうな。まず、バスキュラープラントに命中させないレベルの超高精密な物が求められるだろうし、連中の甲殻が堅牢なことはよく分かっているはずだ」

 

 ミシガンも相対したから分かる。あの個体が、企業合同で討伐した超巨大デスビートル程の甲殻を持っているかはともかくとして、少なくともコーラル集積にいる惑星封鎖機構&アーキバスの機体達が対抗できなかったことは確かだ。

 

「では、超高度から近付いた後、先頭を進む個体を落とすというのはどうだ? 後は連鎖的に落ちてくれるかもしれん」

「その為に連中に近付ければな! ドローンの様に落とされるだけだと思うが!」

 

 彼らがコーラル性のレーザーやミサイルを放つことは、G5イグアスの機体に記録された映像からも分かる。次々とアイデアが却下されたことに業を煮やしたのか、上層部の1人がミシガンに質問を投げた。

 

「では、ミシガン総長。貴様には何か具体的な作戦があるのか?」

「例えばだ。もしも、この会議場にスパイが居たとしたら、皆は気付くだろうか?」

 

 上層部の面々に動揺が走る。ここにいる者達は互いの経歴を把握しており、疚しさなどは一切ない筈だ。

 

「いると言うのか?」

「今のは、例えだ。だが、苦楽を共にし、企業の発展に貢献して来た同志を疑うのは難しい。ルビコニアンデスビートルにも通じるかもしれん。現に奴らは同士討ちなどはしていないだろう?」

「……つまり、過去に討伐したルビコニアンデスビートルの甲殻を用いて擬態しろ。ということか?」

「作戦の選択肢は増えるかもしれんな!」

 

 あの巨体は研究や利用の為に、ベイラムとアーキバスに保管されている。未だにコーラルを武器として用いるメカニズムは解明できていないが、機体の装甲にも流用できる程の堅牢さを誇る甲殻の利用については日々研究が続けられている。

 

「直ぐに、ドローンに装着させろ! そして、奴らに迎撃されないかを確認して来い!!」

 

 上層部の動きは速かった。現場付近に待機していた者達に命じ、コーラル集積地で潰れて死んでいたルビコニアンデスビートルから回収した甲殻を加工して、ドローンの纏わせた後に接近させた。

 すると、どうだろうか。かなり接近したというのに、彼らはドローンの存在を気にも留めていない。おかげでかなり肉薄した映像も取れたが、気持ち悪くなるだけだったので上層部の者達は目を逸らした。

 

「なるほど。ミシガン総長、君の言う案は採用に値する。だが、問題はある。ドローンの接近は出来たが、機体では可能か?」

「無人機で試してみればいい。武器も何も乗せる必要が無い」

 

 流石にドローンと違い、かなり大掛かりな改修が必要だしても、現状。何の手も無い彼らにとっては一筋の光明が見えた様だった。上層部は開発部へと連絡を入れていた。

 

~~

 

「結論から言えば、甲殻を纏わせた無人機が攻撃されることは無かった! だが、飛翔する為にブーストを噴かした瞬間、一斉に攻撃された。ブースターか熱のどちらに反応しているかは分からんが」

「態々、根元から行ったのか。ご苦労なことだ」

 

 ミシガンからの報告を受けたウォルターは考えていた。もしも、彼らに接近できる手段があるとすれば、アプローチの方法もあるのではないのか。自分達が最もバスキュラープラントに接近できるチャンスではないかと。

 

「この作戦に、上層部の面々はG13の起用を望んでいる。大人気だぞ!」

 

 困ったことがあれば何とかしてくれる。と、良い大人が少女に懇願している状況は滑稽極まりない物だったが、実際に成功させていることが多いんだから仕方がない。

一応、前回の任務だってアーキバスがバスキュラープラントの所有権を一時的に手放すには至らせた訳だ。

 

「だが、621だけに遂行させるのは相手が多すぎる。現場で臨機応変に作戦を指示できる人間が欲しい」

「俺も同伴を希望したが、連中はこんな作戦に手持ちを消費したくないらしい。猟犬部隊(ハウンズ)から出せるかもしれんが」

 

 ウォルターの提案を予想していたのか、ミシガンが首を横に振った。懇意にしている様に見えて、扱いは粗雑その物だった。猟犬部隊(ハウンズ)のメンバーで指揮官が出来る人間はスウィンバーン位だが。

 

「ミシガン。ちなみに、ルビコニアンデスビートルの甲殻はどれ位の重量になる?」

「武器を持たないにしても、それなりの物にはなる。少なくとも軽量は無理だ。中量でも動きが厳しくなる」

 

 本来の装甲に甲殻を付けるとなれば、かなりの重量になるだろう。スウィンバーンのガイダンスの積載量に引っ掛かる可能性は高い。……後、指揮と言う点での信用は微妙だった

 積載量の高いミルクトゥースの操縦者であるブルートゥには指揮官を任せることは難しい。ペイターはHM型使いなので、やはりこれも難しい。

 

「ミシガン。そちらの戦力さえ用いなければ、問題ないな?」

「……アイツを使うのか?」

 

 ウォルターが思い浮かんだ人間に付いては、ミシガンも心当たりがあったらしい。ただし、問題は大量に存在している。

 

「アイツは621のお気に入りだ。加入は最初から考えていた。元の鞘に収まることも出来んだろうからな――V.Ⅱ。スネイルを使う」

 

~~

 

「ってことが、あった!」

「もう、何でもありですね」

 

 守秘義務はどうした。と言わんばかりに、レイヴンはスネイルに前回の任務について話していた。一応、隣では1317が目を光らせてはいるが、こんな荒唐無稽な話をしても問題は無いと考えているのか、特に引き止めもしなかった。

 

「最終的にバスキュラープラントが折れて、終わるということにもなりかねませんが、そうすれば両企業もこんな惑星からは手を引くことでしょう」

「そうしたら、スネイルはどうするの?」

「アーキバスにも戻ることは難しそうです。かと言って、ベイラムに身を置いていれば命が危ない。ならば」

「猟犬部隊(ハウンズ)へと入る。ということか?」

 

 続きを紡ぐようにして、病室へとやって来たウォルターが告げた。一度、突っぱねた手前。具合が悪いのか、スネイルは顔を歪めていた。

 

「……えぇ。生き残るためには仕方のないことです。許可でも下りたのですか?」

「そのことを話しに来た。次のミッションでお前を起用して、成果を残せればそちらで預かりにしても良いと。傷も癒えて、ただ飯食いには飽きていた所だろう」

 

 敢えて憎まれ口を叩いているのは、彼を認めてか、あるいは焚きつけているのか。どちらにせよスネイルからすれば話しやすくはあった。

 

「そうですね。そろそろ、機体を動かさねば感も鈍る。次のミッションはどの様な物を? 内容に不備があれば、私が全面的に立案をしますが」

「レイヴンと共にルビコニアンデスビートルの甲殻を纏って、奴らに接近した後。バスキュラープラントから剥がす工作を行って貰いたい。要するに、擬態作戦だ」

 

 これには、スネイルも暫し理解するのに時間を要した。そして、怪我の癒えた万全な体調を用いての怒号が響いた。

 

~~

 

 一方、惑星封鎖機構&アーキバス。任務を終えたパイロット達が虫に対してトラウマを抱いている中、オキーフはいつもより多めに盛ったミールワームの載せたプレートを運んで来て、フィーカと共にブレイクタイムに興じていた。

 

「(山盛りのミールワームだ……)」

 

 意外と柔らかく、動物性のたんぱく質として栄養源としては重宝されているが、見た目がキモイのがネックだった。

 普段はレーションを食っているが任務後は体力の消耗を補う為に、この様な食事を取ることが多い。フィーカと一緒にミールワームを食しているのは優雅に見えるかもしれないし、奇天烈な物に見えたかもしれない。

 

「前の席、良いか」

 

 目の前に腰を下ろして来たのは、アーキバスの上層部の1人だった。普段は隊員達が食事を取る場所に姿を現すことなどあり得ないのだが、こうしてやって来たからには何かしらの用があるのだろう。

 

「構わない。用件は?」

「バスキュラープラントの件については知っているだろう。奴らに接近、工作をする為の任務として貴様が選ばれた」

 

 道理だった。情報収集や工作に関しては、フロイトよりも優れているという自負はあったからだ。

 

「分かった。ただ、接近する当てはあるのか?」

「あぁ。お前の機体にはルビコニアンデスビートルの甲殻を纏わせて貰う。擬態作戦だ。昼飯にこれだけミールワームを食う位だし、好きなんだろうという上層部とケイト・マークソンの意見も一致してのことだ」

 

 あまりに杜撰な決定理由にオキーフは飲み込もうかどうかを迷った挙句、含んでいたフィーカとミールワームの混合物を噴き出していた。

 

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