戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 スパイファミリーの映画を見て来ました。面白かったです。腹が痛い時ってああなりますよね。


依頼117件目:コールドコール「実は私、RaDに身を寄せているんだ」ノーザーク「諦めましょう」

「そう言うことで。アーキバスのパイロット達は我々の預かりになります。以後、貴方達は惑星封鎖機構に所属するということになります。反対は許しません」

 

 ケイト・マークソンの行動は早かった。星外にいる上層部達を拘束、連行し、ルビコン3に滞在するアーキバスの隊員達に通達を出していた。一方的に告げられた彼らの反応はと言えば。

 

「上層部の奴らが連行されたんだってよ。そのまま、頭の中まで漂白して欲しいよな!」

「閣下の頭髪よりも、自分の役職の方が先にハゲちまったな!」

 

 ビックリするくらい、誰も惑星封鎖機構の所業を咎めていなかった。どれだけ現場との意識の差があるかが分かる一幕でもあった。

 勿論、これはある程度彼らが職場に対する不満を抱いていることを察してのことである。上層部はアレでも、現場のヴェスパー部隊長を慕う隊員達が多いことが懸念であったが、もはや残りはV.Ⅰフロイト位しかいない。

 

「ありがとうございます。アーキバスの社員教育は良く行き届いている様です。では、各員。バスキュラープラント防衛の任に付いて下さい。これからは苛烈な攻防が予想されるでしょうから」

 

 一方的に告げられ、部隊長達を失った彼らは惑星封鎖機構の管轄で動かざるを得なくなっていた。企業や柵から解放されたという笑顔を浮かべつつ、拳を強く握りしめていた。

 

~~

 

「コーラルを吸い過ぎて幻覚を見た。という訳ではないか」

 

 帰還したスネイルとオキーフからの報告を受けて、ウォルターは頭を抱えた。最近、ずっと頭を抱えている気がする位にコーラルは摩訶不思議珍妙現象ばかりを巻き起こしていた。

 そんな彼の心労を労わることも無く、ペイターはオキーフの投降を歓迎していた。

 

「オキーフさんもこちらに来る気になったんですね! ホーキンスさんも来ましたし、ヴェスパー部隊勢揃いですね!」

「こんな時でもペースを崩さないお前には、脱帽するよ」

「ペイター君はマイペースだからね」

 

 ホーキンスが和やかに同意した。だが、そんな雰囲気に甘んじていられる状況では無くなっている。間もなくして、ミシガンが部屋へと押し入って来た。

 

「ウォルター、対策会議だ。流石にアイツらを放っておく訳にはいかない」

「ここまで来てバスキュラープラントを諦められないか」

 

 コーラルがもたらす脅威をこんなにも見せつけられて、なおも執着しているらしい。投資した分を意地でも取り戻そうと、さらなる投入を続ける様相は大損する典型的なパターンだった。

 

「あるいは、自分達ならば御せると思っているのかもしれませんね」

 

 上層部と立場の近かったスネイルは、経営陣の思考に付いても理解していた。概ね上の考えは似たり寄ったりであるらしい。

 ミシガンの要請に従い、ウォルターを始めとした猟犬部隊(ハウンズ)が付いて行った先ではレッドガンのメンバーに加えて、メーテルリンク。そして、ベイラムの上層部とRaD&解放戦線にまで通信が繋がっていた。

 

「惑星封鎖機構以外のメンバー全員が集まった。と言っても過言じゃないね」

「挨拶は良い。アレをどうにかする手段があるから、我々に連絡を入れて来たのだろう?」

 

 通信越しに上層部の苛立ちが伝わって来る。どうして、成就間際にこんなにもトラブルが重なるのか。という、憤りに関してはほぼ全員が同意できることであった。カーラが返答をした。

 

「アンタらも知っているだろうが、もはや機体でアレに近付くのは不可能だ。生物は繁殖期に、最も気が立つ。アンタらの方で映像の分析もしているだろうが、もはやフェロモンや甲殻を纏わせたりするなんて偽装じゃ役に立たない」

 

 実際、偽装を施したドローンは次々と撃墜されていたし、接近するのも困難だろう。となれば、強襲艦の様な物を用いて接近する外ないだろうが、撃墜される未来は容易く想像できた。

 如何に状況が悪いかということは、ベイラムの上層部も分かり切っている事であり続きを促した。

 

「状況説明は良い。うんざりだ。望みを言え」

「ザイレムの修繕を完了した。入植船としても使っていたから頑丈さは保証する。アイツらを迎え撃てる乗り物はコイツしかない」

 

 再三に渡る戦いで損耗していた、例の船が使えるようになったらしい。

 リークされた設計図から、ただの都市ではないと思っていたが、本当に船としての機能も有しているらしい。

 平時であればベイラムにとっても脅威となる代物であったが、こと今においては暗がりの中に差し込んだ光の様に思えた。だが、話がうますぎると上層部は踏んでいた。

 

「引き換えに何を望む。貴様らもコーラルの利権に噛みたいのか?」

「それもあるし、何より惑星封鎖機構の連中が気に入らない。銀河展開を考えているウチとしては、惑星の外に出ていけなくなるなんて御免でね」

 

 RaDも少なからず商品の流通をさせており、販路が狭まるのは避けたい事だろう。その上、コーラルの利権に噛みたいというのも、企業的に考えても十分に理解できることだった。

 

「よし。では、例の虫共を排除してバスキュラープラントが再び使えるようになった暁には、延伸工事の権利と輸出業における諸々の業務を委託しよう。そして、コーラルの権利も分け与えよう」

「よっし。話が早くて助かるよ」

 

 茶番だ。と、事情を知っている人間は頷いていた。今は企業としての瀬戸際ではあるが、オーバーシアーとしても瀬戸際である。何せ、事態があまりにもイレギュラー過ぎたからだ。

 マトモに延伸がなされていれば計画も最終段階と言えたが、こればかりは判断のしようがない。ただ、このままにしておけないから行動を起こさざるを得ないだけで、カーラが交わしている協議も体裁を保つだけの物だ。

 

「アーキバスの間抜け共は惑星封鎖機構達に内側から食い尽くされた。だが、私達はウォルター氏の誠実さを重々に承知している。期待しているぞ」

「万全を尽くそう」

「ミシガン。他の地域に関心も無くしているのか、戦力はほぼバスキュラープラント中心に集まっている。レッドガン部隊も使って、猟犬部隊(ハウンズ)の支援を行え」

 

 正式に許可も下りた。上層部からの信頼を勝ち取れているのも、これまでの積み上げが大きかった。

 アーキバスのことを揶揄している彼らではあるが、実際には自分達も似た様な状況になっているのだから笑えなかった。

 

「制限時間はどれ位だ?」

 

 任務をこなすにも前提条件を知る必要がある。この条件は同時に、この場にいる者達の命運に関することでもあった。

 

「RaDが観測したデータから推測するに、3日。それだけの時間があれば、連中の延伸は宇宙まで届くだろうね」

 

 たったの3日。未知に対して、準備をするにはあまりにも心許ない時間だった。しかし、やるしかなかない。

 

「作戦を練る! このまま、会議を続けるぞ!!」

 

 惑星封鎖機構を除く、ルビコンのほぼ全勢力が集まろうとしていた。かつてない程の合同作戦が始まろうとしていた。

 

~~

 

 傭兵集団『ブランチ』。真レイヴンをルビコンに送り出した後、追撃を退けた後。ステーション31における惑星封鎖機構の動向を観察していた。

 建造物の下部には巨大な二つのコンテナ。片方には『パラス』と呼ばれる巨大な兵器が格納されているのだが、更に巨大なコンテナ周辺では『REPAIRER』達が頻りに稼働している。

 

「(何が収納されているんだ?)」

 

 スキャンを飛ばせば即座に見つかってしまうだろう。ただ、ルビコン内で起きている事とは決して無関係では無いだろう。

 キングは考えていた。急行してACで襲撃を掛ければ、と考えたが隣には『パラス』と言う怪物もいる。

 

「キング、シャルトルーズ。レイヴンから連絡が来ました。現在、ルビコンでは企業と合同で作戦が行われようとしていると」

「動くとすれば、その時か」

 

 オペレーターからの通信に、キング達は頷く。企業をルビコンに誘致してまで行いたかった、惑星封鎖機構の完全排除。願ってもいない好機であると同時に、この惑星を巻き混んで多数を犠牲にしようとしている事態に……わずかながらの戦慄を覚えていた。

 

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