戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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依頼121件目:開幕

 レイヴン達が『パラス』の弾幕を回避する中、惑星封鎖機構はブランチの母艦へと戦力を差し向けていた。

 

「キング、シャルトルーズ。敵機、エクドロモイ多数! 装備は『EP(エネルギーパイル)』! 母艦狙いです! その他にも特攻兵器を確認!」

「了解! パルスプロテクションを展開する!」

 

 キングは敵部隊の構成を予想していたのか、特攻兵器の軌道上にパルスプロテクションを起動した後、迎撃に向かう。

 特攻兵器が設置されたパルス防壁に向って衝突し、爆散していく中。僅かな遅れと共にエクドロモイが殺到する。

 

「コード23。これより敵母艦への攻撃を開始する」

 

 彼らはアンバーオックスとアスタークラウンの足止め担当とブランチの母艦への攻撃担当と分かれて、行動をしていた。

 重力に囚われないエクドロモイ達の動きは素早く、瞬く間に2機へと張り付いた。タンク型と重量4脚である彼らは近接戦を不得手としているはずであり。

 

「邪魔だ」

 

 必殺のエネルギーパイルがコックピットへと目掛けて放たれようとしているのに、キングは一切の動揺も見せず、至近距離で『VE-60LCA』をエクドロモイに叩き込んでいた。

 似た様なシチュエーションに追い込まれていたシャルトルーズの方は、至近距離で『VP-60LCD』レーザーショットガンをぶっ放して、ハチの巣にしていた。

 

「流石アリーナ上位と言った所か。行け」

 

 仲間が撃破されたが、惑星封鎖機構の面々の統率に乱れはない。如何に、彼らが本気で自分達を叩き潰すつもりでいるかを察した。

 

「(レイヴン。何とか持ちこたえるつもりではいますが。早期の決着を)」

 

 2機のACに守られていたとしても、対艦装備のエクドロモイが相手では厳しい。迎撃の為に対空砲を用いながら、オペレーターはレイヴン達の帰還を待っていた。

 

~~

 

 パラスの猛攻撃を掻い潜り、座標データに示されていた衛星砲内部へと繋がる入り口を発見したレイヴン達は突撃をしていた。道中、侵入者を迎撃する多数のトラップや無人兵器が待ち構えていたが、彼女達にとっては足止めにすらならない。

 そして、降り立った先は開けた空間だった。ゲートを背後に1機の機体が門番の様に立ちはだかっていた。ロック・スミスだ。

 

「嬉しいな。まさか、ルビコンで最強のパイロットが二人も来てくれるとは」

 

 ルビコンにおけるトップ3が揃っていた。その二人を相手取るというのに、フロイトの声には緊張よりも喜悦が色濃く滲み出ていた。

 

「621。やるぞ」

『レイヴン。来ます!!』

 

 空間内の壁面が剥離し、それらはオービットとなってレイヴン達を取り囲んだ。限られた空間を埋め尽くす様にコーラル製のレーザーが迸る。

 『A.NUL』がコーラルバリアを展開しつつ回避行動を行う中、ブランチ・レイヴンのナイトフォールは、自分に向って攻撃して来るオービットに対してのみ『RF-025 SCUDDER』アサルトライフルで反撃していた。

 

「落ちろ」

 

 オービットによる洗礼を潜り抜けたナイトフォールが、ロック・スミスに向けて『PB-033M ASHMEAD』を放つ構えを取った。

PB-033M ASHMEAD』を放つ構えを取った。

 しかし、フロイトがオーシレーターから発振させたコーラル刃で腕部を切断しようとした所で、ブランチ・レイヴンはアサルトアーマーを展開した。

 

「ブラフか」

 

 カウンターを放とうとしたタイミングに不意を突いたアサルトアーマー。並大抵のパイロットでは不可避の一撃だったが、フロイトは自機の周辺にオービットを誘導して、自らを覆うバリアを形成していた。

 

『あの動き。以前、コーラル集積で見せたシールド的な用い方を進化させていますね』

 

 ナイトフォールから放たれたアサルトアーマーにより、バリアを形成していたオービットの内、数基が爆散した。

 今までフロイトと相対したパイロット達が翻弄され、オービットを破壊することも敵わなかった中。ブランチ・レイヴンは早々に落としていた。

 そして、この隙を逃すレイヴンではない。彼女もまた変形した状態で突っ込み、翼状に展開したコーラルブレードで切り裂こうとした。回避できない様に、周囲にコーラルミサイルをばら撒きつつの突進を繰り出していた。

 

「相変わらず激しいな」

 

 しかし、フロイトは攻撃を避ける所か。むしろ、自身もレイヴンへと突っ込んでいき、自機の前面に数基のオービットを重ねてコーラルシールドを展開した。

 互いの機体が交差する瞬間に遣り取りは行われた。フロイトは正面から突進を受け止める様な真似はしなかった。

 衝突の寸前、彼は『A.NUL』の下部にコーラルシールドを展開させたオービットを潜り込ませると同時に一気に上昇させた。当然、それに釣られて進行方向もずれる。

 

「お……」

『レイヴン。前方にオービットパイルを確認』

 

 無理矢理、突進の機動をずらされた先にはレーザー刃を展開させたオービットが待機しており、このまま突っ込めば先端から串刺しにされることだろう。

 しかし、レイヴンは慌てることなくコーラルキャノンを用いて前方に展開されていたオービットを破壊していた。着地と同時に『A.NUL』が人型形態へと戻る。

 

「面白い。やはり、戦いとはこうでなければな」

 

 オープンチャンネルから漏れるフロイトの声は依然として喜色に満ちている。その声に乗る感情がどうしても理解できず、ブランチ・レイヴンが問うた。

 

「惑星封鎖機構の思惑が成就すれば、人類の文明が後退する。お前はそれでいいのか?」

「構わない。窮状の打開を試みる者の中からこそ、俺の好敵手になり得る存在は現れる。丁度、お前達がこの場にいるように」

 

 ブランチ・レイヴンは惑星封鎖機構による搾取をされている現状を打破すべく、ルビコンに企業を呼び込んだ。そして、レイヴンは迫り来る惑星の危機を回避すべく、ここにいる。

 

『彼にとって、利益とかそう言うのは興味が無いのですね。全ては、戦いの為。目的と手段が入れ替わっている』

「さぁ、続けようか。全ては回り始めたぞ」

 

~~

 

「そうですか。フロイトが交戦に入りましたか」

 

 報告を受けたケイト・マークソンはモニタを見ていた。たった1機で、2人の最強を相手にする実力に関しては多少の驚きは見せていたが、直ぐに思考を切り替えていた。

 

「惑星封鎖機構員に通達。パラス内部に侵入者を確認、予備プラン『ケレス』を起動させます。直ちに配備に着いて下さい」

 

 彼女の命令に従い、惑星封鎖機構員達が移動していった先。そこにはパラスの隣に吊り下げられていた巨大なコンテナがあった。

 外装が取り払われ、現れたのは巨大な戦艦だった。その全長はザイレムにも比肩しうる程の物だった。

 

「衛星砲で終わらせられるなら、それに越したことはありませんでしたが、こちらの方も動かしておきましょう」

 

 フロイトの勝算が薄いと判断したのか、ケイトは機体や兵器を搬入させたケレスをルビコンへと向かわせ始めた。

 

――

 

「不味い。やっぱり、向こうも似た様な物を持っていたか」

 

 この動きを察知したのはカーラだった。衛星砲の停止を確認するまで、ザイレムを待機させていたが、このままでは飛び立つ前に沈めかねられない。

 

「ボス。こちらも浮上させるか?」

「頼む。ベイラムの方にも通達してやれ! 向こうもデカイの持ち出して来たってね!!」

 

 チャティの問いかけに対し、カーラが号令と共に返事をした。直ぐに乗員達が発進準備を始め、パイロット達は機体に乗り込んでいた。

 

「あぁ。もう、なんか遠い所に来てしまいましたね」

 

 詐欺師でしかなかったノーザークも戦いに身を投じるハメになっていた。十分に稼いだのだから、さっさと惑星から出て行きたいというのにこんなことになってしまっている。そんな彼の嘆きに、豪快な笑い声が応えた。

 

「ここまで来たら、最後まで行ってやろうじゃねぇか! 俺は無敵(インビンシブル)・ラミー。ビジターは最強。だから、お前は詐欺師……って言うのは聞こえが悪ぃな。魔術師だ! 魔術師なんてどうだ!」

「貴方にしては妙に洒落ていますね」

 

 コーラルを吸引しすぎて脳みそスッカスッカと思っていた相手から、思いもよらぬワードが出て来たことに多少驚いていた。

 

「何、コーラルも詐欺も目じゃない位の出来事ばっかり見て来てんだ。魔術師なんかも大したことねぇ。この戦いだって、なんとかなっちまうっての」

 

 まるで根拠のない戯言であったが、淡々と事実を語られるよりかは余程気が楽にもなる。

 

「そうですね。私の借金だって全額返済できたんです。悠々自適な生活は目の前まで迫っているんですからね! これ位、切り抜けてやりますよ!!」

 

 ザイレムの格納庫。来るべき最大の決戦が控えているというのに、アリーナ底辺組の笑い声が響いていた。

 

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