戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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依頼126件目:AM「もしやと思うのですが、私のオリジンも結構脳筋では?」

 現在、カーマンライン付近の制空権を握っていたのは企業連合でも無ければ惑星封鎖機構でもない。おおよそ、知性たる物が垣間見えない巨虫達だった。

 バスキュラープラントへと接近して来るザイレムを落とさんとばかりに大量のルビコニアンデスビートル達が上層街区に降り立って来る。

 

「ジジジジ。ジッ」

 

 企業連合も惑星封鎖機構も無く。同胞以外は全て敵と言わんばかりに攻撃を仕掛けていた。甲板だけではなく、船体にも取り付いている為、ザイレムも進行速度を落とさざるを得なかった。

 

「日系の慣用句には、飛んで火にいる夏の虫。という言葉があるが。この状況ほど打って付けな物はあるまい」

 

 もはや外から飛来して来るエクドロモイ達よりも優先的に対応するべきと判断したのか、六文銭もザイレムへと降りて脅威への対処に当たっていた。

 辺りには、企業と惑星封鎖機構の機体の残骸が転がっている。そこら中で激戦が繰り広げられている中、数機は明らかに違った動きをしていた。

 

「(奴ら。特命を帯びているな)」

 

 他の機体達が目の前の脅威に対抗するので手一杯な中、彼らには目もくれず、ザイレム内部への侵入を試みている者達がいる。そんな彼らの進路に立ちふさがるのは、防衛戦力のエース。ラスティだった。

 

「先へは進ませない」

「コード5。ヴォルフを発見、対処に当たる」

 

 数機が前に出て、スティールヘイズ・オルトゥスを抑え込み、他の機体はザイレムの内部へと侵入を試みる。六文銭の判断は早かった。ラスティの助太刀へと入る。

 

「助太刀致す」

 

 惑星封鎖機構側に驚いた様子はない。最初から追跡されていたことには気づいていたのだろう。

 

「たかが、殺し屋風情が。趨勢を読み間違えた様だな」

「貴様らこそ。仕える相手を見誤ったようだ」

 

 エネルギーパイルと『44-143 HMMR』プラズマスロワーがぶつかり合う。ラスティもまた交戦を始める。しかし、これがどれだけの効果があるかは疑問だった。

 

「(内部へと繋がる入り口の多くにはシャッターが下ろされ、侵入経路が限られているとは言うが。どれほど持つのか?)」

 

 今回の様な事態に対応する為、予めザイレム内部へと繋がる入り口の多くは封鎖されていた。しかし、惑星封鎖機構の機体を持ってすれば時間は掛かるが突破される代物だ。

 では、敢えて入り口が開かれている場所があるとすれば、それは船の主が敢えて開けておいたという外ない物だ。

 

~~

 

『ようこそ、ビジター。盛大に歓迎するよ』

 

 内部へと侵入した惑星封鎖機構の部隊を待ち受けていたのは、大量のトラップだった。MTのみならず、汎用兵器も取り揃えての迎撃は兵器の見本市と言っても良い代物だった。

 しかし、突入部隊の任を背負った者達の技量もまた並々ならぬものだった。迫り来る攻撃を避けながら、機関部へと向かって進んでいく。

 

「待て」

 

 先陣を切っていた隊長格の男が制止を掛ける。進行方向には、彼らも見知った機体が待ち構えていた。

 

「説明は不要か。脅威はお前達が良く把握している事だろう」

 

 特務機体『AAS02: CATAPHRACT』。閉鎖空間において、この重戦車が所有している火力は対峙した物の生存を許さない程の脅威であるが、彼らに恐怖は皆目見当たらない。

 

「鹵獲兵器を発見。破壊する」

「ビジター。歓迎するぞ。盛大にな」

 

 互いの母艦内にまで戦火は広がっていく。外では虫が暴れ狂い、内部では互いの精鋭達が鎬を削っていた。

 

~~

 

 同じ様にして、惑星封鎖機構の母艦ケレス内部の攻略も進んでいた。逐次スキャンを掛けながら、場所の分からない機関部を目指していく。

 

「妙だな」

 

 無人機やトラップを掻い潜りながら、ナイルは眉間に皺を寄せていた。

 敵母艦内部にしてはあまりに戦力が少ない気がした。多数のトラップと無人機による妨害はあるが、侵入者を迎撃するには心許ない様に感じた。

 

 

「表に戦力を放出しすぎている。とかかな?」

 

 ホーキンスが思い当った理由を述べてみたが、しっくりと来ない。

 惑星封鎖機構が持つ資源がどれほどの物かは分からないが、これほどの巨大母艦を落とされたら手痛い損失を被るハズだが、扱いがぞんざいな様に思えた。

 

「コイツはデカいだけのハリボテかもしれんな」

 

 ミシガンとしても腑に落ちない所だった。何の為にその様な物を作ったのか? アレだけの技術力を見せて来た惑星封鎖機構が、こんな決戦の場に虚仮威しを持って来るとは思えなかった。

 

「あまり良い予感はしませんね。ご友人、早急に落とした方が良さそうです」

『単純に、この質量をザイレムにぶつけられるだけでも相当に不味いからな』

 

 カエサルの言う通り。この船自体に特別な武装が積んでいなかったとしても、体当たりをされただけでもザイレムには深刻な被害が出かねない。

 攻略を再開する。やはり、特別強力な機体が出て来る訳でもない。『ゴースト』を織り交ぜた無人機の襲撃はあるが、散発的な物である。

 立ちふさがる障害と言う意味では脅威度の低い物であったが、却って彼らの焦燥感を駆り立てた。まるで、最初から攻略されることを前提にしている様な作りであったからだ。そんな彼らの不安の答えは、辿り着いた先にあった。

 

「ハハハ。こりゃ、何のジョークだい?」

 

 ベテランのパイロットであるホーキンスでさえ、この様な反応になってしまう程の物があった。大量のタンクが並んでいた。スキャンを掛ければ中身はコーラルで満たされている。

 そして、その付近にはジェネレーターがあった。ただし、その温度は急上昇している様で何を起こそうとしているのか、直ぐに理解した。

 

「最初からこの船を爆弾として!」

 

 船内に一斉にシャッターが降りていく。幾重にも何重にも降ろされ、ACの手持ち火器では破壊出来ない程の堅牢さへと変貌していた。

 

「これは、ご友人に対しても行った戦法ですね。惑星封鎖機構はどうにもパイロットの技量に関わらず、確実に殺せる方法を好むようです」

 

 特別に強い機体を用いず、膨大な資源を用いての圧殺。個人を殺すには十分すぎる手法であり、この船を爆弾として使えば内部に侵入したエース達を潰すだけでなく、ザイレムへの被害に加えて、大量のコーラルを頒布する事による、虫達への成長促進も兼ねているのだろう。

 

「つくづく合理的だな。……俺達が出来ることがあるとすれば」

 

 ナイルが見据えた先。そこにはオーバーロードを始めたジェネレーターがある。これらをどうにかするべく、彼らはルビコンの命運をかけた命懸けの修繕へと乗り出した。

 

~~

 

「……なんだ?」

 

 ブランチの母艦を防衛していたキングはとある変化に気付いた。武装隕石である『パラス』がルビコンへと向かって行く。態々、自分達ではなく惑星へと向かって行く意味を考えて、程なくして通信から答えが聞こえた。

 

「キング、シャルトルーズ。あの隕石はルビコンへと向かおうとしています。落下地点は……カーマンラインのザイレムとケレス付近です!」

「なんだと!?」

 

 まさか、衛星砲だけではなく、こんな原始的な方法を用いて排除に動くとは思ってもいなかった。今直ぐにでも迎撃に向かいたいが、ACではどうしようもない。

 そもそも、自分達の母艦も大分危険な状態にある。一部の区画では爆発が起き、耐久値の方はかなり危ういことになっているのだ。

 惑星封鎖機構側が優勢になっていることもあり、襲撃者であるエクドロモイ達の動きからも士気が高揚していることが伝わって来る。

 

「そうだ! 我々惑星封鎖機構こそが秩序だ! 我々が平和(ミール)を築く! ルビコンから発した遣いによって!!」

「虫けらを有難がっているんじゃないよ!」

 

 シャルトルーズが放った『VE-66LRB』レーザーが直撃して、エクドロモイが機能を停止させた。瞬間、アンバーオックスが大きく揺れた。背後からエネルギーパイルで貫かれていた。

 

「シャルトルーズ!!」

「まだくたばっちゃいない!」

 

 直ぐに、襲撃者に返礼を浴びせた。しかし、既に耐久値は限界間際まで来ていた。このままでは物量に圧殺されるのも時間の問題だった。

 宇宙と空の両面。惑星封鎖機構が持つ膨大とも言える資源により、企業連合は磨り潰されようとしていた。

 

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