戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 最近猫ミームにハマっちゃって……。


依頼134件目:オールマインド「もしや、皆さん。私のことを忘れてませんか?」

 ヴォルタのキャノンヘッドは甲板上を走行し続けていた。

 先の遣り取りで地上部から砲撃をしていた者達の数が減り、その分ターゲットが自分やリング・フレディに集中するようになっていた。

 タンク型は高耐久であるが機動性が低い訳ではない。むしろ、走破性に関しては他の脚部を上回ることさえある。ただし、垂直方向に関する機動は苦手としていた。

 とは言え、空中にいる相手へ対処することまで苦手という訳ではない。むしろ、タンクとしてはそう言った相手を葬ることも得意な分野であったが、如何せん。戦場と相手が特殊過ぎた。

 

「(なんで、あの図体であんな高速機動が出来る?)」

 

 カーマンライン付近ということもありブーストが尽きないこと。重量機体の癖に、軽量機並みの機動性を持っていること。ACに積んでいる火器では捕捉することが出来ない。

 それでいて、並列処理能力もすさまじいのか。空中戦を繰り広げながらも地上部への牽制は怠っていない。リング・フレディの機体に高速追尾ミサイルが命中し、上半身の大半が吹き飛んだ。

 

「これでも。アセンブルには結構自身があったんだが、ここまで役に立たないとは思わなかった。……すまない、先に離脱する」

 

 コックピット部分には被弾していなかったのか。車椅子の愛称で知られる軽量タンクだけで動き、船内へと下がっていく。……地上部での砲台は残す所、ヴォルタだけとなっていた。

 彼はよく似た状況を経験したことがあった。かつて、ルビコン解放戦線の要塞とまで言われた『壁』の任務に当たっていた時だ。引き連れて来た部下達も撃破され、単騎となった時は死を覚悟していた。だが、今はこうして生きている。

 

「仕事増やしやがって」

 

 高速で飛来して来る追尾ミサイルを迎撃しつつ、彼は単機で地上部からの支援を続けていた。

 一方、空中でも激戦が繰り広げられていた。軽量~中量二脚が中距離からの戦闘を仕掛け、四脚は援護に回ると言った形を取っていた。

 オーダーが彼らに襲い掛からない様に押し止めているのは、六文銭やラスティ。そして、ドルマヤンなどの様に近接戦闘を得手としている者達であった。

 更に彼らの後詰めとして、レイヴンが二丁の『SG-027 ZIMMERMAN』の引き金を引いていた。

 

「帥父達が抑えてくれている状況を無駄にするな! 撃て!!」

 

 ミドル・フラットウェルの号令と共にミサイルなどの誘導兵器が放たれる。高速機動を取っている間は命中させるのが難しくとも、動きを抑えてしまえば当てることが出来る。

 ただし、それは近接戦闘を仕掛けている者達にもフレンドリファイヤを起こしてしまいかねない程、危険な戦法でもあった。

 フラットウェルの機体『ツバサ』から『IA-C01W3:AURORA』による光波キャノンが放たれ、多数のミサイルやオービットが射出されオーダーへと襲い掛かる。

 

「散開!」

 

 今度はドルマヤンの号令が響いた。このルビコンで長きに渡り戦い続けて来た男であり、レイヴンにも近しい能力を持っている彼には周囲の状況が手に取る様に把握できていた。

 ラスティは天性の技量、レイヴンもまた先読みの能力もあってフレンドリファイヤに巻き込まれる前に離脱していたが、六文銭だけは反応が遅れてしまう。

 

「私ばかりが攻撃を食らっても不公平ですからね」

 

 オーダーの両腕と脚部から生えたアームにより、六文銭のシノビが拘束された。しかし、彼もまた暗殺者として生と死が入り混じる戦場に生きて来た男であり、反応は早かった。

 

「南無三!!」

 

 コックピット部分だけが射出されカーマンライン付近から落ちていく。

 拘束されたシノビのジェネレーターはオーバーロードからの爆発を巻き起こしていた。機体の破片がオーダーへと襲い掛かったが、大したダメージにはならず。むしろ、解き放たれた機体は獣の様に暴れ始めた。

 

「サム! レイヴン! 掴まるのだ!」

『早く駆け付けませんと!』

 

 スティールヘイズ・オルトゥスは自力で追いつけるが、レイヴン達の機体では難しい。SOLに掴まって駆け付ける合間に、援護に徹していた者達が次々と狙われて行く。……真っ先に狙われたのは五花海の鯉龍だった。

 

「皆さん!! 後は任せましたよ!!」

 

 両手に構えていたミサイルを背面へとマウントして、代わりに取り出したのは『PB-033M ASHMEAD』と『MAJESTIC』だった。

 放たれたバズーカ弾は容易く避けられ、ツィイーの様にパイルバンカーをぶち込もうとしたが、左腕は宙を舞っていた。

 

「自分の実力に嘘はつけませんでしたね」

「五花海!」

 

 イグアスの叫びも空しく、鯉龍の機体はバラバラに引き裂かれてカーマンラインから落ちて行った。このままでは各個撃破されると踏んだのか、ホーキンスのリコンフィグが『Vvc-770LB』レーザーブレードを展開して抑えに入った。

 

「同じ5番同士だから補足させてもらうけれどね。ここに来た彼の心意気に嘘は無いよ?」

「妄想するだけなら誰にでも出来ますからね」

 

 直ぐに切り返そうとした所で、オーダーは背後から飛来して来たバズーカ弾を切り裂いていた。飛んで来た方を見ればHM型と追従する様にスッラのエンタングルが接近していた。

 

「優秀なAIの癖に複数を相手にする自信はありませんか? ビビりを合理性とか言っちゃうタイプですか? これなら、貴方のコピーの方がよっぽど格好良かったですねぇ!」

「いや、奴はただのバカだが」

 

 ペイターからの挑発は元より大勢に囲まれて動きを止めてしまえば、更に拘束される可能性がある。先と同じ様に拘束しようと隠し腕を用いて掴み掛るが、既にリコンフィグはチャージを終えた『Vvc-760PR』を構えていた。

 

「そう言うの、馬鹿の一つ覚えって言うんだよ。知っていた?」

 

 ペイターから何故慕われるのかという片鱗を見せながら、彼は至近距離でプラズマライフルの一撃を浴びせた。

 オーダーのアームが一部千切れ飛び、クールタイムを終えた『Vvc-770LB』のレーザー刃を展開した瞬間、オーダーの全身から赤いパルス波が迸った。

 

「誘い水って言うんですけれど。知っていましたか?」

「二人共! 引いて!」

 

 スッラは長年の勘から直ぐに回避行動に移れたが、ペイターは判断に一瞬の時間を要した。ホーキンスがブーストを吹かして、接近して来たHM型を蹴り飛ばした刹那、オーダーから発されたアサルトアーマーの様な衝撃波を浴びてリコンフィグは爆発を引き起こして落ちていく。

 

「ホーキンスさん!?」

「後で迎えに来て!!」

 

 ほんの一瞬だったが、モニタに映ったコックピット内では小規模の爆発が起きていた。精神的な動揺は最小限に抑えつつも、距離を取られたことに変わりは無く。オーダーが次に向かった先に居たのは、フラットウェルだった。

 

「帥叔!」

「ラスティ! 帥父を頼んだぞ!」

 

 振り切るのは不可能と判断したのか、フラットウェルはオーダーを誘導するべくレイヴンやドルマヤン達の方へと向かってブーストを吹かしたが、ケイトは擦れ違い様に彼の機体を両断していた。

 落ちながら爆散するツバサを傍目にSOLに掴まった2機とHM型とエンタングルの計4機がオーダーを取り囲んでいた。

 

「G13達が囲んだ! 今度は俺達もパーティ会場に集合だ! ただし、先の一撃を忘れるな! 一網打尽にされるかもしれんぞ!」

 

 ミシガンも攻勢気味な号令を飛ばしていた。ホーキンスの一撃でアームを潰されたことから、近接戦が仕掛けやすくなったと判断されたのか、援護をしていた者達も間合いを詰め始めた。

 

~~

 

 船内に避難したと言っても、決して安全と言う訳ではない。スウィンバーンは自らに応急処置を施した後、皆と一緒にリング・フレディが操縦するボロボロなキャンドル・リングとメーテルリンクの中破状態の機体に乗って避難していた。

 

「何処に逃げ場があるって言うんですか!」

 

 ノーザークが悲鳴を上げるのも当然のことで、あの付近にいれば流れ弾で吹っ飛ぶ可能性は十分にある。では、船内の何処に居れば安全かなど分かった物ではない。

 

「……なぁ。この船ってどうやって操縦してんだ?」

 

 そんな折、ラミーの口から突拍子もない疑問が出て来た。

 現在、この船を動かしていると思しきケイト・マークソンは皆の相手をしている。では、一体誰が操縦を?

 

「そうか。そもそも、我々の目的は別にケイト・マークソンを倒すことではない。あのバスキュラープラントを伐採できればいい。その障害となっている、この船を避ける事が出来れば!」

 

 レッドもまた別の可能性に思い当っていた。何も、この船を沈める必要が無い。

 伐採用に改造したザイレムがバスキュラープラントにさえ辿り着ければよいのだから。故に、この船のコントロールルームへと向かう案は、今の自分達に出来る最良の事とさえ思えた。

 

「スウィンバーン。心当たりは?」

「探索ルートについては、各員で共有はしていたが……」

 

 ペイター達が通って来たルート。ミシガン達が通って来たルート。そして、自分達が通って来たルート。この3つを合わせれば、おおよそケレス内の構造で言っていない場所と言うのは限られる。……それは、同時に船内に設置された脅威が排除されていないということでもあるが。

 

「行くしかあるまい」

 

 このまま待ち呆けていても状況が有利になることは無い。こんな体でも出来ることがあると信じて進んだ先に居たのは、無人機でも汎用兵器でもなく。

 

「エイシャァアア…」

 

 外で飛び回っているハズのルビコニアンデスビートルだった。

 しかし、何かしらの満足をしているのか。暴れ出すことも無く、その場で横たわっているだけだった。……出てきた場所を覗いてみれば、機械の残骸が散乱していた。

 

「進むか」

 

 この中で隊長らしいことが出来るのは、現在レッド位であった為。彼らは慎重にルビコニアンデスビートルの脇を擦り抜けて、船内の探索へと向かった。

 

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