戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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依頼16件目:ポンヨー!!(勢いだけ)

 バートラム旧宇宙港へと移動していたレイヴン達は、周囲で多数のMTやACが待機していることに気付いた。彼らを見て、ペイターは不快そうに呟いた。

 

「全く。この乞食共は何処から情報を掴んで来るんだか」

「機器の点検や通信回線には細心の注意を払っている。誰かにマーキングされているということは無かった」

 

 ウォルター程の男が言うならば、外部から情報を取られているということは考え難かった。だとすれば、残るは621から漏れるパターンだが。

 

「お。おっー」

 

 ブリーフィング時に呑んでいたミールワームジュースが効いているのか、表情が恍惚としていた。とてもではないが、戦場に向かう者の表情とは思えなかった。

 

「あふぅ」

「ほら、口が汚れているぞ」

 

 ゴロゴロと寝転びながら、1317に口を拭かれている様子に威厳は微塵も存在していない。ここから情報が漏れる可能性も低いと考えていた。作戦遂行者であるはずのだが、概要などについて全く理解して無さそうだった。

 

「あるいは、もっと原始的な方法かもしれないな」

「特定している。という訳ではなく、惑星封鎖機構が拠点を構えている近くに待機しているだけ。とか?」

 

 ペイターと621を除く皆が頷いた。虎視眈々と機会を窺っている、と言えば聞こえは良いが、企業による作戦に味を占め、何時までも切り株を眺めている進歩のない連中と言う風にも考えられた。

 

「全く! 卑しい連中だ! だが、見ていると良い。私とレイヴンの双翼がルビコンに蔓延る惑星封鎖機構を切り裂く瞬間を!」

「んひぃ」

 

 ペイターが無遠慮に621の肩を抱いたが、衝撃で彼女の口と鼻から赤色の煙が吐き出された。

 

『セクハラです。セクハラマン』

 

 何処でそんな言葉を覚えて来たのか。エアは声色に軽蔑感を滲ませながら、ペイターと言う人物を評価していた。

 一同がコントを繰り広げている内に目的地はさらに近付いて来た。2人は機体に乗り込み、出撃準備を待つに至り……そして、小高い丘の上に着陸した。

 

「ミッション開始だ。停泊中の強襲艦を破壊していけ」

「分かった!」

 

 ウォルターから作戦開始の合図が告げられ、ペイターが飛び出すと同時に基地全体に警報が発令された。

 

「コード15。侵入者を捕捉、基地全体に共有。相手はレイヴンとアーキバスの強化人間だ。排除しろ」

 

 惑星封鎖機構のMTとLCが臨戦態勢へと移り、設置されていた砲台や無人兵器の砲口が彼らに向けられる。

 しかし、いずれもペイター達を捉えるには至らなかった。レイヴンが先行し、重ショットガンで周囲に破壊をばら撒き、あるいはアサルトブーストの推力で得た勢いを使っての蹴りを使って次々と粉砕していき、取り残した物をペイターがパルスガンとパルスブレードで潰して行く。

 

「二人共、派手にやっているな。私の方でも始めるとしよう」

「ラスティさん! お願いします!」

「お願いね!」

 

 2人の襲撃タイミングを見計らった様にして、通信先のラスティも行動を開始した。彼が作戦を遂行できれば、増援の妨害も見込める。自分が出来ることを為すべきだと、ペイターの操縦桿を握る手に力が籠る。

 

「(私は出来ることをするだけだ)」

 

 普段は共感性や配慮と言った物が見当たらない行動をするペイターであったが、作戦中となれば話は別だ。

 彼はレイヴンの作戦記録に悉く目を通していた。機体の挙動や癖、任務の達成方法など。これらを研究した結果、自らがなすべき動き方は彼女のサポートに徹することだと判断していた。

 

『先の洋上都市での作戦においては、ドルマヤン氏も見事なサポートでしたが、こちらもかなり動きやすいですね。レイヴンの動きをよく研究しています』

 

 先程までは大言壮語のセクハラ男と考えていたが、エアは感心していた。

 彼女は奔放に破壊を振り撒くが、どうしても見逃しやすい死角などは存在する。エアも適宜サポートは入れているが、それでも対処しきれずに被弾をする。ということは往々にしてあった。

 だが、ペイターはそう言った場所へのケアを欠かさなかった。砲台や潜伏していたMTの撃破、あるいは機動力の高いLCをレイヴンの射程内へと追い込むなど、見事なサポートだった。

 

「ばーい」

「とぅ!」

「ぐわぁああああああ!!」

 

 追い込まれたLCは重ショットガンにより機体の制御を揺さぶられ、更にもう一撃ぶち込まれた挙句、ペイターのパルスブレードに切り裂かれて爆散した。

 

「さぁ! レイヴン! この調子で強襲艦を破壊して行こう!」

 

 彼らの進撃は留まることを知らない。停泊していた強襲艦も次々に撃破していく。搭載されている副砲や迎撃に出て来たMT達も攻撃を加えるが、いずれも翻弄され雪原に散っていく。

 

「順調な様だな、戦友。こちらでも攪乱を続けているが、連中の復旧作業が予想以上に早い。この通信妨害は長く持たないだろう」

「了解です!」

 

 レイヴンの代りにペイターが返し、広大な宇宙港を駆けては強襲艦を破壊していく。このコンビによる破壊は想像以上に迅速に行われた為か、粗方排除し終わったのを見計らい、ウォルターから通信が入って来た。

 

「621、ペイター。基地内に停泊していた全強襲艦の破壊を確認した。直ちに帰投しろ」

「はーい」

「ふむ、ラスティさんの作戦と見事に噛み合いましたね。後はあの乞食共に束の間の夢を見せてやりましょう」

 

 作戦内容に満足しているのか、ペイターは非常に上機嫌だった。

 通信が復旧すれば、駆け付けた惑星封鎖機構の増援によって彼らは排除されるだろうが、知ったことではない。

 

「分かったー」

「待て、地上部から接近する反応がある。備えろ」

 

 作戦区域から離れようとした時、ウォルターからの通信に反応してレーダーの方角を見れば、地響きを上げながら近づいて来る巨体があった。

 巨大な戦車の様に見えたが、中心部分には人型のMTが挟み込まれている。32連装のミサイルランチャー、4門のガトリングと6門のガトリングが2基。そして、9連装のレーザー砲を備えた、動く火薬庫。

 

「重騎兵(カタフラクト)!?」

 

 ペイターもデータだけでは知っていたが、まさか配備されているとは思っても居なかった。全武装から殺意の塊と共にオープンチャンネルでパイロットの叫びが聞こえた。

 

「レイヴゥウウウン!! 貴様だけは、貴様だけは!!」

「誰?」

「この声、燃料基地でエクドロモイに乗っていた……」

 

 レイヴンは全く覚えていなかったが、ウォルターは直ぐに思い出した。

 あの燃料基地で軽装歩兵(エクドロモイ)のパイロットだった特務少尉と呼ばれていた男の物であると。

 

「貴様らが口にする虫けらを食ってでも生き延びたのだ! 許さんぞ! 惑星封鎖機構の秩序を脅かす無法者共が!!」

「美味しかったでしょ?」

「ふざけるな!!」

 

 返事と共に大量の弾丸が吐き出された。基地に殺到して来たMT達もカタフラクトの存在に気付いたのか、慌てて逃げ出していたが、特務少尉は彼らに向けても攻撃を放っていた。

 

「死ね! 死ね! 乞食共! 未開発惑星の土人共が!!」

 

 悲鳴と爆音が響く中、攻撃を避けていたペイターは嗚咽を漏らしていた。

 

「うぅ。彼らが私達の為に命を散らしていると思うと、この胸が、この胸が……! スカっとする!」

『本当に腕以外は最低ですね、この人』

「ねー」

 

 無思慮のレイヴンでさえ擁護できない人間性だった。ただ、そんな倫理観皆無の発言をしていた罰が当たったのか、ラスティから焦燥感に満ちた通信が入って来た。

 

「二人共、不味いことになった。通信が復旧して、そちらに強襲艦が向かった。私も向かっているが、先に到着されるかもしれない」

「え?」

 

 遠方に見える強襲艦から、高速で接近して来る2つの機影があった。

 空戦型機体の開発を得意とするアーキバスグループの機体をさらに洗練昇華させた機体。LC高機動型とHC型だった。

 

「相手は…上級尉官の執行機か」

「ラスティ!」「ラスティさん!!」

 

 程なくして、ラスティもミサイルを始めとした殺意の塊が飛び交う戦場へと到着していた。

 

「コード15。排除目標を確認」

「システム承認。これより、重騎兵(カタフラクト)と共同で対象の強制排除を執行する」

 

 3機と3機が睨み合う。技術力では圧倒的に惑星封鎖機構に分があり、繰り出される砲火の威力は比べるべくもなかったが。

 

「向こうも3機。こっちも3機。やってやろうじゃないか、戦友、ペイター! なぁに、スネイルの怒りを収めるよりは簡単さ!」

「でしょうね!!」

「受ける―」

 

 死を覚悟しなければならない相手ではあるが、ラスティが口走ったジョークもあり緊張感は見当たらないまま、3機はそれぞれの相手へと向かって行った。

 

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