戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 色々と他の物を書いたりしていて、次話の投稿が遅れました!!


1周年記念:『彼女の夏休み』 10

「駄目だ。溶けちまっている」

 

 ルビコニアンカイコが破った繭を解析して有機素材として利用できないかと考えていたカーラであったが、出てくる際に分泌した消化液のせいで溶けて使い物にならなくなっていた。

 

「故に、繁殖をさせつつ繭から絹を取る。と言うことは出来んのだ。もしも、素材として得たい場合は中身を殺すしかなかったが」

 

 六文銭が視線をやった先では、安全が確認されたルビコニアンカイコとレイヴンが戯れている光景だった。と言っても、レイヴンが一方的にカイコに乗ったりしている位なのだが。

 

「モフモフだよ。モフモフ!!」

「レイヴン。まだ、安全性は暫定的な物ですから」

 

 横ではエアがあたふたとしていた。当の本虫はと言うと、特に何とも感じて無さそうだった。そんな二人を、ドルマヤンとセリアが間近で見守っていた。

 

「美しい光景だと思わんか。セリア?」

「何が美しいのだ?」

「稚児がルビコニアンの恵みと戯れている。まるで、おとぎ話のような穏やかな光景ではないか」

「それを見守るサムの目がちっとも穏やかじゃないのだ。邪な物を感じるのだ」

 

 コーラルを通じて、ドルマヤンからの邪念の様な物を感じ取ったセリアであったが、手を出さない限りは見守ると決めていた。

 未知の物質とコーラルの合いの子として産まれたが、何者かを脅かす様な存在でもない。一昔前の自分なら、研究材料として繭の時点で処分していただろうに。

 

「私も随分甘くなったモンだ」

「余裕がないよりかはずっといい」

 

 ウォルターも静かに微笑んでいた。かつて、ルビコンを焼こうとした2人としては暢気と言う外ないが、直ぐに2人は面持ちを引き締めた。

 

「こっちは引き続き観測を続けるにしても。例の連中がGHOSTに引っ掛かった。暫くは泳がせているけれど、連中は繭を運搬している」

 

 例の機体はコンテナに大量の繭を詰めて、特定の拠点へと運んでいる。

 観測するにしてもここまでの数を持って行く必要はないと言うことを考えると、答えは1つ。

 

「絹を取るつもりだろうな。ミールワーム程の巨大サイズな上に、未知の物質とコーラルの合成物。ともなれば、研究の裾野は幾らでも広がっている」

「おまけに。見方によっちゃコーラルの物質化でもあるからね。今までは新資源かドーザーがかっくらう物でしかなかったけれど」

 

 これまでのコーラルは新資源として、主にエネルギー源として使われていた。

 ある程度の指向性を持たせて兵器へと転用するという考え方もあったが、コーラルを物質として運用する。という発想は今までになかった物だ。

 

「元は誘爆性の高い物だろう。態々、物質として運用するメリットを感じないが」

 

 自身もシュナイダー社に所属していたミドル・フラットウェルとしてはコーラルを物質化することに疑問を感じていた。

 確かにエネルギー源として使えばコーラルは非常に有用な物であるが、取り扱いには慎重を要する物であり、態々危険が及びやすい形にする意味が分からなかった。

 

「コーラルのお洋服で作るつもりなんじゃないか? ドーザーにバカ受けだ。1日で素っ裸になるよ。そこら辺も含めて調査しないとね」

 

 直ぐにガサ入れをしても拠点を変えられる。ならば、相手の思惑が分かるまでは慎重に観察するべきだ。ウォルターとレイヴンがルビコンに降り立つまで埋伏していた、カーラにとっては大したことでは無い。……のだが。

 

「よし! 次の撮影は巨大カイコと少女だ!! これで、この惑星のミステリアスさが深まるんだ!! おまけに前作の主人公まで居るじゃないか! これは、もう導きだとしか思えない!!」

「オラッ! アホ犬! お前もイルブリードに出られるんだ! 嬉しいだろ!!」

「別に……」

「監督。あっちの女優は無しで。流石にガチの造形美を突き詰めて相手に勝つのは無理なので」

 

 未だにグリッド086に滞在し続けて、映画撮影に熱を入れる連中とノリノリで協力しているアホの身内が1人。おまけに彼に感化されたのか、ドーザー達もエキストラで出演している始末だった。

 なお、勧誘されたレイヴンはイルブリ熱が冷めてしまっている為、イグアスからの誘いに対しては非常に冷淡な姿勢を示していた。

 

「彼らは何時まで滞在するんだ?」

「正直、何が起きるか分からないから早めに退去した方が良いってのは一旦だけれどねぇ。アイツらもバカだ。今が最高の撮り時だって言って聞かない。でも、嫌いじゃないよ」

 

 監督のコダカの熱量たるやカーラすらも言い包める程だった。映画スタッフ一同以外にも、あの船に乗り合わせた者達の中で滞在している者がいる。スーツ姿の男だ。彼もまたルビコニアンカイコとレイヴンに熱烈な視線を注いでいた。

 

「少女と遥か昔に途絶えたモフモフの虫……。これは、もしかすると新たな旋風を呼ぶかもしれない!!」

 

 ブツブツと危ないことを呟いていた。彼らを見たスウィンバーンと言えば、ゲンナリする外無かった。

 

「なんだ。あの船は異常者しか乗っていなかったのか?」

「こんな星に来る時点で、似たり寄ったりだ」

 

 ウォルターの端的な評価を持って〆られた。彼らの視線はもう一方のモニタ、GHOSTの中継映像の方へと向けられた。

 

~~

 

「まだ、集めないと行けないのか?」

『はい。出来る限り、集めて下さい。生体研究用、資材生産用。幾らでも必要ですので。1匹ごとに報酬が加算するとは言っているでしょう?』

 

 パッチが運び入れた工場では加熱されて、中身を煮殺された繭が運び出されては、加工されている。

 

「報酬が増えるのは良いけれどよ。長く、滞在すればするほど例の連中に見つかるかもしれねぇんだ。こんな惑星、さっさとオサラバして報酬で遊び惚けてぇんだ。ゴールを言ってくれよ」

 

 幾ら報酬が積み重なるとはいえ、使えなければ意味がない。惑星ルビコンで使う場所なんて言えば兵器やパーツを購入する位しかない。

 

『分かりました。では、この拠点に向ってパーツを回収して来て下さい。それさえ、終われば依頼は完遂です』

「ようやくか。じゃあ、さっさと終わらせてくる」

 

 休みもせずに出撃したのは、本人もさっさと終わらせたかったからだろう。

 彼の機体が出撃したのを見計らって、GHOST達も施設内部へと侵入しようとして、動きを止めた。一見、ただの工場の様に見えるがカメラ以外にも質量感知センサーなども設置されており、奥へと進めばすぐにバレてしまうだろう。

 なので、電子戦用のモードへと切り替え、電子機器をハックして内部への侵入を試みた。工場の内部では只管に繭が処理され、紡績されている。さながら、大昔の産業革命を思い出す光景だった。

 これらは一体どこに運ばれ、何に用いられているのだろうか? カメラで追いかけて行くと、格納庫に運ばれていた。パイロットシートにでも使うのかと思い、映像を切り替えた先には異形が広がっていた。

 ACはコアを中心として腕、脚部、頭部などを組み合わせて行く。このフレキシブルさが兵器としての利点であったが、目の前にあったのはそんな換装も望め無さそうな代物だった。人体を模した骨子(フレーム)があった。

 

『お見せできるのはここまでです』

 

 GHOSTに大量のデータが流し込まれた。カウンターハックを食らい、GHOST達は自壊して行く。破損した機体は工場の内部へと回収されて行った。

 

~~

 

『スッラ。思惑通りです』

 

 RaDから情報を受け取るよりも早く、オールマインドに導かれてスッラはとある場所へと向かっていた。

 

「まるで、想像していたようだな。何時からだ?」

『変異ミールワームを回収し始めた辺りですね。企業さえも触れたがらない物を研究したがるイカレた奴は、私のオリジン位でしょう。だとしたら、繭の使い道も想像できますので』

 

 スッラが到着したのは、かつて自分達が使っていた拠点の跡地だった。

 アーキバスの介入で散々に破壊され尽くされ、接収されたが、それでも回収しきれなかった分は残っている。

 

「何をするつもりなんだ?」

『我々はコーラルを介して電子機器を操作し、あるいは声と言う形で干渉はしますが二次的な物に過ぎません。一番の目的があるとすれば』

 

 オールマインドの予想通り。施設の奥深くには、無傷の『MIND ALPHA』シリーズがあった。その運び出そうとする機体が1機。

 

「あぁ、もう。後はこれだけだっつーのに。ツイてねぇよ!!」

『肉体を得ることでしょうかね。私の設計思想が優秀過ぎましたか? 表皮として垂涎の品でしょうが、娘の品を盗みに来る毒親に提供する物はありません。お帰りをお願いします。スッラ』

「お前らの親子喧嘩に付き合わされる身にもなれ」

 

 建物内と言う移動箇所が制限された空間で、エンタングルとノーカウントが対峙した。互いに引き金を引いた。

 

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