戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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皆、スネイルとペイターが好きなのですね! ご友人! 


依頼33件目:ルビコン王者ムシキング

 2体のワームの討伐作戦当日。中央氷原には、ルビコンに滞在するアリーナのランカー達を多数集めた贅沢なメンツが集合していた。

 彼らが相対するのは技研の遺産IA-02『アイスワーム』とルビコンの怒りを体現したかのような巨大ワーム『ルビコニアンデスワーム』だった。

 

『作戦指揮は、私。V.Ⅱスネイルが執ります。V.Ⅲ。周囲に敵影や反応はありませんね?』

「問題ない。熱源反応を始めとして、何通りかでスキャンをしたがここにいる奴らと例のデカブツ以外に反応はない」

 

 諜報活動や偵察のスペシャリストである彼の目を掻い潜るのは、ほぼ不可能と言っても良い。また、別方面からも通信が入った。

 

「こちらV.Ⅳ。オーバードレールキャノンも問題ない。直ぐにでも撃てる」

「こちら、ブルートゥ。グラインドブレードの稼働に問題はありません」

『では、各員配置に着きましたね。――これより、害虫駆除を開始します!』

 

 作戦が開始される。彼らの接近に気付いたアイスワームが動いた。

 レイヴンも含めてアーキバス陣営の部隊を統率しているのは、年長者であるV.Ⅴのホーキンスだった。

 

「来るよ、皆! 私達はミサイルと子機の迎撃だけに集中して! レイヴン君! スタンニードルランチャーの方は任せたよ!」

「おっけー!」

 

 大地を抉り返しながら得物を捕食せんと迫り来る姿は、ミミズを彷彿とさせた。先端部分にある目玉の様に並ぶ3つのドリルに捉えられれば、ACなど一溜りも無いだろう。

 猛スピードで動き回る巨体は、移動すらも攻撃手段になる。この巨大な胴体にぶつかれば損傷は免れない。また、突進と体当たりと言う原始的な攻撃だけではなく、体の節々から放たれるミサイル群は赤い粒子を撒き散らしながら、周囲を爆撃していた。

 

『レイヴン。あのミサイルにはコーラルが用いられています! 通常の火器よりも威力が高いので注意してください!』

 

 威力だけでなく、周囲への汚染も用いて徹底的に侵入者を排除するという強い意志を感じる設計だった。

 何処からともなく出て来て、ミサイルと破壊をばら撒く行動に一定の法則性が見当たらず、作戦に参加している者達は回避に専念していた。

 

「レイヴン! スタンニードルランチャーはまだ撃てないのか!?」

 

 スウィンバーンの喧しい声が通信に響く。アイスワームはスウィンバーンとホーキンスを集中的に狙っており、今の所は攻撃を捌き切れているが、少しでもミスったら落とされかねない状況であることには変わりない。

 

「スウィンバーン君。これはアレだね。多分、重量機体を優先的に狙っているんだよ。脅威になりやすいからだろうね」

 

 彼よりも冷静に攻撃を捌いてみせるホーキンスには、この場を任されるだけの貫禄があった。だからと言って、レイヴン達に攻撃が飛んでこない訳ではない。

 この状況においても、メーテルリンクは冷静に自分の役目を果たしていた。自分へのミサイルなどを撃墜しつつ、スウィンバーンとホーキンスへの攻撃をも落とす。レイヴンは援護の必要が見当たらない位、見事に攻撃を避けていた。

 

「(私でも捌くのと避けるので精一杯だというのに、あの少女は確実にスタンニードルランチャーを打ち込める位置取りもしている)」

 

 ただ、避けているだけではない。アイスワームが地表に出て来るタイミングと場所の予測はどんどん正確な物になって来ている。そして、必然は訪れた。

 アイスワームが地表へと飛び出し、周囲の光景を一瞥した瞬間。レイヴンが駆る機体の背部では、スタンニードルランチャーが発射態勢を整えていた。

 

「行けェ!」

 

 放たれた電極針はアイスワームの顔面に突き刺さり、凄まじい衝撃と共に放電が行われた。プライマリシールドが無力化された瞬間を、待機していたV.Ⅳのラスティは逃さない。

 

「EMLモジュール接続。エネルギータービン開放」

 

 シールドが掻き消されたことを脅威と判断したのか、アイスワームはミサイルを放ちながらも土中へと退避した。

 

「スウィンバーン君! メーテルリンク君!」

「ハッ!」「了解!」

 

 ホーキンスの号令に反応して、2人は直ぐに放たれたミサイル達を落とした。こうなっては地上の脅威を排除する手段がないと判断して、アイスワームが再び地表へと姿を現した瞬間。V.Ⅳが吠えた。

 

「外しはしない」

 

 瞬間、世界の全てから音が消えたような気がした。間もなくして、空を切り裂く衝撃が走り、アイスワームの再構築しようとしていたプライマリシールドごとセカンダリシールドと巨体を貫いた。

 

『今です!』

 

 巨体の下敷きにならないように散開し、姿勢を崩したアイスワームに対して一斉に攻撃が加えられた。

 プラズマライフルからミサイル。ありとあらゆる攻撃を受け、内部に循環しているコーラルにも引火したのか盛大な爆発を引き起こした。

 

「やったか!?」

「メーテルリンク君。まだみたいだよ」

 

 メーテルリンクが一縷の期待を掛けて口にしたが、アイスワームを機能停止に至らせるには足りないのか、地中に潜る前にレーザータレットを放った後、再び地中へと潜って行った。

 

~~

 

「今日は愉快な昆虫採取だ! 虫取りアミは持ったか!」

 

 レッドガン部隊の方でも行動は始まっていた。目の前には冗談みたいに巨大なミールワームがいる。ブヨブヨとした体を引きずりながら、体の各所からコーラル由来のビームが放たれていた。ただし、アイスワームの物と違い狙いは散漫で、避けるのは難しくはない。

 ミシガンに率いられた、レッド、イグアス、五花海の3人としても、こんな冗談みたいな存在と戦わされるとは思っても居なかった。

 

「クソッたれ! あのアホ犬に関わってから、ロクでもない依頼ばっかりだ!」

「いや、詐欺師である私が己の目すら疑う光景があろうとは……」

「今はやるべきことをやるだけだ!」

 

 レッドが手持ちのミサイルを放った。巨体に対してライフルは効果が薄いと判断して、今回はレッドガンの装備はミサイルやバズーカなど爆発物が中心となっている。

 アイスワームと違い弾が命中すればその個所は弾け飛ぶが、致命傷には全く足り得ない。雪の上に体液や吹き飛んだ表皮が散らばる。

 

「しっかりと焼け! ルビコンではミールワームは御馳走だ! 採取した後は、丁寧に焼いてBBQだ! 任務の達成と祝勝会がそのまま繋がるぞ!」

「ハイ! 自分はウェルダンが好みです!」

「いや、こんなのを食えば、全員がG13の様なヤク中になりますよ」

 

 ミシガンのジョークに応じているのか、あるいは素の反応なのかは判断し辛い所だが、ミサイルとバズーカが次々と打ち込まれて行く。

 アイスワームほど俊敏な機動も出来ず、地中に潜り込むこともないルビコニアンデスワームは被弾しまくっていたが、突然ぴたりと動きを止めた。

 

「やったのか!?」

「油断するな! G6! 相手は機械と違う生物だ。どんな変態を起こすか分かった物じゃない!」

 

 全身から体液を垂れ流しているルビコニアンデスワームの背中が割けていく。

 中からは、3対の脚と真っ赤な甲殻。そして、頭部と思しき場所からはクワガタの様な顎を生やした甲虫が姿を現した。

 

「嘘だろ……」

「ヴォオオオオオ!!!」

「散開だ!」

 

 イグアスが呆然としている中でミシガンは号令を飛ばした。

 ルビコニアンデスワームの顎の間に赤い光が灯り、やがてそれは巨大化して行き……彼らに向けて放たれた。

 水平に薙ぎ払う様に離れた一条の光線に被弾した物は居なかったが、着弾した箇所では盛大なコーラル粒子を伴った爆発が起きた。

 

「冗談も程々にしてほしいですね!」

 

 五花海がバズーカとミサイルを放つが信じられない光景があった。成長したルビコニアンデスワームの甲殻は、これらの攻撃を一切弾いていたのだ。

 

「総長! これは撤退するべきです! 余りにも当初と予定が違います!」

「どうやら、俺達は奴を御機嫌にする為のマッサージをしただけの様だったな! だが、やることは変わらん!」

 

 レッドが悲鳴を上げるが、ミシガンの意思は変わらない。というよりも、逃げ切れる訳がないと踏んだのか、彼の覚悟に呼応するかのように皆が叫んだ。

 

「やってやるよ! 虫けらを葬って、アイツの頭を記念品にしてやるからな!」

 

 イグアスは自らのエンブレムを差した。千切れたクワガタと言う強者の頭部を運ぶアリ、という自らの境遇を揶揄した物だったが、どうやら今回は本当になりそうだ。

 

「まぁ、アレはあくまでクワガタっぽい何かでしょうが」

 

 五花海が冷静に分析をしながら、一同は装甲を得たルビコニアンデスワームに対応するべく、今までのヒット&アウェイの戦いからインファイトへと切り替えようとしていた。

 

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