戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 12日中に間に合いませんでした……(小声)


依頼34件目:最強変態

『おいおい、羽化したよ』

 

 通信越しに、この状況を見ていたカーラは驚いていた。ルビコニアンデスワームが生物であることは分かっていたが、この期に及んで変態するとは思っていなかった。

 

「でもよ、あんなバカでかい体を支えている足は6本しかないじゃねぇか。ストライダーみたいに、足を折ってやれば動けなくできるんじゃねぇか?」

 

 オーバードレールキャノンを運び入れ、そのまま護衛にも付いているラミーからの提案は、実際に現場で戦っているレッドガンの面々も考え付いたらしく、胴体への攻撃から脚部への攻撃へと切り替えていた。

 

「実際にアーキバスの指示も脚部狙いへと切り替えている様だが」

 

 かつて、RaDもルビコン解放戦線からストライダーという巨大兵器の製造を頼まれたことがある。採掘艦の構造上、どうしても脚部が脆弱になる造りであり、実際にレイヴンに破壊された。

 ただし、ルビコニアンデスワームは機械ではない。巨大な見た目に似つかぬ俊敏性で、相手の攻撃を胴体に誘導していた。

 

『虫だけれど、直感的に何処を攻撃されちゃまずいかってのは分かっているのかね?』

「動きを見る限りは理解してそうだ。生存本能という奴だろうか? 俺にはよく分からない」

 

 チャティにも理解できない領域で動いている怪物を他所に、比較的わかりやすい挙動を行うIA-02の討伐は順調だった。

 

「巻き込まれるなよ」

 

 ラスティの合図と共に再びオーバードレールキャノンが放たれた。発射された弾丸はプライマリシールドの剥がれたアイスワームへと突き刺さり、その巨体を雪原へと投げ出した。

 

「よっし! 良いよ! パターンが組めている! でも、皆! 油断はしないでね! 手負いが一番怖いよ!」

「分かりました!」「了解です!」「うん!」

 

 ホーキンスの指示でアイスワームに次々と攻撃を加えて行く。顔面のドリル部分が破壊されて行き、内部を循環しているコーラルにも引火しているのか、次々と誘爆が引き起こされていた。

 

『待ちなさい! 内部に強力な熱源反応があります! 離れなさい!』

『レイヴン! コーラル反応です!』

「分かった!」

 

 スネイルから入った通信に反応し、全員が一切に距離を取った瞬間。アイスワームを中心として周囲に毛細血管の如くコーラル粒子が走り、大爆発が引き起こされた。

 

「ぐぉ!?」「くっ!?」「おっと!」

「皆! 機体制御を立て直して!」

 

 凄まじい衝撃が走り、スウィンバーン達の機体制御が奪われる。立て直している間にアイスワームは鎌首をもたげていた。

 度重なる損傷と誘爆によりIA-02の全身は赤黒く染まっていた。体の各所や体節からもコーラルが漏れだしていたが、動きは鈍る所か暴走していた。しかし、機体ゆえの脅威度判定は機能しており。

 

「あ……」

「メーテルリンク君!」

『何をしているのですか! 避けなさい!!』

 

 体勢を崩していたメーテルリンクに巨体が迫っていた。アレだけの質量を正面から受ければ、中見ごとミンチになることは避けられない。

 戦場に身を投じていた彼女は死と隣り合わせの日々を送っていたが、ここまで濃厚な死を感じたことはない。自らの半生が駆け巡り、成していないことが様々に浮かんだ。

 

「(水星の子と会ってみたかったな。スネイル閣下は私が死んでも悲しんでは……くれないのだろうな)」

 

 こんな時に思い浮かんだのは、酷く日常的なことだった。だが、自分は呆気なく死ぬのだろう。英雄的でも劇的でもなくアッサリと。強いて救いがあるとすれば痛みを感じる間もないだろうと言うことだったが。

 

「よぃしょー!」

「レイヴン!? どうやって……」

 

 アサルトブーストを吹かしていたレイヴンが、彼女と一緒に攻撃範囲から脱していた。他のヴェスパー部隊が姿勢制御に戸惑っていたというのに。

 それだけではなく、擦れ違い様にスタンニードルランチャーを撃ち込んでいたらしく、3度になるプライマリシールドの破壊……には至らなかった。

 

『今回、張られたシールドはかなり強力な様です。もう一度行ってやりなさい!』

『スネイルの言う通り。シールドの耐久力は上がっていますが、もう一度打ち込めば剥がれるはずです!』

「分かった!」

 

 アイスワームもいよいよ後が無くなって来たのか、大量の子機とミサイルを吐き出し続けながら、周囲にコーラルによる衝撃波を飛ばしながら雪原を爆走していた。継戦を考えないレベルでの全力放出だからこそ、数で挑んでいることが活きて来た。

 

「虫けら共が!!」

 

 スウィンバーンは両手に装備した、メリニット社の中型バズーカ『MAJESTIC』を放っていた。砲弾の爆発にアイスワームの子機達が巻き込まれて、落ちて行く。

 一方、飛来するミサイルを始末していたのはホーキンスだった。スウィンバーンの物と比べて重機体でジェネレーターも相応な物となっており、高負荷兵装のプラズマライフル『Vvc-760PR』を両手に構え、背部兵装に装備したレーザーキャノン『VP-60LCS』で凄まじい勢いでミサイル群を焼き払っていた。

 そして、メーテルリンクはレイヴンと行動を共にしながら、明確に彼女だけに向けられる物に対処していた。

 

「行け!」

 

 もはや、よそ見をする必要もないと踏んだのか。アイスワームはレイヴンを正眼に見据えて突っ込んだ。対する彼女は怯えから狙いを外すということもなく、スタンニードルランチャーを直撃させた。

 強化されたプライマリシールドが剥がれるタイミングを知っていたかのように、ラスティもオーバードレールキャノンのチャージを終えていた。

 

「リミッター解除。出力、115%。これで決める」

 

 プライマリシールドが剥がされるのとほぼ前後して、レールキャノンが巨体を貫いた。幾度目になるか分からない誘爆の後、ラスティから通信が入って来た。

 

「今の一撃でオーバードレールキャノンはダメになった。そちらで決めてくれ」

 

 アイスワームの討伐は正にフィニッシュに差し掛かろうとしていた。

 

~~

 

 アイスワームの討伐と打って変わって、ルビコニアンデスワームとの戦闘は難儀していた。関節部分を狙って倒壊を狙うと言うミシガンの発想は良かったが、思った以上に俊敏だった。

 

「どうなってやがんだ!? なんで、こんな巨体で動きが早いんだよ!」

 

 イグアスの悪態は尤もだった。アイスワームの様に的確な動きはしない物の、生物故の予測できない動きと言うのが対処し辛く、また巨体だからと言って特段動きが鈍い訳でもない。

 これだけの質量で払われるだけでもACには無視できない程の損傷を与えることが出来るのだ。

 

「この距離でも足りないならば、取り付くしかないでしょう。総長!」

「違いない! 昔から、男は虫に触るのが大好きだからな! 俺もかつては虫取り少年だった! これだけデカイのを捕まえれば、自慢も出来たもんだ!」

 

 五花海の提案を真っ先に実行したのはミシガンだった。四脚重ACライガーテイルが猛接近する。

アイスワームと違い、体の各所に兵器が取り付けられている訳ではなく、顎にコーラルを集中させてビームを放つか、足で振り払うしか攻撃手段がないので懐に飛び込むことは却って生存率を上げることにも繋がった。

 

「総長!」

「見ておけ! G6! 木星戦争の時はな! こうやって、艦隊を沈めたんだ!」

 

 木星戦争。かつて、ベイラムが行った戦いであり、近接戦主体だったベイラムが中距離以遠の交戦手段の重要性を教訓として得た戦い。その戦いで英雄と呼ばれたミシガンが取った戦い方は、正にあの時の再現と言えた。

 押し寄せる波状攻撃を避けながら、相手の船体に飛び移り。前脚の第一関節に対して両手に構えた『SG-027 ZIMMERMAN』の引き金を引く。

 ルビコンにおいて、ACのみならず様々な大型機体を食い破って来た実績は伊達ではなく、関節を覆っていた甲殻を引き剥がした。露出した部分に対して、肩部にマウントした『EARSHOT』の追撃を加える凄絶な様子は、この男がベイラムの歩く地獄とまで形容される程の苛烈さを如実に表していた。

 

「俺達も行くぞ!」

「ギィイイイイイイイ!!!」

 

 イグアス達も追撃を掛ける。態勢を取り戻そうとしているルビコニアンデスワームへと接近し、ヘッドブリンガーの腕に装着された『PB-033M ASHMEAD』をぶち込んだ。火薬で撃ち込まれた杭は、甲殻を物ともせず深々と突き刺さった。

 

「レッド。貴方も付いて来なさい!」

「はい!」

 

 ミサイルを展開しつつ五花海とレッドもまた、一撃必殺用に持って来た『PB-033M ASHMEAD』を次々と打ち込み、遂にルビコニアンデスワームの前脚が吹き飛んだ。身動きが取れなくなり、遂にトドメを刺せるかと思った刹那。

 

「シャァアアアアアアア!!」

 

 残った5足で駆け出した。戦場から離脱するかと思われたが、どうにも向かった先が違う。進行方向にはアイスワームと交戦しているレイヴン達が居るはずで。

 

『早く追いかけなさい!』

「言われずとも!」

 

 ミシガン達も追いかけ、二つの戦場が合流した際。その場にいた者達の目には信じられない光景が飛び込んで来た。

 ルビコニアンデスワームが機能停止間際のアイスワームを顎で銜える。ミシミシと装甲に亀裂が入り、耐え切れなくなり両断された。

 中からは大量のコーラルが漏れだし、真っ赤なクワガタボディへと降り注いだ。……瞬間、背中の甲殻が隆起し、有機的な砲門が生み出されていた。

 

『嘘でしょう?』

 

 エアも絶句する外なかった。コーラルが生態にどれだけの影響を及ぼしているのだろうか? 取れかかっていた足が早送りで再生され、真っ赤な前足が生み出されていた。

 コーラルで作られた大量の弾丸が吐き出され、周囲を抉り取って行く。彼らの戦いはいよいよ最終局面に入っていた。

 

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