戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 おいおい、今度はレッドガン食堂のおばちゃんとか言う概念が出て来たじゃないか。ドウイウコトダ。


依頼35件目:ルビコン大決戦

 この討伐作戦に参加している者達は、誰もが絶句していた。コーラル集積への道を阻むアイスワームが容易く撃破されたことは元より、目の前には人知を超えた天災めいた存在がいる。

 この戦闘に介入して来るかもしれない惑星封鎖機構への牽制として配備されていた、G2ナイル、ペイター、S-1317も呆然としていた。

 

「ペイター、1317。お前達にもあの化け物が見えているよな?」

「はい。しっかりと、残念ながらコーラルの副流煙による幻覚ではありません」

 

 この状況においてもペイターは軽口を叩いていたが、やはり動揺は隠せない。現場で戦っているレイヴン達の弾薬も耐久値も減り尽くしているとなれば、もはや悠長に待機している暇は無かった。

 

「カーラ! 聞こえるか! こちら、猟犬(ハウンズ)部隊! 我々は持ち場を離れて彼女らの援護に入る!」

 

 S-1317が作戦変更の旨をRaD陣営に伝えると、返って来たのは追及や諫言では無かった。

 

「良かった。我々も戦友と同僚達のピンチに駆け付けようと思っていた。どちらにせよ、レールキャノンは使い物にならない。ならば、私が出向く外あるまい」

「そう言うこった。ラミー! チャティ! それと。ヴォルタ! ビジターを助けに行くよ!」

 

 ラスティに呼応するようにカーラも叫び、彼女の号令に該当人物と思しき者達からの返事もあった。挙げられた名前にナイルが反応した。

 

「ヴォルタ? 貴様、ACに乗れる程回復しているのか?」

「身体の方は完全に回復している訳じゃねぇが、キャノンヘッドのコックピットは改造している! まだ、俺はアンタもクソオヤジも殴ってねぇからな!」

「ベイラムか? アンタらの所の新人は気合が入っている! 俺も、燃料基地でレイヴンに助けられた礼を返しに行くぜ!」

 

 ヴォルタの悪態にラミーが呵々大笑している。これだけ不条理な状況だというのに、彼らにはまるで絶望など見当たらない。

 

「ボス。どうして、ラミー達は笑っていられるんだ?」

「これが、愉快なことだからだよ!」

 

 チャティは不思議に思っていた。まるで笑えない状況だと言うのに、誰もが笑いながら戦場へと向かって行く。恐怖は無いのか、死が怖くないのか、未知なる物への恐れはないのか? ただ、一つだけ確かなことがあった。

 

「皆が笑っていると。俺も楽しい」

 

~~

 

『何ですかこれは?!』

 

 どんなトラブルが起きても冷静に対処して来たスネイルですら声を荒げずにはいられなかった。

 ルビコニアンデスワームが羽化した時点でも目を疑ったというのに、アイスワームをも取り込んで変態する、という事態は誰も予想できなかった。

 

「ヴァアアァアアア!!」

 

 隆起した幾多もの有機砲門から放たれるコーラルミサイルが雪原に炸裂していた。それだけではなく、顎に蓄えられたエネルギーは超出力のレーザーとして射出され、着弾した箇所から盛大な爆発が巻き起こった。

 

「スネイル閣下! 増援を!!」

 

 メーテルリンクが悲鳴を上げた。目の前の怪物の存在は、第8世代の強化人間からも正気を奪う程の物だった。

 通信先からスネイルの唸り声が聞こえる。対処方法が思い浮かばなかったとしても、彼を責めることは出来ないだろう。そして、悪夢は終わらない。

 

「おい。なんだこれは」

 

 偵察と俯瞰の為に上空を旋回していたV.Ⅲオキーフは見てしまった。ルビコニアンデスワーム……いや、もはやデスビートルと形容しても良い程の禍々しい外見を持つ脅威の肛門付近から何かが排出されていたこと。

 昆虫が、白く細長い物を排出したとすれば何を出したかは想像に容易い。だが、現実は彼の予想をはるかに上回る。産み落とされた卵は、ほんの僅かな時間で孵化し、ルビコニアン達にとっては見慣れたミールワームが出現していた。

 その大きさは乗用車ほどのサイズで、全身は青白く光っている。口を開くと赤い光が集約し、コーラルによるビームが放たれた。

 

「子機まで展開して来るのか!?」

 

 スウィンバーンが叫んだ。現時点でも機体の耐久力も自身の集中力も限界に近付いているというのに、更に攻撃が激しくなればいよいよ耐え切れず、背部兵装の『EARSHOT』にレーザーが命中した。誘爆する前にパージしたが、攻める手が失われれば増々追い詰められていくだけだ。

 スウィンバーンだけではない、アイスワームとルビコニアンデスワームとの連戦で、耐久値も弾薬も体力も減っている中で、こんな規格外の存在と相対すれば、膝を着くのは道理と言えたが。

 

「ミ“ッ」

 

 展開されていた子機とも言える巨大ミールワーム達が次々と切り裂かれ爆発していき、あるいはミサイルの絨毯爆撃によって消し飛んでいた。

 

「戦友、皆。我々も援護するぞ!」

「おぉ、ラスティ君が来てくれたのか。これは心強いぞ」

 

 ホーキンスが茶化すが声色から疲労は拭い取れない。それだけではなく、上空を飛行する2機のLCがルビコニアンデスビートルの有機砲門を潰して行く。

 

「ヴェスパー部隊の皆さん。ホーキンス殿以外から話題にもされなかったペイターです。私は人間が出来ていますからね。帰って来るなとか暴言を吐かれましたが、手を差し伸べて上げましょう」

「言っている場合か!」

 

 どの口がと言わんばかりの憎まれ口を叩くペイターを注意しながら、1317も討伐に加わって居た。ヴェスパー部隊だけではなく、レッドガン部隊にも援軍は駆け付ける。

 

「貴様! G2か! よほど、お泊りが心地よかったようだな! 門限はとっくに過ぎているぞ!!」

「悪かった。食堂の飯が恋しくなったんだ。任務を終えたら、久々にあのばあさんの顔でも見ながら一緒に飯でも食おうか」

 

 先程までは自らが先陣を切る様な動きの多かったミシガンではあったが、ナイルを随伴させたことにより一歩下がった位置へと移動した。元来の動きを取り戻したのか、疲弊しているはずだと言うのに動きが精彩な物になって行く。

 

「イグアス! 俺が居なくなって泣きべそ掻いてたんじゃねぇだろうな!」

「言ってろ! テメェが居なくて清々していたよ!」

「とか言って。ポーカーする相手が居なくなって寂しいとか言っていたじゃないですか。G6はビビりだから直ぐに降りてしまいますしね」

「先輩達が突っ走り過ぎているんです!」

 

 まるで、つい先ほどから傍にいたかのようなヴォルタの馴染み具合にイグアスも憎まれ口を叩き、五花海が茶化してレッドが溜息を吐く。ミシガンが叫んだ。

 

「レッドガン部隊! ヴェスパー部隊! ドーザー共! 猟犬(ハウンズ)共! 仕上げに掛かるぞ!」

 

 了解。と、一斉に返事が返って来た。

 ルビコニアンデスビートルの攻撃はなおも止むことは無いが、ホーキンスらを始めとした重AC達が前面に出て、コーラル弾や子機達の露払いを行っていた。

 

「俺は無敵の(インビンシブル・ラミー)だ! テメェらなんて飽きるほど食っているんだよ! 俺を酔わせたきゃ、もっとコーラルを用意しな!」

「彼は元気だねぇ。RaDの皆って言うのは、あんな調子なのかい? ヴォルタ君」

「アイツが特別酔っぱらっているだけだ!」

 

 ホーキンスの質問に律儀に返しながら、ヴォルタはRaD製の背部武装である『WR-0999 DELIVERY BOY』を放つ。発射されたコンテナからミサイルが射出され、空中で幾度も爆発を引き起こした。

 ラミーのマッドスタンプの両手に握られた『DF-GA-08 HU-BEN』から吐き出された弾丸が中空で踊り、ホーキンスのリコンフィグがチャージを終えた『Vvc-760PR』を放ち、プラズマ弾による爆発で空は赤や青に彩られていた。

 彼らの存在にルビコニアンデスビートルが気取られている間に軽量~中量の機体達が一気に速度を上げて近づいて行く。明らかに飛んで来る攻撃の量は減っていた。

 

「良いぞ! 連中の露払いが効いている間に、我々は奴の脚を潰す! 奴の脚は6本! 我々は総勢で17名! このウチの1名はとっておきを持って待機している! 一つの脚に3名で掛かれ! オキーフ! 貴様も聞いていただろう!」

「了解した」

 

 ミシガンに要求され、オキーフも高度を落として戦場へと馳せ参じた。17名のパイロット達は各々の判断で散開し、それぞれが担当する場所へと向かった。

 

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