戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 襲い来る独立傭兵を撃退した。訓練の成果は無駄じゃなかった。操縦桿を握る手に力が籠る。通信から音声が流れて来る、きっと俺の健闘を褒め称えてくれているんだろう。

「この機体なら、アーキバスに一泡吹かせてやれる!このまま出撃します!」

 首元に何かが注入される。きっと、疲労の回復材とか栄養剤だろう。俺の名はテスター。レッドガン部隊のパイロットだ。

「違うんだ!お前は正規パイロットじゃない!行くんじゃない!」
「奴を止めろ!鎮静薬注入器作動!」
「効いてません!(脳内物質ドバドバ」


~~

 ノーザークでコーラルリリースを成し遂げたフレンドが、今度はテスターアセンブルで全クリアを目指していました。こういうネタが直ぐに思い浮かぶのが羨ましい。


依頼82件目:オールマインド「は?」(憤怒)

「おい、ベイラムから大量の抗議が来ているぞ」

「は?」

 

 スッラから言われて、オールマインドが陳情を確認してみれば、そこには恐ろしい数の抗議メールが溢れていた。ご丁寧に現場の動画付きで。

 

『プログラムへの不法アクセスを確認。アクセスをシャットダウン。必要権限レベルの上昇。侵入者を排除します。オールマインドの沽券に掛けて、処分します。ベイラムのバーカ。オールマインは完璧で究極の管理システムです』

「なにが完璧で究極の管理システムだバカヤロー! それに、マインって何だよ! ドは何処に行ったんだ! このド阿呆!!」

 

 オールマインドは肉声で喋っている訳ではなく、基本的に合成音で話している。故に、サンプリングさえ出来ればなりすましも行える訳なのだが。

 

『今日、何食べた? 好きな本は? 遊びに行くなら何処に行くの?』

 

 調査隊が無人機と戦闘している間も軽快なBGMと共に歌い出したり、品性を疑う様なトンチキな煽りをかましていた。

 

「やはり、コーラルリリースと言うのはコント映画の副題か?」

「頭に来ました」

 

 オールマインドは激怒した。こんなことをやらかして来る相手は決まっている。

 なりすましは勿論許さないことだが、人の名前を間違えたり、音声を使って歌い出したり、煽り散らかしたり。自身の存在を素っ頓狂な物として、世に広めているデマゴーグは到底許せる物では無かった。

 

「意趣返しとしては中々だな。まぁ、俺には関係ないが」

「良いんですか、スッラ。このままでは貴方は急に歌い出し、煽り出す女のパートナーになりますよ?」

 

 開き直りも異様に早いオールマインドはスッラも沼に引きずり込もうとしていた。ここまで暗躍を共にして来たなら、1人で逃げ出すと言うのも中々にしんどい話ではある。

 

「なんだ。子守の次はプロデューサーでもしろと言うのか?」

「は???」

「冗談だ。だが、ベイラムの陳情に関してはお前が対応するしかないぞ。精々、出来ることがあるとすれば、あんな煽りをかました連中にケジメを取らせる位だ」

 

 動画は再生を続けており、ザイレム内の兵器は相手を撃墜する期までは無かったのか、機体だけを破壊してパイロットを脱出させていた。即ち、この情報を持って帰らせる為である。

 

『オールマインド。オールマインドをよろしくお願いします。教育プログラムを履修し直してから来て下さい。今なら、お得なレーザーハンドガン付き』

「死ね!!」

 

 システム音声に煽られて逃げ帰る調査隊も情けない物だが、問題は煽り文も初等部の挑発レベルだった。この流れを持ち帰られたということは、ベイラム内ではオールマインドの評価は地の底に落ちていることだろう。

 

「この私を馬鹿にした報いを受けて貰いましょう。セリア、無人機を連れて奴らへの追撃を」

『えぇ。分かったわ。完璧で究極なオールマインド』

「は????」

 

 久方にサムと一緒に戦えてテンション上がっているのか、セリアまで乗って来る始末だった。オールマインドに肉体はないが、もしも人間相応の物があったとすれば、額に青筋が浮かび上がっていたことだろう。

 

「(やはり、挑発するなら反応する奴が一番面白いということだろうな)」

 

 スッラの脳内に浮かんだのは、飼い犬を始末された動揺を隠せない、ウォルターの声色だった。……こっちは隠そうとすらせず、声を荒げていた。

 

~~

 

 ザイレムを制圧して一時の休憩を入れていたウォルター達にも、この報告は入っていた。ベイラムからすれば恥でしかない為、下手人であるカーラ達から送られて来た物であるが。

 

「チャティだ。ボスはこのビックリ箱が想像以上に上手く行ったことに笑っている。笑い過ぎて、腹痛を起こしていた」

「何をやっているんだ……」

 

 これにはウォルターも絶句していた。自分達が置かれている状況を分かっているのかと。逆に、ペイターは爆笑していた。

 

「音程合っていませんよ! 微妙に上手いけれど、外れているってのがミソですね!!」

「人前で大口を開けて笑うな!」

 

 見かねたスウィンバーンから注意を受けていた。ひとまず、ザイレムは企業の手に落ちることは無いにしても、長くは持たないだろう。プログラムも時間を掛ければ解かれてしまう。

 

「ねぇ、なんで、オールマインドが?」

『何が起きている?』

 

 レイヴンとカエサルの疑問に応えようにも、ベイラム内では何処で誰が聞いているかも分からないので、一同はエアが説明することに期待して、皆が小さく頷いた。

 

『レイヴン、カエサル。ザッと見た限り、あのプログラムコードの一部にはオールマインドの癖の様な物が見られました。それに加えて、彼女に似せて作られたと思しきコードも』

『つまり、本物と偽造した物の二つが同時に使われているということか?』

 

 オールマインドとスッラにハードウェア的、ソフトウェア的妨害を受けた為、ザイレムの復旧に時間が掛かる。という話は、聞いていた。

 彼女はそれらの障害を逆に利用した。ザイレムの機能をロックしたのが彼女達の仕業だと言うのなら、彼女達に全てを押し付けてやればいいと。問題を更に難解にしてザイレムを放り出して来たということである。

 

『合成音声で、彼女の声を再現した上でね。独立傭兵支援システムなどで、彼女の声は幾らでもサンプリングできたでしょう』

『高次元に低レベルな争いだな!!』

 

 笑いを大事にしているカーラが存分にやりたいことをやった上で、大企業相手に挑発までして責任を押し付けるということを全部いっぺんにやって上手く行ったのだから、それはもう楽しかったことだろう。

 

「オールマインドへの苦情と口が凄いことになっているね。『企業に喧嘩を売るなんて見損ないました』『独立傭兵ですが、今後はオールマインドを使いません』『武器開発の為と言ってCOAMをだまし取られました。訴えるのでクラウドファンディングをします』とか……」

 

 1317がザッと調べて出て来た意見を読み上げていたが、思ったよりも広域にこの動画が出回っているらしい。

 

「だからと言って、ザイレムが空白地帯になる訳でもあるまい。いや、むしろ今からが本番かもしれん」

 

 ウォルターの懸念は順当な物だった。RaDと解放戦を退けた後、このザイレムを狙う勢力がいるとすれば1つ。恐らく、ザイレムの情報を流したであろう存在。

 

「アーキバスですか」

 

 ペイターが呟く。現状、ヴェスパー部隊長達の半数を欠き、バスキュラープラントの確保にも失敗しているが、惑星封鎖機構から鹵獲した兵器の数々と大量の無人機が手元に残っている。依然として、脅威であった。

 今は、ルビコン各地でベイラムと衝突を繰り返しているが、この情報を聞きつけた彼らがどの様に動くかと、皆が思案する中。

 

「スネイル達は来るよ。絶対に」

 

レイヴンはキッパリと言い切った。普段は思案や思考を得手としていない彼女が、ここまでハッキリ言うのは珍しかった。

何の根拠もない発言であったが、彼女があまりにも真剣な表情をしていたので、思わず息を呑んでいた。

 

~~

 

 ザイレムの制圧が終えた報告はアーキバスにも入って来ていた。即ち、RaDと解放戦と言う目障りな勢力を追い出せたということである。

 

「スネイル。行くだろう?」

「えぇ。彼女も来ることでしょう。ベイラムの間抜け共も彼女に味を占めているはずです。全く、誰にでも尻尾を振って。仕方のない駄犬です」

 

 フロイトは涼しい顔をして、オキーフも押し黙っていたが、ホーキンスは背中に走る悪寒を堪えていた。それだけ、この空間は異質な物になっていた。

 連日、不機嫌さを撒き散らしていたスネイルがあまりに穏やかだったのだ。レイヴンと会合できる予定が出来たから、というのもあるだろうが。

 

「そうだ。スネイルはオープンフェイスで行くのか? それとも、惑星封鎖機構から鹵獲したアレを使うのか?」

「そうでもしなければ、彼女は捕まりませんからね。元々は無人機での運用を想定された物ですが、有人仕様に改造して貰いました。テストはばっちりです」

 

 フロイトは実に涼しい顔で尋ねている。彼にとって闘争以外は些事なのだろう。そして、スネイルにとってもレイヴン以外は些事なのだろう。臓腑に圧し掛かる重圧を堪えながら、ホーキンスは辛うじて口を開いた。

 

「あの子を再度捕まえて。どうするつもりだい?」

「首輪だけでは不十分でした。傍に居さえすればいいのです。短期間で無人機を大量に生産したので、手慣れましたよ」

「……そうか」

 

 スネイルは、レイヴンが持っている自由を激しく憎悪している。翼を毟るなんて生温い行為では収まりはしないだろう。

だが、自分には留める理由が無い。今となっては、それだけザイレムが重要な場所へと変貌していたからだ。

 

「では、向かうとしましょうか。ザイレムへ」

 

 スネイルは作戦会議室から出ていく。手にしたタブレットからは『強襲艦隊』の準備が整ったこと。そして、惑星封鎖機構から鹵獲した大型兵器『バルテウス』の準備が出来たとの報告が記載されていた。

 もはや、止める術はなく。残存したヴェスパー部隊長達総出での任務となった。結果次第では、ルビコンの勝者を決めかねない戦いの幕が上がろうとしていた。

 

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