戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 どういう風に違ったかは、あとがきの方で!


依頼84件目:実で言うと今回は冒頭部分がもう少し違ったんですよ

 この日、ザイレムの防衛を任されていた者達は不幸と言う外なかった。

 遠方から見える強襲艦隊から次々と発進される『CD-J-098 QUAD DRONE』大型運搬用無人ドローンには、無人機がぶら下げられていた。

こんな物が投下されれば、防衛戦力は一溜りも無い。防衛を任された隊長が叫んだ。

 

「総員! 無人機の撃破はパターンAを使え! 固定砲台達は運搬ドローンを狙え!!」

 

 こういった時、戦力が運ばれてくるドローンを撃墜するのは鉄板だったが、当然アーキバスが許すはずがない。ドローンより先んじて向かって来たのはLC達とエンブレム付きのAC。即ち、ヴェスパー部隊長達だった。

 

「前座に過ぎない仕事だ。慣らしにもならないな」

 

 敵対企業のパーツを用いた、企業所属のACパイロットは1機しかいない。V.Ⅰフロイトが操るロック・スミスの背部兵装から射出されたレーザードローン達が次々と砲台へと取り付いて行く。

 

「本番はこの後ということか」

 

 オキーフもまた砲台に次々と攻撃を加えていく。プラズマミサイルとプラズマ弾をばら撒き、各所で爆発が起きていた。

 ヴェスパー部隊長達の上位ナンバー達は、防衛戦力として配備されたMT達には全く目もくれていなかった。彼らも迎撃の為に『SG-027 ZIMMERMAN』の引き金を引いていたが、まるで当たらない。

 

「駄目です! 固定砲台が次々と破壊されて……」

 

 畳みかけるようにして、運搬ドローンから無人機達が解き放たれた。玉砕を恐れない彼らの猛攻は、混乱状態に陥っているベイラムの戦力を次々と撃破していく。それでも、一部は攻撃に耐え忍んでいた。防衛隊長の号令が響く。

 

「レイヴン達の方に救援要請が届けられた! 堪え凌げば、俺達はアーキバスの猛攻からザイレムを守り抜いたことになる! そうすれば、特別手当も勲章も夢では……」

 

 激励するために放った言葉は途中で途切れていた。それだけ、彼らは異様な戦力を目の前にしてしまったからだ。

 巨大なリングを装備したLCの両腕にはプラズマライフルが握られており、両肩には8連装ミサイルが設けられている。バックパックに装着された超高振動パルスアレイから、水平状にパルス弾が放たれた。

 

「レイヴンは貴様らの物ではない!!! 私の物だ!!!!!!」

 

 ザイレムの地表を舐め上げ、構えていたシールドを物ともしないで地上戦力を尽く吹き飛ばす。見方であるはずの無人機を巻き込もうが、知ったことではない。

 リングに取り付けられた超高出力ENユニットと手持ちのライフルを連結させることで形成された、レーザーとプラズマの複合エネルギーが林立した建物ごと地表を焼き払う。

 

「ばけも」

 

 防衛隊長は最後まで言い残すことはなかった。脱出の機会すら貰えないまま、搭乗機体ごと光に呑まれて消えた。

 時間にして1時間にも満たない間に、ザイレムは制圧された。そのまま直ぐに地下への調査へと入り込めたのは、ベイラムの負傷者を救出する必要が無かったからだ。

 

「(これは戦いじゃない)」

 

 焼け野原となった一面を見ながら、ホーキンスは独り言ちた。ありのままに怒りと暴力を振り撒く、破壊。この状態のスネイルがレイヴン達と対峙すれば、何が起きるかは想像もしたくはなかった。

 

「(だが、来るのだろうね)」

 

 これは確信にも近かった。現在の彼を止めなければ、ベイラムに勝利という道はない。彼女らの思惑が何処にあったとしても、企業に所属した以上は意向を無視する訳にもいかないだろう。

 迫り来る決戦の時を待ちながら、ホーキンスは手早く糧食を摂取していた。何の味もしなかった。

 

~~

 

「以上が! 先だって送られて来た物だ! 連中はイカれている! バスキュラープラントの奪還なら未だしも、こんな施設にここまで戦力を割いているのは異常と言わざるを得ない!!」

 

 ザイレムへと向かう強襲艦隊の中で、レイヴン達はミシガンから説明を受けていた。アーキバスの本気度が伺える戦力だった。

 逆に言えば、この戦場で彼らを撃破することが出来れば、アーキバスはいよいよ立ち行かなくなる。ということで、今回の作戦にはレッドガン部隊からも人員が派遣されていた。その中には、ナイルの姿もあった。

 

「スネイルがまさかここまでレイヴンにお熱だとは思っていませんでした」

 

 いつもは息を吐くようにかつての上司を罵倒するペイターですら言葉を失う程の執着ぶりだった。当の本人はと言えば、いつもの彼女からは想像できない程に真剣な表情をしていた。

 

「止めないと」

「そうだ! それが出来るのはG13! 貴様に他ならない! 見た所、あのデカブツは攻撃範囲から味方を巻き込むこともあり、防衛線には不向きだ! 故に! 貴様と言う餌で誘き出す! その間に、他の戦力がアーキバスを叩く!」

 

 ミシガンの説明はその通りだったのだが、この作戦には大きな問題があった。参謀であるナイルが直ぐに指摘した。

 

「レイヴ……G13の負担が大きすぎる。例のデカブツ、バルテウスだったか? 奴には複数で当たれないのか?」

「ナイル。それは、止めておいた方がいい。むしろ、奴は1対多の戦いの方を得意としている。アーキバスの方で幾らか武装は変更され、制圧力は減っている様に見えるが、あの機動力に対抗できるとは思えない」

 

 元・惑星封鎖機構の一員としてバルテウスの脅威を重々に把握している1317からの意見もあれば、ナイルも諦めざるを得なかった。

 

「そう言うことだ。これはG13にしか出来ないことだ! コイツのことを心配するなら、俺達は他の戦力を気に掛けるんだな! 今回は、俺もライガーテイルで出る! ベイラムも猟犬部隊(ハウンズ)、G1、G2、G5を投入する一大決戦だ! ルビコンの趨勢を決めると思え!」

 

 このルビコン内で活動している、企業所属のエースパイロット達が集結したかと見紛う程の布陣だった。

 

「向こうにはレイヴンと同等の技量を持つV.Ⅰフロイトも居ますが、大丈夫ですかね……」

「心配いらん! 奴には俺とナイルが当たる! ペイター! 貴様と1317はV.Ⅲに当たれ!」

「V.Ⅲか。機動戦の達人と聞くが」

 

 ペイターの懸念は払拭されたわけではないが、自分が担当する相手も一筋縄ではいかない。それは、1317も把握していたことだった。

 V.Ⅲオキーフ。コーラル輸送護衛任務の時に顔を合わせ、ルビコニアンデスビートル討伐の際も共に作戦行動をしていたが、彼の操縦技量は見事な物だった。彼らの緊張など露知らず、ミシガンは続ける。

 

「ブルートゥ! 貴様はG5と共にV.Ⅴに当たれ! ウチとアーキバス。どちらのNo.5の方が上か、目に物を見せてやれ!」

「俺の方に、決まってんだろうが!」

「頼りになる気概です。私も気合が入りますね」

『2機掛かりなのだから、さっさと終わらせてやろう!』

 

 こちらの方はペイター達とは打って変わって、自信に満ちていた。彼らのやる気に釣られるようにして、兵士達も声を上げていた。

 

「貴様らは地上部の無人機共を抑えろ! 何かあればすぐに脱出をして、地下の方へと入れ! 撃破された防衛部隊はしっかりと仕事をしていた! 貴様らの命を守り得るに必要であろう、ザイレムの見取り図だ! 全員、頭に叩き込んだな! それでは、作戦を開始する!」

 

 ベイラムが運用する強襲艦隊から、先だって猟犬部隊(ハウンズ)やAC乗り達が出撃する。先に待機していたアーキバスの強襲艦隊から迎撃や艦砲射撃も飛び交う中、一迅のエネルギーが駆け抜けていき、強襲艦の1隻を両断した。

 

『この強大なエネルギー反応、間違いありません!』

「レイヴン! やはり、来ましたか!!」

「スネイル!!」

 

『IB-C03W4:NGI 028』のコーラルシールドを展開し、周囲の運搬ドローンや僚機達に向けて放たれた、パルス弾を防いだ。

 

『小娘! こちらの方は俺達がやろう! 貴様は気兼ねなくやって来い!』

 

 カエサルの宣言通り、他の者達は立ち止まること無くザイレムへと突き進む。その間にも、ザイレム付近では艦隊戦が行われザイレムではAC同士の交戦も始まる中。不思議なことにレイヴン達の周囲は静謐だった。

 

「貴方がどうしてそちらに居るのかは、問わないでおきましょう。飼い主の意向という物もあるでしょうからね。今からでも、戻ってくる気はありませんか? ヴェスパー部隊にも穴は空きました。給金も弾みましょう。如何ですか?」

「ううん。私、今のスネイルの所には行かない」

 

 基本的に、大抵のことは快諾する彼女が拒否をする。という時点で、非常に強い意志を持ったうえでの選択ということは、スネイルとしても理解していた。

 

「そうですか。ならば、あの裏切り者と同じことをするのは癪ですが。力づくで取り戻させて貰うぞ!! 目を離したのが間違いだった! いや、傍において置かなかったことが! 自由にさせたことが過ちだった! 二度と! 二度と私の元から離れない様にしてやる!!」

『い、一体何がここまで彼を……』

 

 レイヴンと行動を始めて、それなりに人の感情に触れて来たエアであったが、この様なうねりは見たことが無かった。誰よりも大きく、盲目的な感情。気質的には、かつて相対したセリアを彷彿とさせるものだった。

 

「ごめん」

 

 楽しむ訳でも、怒る訳でもない。HAL826の左腕部『IB-C03W1:WLT 011』からコーラルで形成された刃を展開して肉薄した。

 バルテウス。惑星封鎖機構が生み出した脅威の無人機。レイヴンが相対し時は物量で圧倒する装備であったが、アーキバスに改修された際に実弾をEN兵器へと置き換えたのか、機体の性質は大幅に変わっていた。

 

「私の元へと戻ってきた後は、正式に養子として迎え入れましょう! そうしたら、私の娘に相応しい環境と教育を! こんな寂れた惑星から脱して、上層部がふんぞり返っているアーキバス本社に籍を置き! 戦いとは縁のない場所で! 私達だけの平穏を築き上げる! それが良い!」

『ひっ』

 

 だが、それ以上に変質していたのはスネイルの言動だった。

 V.Ⅱとしての冷静で理知的な面は見る影もない。狂気と欲望に支配された、汚濁の様な思考が垂れ流されていた。エアとしては理解するのも悍ましい言動の数々だったが、レイヴンが吠えた。

 

「勝手に! 私の幸せを!! 決めるな!!!」

 

 バルテウスに切りかかるが、展開したパルスバリアに吸い込まれて消えた。それでも、堪りかねたのかブーストキックを叩きこんだ。

 

「そんな物に乗っているから、抵抗するんだな! だったら、予行演習だ! その手足を切り飛ばしてやる!」

『レイヴン! 来ます!』

「スネイルの! 馬鹿!!」

 

 先日行われていた、喧嘩祭りとは打って変わって。互いの思惑と欲望で相手を塗り潰さんとする死闘が、ザイレムでは繰り広げられようとしていた。

 




入れようと思っていた冒頭部分。

ドルマヤン「痛いんだよぉおおおおおおおおお!」
セリア『痛いってのは分かってんですよ。YO!」
スッラ「何やってんだ……」
オールマインド「オールマインドは拷問状況を撮影中です」


ツィイー「何よこれ。たまげたわねぇ……」
ウォルター「すまん。これは、カーラから送られて来たビデオだ。こっちじゃない」
エア『なんで、こんな物を彼女達は持っているんですかね』
1317「レイヴンは見ちゃ駄目だぞ」
レイヴン「お爺ちゃん馬鹿面」
ウォルター「ちなみにビデオのマスターテープはリング・フレディに奪われたらしい。これ以上、帥父の痴態を皆に見せて堪るかということ。本当に見せたいのは此方だ」


 という感じでしたが、物語の雰囲気的にとてもではありませんが挿入できる感じじゃなかったので、ここで供養。
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