戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 ザイレムと言いグリッド086と言い、建造物への被害が物凄い。


依頼85件目:ザイレム「禿げる!!」

 アーキバス毛髪再生局。スネイルがパトロンを務めていた部署ではあったが、ルビコン内での抗争が激化するにつれて、彼らは星外へと退避させられていた。

 重要度が低かったこともあるが、関係者の暴走が目立つようになって来たので、隊員達の私怨の矛先が向かない様にする為と言う意図もあった。

 

「閣下……」

 

 この部署はアーキバス内においても兵器開発や運用とは異質な物であり、当初こそスネイルの薄毛対策の為など揶揄されていたが、スタッフ達は皆知っている。

 強化手術や負傷によって頭髪を失い、一般社会から奇異な視線を向けられるのではないかという不安に陥った者達を救う為に産まれた場所であることを。

 男性は未だしも、女性が頭髪を失うことによる精神的なダメージは計り知れない。心を病んで、未だに治療を受けている者達もいる。そう言った者達にとって、この部署は再生と復帰の象徴だった。

 

「レイヴン……」

 

 だからこそ、スタッフ達はスネイルの暴走に心を痛めていた。アーキバスと言う企業の中で心をすり減らしていた中、数少ない心許せる存在を得て、失ってしまった為に均衡が崩れてしまったこと。

 そんな彼女とスネイルは対峙していた。ルビコンにおける、技術の粋を集めた怪物同士の衝突は良からぬ結末へと向かっている。故にスタッフ達は祈るしかなかった。

 

「どうか。閣下を止めてくれ」

 

~~

 

 レイヴンとスネイルが激闘を交わしている中、ベイラムのMT部隊とアーキバスの無人機&LC部隊は激闘を繰り広げていた。

 

「食らいやがれ!」

 

 ベイラムのパイロットが操縦する、BAWS製四脚重MT『MT-J-048 BAWS TETRAPOD MT』がガトリング弾とグレネード弾をお見舞いする。

 無人機達に命中しては爆散し、機能を停止させていくが他の機体の猛進は止まらない。倒れた味方機体を盾の様に使う始末であった。

 

「クソ! 人で無しのクソヤロー共が!!」

 

 四脚重MTの背後に控えていた、MT達が一切に『SG-027 ZIMMERMAN』の引き金を引いた。物量での暴力を最大限に生かした、もはや弾幕すら生温い弾壁に襲われて、無人機達は次々と態勢を崩していく。

 そんな彼らに止めを刺さんと四脚重MTからグレネードが放たれようとすれば、上空からレーザーの雨が降り注いだ。アーキバスのLC部隊だった。

 

「距離を取って仕留めるぞ! 接近すれば、食い破られる! 俺達の役目は牽制だ! 掃討は無人機共に任せるぞ!」

 

 上空に待機している彼らは、徹底して牽制しか行わなかった。地上部からミサイルやライフルの攻撃なども飛来してくるが、LCの機動力なら容易に回避できた。

 地上部では無人機達がベイラムのMT達に襲い掛かり、自分達の被害は徹底的に抑えられる。……なんてことが許されるはずもなかった。

 

「アーキバスの連中は随分と兵士達を甘やかしている様だな!!」

「散開!」

 

 接近して来たライガーテイルの左腕部に装着された『DF-ET-09 TAI-YANG-SHOU』から投擲された小型爆弾がLC達の付近で爆発した。

 追撃を掛けようとした所で、レーザー刃が目の前に迫っていた。しかし、ミシガンは動じることなく、『LG-033M VERRILL』重四脚部を高速回転させて、急接近して来たロック・スミスを弾き飛ばしていた。

 

「レッドガンのトップが出て来たか。レイヴンと戦えないのは不満だが、ウォーミングアップには十分だ」

「貴様がG13と相打ちになったという例の番号付きか! ここは戦場だ! 個人でどうにも出来る世界と思うなよ!」

「勿論だ」

 

 地上部から放たれた『LR-037 HARRIS』のレール弾は宙に吸い込まれて消えた。反撃を恐れた、G2ナイルは直ぐにディープダウンを走らせていた。

 

「レッドガンのNo.1とNo.2の2機掛かりか。早くしないと、スネイルに美味しい所を全部持っていかれるからな」

 

 数の上での不利を全く気にもしないで、フロイトは『Vvc-700LD』レーザードローンを展開した。加えて、態勢を立て直したLC達の援護射撃も入る。

 

「フロイト殿! 援護に入ります」

「お前達は地上部を逃げ回るG2に回れ。G1は俺が仕留める」

 

 了解。という掛け声と共に、LC達はディープダウンへの追撃を開始した。アーキバスとベイラムの1番のパイロット同士が向かい合う。

 

「アーキバスのNo.1か。今まで、戦場で見ることが無かったから尻尾を撒いていたのかとばかり思っていたが!」

「俺もやりたいように動きたいんだが、スネイルや上の方がうるさくてな。まぁ、良い。さっさと終わらせよう」

 

 トップ同士ではあるが、フロイトは彼のことを見ていなかった。彼の視線は遠方で戦っているレイヴンに向けられていた。ミシガンが一喝を入れる。

 

「俺も嘗められた物だ! だが、性根を叩き直すことには慣れている! お前の動きが良ければ、レッドガンの空きに入れてやろう!」

「そうか。精々、期待しているよ」

 

 ライガーテイルの『DF-ET-09 TAI-YANG-SHOU』から撒かれた小型爆弾の炸裂を合図に、企業のランカートップ同士の激突が始まった。

 

~~

 

「いつか、こうなる日は来ると思っていた」

 

 V.Ⅲオキーフのバレンフラワーの背部兵装『Vvc-703PM』から、プラズマミサイルが発射されたが、タイミングを合わせるようにしてペイターのLCから放たれたフレアに誘導されて、あらぬ方向で爆散した。

 しかし、それでフレアの次弾装填までのクールタイムを見計らったのか、背部兵装の『BML-G1/P29CNT』からコンテナミサイルが放たれ、2機の機動を遮るようにしてミサイルが暴れ狂っている。

 1317も少し遅れてフレアを放つが、全てを捌き切ることは出来ずに幾らか被弾していた。一方、ペイターは自機への命中を回避した後、バレンフラワーに切りかかっていた。

 

「オキーフ長官! まさか、貴方があんな外道に手を貸すだなんて。見損ないましたよ!!」

 

 声色には怒りよりも喜色に満ちている気がした。バレンフラワーも距離を取るが、肉薄された場合は近接武器を持っているペイターの方が有利だった。

 展開したレーザー刃で兎に角切りかかっていた。オキーフとしても認めざるを得ない。V.Ⅷペイターはレイヴンと戦線を共にすることで、上位Noに匹敵する程の力を手にしているということを。

 

「これでも、アーキバスには恩義がある。損得で動くお前には理解しがたいかもしれんが……」

「はい! 全く分かりません! 恩義は免罪符ではないので!」

 

 倫理観があるのか無いのか分からないような返答だった。だが、オキーフは糾弾するような真似もしなかった。

 

「それがお前の生き方と言うならば、否定はしない。まぁ、私情で生きるのは最も人間らしいのかもしれんな。お前のそう言う所が、割と好きだったよ」

「だったら、長官もこっちで派手にやりましょうよ! そろそろ、上位Noのメンバーも引き入れたいと思っていたんです!」

「ペイター! 救援を!!!」

 

 コンテナミサイルの回避に手間取っている間に、アーキバスLCが駆け付けて来た為、1317は損傷した状態で立ち回るしかなかった。だが、ペイターはそんなことも気にせずオキーフと戦っていた。

 

「助けてやらんのか?」

「一人で尻拭い出来ないなら、それまでですよ」

 

 信頼とも酷薄とも取れる態度だった。こちらも油断していてはやられる。アーキバスを出て行ってから、レイヴンに惹かれたのか。より、自由になった後輩は在りし日よりも強大に見えた。

 

~~

 

「御仁。貴方の戦いには迷いが見られる」

 

 倒壊したビルを飛び移りながら、ホーキンスのリコンフィグを追うブルートゥは彼に告げた。戦場で迷い程、死を招く物は他にない。ベテランである彼が分からないはずもないと考えての問いかけだった。

 

「ヴェスパーってのは、覚悟も碌に出来てねぇのに戦場に来てやがんのか。あの無人機を作り出したのはテメェらだろ? ゴメンナサイって思いながら使うんなら、最初から作るんじゃねェ!!」

『よくぞ言った! 半端な感傷など、誰の為にもならんぞ!』

 

 借金のカタで強化人間にされたイグアスとしては業腹なことだった。人のことを使い捨てるなら、罪悪感も何も抱かず笑う位の気概で行くべきだと考えていたからだ。

 

「いや、割り切れないままここまでやって来たからね。割り切れないと、割り切ることにしているんだ」

 

 だが、迷いはあっても戦い方に淀みはない。四脚AC特有の機動力を活かしての、空戦はブルートゥのミルクトゥースとイグアスのヘッドブリンガーを大いに苦しめていた。

 2機とも空戦はあまり得意ではなく、ビルからビルに飛び移っているとはいえ地上にいる無人機や滞空しているLCからの援護射撃は馬鹿にならない。

 

「なるほど。流石、可哀想なお友達を御して来ただけにありますね。ですが、これは割り切ってはならないことです。本当は分かっているのでしょう?」

 

 ブルートゥの問いかけにホーキンスとしても頷かざるを得なかった。昔のアーキバスに逆戻りしている現状は、自分一人が尽力した所でどうにもならない。

 ならば、せめてこの状況を終わらせる為にも一層アーキバスに尽くすことを選んだとしても、割り切れない心は主張を続けていた。

 

「そうだね。でも、これでもヴェスパー部隊長を務めているからね。感傷で仕事の手を緩めることはしないよ」

 

 ヘッドブリンガーが無人機の攻撃を『SI-27:SU-R8』パルスシールドを展開して防いだ所、出力が切れた所でリコンフィグが『Vvc-770LB』レーザーブレードを振るった。

 しかし、無人機を跳ね飛ばしながら接近して来たミルクトゥースの『WB-0010 DOUBLE TROUBLE』が、その一撃を弾き飛ばしていた。

 

『ブルートゥス! 油断するなよ! 相手はプラズマライフルの収束を終えているぞ!!』

 

「情報感謝しますよ! ご友人! イグアス! 回避を!」

「分かってらぁ! クソ、頭が痛ェ……」

 

 リコンフィグが引き金を引くより僅かに早く、ブルートゥ達は回避挙動を取ったが、むしろ、そう言った動きをさせることを想定していたのか。咄嗟に狙いをイグアスへと変えた。

 

「な!?」

「うん。ちょっと素直すぎるかな。ペイター君なら、これ位は避けただろうけれどね」

 

 放たれたプラズマ弾はヘッドブリンガーへと命中し、咄嗟に展開したシールドごと『SI-27:SU-R8』を吹き飛ばしていた。

 

「これだけの人材がNo.5に甘んじているとは」

 

 アーキバスの恐ろしさを改めて実感しながら、ブルートゥ達もまた激戦を繰り広げていた。

 

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