戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】 作:ゼフィガルド
それとAC6の攻略本を買いました! 機体名とか武装名を調べるときに物凄く便利です!
「スネイルとレイヴンが落ちたか」
ライガーテイルとディープタウンの2機を同時に相手取りながら、フロイトは遠方での戦いに決着が付いたことに溜息を吐いていた。スネイルへの失望か、あるいはレイヴンと戦う機会を喪失したことへの落胆か。
しかし、機体の動きが精彩を欠くことはなかった。レッドガン部隊のトップ2を相手にしながらも引けを取らない所か、互角以上の勝負をしていた。
「(コイツには俺の思考が読めているのか?)」
アリーナではフロイトに次ぐランカーとして名を連ねているミシガンであったが、それでもここまでの差があるとは思っていなかった。
ナイルと息を合わせてのミサイルの雨を浴びせようにも『Vvc-700LD』から展開されたレーザードローンが悉く撃墜していく。その上、迎撃の為に射出されたと思っていた内の数機は、ライガーテイルの背面に回り込んで、背部兵装に向けてレーザーを放っていた。
「クソッ!」
『BML-G2/P17SPL-16』の弾倉を撃ち抜かれた。誘爆する前にパージした所、大爆発が引き起こされた。誘導兵器が失われ、自らのエイムのみで当てなければならない。
ロック・スミスはビルの上にも下りたりして隙を見せているというのに、攻撃が当てられない。タイミングを合わせてナイルもミサイルを撃ち込んでいるが、その全てが避けられていた。焦りが募る。
「(レイヴンも他者の心を読んで攻撃を事前に回避する。ということはやっていたが、これはどうにも質が違う。恐らく、ミサイルの発射挙動などを完全に理解している)」
暫くの間、猟犬部隊(ハウンズ)としてレイヴンと行動を共にしていたナイルは、フロイトが彼女と同じ能力者なのかと考えていたが、違うと断言できた。幾ら彼女でも、ミサイルの正確な軌道までは読めていなかったから。
地上部は未だにアーキバスの鹵獲無人機『AM02:DENOISER』達とベイラム社のMT達の小競り合いが続いており、ナイルにも幾度か矛先は向けられていた。
「--!」
「クソッ!」
近接特化型の無人機がディープダウンに向けてパルスブレードを振り下ろすが、ナイルはチャージしていた『LR-037 HARRIS』を撃ち返して迎撃していた。
だが、それはV.Ⅰという相手に見せた隙としてはあまりに致命的だった。レールガンを食らった無人機は吹き飛ぶ前に爆発した。
爆炎で視界が紛れた一瞬、『SB-033M MORLEY』から煙を上げながら肉薄して来たロック・スミスは『Vvc-770LB』に展開したレーザー刃でディープダウンを逆袈裟に切り裂いた。
1閃。右腕部、頭部、左肩の兵装が切り飛ばされる。2閃。そのまま振り下ろして、左腕部が宙を舞う。3閃。脚部が切り飛ばされた。あまりにも鮮やかな解体作業だった。直後、周辺で爆発が起きた。
「なるほどな。馴れ合いと言う訳じゃない様だ。流石、ベイラムの歩く地獄だ」
上空から『SONGBIRDS』と『DF-ET-09 TAI-YANG-SHOU』の連撃がぶち込まれていた。だが、ロック・スミスはパルスバリアによって守られており、身を翻して宙を舞う。ミシガンが叫ぶ。
「うぉおおおおおおおお!」
『DF-GA-08 HU-BEN』から大量の銃弾が吐き出されるが、ロック・スミスを捉えるには至らない。クロスレンジまで近づかれたので、咄嗟にオーバーブーストを吹かして四脚特有の回転蹴りを浴びせようとするが。
「選択肢を迫られた時点で終わりだ」
『Vvc-770LB』からレーザー刃を展開させたフロイトはブーストキックを避けると同時に、『LG-033M VERRILL』の四脚部分を切り飛ばし、『SB-033M MORLEY』が轟音を上げた。
直撃を受けたライガーテイルだったが撃墜するまでには至らず、態勢を立て直そうとするが周囲には既にレーザードローンが展開されており、あらゆる方向から射貫かれた。
「なん、だと…?」
「これがレッドガンのトップか。やはり、俺の相手はレイヴンしかいないな」
止めと言わんばかりに、ライガーテイルをブーストキックで蹴り飛ばして地面に叩き付けた。あまりの衝撃にミシガンの意識は、暗闇の中に落ちて行った。
2機の沈黙を確認したフロイトは戦場を見渡しながら、何処へ加勢に行くべきかを考え、機体を走らせた。
~~
「うっ……」
1317は言葉を詰まらせていた。V.Ⅲであるオキーフの相手はペイターに任せ、自身はアーキバスのLCに対応していた所、援軍が現れたからだ。彼にとってのトラウマにも近い相手。V.Ⅰフロイトが操るロック・スミスだった。
「フロイト。レッドガンの方は良いのか?」
「トップ2は撃破した。レイヴンとスネイルも沈黙した様だから、楽しめるとすればここしかなくてな」
オキーフは舌を巻いていた。レッドガンのトップを相手にしておきながら、これだけの余裕。V.Ⅰが如何に怪物じみているかを実感せざるを得なかった。
一方、ペイターは言葉を無くしていた。流石に、この状況では自分に勝ち目がないと悟ったのか、ジリジリと引いていた。
「いや、そっちのナンバー2が撃破されましたし、ここは素直に引いてくれませんか? ハハハ……」
「いや。まだ、お前がいる。聞けばレイヴンに次ぐ猟犬部隊(ハウンズ)のエースだと言うそうじゃないか。V.Ⅷとしてくすぶっていたお前が、そこまで躍進しているとは、俺も嬉しいよ」
「そうですか。では、喜びがてらに見逃すということは」
「駄目だ」「ですよね!!」
近接戦では勝てないと即座に判断して、ペイターは距離を取ってからミサイルとライフルを放っていたが、全て避けられた。
機動力で上回ろうにも、周囲に展開されたドローン達が進行方向を遮るようにしてレーザーを放っていた。
「おかしいでしょ! なんで、ACを動かして、相手を見ながら、ドローンも同時に操作出来ているんですか!?」
「慣れだ」
多分、レイヴン達の様に異次元的な能力を持っているのだろう。それでも、ペイターは避けながら応戦していたが、オキーフの援護射撃も加わればいよいよどうしようもない。
「先輩達からの可愛がりだと思ってくれ」
「無理!!」
ペイターとしてはかなり珍しいことだが、早々に音を上げ脱出レバーを引いた。実際、その数秒後には彼の搭乗機であるLCは撃墜されていた。
こうなると、1317はどうしようもなくなる。逃走しようにもLCの包囲網がそれを許さない。なので、最終プランを使うことにした。
「クソッ!」
コードを打ち込むと同時に脱出すると、彼が搭乗していたLCのジェネレーターが暴走を始め……盛大な爆発を引き起こした。
たった1人の援軍で2人を撃墜するに至った。V.Ⅰの強さの異次元ぶりに驚きながら、彼は次の場所へと向かおうとしていた。
「よし、オキーフ。次はホーキンスを助けに行こう」
「いや、それよりも先に艦隊の援護に向かった方がいい」
艦隊戦に関してはベイラムの方に分があった。木星戦争の頃から培い、ファーロン・ダイナミクスで船団を率いていたミシガンの指導も徹底されているとなれば、弱い筈がない。懸念事項であったアーキバルテウスが排除されたなら、尚更だった。
「ミシガン総長やレイヴン達ばかりが戦場の主役じゃねぇんだ!」
大型のミサイルが次々と発射され、艦首のレーザーは迎撃と攻撃に使われていた。船底に取り付けられたレールキャノンの一撃が、アーキバスの強襲艦に穴を空けたりしている。
加えて、ザイレムから発っている見慣れない小型機にまで襲われていた。強襲艦も子機を出して対応してはいる物の、効果は上げられていなかった。
「アレは。KITEか。ホーキンスには自力で切り抜けて貰うぞ」
「仕方ないか」
気落ちした様子を隠しもせず、オキーフとフロイトは襲撃を受けているアーキバス艦隊の援護へと駆け付ける為に撤退していた。
残されたホーキンスはと言えば、離脱できずにいた。執念で食らいついて来るヘッドブリンガーに、彼を支えるようにした立ち回るブルートゥの動きがすさまじかった。
『ブルートゥス! 相手は既にプラズマライフルのチャージを終えている! レーザーブレードは放熱を完了していないのであれば、攻め時は今だ!』
「とのことです。ご友人!」
「耳鳴りが鬱陶しいが、役に立つな! ソイツ!」
近接武器が飛んで来ないなら、と。ヘッドブリンガーはパルスシールドを展開しながら突っ込んでいく。リコンフィグの巨体では、どうしても被弾してしまう。
マシンガンにより機体制御が揺さぶられる中、ホーキンスはやはり冷静だった。プラズマライフルでヘッドブリンガーに狙いを付け、引き金を引く一瞬。銃口を逸らして、回り込んで来たミルクトゥースに向けて放った。
『うぉ!? 器用なことをする男だ! 面白い!』
「流石可哀想なお友達を飼いならして来た御仁! ですが!」
『WB-0010 DOUBLE TROUBLE』を突き出して、オーバーブーストを噴かす。プラズマライフルを、ミルクトゥースの頑強さで受け止めながら2枚の回転刃がリコンフィグへと迫る。
「悪いね!」
しかし、放熱を終えていた『Vvc-770LB』で切り返そうとした所で弾き飛ばされていた。見れば、肉薄していたヘッドブリンガーの『LR-036 CURTIS』が火を噴いていた。
それでも、ホーキンスは諦めなかった。オーバーブーストを吹かして四脚特有の回転蹴りを放つ。2枚の回転刃で激しくぶつかり合い、拮抗している中。更に、イグアスが動いた。
「これで終いだ!」
リコンフィグの胴体に向けて『MG-014 LUDLOW』の引き金を引いた。だけでは収まらず、放熱を終えた『LR-036 CURTIS』のチャージ弾をもう一度ぶち込んで、止めと言わんばかりに『BML-G1/P20MLT-04』のミサイルを叩きこんだ。
「君達、良いコンビ、だねぇ……」
これらの攻撃を食らったことで態勢を崩したリコンフィグに、ダブルトラブルが直撃した。機体が火を噴き始めた所でホーキンスも脱出レバーを引いたが、イグアスにキャッチされていた。
「どうやら、5番に関しては俺達の方が優秀だったみたいだな」
「その様だね。捕虜の扱いは丁重に頼むよ」
ホーキンスは両手を上げていた。ザイレム上は無人機とMTの残骸が溢れかえっており、間もなく激闘の幕は引かれようとしていた。