戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 いつもコメント&評価ありがとうございます! 小説を書く為にプレイする度に色々な発見があるからAC6って面白い!


依頼91件目:ザイレム「ヒューッ、ヒューッ」(瀕死

「行くよ!!」

 

 地上への脱出口が次々と塞がれていく中、レイヴンはA.NULの肩部武装の『コーラルキャノン』を上方へと向けて放った。天井をぶち抜き、地上へと続く経路が現れ、皆が地上部へと向かう。

 オールマインドもレイヴンにA.NULを引き渡した後。待機させていた『MIND γ』を起動させていた。

 

『HALの時もそうでしたが、こうもザイレムを破壊しているといざと言う時に運用できるのか心配になって来ますね』

「ご友人。今は生き延びることを優先しましょう」

 

 将来的に使用する用途がある物をここまで傷物にしていい物か、と言う疑問がエアの中には沸いていたが、ブルートゥの言う通り。今はそんなことを心配している場合では無かった。

 地上へと出ると、上空にLC部隊が展開されているのが見えた。中にはHCやHM型などの特別機の姿もあった。

 

「ターゲットを確認。レイヴン、オーネスト・ブルートゥ、スッラ、オールマインド。そして、裏切者のV.Ⅶ」

「裏切り者ぉ!?」

 

 今更ではあるが、スウィンバーンは自分が裏切り者として認定されていることにショックを受けていた。

 自分にはアーキバスに戻るという選択肢は用意されていない。……まぁ、こうやってレイヴンを初めとした敵対勢力と行動を共にしている時点で当然ではあるのだが。

 

『レイヴン。HAL826もそうでしたが、コーラルを介した機体は私でも一部の操作系統を担えます。このA.NULは装備も多い。一部の火器は私が担当させて貰ってもよいですか?』

「おねがい!」

『おぉ! 羨ましいな! 俺としては口を挟む位しか出来んから、共に戦場で舞えるのはげに素晴らしきこと。歯がゆくはあるが、俺も出来る範囲で動こう! 行くぞ! ブルートゥス!』

「勿論です! ご友人達!」

 

 レイヴンの立ち回りは慣れた物だった。幾度も、この場所で戦って来たこともあるのでおおよその地形も把握している様だった。

 彼女が単独行動で走る中、スウィンバーンはブルートゥやオールマインド達と共に行動をしていた。

 

「V.Ⅶスウィンバーン。一時的ではありますが、貴方の指揮下に入りましょう。複数の指揮系統は混乱しますからね」

「貴様らも!? えぇい! 分かった! 隊長経験があるのは私くらいだからな! 私が指示をする!」

 

 周囲の敵戦力を確認する。LCやHCなどはビルの屋上などの高所に降り立ち、HM型は滞空しながらミサイルを放ち続けていた。

 だが、気になることがあった。彼らの攻めが消極過ぎた。まるで、その場から動いてはならないような、地上部には降り立ってはいけないような……。スウィンバーンが警戒していると、オールマインドから通信が入った。

 

「V.Ⅶに報告。地上部に『IA-05:WEEVIL』が投下されたことを確認。かなりの強敵です。警戒を」

「IAナンバー。ということは、技研兵器か!」

 

 ザイレムに林立するビル群を擦り抜けて現れた機体達は、見た目は2脚のMTの様に見えた。だが、逆部には履帯が備わっており、凄まじい速度で彼らに近付いて来た。

 現れた複数のWEEVILは上体に取り付けられたキャノン砲を彼らに向けた。未知の機体に思考が一瞬固まったスウィンバーンだったが、スッラが躍り出た。

 

「ふん」

 

 飛び出したエンタングルは猛スピードで接近してくるWEEVILを側面から蹴り飛ばしてビルに激突させた後、右手に握っていた『44-141 JVLN ALPHA』を放った。放たれたバズーカ弾は直撃して周囲に大爆発を引き起こし、襲撃者を大破させた。

 影響はそれだけに留まらない。WEEVILを激突させられて揺れたビルの屋上にいた、LCが移動しようとした時。目の前には、オールマインドの『MIND γ』が迫っていた。

 

「ひっ」

「少しでもレイヴンに恩を売っておくために、土産は多めに貰いましょう。では、その機体は置いて行って下さい」

 

 脚部パーツである『06-042 MIND BETA』の先端は、獣を彷彿とさせる形となっており、オールマインドは躊躇いも無くLCのコックピット部分に向けて蹴りを突き入れた。

 あまりの一撃に内部が変形し、パイロットが押し潰され周囲に体液を撒き散らしながら絶命した。だと言うのに、LCの損傷は僅かに留まっていた。

 

『あの女。先の通話では間抜けかと思っていたが、指揮権を敵対者に譲り渡す強かさと言い、一連の挙動と言い。実務面ではえらく優秀だな』

「恐らく、彼女は誰かに使われることで本領を発揮するタイプなのでしょう」

「暢気に語っている場合か!」

 

 スウィンバーンは息を呑んでいた。正直に言えば、猟犬部隊(ハウンズ)の緩い空気に慣れ、オールマインド達も似たような物だと考えていたが、彼女らは確かに兵士だった。レイヴンの様に殺さず等と言う生温いことはせず、相手を仕留める殺戮者だった。多少の葛藤はあったが、彼は命じた。

 

「スッラ! ブルートゥ! 貴様らは地上部を徘徊するIA-05の排除を! オールマインド女史は私と一緒にLC達の撃破に!」

「了解した」

「分かりました。ご友人!」

『順当な采配だな。無人機の挙動に関しては、俺の助言も幾らか効くだろう。煩いハエ共は任せたぞ!』

 

 スッラの操縦技術は卓越していたし、ブルートゥの機体は機動性に乏しい代わりに頑強だった。WEEVILに対応するのは彼らが適任だと判断したのだ。

 そして、空中戦はガイダンスの得意とする所だったし、オールマインドの手段は兎も角として、LCを無力化する手際の良さを使わぬ手はなかった。

 

「あの。今の、オールマインド女史って、もう一度」

「オールマインド女史! LC共の相手を頼む! ……出来るだけ殺すんじゃない! 彼らも元は同志だったかもしれないのだ!」

「善処します」

 

 余程、女史と言う呼び方が気に入っていたのか。無機質であるはずの彼女の声が弾んでいる様に思えた。

 彼らが二手に分かれたことで、LC達も狙いをスウィンバーン達に定めていた。狙撃型とHF型からレーザーと実弾が、ガイダンスに目掛けて大量に放たれた。

 スウィンバーンも『VP-61PS』パルスシールドを展開して、攻撃を防ぐが四脚と言う体躯の大きさから被弾は避けられなかった。

しかし、指揮官である彼を潰そうとしていると、逆関節脚部『06-042 MIND BETA』の跳躍力を用いて接近して来たオールマインドの一撃が入る。

 

「ガボッ」

「2機」

 

 彼女の攻撃は合理的だった。AP(耐久値)を削り合うことはせず、操縦しているパイロットを潰せば機体の損傷も少なく済む。

 撃ち合いや距離の測り合いなどもしない。彼女はAIであり、パイロットの負荷を無視した動きが出来るのだから。重装備故に動けずにいたHF型のコックピットを蹴り潰すと、仁王立ちしたまま動かなくなった。獣の様に跳躍を繰り返しながら、跳ね、近付いた相手の脱出も降参も許さない一撃を決めていく。

 『VP-67LD』レーザーダガーの短い刀身でパイロットを焼き殺し、あるいは相手の頭上に飛び出し『44-142 KRSV』のチャージショットで消し炭にした。

 パイロットばかりが優先的に殺傷される為、LC達は、姿はそのまま機能を停止させていた。

 

「やはり、人間は脆いですね。戦い続けるには余りにも適していません。肉体の枷に縛られていては、闘争は打ち止めにされてしまうことでしょう」

 

 彼女の攻撃は合理性もあったが、肉体と言う容れ物に対する憎しみが垣間見える様でもあった。あまりの凄絶な戦いぶりに、HCとHM型に防戦一方のスウィンバーンも息を呑んだ。

 

「(やはり、傭兵システムを管轄するAIなだけにあって戦闘面はヴェスパー部隊長の上位ナンバーにも引けを取らない。先日の通信が嘘の様だ)」

 

 ウォルターとの通話口では人間臭さの様な物を感じていたが、戦場においては無機質に相手を殺戮するAI特有の冷酷さが滲み出ていた。

 彼と交戦していたHCもHM型もこの事態は看過出来なかったらしく、HCが戦線から抜けた。

 

『脅威度変更。分化AI、オールマインドの消去を優先する』

「HCですか。丁度良かった。欲しかったんですよ。ソレ」

 

 中身だけを取り除いて入手せんとばかりに彼女は背部兵装の『45-091 ORBT』を展開した。『MIND γ』の周囲に随伴しながらレーザーをばら撒きつつ、『44-142 KRSV』のエネルギーをチャージしていた。レーザーとプラズマのエネルギーが混ざり合い、青紫の奔流が銃口に迸っていた。

 

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