戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 前回上げた話で、レイヴンちゃん投稿から3か月目の様です。感想も1000件を超えました。私が今まで書いて来れたのは、皆さまの温かい応援のお陰です。時には笑わせて貰いながら、時には『お。気づいてくれたんだ!』となりながら、楽しく拝見させて頂いております。
 物語的にも後半の中頃まで入って来ました。このまま、ハーメルンで初めて投稿する二次創作を完結まで漕ぎ着けられるよう、書いて行きたいです。改めまして、皆さまの感想、評価、ブクマ。本当に感謝しています。ありがとうございます!


依頼92件目:???「フッ。レイヴン! 私のことを忘れた訳ではあるまいな!」

 A.NULがザイレムの上空を飛んでいく。通常ならば、途中で推力が切れてしまうのだが、この機体は違っていた。

 HAL826と同じく『IB-C03G: NGI 000』ジェネレーターが用いられており、敢えて限界までENを使用することで、内部に疑似的な真空を作り出してコーラルを活性化させ、一気にエネルギーを復元させると言う特異な仕様をしていた。

 エネルギーの管理が難しく、燃焼させた後は3秒ほど隙だらけになってしまうのだが、その驚異的なEN復元性能のお陰で半永久的な飛行が可能となっていた。更に、彼女自身がコーラルに対して敏感なこともあり復元のタイミングは常人よりもかなり正確に把握は出来ているのだが。

 

『HAL826の時もそうでしたが、この感覚は慣れませんね。同胞を見下す様で気は引けますが、彼らに思考能力はない筈なのに』

 

 コーラル粒子は生物的な特徴をも併せ持つ。エア程、高度でなくとも快か不快かを感じる程度の感性は持ち合わせている為、短期間で増殖と消費を繰り返す彼らの不快感を、レイヴンは感じ取っていた。

 

「ざわざわする」

 

 再びエネルギーを限界まで使い切ったことで、ジェネレーター内部でコーラルが凄まじい速度で増殖していく。その僅かなスキを逃す程、惑星封鎖機構は甘くはなかった。

 強襲艦から放たれた子機達がレーザーを放ちながら、レイヴンへと接近して来る。ENを使い果たしたのでブーストを噴かすことによる機動は取れないが、手足の稼働や武装の使用による反動などを用いて、攻撃を回避。あるいは胴体部分のコーラルアーマーを用いて防御していた。

 

『レイヴン。強襲艦はもう目の前です』

「後、ちょっとなんだけれど!」

 

 子機以外にもミサイルや船底部分のレーザーも襲い掛かって来たが、回復したENでブーストを噴かして回避していたが、接近する為のENが足りなくなって来る。

 

『レイヴン。もしも、良ければ。この機体に搭載されている変形機構を使ってみませんか? 理論上はコックピットのスペースは確保されているはずです』

「うん! やって!」

 

 変形機構。企業が採用することはまずないギミックであり、整備性や安全性の確保から非現実的なものであり、無人機位にしか採用されていない。

 しかし、A.NULは無人機として設計されていたので変形機構を残していた。胴体と股間を繋ぐジョイント部分が延伸し、脚部が変形し翼の様に開かれた。頭部が沈み、腕部が収納される。すると、股間部分を頭部にした鳥の様な造詣の機体へと変形していた。

 

『レイヴン、私があなたの翼になります』

「お願い!」

 

 機体の機動と武装管理の役割を交代した。腕部のコーラルオシレーターは使用できなかったが、背部のコーラルミサイルや、肩部のコーラルキャノンは問題なく使用できた。

 翼の様に広げた脚部に取り付けられていたコーラルキャノンは、出力を調整して、ブレードの様に展開されていた。すれ違いざまに子機達を切り裂き、強襲艦へと肉薄していく中、立ちはだかる機体が1機。

 

「久しぶりだな。小娘!」

 

 現れたのはHM型のLCだった、通信からは憎悪の籠った声が聞こえて来た。

 知り合いの様だが、1317以外に惑星封鎖機構の者と認識のないレイヴン達は誰かが分からなかったが、程なくしてエアが思い出した。

 

『レイヴン、思い出しました。彼は燃料基地ではエクドロモイに、バートラム旧宇宙港ではカタフラクトに搭乗していた、特務少尉と呼ばれていた男です』

「……誰?」

 

 この期に及んでもレイヴンの記憶にはない人物だった。そもそも、交流らしいことをしていないので、当然と言えば当然でもあるのだが。

 

「乗り慣れていない新型機体では動きづらかろう。ギミックだけで、我々に勝てると思うなよ!」

 

 手にしたバズーカとライフルの引き金を引くが、NULを捉えるには至らない。レイヴンもコーラルミサイルを用いて反撃を行うが、HM型もフレアを展開して攪乱を行いつつ、それでも捌けなかった分は実盾で受け止めていた。

 

『レイヴン。あのパイロット、正確に自分に命中する物だけを防御していました。以前よりも強くなっています』

 

 引き続き、上空の強襲艦からはミサイルやレーザー攻撃が放たれ続けている。HM型にばかり気を割く訳にもいかず、かと言って目の前の敵を無視することも出来ず。レイヴン達は不利な状況を強いられていたが。

 

「大丈夫! こっちは2人いるから!」

『……はい!』

 

 今まで、エアの行動はサポートが多く、HAL826の時も変わらずであったが、このNULと言う機体は機体の複雑さから1人で扱うのは至難を極める。

 しかし、2人掛かりなら。更に、この機体はコーラルジェネレーターを用いているだけにあって、変異波形であるエアも操作を担当することが出来た。

 

「落ちろ!! 秩序を乱す害鳥め!!」

 

 HM型から大量のミサイルが放たれるが、変形したNULの機動はこれらを振り切り、大空を舞っていた。

 

~~

 

 スッラが盾にしたLCに、WEEVILの砲撃が加わり大破した。寸での所で脱出レバーを引いて、射出されたコックピットをエンタングルが受け止めていた。

 

「た、頼む。やめ」

 

 封鎖機構パイロットの懇願も空しく、スッラはそれを握りつぶした。マニピュレーターに赤黒い染みが付着した。

 ブルートゥの傍ら、カエサルは息を呑んでいた。彼にとっての戦いとは、不文律ではあるがルールの様な物があると感じていた。だが、スッラやオールマインドの戦いはあまりにも異質に見えた。相手を殺す為に戦っている。

 

「ご友人、本来であれば。戦いとはその様な物なのです」

『あまりにも惨い。だが、本来はレイヴンの方がおかしいという訳か』

「そうだ。戦いとは『死』だ」

 

 返事があるとは思っておらず、カエサルは少し驚いていた。ブルートゥも応戦しているが、スッラの活躍は異次元と言える物だった。

 ビル群を飛び交う、人体への負荷を無視したオールマインドの戦い方とは違う。自分に向って来る死を正眼に見据えた上で、臆せず正しい選択肢を選び取る。恐怖や焦りをまるで感じられない、凄絶な戦いぶりだった。

 

『死。だと?』

「当然だ。相手を害し、貶し、命を奪う。あの小娘が見せているまやかしに酔えるとは、頭のめでたい奴らだ」

 

 WEEVILの底が尽きたのか、地上部を激走する存在は殆ど姿を消していた。大破した無人機の残骸がそこら中に転がり、妙に外傷の少ないLC達も沈黙していた。周囲の建物の多くが倒壊し、更地になり掛けている中。新たに接近して来る敵影を感知した。

 

『ブルートゥス! これはレイヴンの持って来た情報にあった技研兵器だ!』

 

 歯車の様な機体が、車輪の様に回転しながら猛接近して来る。レイヴンがコーラル集積で戦ったという、技研兵器『IE-09:HELIANTHUS』だった。

 進路の邪魔をする建物が少なくなって来たのを鑑みて投下されたのだろう。コーラル集積で聞いた処理の方法としては、側面からの攻撃に弱いと聞いていたが、猛スピードで接近して来る機体の側面を攻撃するのは至難の業と言えた。

 

「コイツらを投入してくるということは、地上戦力は残す所。コイツら位ということだろう。上の方の戦いも終えそうだ」

 

 上空ではスウィンバーンのガイダンスがHM型のLCに圧されており、オールマインドの『MIND γ』は手数と異常な挙動と機動でHCを圧倒していた。拮抗が崩れるのは遠くなく、さらに言えば上空で母艦を強襲しに行っているレイヴン達の作戦行動も順調そうだった。

 

「そうですね。我々だけが音を上げる訳には行きませんね!」

 

 ミルクトゥースの武装はヘリアンサスとは相性が悪い。だが、目の前でスッラが蹴り飛ばしたり、側面に回り込んで『44-141 JVLN ALPHA』のバズーカ弾をぶち込んだり、銃剣部分でコアをぶっ刺したりしているのを見ていると、気概が湧いて来た。

 迫り来るヘリアンサスに対して『WB-0010 DOUBLE TROUBLE』の回転刃をぶつける。凄まじい回転と共に大量の火花が散った。

 

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