戦え! 超強化生命体傭兵レイヴンちゃん!【本編完結】   作:ゼフィガルド

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 フレンドと話で出て来たルビコン解放戦線。

「思ったのだが、バスキュラープラントでコーラルを吸い上げてくれるなら企業に就いた方がよくないか?」
「せやな!」

「さぁ、ルビコン解放戦線の皆さん。今日もご理解の為の話し合いをありがとうございます! 我々アーキバス食堂でランチと行きましょう!」
「イェーイ!」

「見て下さい! ベイラムの非道ぶりを! 私達は地元民の理解を得ながら活動していますが、奴らはコーラルを搾取しています! 星間企業の皆さん! この横暴を見ていますか!」
「うぉおお! ベイラムは出て行けェ!!」

 企業に阿るタイプの解放戦線


依頼94件目:不可侵

 強襲艦に乗っていた者達が退艦するのを見届けた後、レイヴン達もまた地上へと降下した。無人機達は破壊され、妙に損傷の少ないLCやMT達が擱座している。そのいずれもがコックピット部分のみに損傷が集中していた。

 

『パイロットのみを葬る攻撃。彼女達の仕業ですね』

「……」

 

 これに近い物を以前、燃料基地で見たことがある。相手の機体を鹵獲する上でも都合の良い方法ではあるが、レイヴンは不快感を露わにしていた。話題を逸らすべく、エアは別の話を切り出した。

 

『先程、フライトユニットを断ち切ったHM型はどうなったのでしょうか? レーダーには移りませんが、レイヴン。貴方に何かしらの声は聞こえますか?』

「ちょっと待って。エア、周囲の警戒をお願い」

 

 彼女は、窮屈なコックピット内でパイプに入ったコーラルを吹かした。ジワジワと成分が体内で広がり、彼女の感覚が研ぎ澄まされて行く。

 周囲から流れ込んで来る声は僅かであり、このザイレムに殆ど人が残っていないということでもあった。声のする方に耳を傾ける。

 

【やめろ! 武装は解除した! 殺す必要はあるまい!】

【少しでも敵側のエースを削いでおくことは意味がある。2度も立ち直って来たらしいからな。3度目もある筈だ】

 

 制止を掛ける声はスウィンバーンの物であり、もう片方の不穏な発言をする声はスッラの物だった。そして、彼らよりも大きく感情が滲み出た声が一つ。

 

【クソ! クソ!! クソ!! 何故、私がこの様な目に遭わねばならんのだ!? こんな所で死んで堪るか! 殺してやる。こいつらは必ず殺してやる!】

 

 深い憎悪と殺されかねないと言う恐怖が入り混じった、叫びだった。そして、エアの方でもまた彼らの反応を掴んでいたらしい。

 

『レイヴン。件の惑星封鎖機構の機体近くにガイダンスとミルクトゥースの反応があります。恐らく、彼らは捕縛に成功したのでしょう』

「行くよ」

 

 変形を解除して、二足歩行のモードになってから進んだ先。HM型の機体は無力化され、特務少尉は頭の後ろで両手を組んで、転がされていた。そんな彼に向けて、エンタングルは『44-141 JVLN ALPHA』の砲口を向けていた。レイヴンが声を上げる。

 

「スッラ。やり過ぎ」

「ほぅ、もう強襲艦の方を始末したのか。渡されたばかりの機体でそんな戦果を上げるとはな。ウォルターの奴はとんでもない猟犬を手にした物だ。俺としても気が休まる暇がないな」

 

 軽口を叩きながらも、決して引き金から意識を離していないことは分かっている。スウィンバーンも続いた。

 

「戦う気勢の無くした相手まで手に掛ければ、人道に反する。勝負は着いた。これ以上、やる必要もあるまい」

「……行儀の良い連中だ」

 

 スッラが『44-141 JVLN ALPHA』を降ろすと同時に、特務少尉は走り去った。彼は既に関心を無くしたらしく、逃走した先を見ようともしていなかった。

 ひとまず、目の前で殺人が起きるのを回避できたことに安堵していたが、レイヴンは1機足りないこと気が付いた。

 

「オールマインドは?」

「自爆した。奴自身は別所に避難している」

 

 自爆。と言う選択肢は、簡単に取れる物ではない。例え、脱出装置を使えるとしても機体の損失による負債は計り知れず、企業所属であったとしても難しい。なにより、咄嗟にそう言った判断を下せる者はいない。

 

『避難ですか。その様な芸当も出来るのですね。何処に本体があるのでしょうか?』

「俺にも知らされていない。まぁ、知っていたとしても教えんが」

『当然だな』

 

 決して、死亡した訳ではない。と知って、安心した。エアやカエサルとしても敵対している相手が死んだとして、喜べるような性格はしていなかった。

 機体の譲渡一つで、ここまでの争いが起きたことを考えれば、惑星封鎖機構とアーキバスがどれだけ本気になっているかも理解した。

 

「ついでにコイツもくれてやる」

 

 目の前にはフライトユニットが損傷したHM型と、機体の前面部分だけが破壊されたHM型の2機が擱座している。

これらを組み合わせれば、現在のスウィンバーンが使っているガイダンスの様な、再現機体が出来るかもしれない。ブルートゥが声を上げる。

 

「ですが、それでは貴方達が損するばかりではありませんか? 既に機体も失っているというのに」

「そう思わせない様に、精々。コーラル集積にいる連中を蹴散らしてくれ。俺は先に戻らせて貰うぞ。後を付けて着たら、敵対行動と見なす」

 

 そう言って、スッラが去っていく。何かしらの手段で追跡する方法はあったのだろうが、恐らく無駄になるだろうことを察して、誰もやらなかった。

 そして、自分達もここに長居をするのは得ではないと判断した。HM型に組み込まれた発信機などの類を停止させた後、スウィンバーン達はこれらを担いで帰投していく。……その最中のことである。

 コックピット内に居たレイヴンの表情は浮かない物だった。ミッションは成功し、新たな機体を入手したが、今回の戦いについては思うことがあったらしい。

 

『レイヴン。やはり、犠牲者たちのことが気になるのですか?』

「……うん」

 

 そもそも、戦場においては犠牲が出ることは当然であり、スッラとオールマインドの方が普通と言えた。誰も死なない戦場、などあり得ない。

 故に、スウィンバーンやブルートゥも動じては居なかった。むしろ、気にしているのは彼女位だった。

 

『以前より不思議に思っていたことがあります。どうして、貴方は犠牲が出ることを忌避しているのですか? 積極的に殺すべき。だとは言いませんが』

 

 この様な兵器を取り扱っての戦いとなれば生死が関わって来るのは当然であり、戦場に身を投じる人間であれば気にしている暇もない。

 だが、彼女はそうした犠牲を極端に忌避している。殺さない様に、と言う立ち回りも彼女の実力ならばできると言うだけで、通常のパイロットではそんなことを気にしている余裕もない。

 

「いやだから」

『いや、もっと具体的な理由を』

「ない!」

 

 エアとしても理路整然とまでは期待していなかったが、もう少し理由らしい理由が出て来ると思っていただけに、ここまで感性全振りな返答が来るとは思っていなかった。……とは言え、否定できる答えでもない。

 例えば、現在僚機を務めているスウィンバーンもブルートゥも任務的には殺害に至る可能性は十分にあった相手だ。

こうして、猟犬部隊(ハウンズ)の仲間として行動を共にしているのは、彼女が『殺害』と言う選択を選ばなかった結果である。

 

『可能性を。あるいは、他者の自由を侵さないと言うのが理由でしょうか?』

「?」

 

 この仮説に対して、レイヴンが理解できる訳もなく。ただ、自分が納得する理由付けとして、エアは自らの内に仕舞っておくことにした。

 

~~

 

「~~♪」

 

 ペイターは上機嫌だった。と言うのも、レイヴン達がHM型を持ち帰って来たことにより、自分に新たな機体が配属される運びになったからだ。

 HM型は以前より、欲しがっていた機体である為、彼としてもテンションが上がっていた。

 

「欲を言えば、HCの方が良かったけれど~!」

 

 そんな贅沢を抜かしながら、彼が向かっていたのはスネイルのいる病室だった。アレだけ嫌っていた元・上司の所に顔を出そうとするのだから、彼の上機嫌ぶりが伺えた。

 だが、直ぐに彼は違和感に気付いた。病室のドアが開いていたのだ。加えて、見張りも居ない。咄嗟に彼は部屋へと駆け込んだ。すると。

 

「!?」

「ぐっ……!」

 

 そこにはシーツで作ったと思しき紐状の物で首を絞められているスネイルの姿があった。衰弱していたこともあり、抵抗もままならない様でペイターに視線を向けると手を伸ばしていた。その親指は下に向けられていた。

 ペイターの動きは速かった。首を絞めていた男の顔面に拳を打ち込んだ後、スタンロッドを打ち込もうとした時、ベッドの下から手が伸び、彼の足首を掴み取ろうとして来た。

 

「オラァ!」

 

 しかし、彼は逆にその手を踏みつけた。次いで、先の一撃でよろめいていた男にスタンロッドを打ち込み、全身に電流を流し込んだ。強烈な一撃を貰った為か、首を絞めていた男は気絶した。

 続いて、ベッドの下に潜んでいた男が這い出て来ようとした際に顔面を蹴り上げて気絶させた。危うく絞殺されかけようとしたスネイルは荒々しく呼吸を繰り返していた。そんな彼を見ながらペイターは言う。

 

「いやぁ、恨み買っていますもんねェ。私が通りかかったことを感謝しなさい」

「……一応、礼は言っておきますよ」

 

 気絶した2人が所持していた手錠を取り出し、2人を拘束した後。今、起きた事態について報告していた。そして、ペイターはベッド脇の椅子に腰かけた。

 

「で。なんで、こんな目に遭ったんです?」

「心当たりが多すぎて分かりませんね。仇だとか言っていましたが」

 

 ベイラムとの対峙、無人機の使用。スネイルが恨みを買う要素は幾らでもあった。ペイターとしてもさしたる程、驚いた様子も無かった。

 

「でしょうね。いや、本当に私が通りかかってよかった! 私だからこそ、貴方のファッキューサインが、ベッド下に伏兵が居るということも分かったんですよ。普段なら、中指立てているのを知っていますからね!」

 

 どれだけうざかろうが、助けて貰ったことは事実なのでスネイルも言い返せずにいた。程なくして、ナイルが数人の兵士を連れて病室へと訪れた。

 

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