魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの半廻天〉 作:カメン病
杏子と仁美と途中で別れるまどかとほむら。まどかからほむらにだけ秘密の相談があるらしい。
「…………まどか……… 何?話って。」
「………うん…ほむらちゃん。……あのね、最近私変なんだ。」
「……変?」
「うん、さっき……仁美ちゃんが上条君と付き合ったって聞いた時………素直に喜べなくて。」
「…………え?」
とてもそうには見えなかったから驚いたほむら。
「まどか………まさか貴方、上条君の事が……?」
実は相談前からまどかの悩みとその原因に当たりを付けているほむらは、そうとは違うと分かっているがとぼけた推測をする。
「ううん…!そうじゃないの。…………上条君に関係する事だけじゃなくて……素直に喜べないって言うのは例えば、家族と一緒にいる時とか皆と下校中の時とか。……何だか急に不安が襲ってくるの。………楽しいのに………いつもと変わらない筈なのに………、何だか大切な事を忘れてるような気がして…………………。」
「……………………。」
まどかから詳細な悩みを聞いて、ほむらの当たりは確信に変わる。まどかは改変前の世界を思い出しているのだろう。
「ごめんね、こんな事言われても困るよね。」
「いえ…そんな事ないわ。…嬉しい、私を信頼してくれたみたいで。………………………でも……そうね、何か大切な事…………………。」
まどかが悩みの原因を思い出せば自分の願いは叶わない。だからほむらはとぼける事を止めない。
「……………何も忘れていない。きっとこうじゃないかしら?まどか。」
「…………え?。」
「志筑さんと上条君が先に大人の階段を登ったせいで……、取り残された感じがして寂しいのよ。……自分も早く追い付かなきゃって焦ってしまっているんだわ。」
「…………。」
「だから今日は貴方のお家に泊まっていい?」
「へっ?」
「友達と一緒に居れば寂しさも紛れるわよ。勿論急だからお食事とお風呂は外で」
多少強引な気がするがほむらはそれでいいと思った。だって今までも強引に言い包められたのだから。この世界線でのまどかのこの手の相談は一度や二度ではない。
「……そっか……、そうだよね。………ありがとうほむらちゃん。」
よし、今日も誤魔化せた。そう心の中で安堵していると今度は別の問題が発生した。
「でも……やっぱり私ってダメだね。友達の幸せを祝えないなんて………。…………………他に取り柄も無いし…………やっぱり私……死んだ方がいいのかなあ。」
「……………!? まど───」
ほむらがまどかの急な話の飛躍に驚くと同時に、二人の周りの空間が歪んだ。そして次の瞬間には二人の周りは先程居た街並みから明らかに違う廃墟のような場所に変貌した。……魔女の結界に入ってしまったのである。
「!!!!」
「何……これ………!?」
記憶も力も失い状況の把握も対処も出来ないまどかは驚くしかなかったが、ほむらは魔法少女姿に変身し得物である弓矢を構える。二人に襲い掛かる使い魔。それを冷静に全て射って払い退ける。
「ほむらちゃん!!??」
「質問は後……! こっちよ。」
まどかの手を引き一緒に出口を探すほむら。どうやらいつの間にか結界のかなりの奥深くまで入り込んでしまったみたいだ。自分達が入ってきた入口が見当たらないと思っていると……
「!!!」
ほむら達の頭上から何者かの強力な一撃が振り下ろされほむら達を襲った。間一髪でまどかごと避けるほむら。
「……お出ましね!」
その威力は常人には一溜りもないもので明らかに使い魔のものではない。どうやらここは既に結界の最深部で自分達は魔女の目の前にいたようだ。近過ぎて気付かなかった。
「……だけど……今のがラストチャンスだったようね?。」
絶好の機会を外した魔女にほむらは容赦無く渾身の魔力を込めた矢を放つ。魔女は遠慮無く餞別を受け取ると、跡形も無く瓦解した。
「ふう……。」
魔女を倒したようだが勝利の余韻に浸る暇は無いほむら。
「ほむらちゃん……これって……」
さて………大変なのはここからだと気持ちを切り替えるほむら。まどかは今の出来事のせいで多くの事を思い出してしまっただろう。そう判断したほむらは定期的にまどかに行う記憶操作を今ここでやる事に決めた。………が次の瞬間行われたのは別の事だった。
「!!!??………がはあ!!!!」
ほむらは背後から謎の重い一撃を食らってしまった。まどかは巻き添えせずに済んだが、数メートル吹き飛ばされてしまうほむら。
「ほむらちゃん!!!!」
「………………ぐっ 油断した!」
ほむらが謎の一撃の発生源を見ると、そこにはさっき倒した筈の魔女がいた。今のはその魔女の一撃だったらしい。自分が倒したと思ったのは分身か何かだったのだろう。……それでもあれ程威力だったのかと驚く暇は無いほむら。
「きゃあ!!」
「!!! まどか!!!」
魔女の目の前に取り残されたまどかは魔女に捕まってしまう。しかし流石はあらゆる世界線で百戦錬磨の魔法少女ほむら。痛みを堪え直ぐに体勢を立て直し、まどかを捕らえる魔女を先程と同じ威力の矢で貫く。
魔女は先程と同じようにまどかを残し跡形も無く瓦解していった。一瞬の囚われから解放されたまどかを直ぐ様駆け付け抱えると、気絶はしているが怪我のなさそうなその様子に一安心するほむら。………だったのだが
「!!!??? ……ぐはあっ!!!!」
また背後から謎の一撃を食らってしまうほむら。まどかを放り出してまた数メートル吹き飛ばされてしまう。
「…………!! どう言う………事…………?」
常人なら意識どころか命も保てないような負傷に耐えながら謎の一撃の発生源を見ると、そこには信じられない光景があった。何と三体目の魔女が発生しているのだ。今のはその魔女からの一撃だったらしい。
ほむらはそれは有り得ないと思った。さっきの魔女は二体共本体級の凄まじい力を持っていた。そんな分身が作れるとしたら同時に一体ぐらいが限界の筈……。と考えているとほむらはもう一つ信じらない光景を目にする。
さっき二体目の魔女が瓦解した筈の場所に、四体目の魔女が発生しているのだ。これで分身は計三体……。今いるどちらが本体だ? いや或いはまだ控えているのか……。と考えたところでほむらは一つの可能性に気付く。
「……………!!」
まさか……どちらも本体? 最初から二体しか魔女はいなくて……同時に倒さないと一方が復活する仕組み!?…… という可能性に。
それが当たりか否かにせよまどかを助けなければならない事に変わりはない。しかしあまりのダメージに動けないほむら。絶体絶命のピンチである。
……仕方ない、こうなったら……。と節約していた悪魔の力を行使しようとしたその時、ほむらに襲い掛かろうとした大勢の使い魔達が一気に砕け散った。どうやら救援が来たようだ。
「大丈夫? 暁美さん!鹿目さん!」
「悪りぃ、遅れた!」
魔法少女の巴マミと佐倉杏子のコンビである。元の世界線に関する事は、記憶はともかく魔法少女の力に関しては失ったのはあくまでまどかだけなので、二人は魔法少女のままである。
「ティロ・フィナーレ!!」
到着すると同時に二人は、この魔女の特性を看破したかは定かではないが各個同時撃破し瞬殺する。そしてほむらの見立ては正しく今度こそ魔女は祓われたようで結界は解かれた。まどかも無事で一件落着である。
今回出てきたの双子の魔女は実は、一体の魔女ではなくほむらの世界改変に起因して生まれた『超小規模型ワルプルギスの夜』である…って設定があったんだけど、作中で説明する隙が最後まで無くてボツになりました。
ちょっとしたネタバレ失礼しました。