魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの半廻天〉   作:カメン病

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 マミと杏子に礼を言った後ほむらは、記憶を操作し終えた後目覚めたまどかを家に送り届けた。今はその帰路。

 

 「………どういう事? まどかと私の周りには魔女を近付けるなと言った筈よ。………私の愛は世界を改変したせいで出涸らしなのだから……。」

 

 ほむらは実はずっと自分の近くに潜んでいたルゥしいへ話し掛ける。自分達が魔女に襲われたのはルゥしいの落ち度だと糾弾しているのだ。

 

 「ごめんなさいほむら……。でもやっぱり限界が来ているようなの。ただでさえ宇宙の管理をしている中……天界にいるイレギュラー達の封印もしなきゃいけないから。」

 

 『天界』とはまどかが円環の理として存在していた魔法少女を導く場所の事であり、現在はイレギュラー達を封印する為の流刑地としてほむらが再利用している場所だ。

 『イレギュラー』はほむらの理想の世界の構築において不安要素となる存在の総称である。

 

 「それを補う為の魔女のエネルギーでしょう?。これじゃ本末転倒だわ。」

 

 ほむらは改変した世界の維持に魔女のエネルギーも利用していた。特にまどかの周辺の日常の維持の為に。

 それがあるのに言い訳は通用しないと、全責任はルゥしいにあるとの主張を曲げないほむら。

 

 「でも………天界から抜け出した一部の天使に関してはもうお手上げよ。世界中で私達の魔法少女の勧誘の邪魔をしたり、リリスの記憶を取り戻そうと接触を図ったり……。」

 

 『天使』とは前世界線で円環の理に浄化された魔法少女達の事である。現在は専ら世界を元に戻す為ほむらの邪魔をしているようで、ほむらの目の上のたん瘤である。

 

 「…………天使…………、本当に厄介ね。……………………………分かったわ、背に腹は変えられない。暫くまどかは自力で守る事にするわ。今日みたいに巴さんと佐倉さんに協力してもらいながらね。…………………あの二人をただの人間に戻さなくて正解だったわ。」

 

 ルゥしいを責めても何も解決しないと悟ったほむらは妥協した。緊急時の為に取ってある自分の愛をルゥしいに回す事にしたのである。

 

 「お願いするわ。でも………気を付けてねほむら。……………いいえルゥしい。」

 「貴方もねルゥしい……。……………いいえほむら。」

 

 

 

 

 

 「なあマミ………、変な事聞いていいか?。」

 「何? 佐倉さん。」

 

 ほむらとまどかを救った後の帰路、杏子からマミに話があるらしい。

 

 「まどかって………本当はこの世に存在してねーとかねーよな?」

 「…………!??」

 

 マミは杏子の質問の意味が一瞬分からなかった。

 

 「実は私達が普段見てるまどかは……、ほむらが私達を記憶操作して私達の頭の中だけに存在させてる妄想じゃねーよな?」

 

 この世界線ではほむらは、マミと杏子には自分を記憶操作の固有能力を持った魔法少女だと思わせていた。

 

 「………………どうしてそう思うの?」

 

 一歩遅れて思考が質問に追い付いたマミが質問で返す。

 

 「あんたも感じてるんじゃねーのか? あいつに対して違和感を。」

 「………………………………。」

 

 マミは沈黙で肯定した。しかしその上で杏子のアイディアには賛同しかねる。

 

 「仮にそうだとして………暁美さんに何のメリットが?」

 

 マミの当然の疑問に答えを用意していた杏子。

 

 「かつていなくなった誰か……………、それか一から産み出した理想の誰かがこの世にいると思い込みたいんだろ。……いや…だとしたらまどかの正体は、ほむらがキュゥべえに叶えてもらった願いって方がしっくり来るな。固有能力が記憶操作になるのも頷ける。」

 

 まどかの存在を植え付けられているのが見滝原全域に及ぶとしたら、規模感的に固有能力では有り得ないと考えた杏子。その考えにマミも概ね筋が通っている……と思っていると、視界にあるものを捉えた。

 

 「! 佐倉さん、あれ。」

 「!!」

 

 杏子がマミが促す方向を見ると、魔女の結界が周囲に生む歪みのようなものが確認出来た。

 

 「話はまた今度にして……、今日はまだ余裕だしやっちゃう?」

 「……そうだな。」

 

 ほむらの疑惑が真実だとして、現在危害は加えられていないので先延ばして問題無いと判断し魔女狩りを優先した二人。恐れる事も無く結界に近付いて侵入していく。

 油断していた訳ではない。しかし結界内に広がる光景にマミと杏子は驚愕した。

 

 「………………!!?」

 

 結界内は大量の巨大なお菓子で溢れていた。大量の巨大なお菓子は確かに異常だが、魔女の結界内は異常が普通なので二人が驚いたのはそこではない。

 大量のお菓子以外にもある大量のものが転がっていた。それはルゥしいの死体らしきものだった。死体だと思ったのはその殆どが五体を欠損させていたからだ。

 

 「おい!?、大丈夫かお前ら!! ……………………………死んでる。……………全員か?」

 

 一体に触ってみても、周りに呼び掛けても反応がない。

 「酷い……、これ全部魔女が……?」

 「……わかんねーけど……、だとしたらうかうかしてられねー、急ぐぞマミ!」

 

 二人はどんどん魔女がいるであろう最深部に進んでいくが、ルゥしいの死屍累々が途切れる事はなかった。

 

 「……………一体何体やられてんだ……………。しかしルゥしいがこれだけ居るって事は魔法少女も居る筈だが………。最深部で戦ってんのか?」

 

 さっきから戦闘音のような轟音が鳴り響いている。それは誰かが既に魔女と戦っている音なのではと推察する杏子。

 

 「でも……これだけのルゥしいが一箇所に集まるなんて有り得ないわよ。だからこのルゥしい達は魔女が私達に見せてる幻覚なんじゃないかしら。」

 

 精神攻撃をしてくる魔女は珍しくないが故のマミの意見。だがマミ自身も杏子も僅かに納得しかねる。

 

 「ああ…その可能性は高いが………、だとしたら何故ルゥしいなのかが引っ掛かるな。」

 「そうね……、ルゥしいには悪いけど私達に対しての精神攻撃なら……他に見せるべき対象がある筈。」

 「「そう……例えば」」

 

 二人はハモって自分の大切な人を挙げた。

 

 「べべとか。」

 「さやかとか。」

 「「!!!???」」

 

 二人共自分が口にした人名に驚き足を止めた。驚いたのはお互いのチョイスではなく、自分の口にした人名が自分が知らない名前だったからだ。

 二人は自分達に何が起きたのか分からず硬直していると……

 

 「!!!!」

 

 結界内の遮蔽物を貫いて、マミと杏子の前に何かが吹き飛んできた。

 

 「お出ましか!!」

 

 その威力の高さから魔女の本体だと身構えたマミと杏子。……が何かおかしい。

 

 「…………!?」

 

 吹き飛んできたものが恐らく魔女である事は間違いなさそうだったが、その頭と胴体の境目が分からない丸顔の大蛇のような姿の魔女は息も絶え絶えで、既に死にかけていたようだった。……何者かに倒された後……?

 

 「…………どういう事だ? …やっぱり他に魔法少女がいるのか…?」

 

 杏子が状況把握に努めていると……

 

 「べ…………べ…………??」

 「……………え……………?」

 「間違いない!! 貴方なのね!?」

 

 マミの様子がおかしかった。大蛇の魔女にその名前らしきワードを呼びながら駆け寄った。まるでマミが魔女と旧知の仲かのようだ。

 

 「………………………あんた………………どこかで会ったか………?」

 

 杏子も徐々に魔女に見覚えがあるように感じてきた。普通大蛇の知り合いなどいたら忘れる訳が無いのだが……、いるのだ、自分達には……どんな記憶も忘れさせられる能力者の知り合いが。

 

  

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