魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの半廻天〉 作:カメン病
結界の最深部。とある戦いが終結したようだ。
「とうとう追い詰めたわよアダム………。貴方との戦争もこれで終わりね。」
相手をアダムと呼ぶのは魔法少女姿のほむらだった。今夜残業を努めていたのはマミと杏子だけではなかったようだ。
そして言葉の通りほむらは敵を消滅寸前まで追い込んでいた。……ただしその正体は魔女では無いようだが。
「はあ……………はあ……………」
アダムと呼ばれたのは魔法少女姿のまどかだった。『アダム』とはほむらの世界改変時分裂してしまったまどかの片割れとしての名前である。
アダムは円環の理復活の為にまどかの片割れのもう一方である、記憶を改竄され杏子達と日常を過ごしているまどか…『リリス』との接触を図っていたのだが、それを現在ほむらに阻止されてしまったのである。
「ほむら!!」
「!!」
そこにマミと杏子が駆け付ける。ほむらは乱入者に一瞬取り乱しかけたが直ぐに平静を装い対応する。
「………あら奇遇ね。貴方達も残業?」
「そいつは………」
杏子がアダムに言及する。
「…………ああ……、こいつは魔女の変装よ。私への精神攻撃みたい。」
「…………………そっか………。…………差せるか?止め。」
「安心して、こんな子供騙しに引っ掛かる程純粋じゃないから。……でも見られて気持ちのいいものじゃないから……少しの間二人は出て行ってくれる?」
「………………。」
退出を促しても従う気配が無いマミと杏子に怪訝になるほむら。
「……? どうし……」
「知ってんだよ、そいつがアダムのまどかって事は。」
「!!!!」
「そして貴方はアダムを封印する事で…世界改変による貴方の理想郷を盤石にしようとしてる……。………本当なの?暁美さん。」
「………………………。」
マミと杏子は完全に事情を把握していた。疑いの無さからして改変前の記憶も取り戻している。……恐らくさっき吹き飛ばしたべべとの接触によるものだろう。
厄介なのは案の定二人からは自分に対しての敵意が滲み出ている事だ。
「…………だったら?」
ほむらは、この状況についにその時が来たかと言わんばかりに動揺しなかった。言外にマミ達の疑惑さえ認める。
「………………!!! そんな事させる訳にはいかない!!」
マミ&杏子vsほむらの戦いが始まった。……否、正確にはvsほむら&ルゥしいと言ったところか。
「!!!」
マミと杏子がほむらに襲い掛かろうとした瞬間、どこからともなく現れるルゥしいの集団。一部はマミと杏子に特攻を仕掛け、爆発したり変形して武器になったりと二人の足止めをしてくる。
マミと杏子はこの隙にほむらが自分達を襲ってくると考え身構えたが、ほむらにその様子は無く別の事をし始める。
ほむらはダークオーブを取り出したかと思えばそれをほむらを優に超えるサイズに巨大化させ、その周囲に複数のルゥしいを頂点とした方陣を出現させた。どうやらこの隙にまどかをダークオーブの中に封印する気のようだ。
「止めろほむら!!」
「考え直して暁美さん!!」
懇願するマミと杏子。だがほむらは無視して複数のルゥしい達の集合体である巨大な腕に、まどかを持ち上げてさせてまどかをダークオーブの中に入れようとする。マミと杏子の相手はその後でする気のようだ。
だが次の瞬間起きた事はほむらの想定外の事だった。何とルゥしいの腕でまどかを掴んだ瞬間、まどかの口から大蛇姿のベベが搾り出されたではないか。
「………!!!??」
この時ほむらは驚くと同時に気付いた。これはまどかじゃない、べべの能力で作ったまどかの着ぐるみだと。どうやらいつの間にかまどかとべべが入れ替わっていたのだ。べべは搾り出た勢いでほむらの方に行きほむらを丸呑みする。
「無駄な足掻きを……!!」
ほむらはべべの体内で暴れる。べべに自分を吐かせようとする為の行為だがそれは無理のようだ。何故ならべべの口は今マミのリボンで結ばれたから。
「今よ…佐倉さん!!」
ルゥしい達の対処に精一杯だと思われたマミと杏子は、ほむらが丸呑みされた直後一瞬でルゥしい達を始末しべべの行動のサポートをし始めた。どうやらここまでは三人の打ち合わせ通りらしい。
マミの合図に呼応して杏子は多節棍の槍をべべに巻き付け、ほむらが暴れるせいで照準が定まらないべべをダークオーブに引き寄せ中にぶち込んだ。どうやらまどかサイドはほむらをべべごとダークオーブに封印し返す狙いのようだ。
「今だ…アダム!!」
今度は杏子の合図と共に、べべの着ぐるみを脱ぎ捨てた本物のアダムまどかが現れ、ダークオーブ周りの方陣の頂点にいるルゥしい達に一矢ずつ食らわせる。そうするとダークオーブの権限をアダムが乗っ取ったようで、ほむらの意思とは関係無くダークオーブが元のサイズに小さくなり閉鎖された。封印の成功である。
「……やってくれたわね!」
ほむらが、べべの口のリボンが緩んだのでべべから脱出しつつ体勢を立て直そうとすると、自分とべべ以外にも誰かがダークオーブ内に居る事に気付いた。
「………巴マミ!」
マミとほむらはお互いに銃口を向けながら会話する。
「まだ貴方は完全に無力化できていないのでしょう? なら誰かが体を張らなきゃね。」
「…………貴方とはよく戦う羽目になるわね。」
「そうね。………出来ればこれで最後にしたいわ。」
「…………ごめんね、マミさん……なぎさちゃん。」
マミがほむらを足止めをしてくれている間、ダークオーブの外のまどかと杏子は次の作戦に移る。
「………で?、これだけじゃまだ世界は元に戻らないんだろ? ……私はこれから何をすれば」
「うん……これから杏子ちゃんには……天界に行ってもらうんだ。」