魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの半廻天〉   作:カメン病

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 「………!! 皆!上を見るんだ!!」

 「!!」

 

 キュゥべえが何かに気付いたらしい。まどかサイドがキュゥべえの言う通りほむらの頭上を見ると……さっきまでなかったものが浮いていた。

 

 「………あれは………ほむらの盾……?」

 

 そこにあったのは魔法少女ほむらの得物である盾の特大版。十中八九ただのオブジェではなく直前のほむらの封印キャンセルに関係する装置だろう。

 

 「この『魔王の盾』は私の奥の手……、私の穢れを肩代わりする私の片割れよ……。これがある限り私は通常の何倍もの魔力を使う事が出来る………!」

 「「「「!!!!」」」」

 

 ほむらの言う通り、よく見ればほむらから穢れの様なものを吸い取り続けているのが分かる。そのせいか魔王の盾とやらは徐々に輝きを失っていた。

 

 「…………ま…、と言っても所詮同じ暁美ほむらなのだから…後で必ずしっぺ返しがくるけれどね。例えば……」

 

 魔王の盾の実演途中、ほむらは一矢放ちまどかの胸を貫いた。すると今度はまどかの周囲にダークオーブの外郭が構築されまどかが封印された。

 

 「こうやって前借りした魔力で封印したり傷を治癒しても……もう暫くすれば解けて形勢は再逆転するでしょう。………希望と絶望の相転移と同じ……、今私はただ未来で必ず起こる敗北の先延ばしをしているだけなの。」

 

 だから形勢逆転したほむらは今も悲しそうなのだ。

 

 「………? じゃあ何の意味が………」

 

 当然のさやかの疑問。勿論ほむらの考えもまだ終わりではない。

 

 「このまま放っておけば………ね。」

 

 そう言うとほむらは周りのルゥしい達に念じて、巨人用かの様な巨大な弓矢を象らせたかと思えばそれで魔王の盾を射った。射られた場所は丁度盾の真ん中の砂時計のところで、その行為はまるで時間を停めている様だった。

 

 「………こうやって盾を封印してしまえば………私は永久に敗北を踏み倒す事が出来る。………勿論リスクもあるわ。盾に穢れが溜まる一方で私は最終的に羽化してしまうでしょうね。私は既に悪魔だから……………それより更に上の存在である『魔王』となってしまう。そうなれば私はもう如何なる手段を用いても人間に戻る事が出来なくなってしまうの。」

 「………………魔王……………!?」

 「つまりこれで終戦と言う事よ……、永きに渡る私とまどかの戦争も……!!」

 

 ほむらが魔王という未知の存在となる……。その重大さをまどかサイドが噛み砕く前にほむらは次の段階へと移行する。

 

 「!!!!!っ、がっ……………ああああ!!!!」

 「!!! まどか!!! ……ほむら……あんた何を!??」

 

 まどかが急に苦しみ始めた。どうやらほむらが魔力を送り込んで何かしているらしい。

 暫く苦しみ続けた後、まどかの胸から手の平サイズの光球が抽出され、まどかを閉じ込めるダークオーブを貫通しほむらの胸へ飛んで行き注入された。

 

 「まさか……今のが!!?」

 

 さやかの危惧した通り、それはアダムが持っていた『魔女の転送能力』だった。

 

 「……ふふふ………、これで除けた……! まどかの中にあった全ての『神』を!!! 後はまどかを地上に戻すだけ。……ついに叶うのね………、正真正銘『鹿目まどか』の………平凡な日常が…………!!!………っああ!!???」

 

 ほむらの語尾の唸り声は勝ち鬨ではない。どうしてか苦しみ始めたのである。

 それについて心当たりのあるさやか。

 

 「やっぱり……!!神の力を抑え込むなんて魔女のエネルギーが有っても無茶だったんだ!! このままだとほむら、あんたの存在自体が消滅するよ!!!」

 

 さやかはほむらの生命の執着に交渉を試みるが……

 

 「………わ……すれたの? ………私はこれか…ら…魔王…に…なって更……な…る進化を遂げるのよ……? …………その頃には魔女のエネルギーなんかなくても……神の力を抑え込むなんて訳無いわ。」

 

 実際時間と共に魔王化が進むに連れほむらは落ち着いて行った。

 

 「………ちっくしょお!! ……………………え?」

 

 さやかはほむらの台詞から、交渉が通じなかった苛立ちよりも一つの疑問が上回った。

 魔王………それになれば人間に戻れない? それだけが本当に魔王の盾のリスクなら……どうして今まで使わなかった? ……確かに元人間として人間への未練は理解出来るが、それをいうなら既に魔法少女や悪魔になっているから今更だろう。何より今までのほむらの他の全てを犠牲にしてでもまどかの日常を再現しようとする姿勢と矛盾する。

 ………つまり魔王の盾のリスクはそれだけではない? 例えば使えばまどかにも危険が及ぶとか……。……………………いや…或いは………

 

 「…………………………ほむら……………あんた、まさか!」

 

 さやかは気付いてしまった、ほむらの真の狙いに。……いや……真の狙いだったものに。

 

 「という訳でさやか…杏子……、貴方達だけはまどかと一緒に帰らせて上げる。まどかの護衛がマミだけじゃ心許ないしね。」

 「……………え?」

 

 杏子はほむらの台詞の意味が分からなかった。だがさやかとまどかには察しが付いていた。

 

 「………ほむらちゃん……、やっぱり……人間に戻れないっていうのは……!」

 「……………ええその通りよまどか。一度魔王化した者はもう二度と………人の姿では地上に居られなくなるの。つまり私はまどかの日常を叶える代わりに………まどかとは永久に離れ離れになってしまうのよ。」

 「……………!!!」

 

 事実を知りやっぱりとなるさやかと衝撃を受ける杏子。ほむらは魔王の盾という諸刃の剣で我が身も裂いてしまったのだ。

 

 「………という訳でこれからは……まどかに代わって私が円環の理も担って上げる!」

 「「「!!!!」」」

 

 ほむらは憑き物が落ちた様なテンションで提案した事を、まどか達の了承を得ずに実行する。天界中に転送されたまま放って置かれていた魔女達が、穢れをほむらに吸い出される形で浄化され始めたのだ。

 

 「どうせ私の敗北なのだから……勝者達には後ろ髪引かれず過ごしてほしいもの!。…………………………………いえ………本当は………最初からこうすべきだったのよね……………。………………私が愛していたのは結局………自分自身…………。」

 「……………ほむらちゃん…………。」

 「ごめんなさいまどか………。今も私の記憶を消さず………貴方を地上に帰そうとする私をどうか……許して……………!!!」

 

 ほむらの後悔と羞恥が入り混じった懺悔を聞いて何も言えなくなってしまうまどかサイド一同。ほむらも泣きじゃくっているせいで天界の沈黙は暫く続くかと思いきや……それはある現象によって直ぐ破られた。

 

 




魔王の盾、スケープゴートシールドって名前とかにすれば良かったかも。山羊=悪魔だし、ほむらにとってや世界にとっての役割的にも。
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