魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの半廻天〉   作:カメン病

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 神まどかと悪魔ほむらとの戦争終結から暫く立ったある日の天界。まどかの住む神殿に『彼女』は訪れていた。罪人としてでは無く来客として。

 

 「また来たの?ほむらちゃん。…………もうっ、程々にしてって言ってるのに!」

 

 しかしあまり歓迎ムードでは無い様だ。

 

 「まどかは私に会うのが嫌?」 

 「そう言う訳じゃ無いけど………、いつかミスって完全に導かれちゃったらどうするの?」

 「そうなっても地上で穢れをコントロールしてる杏子と九兵衛の責任だし…………、貴方の元で暮らせるようになるなら本望よ。」

 

 戦争に敗れた彼女は天使達の監視下、地上で魔法少女として奉仕活動に明け暮れていた。

 現在はかつてまどか達が生み出したバグ技で天界にお忍びで来ている。

 

 「言うと思った! …………天界で暮らせても私と一緒とは限らないよ。先ずは天使として功績を上げて親衛隊にならないと………。」

 「でもさやかとべべは出世し過ぎで会えなくなってるみたいじゃない。……貴方は勿論……見滝原には滅多に来ないってマミと杏子がぼやいているわ。」

 

 彼女は、さやかやべべはある戦いの前線に主戦力として立たされていると聞いていた。度々まどかや『ミッきい』から聞いた話である。

 

 「うん………………特に最近は仕方無いんだ、例の勢力がどんどん力を増してて……。」

 「……………堕天使軍……………、貴方を神の座から引き摺り下ろそうとしている連中…………。私と違うのは集団という事と……………元天使で構成されている事だったかしら?」

 

 要するにまどかはクーデターを起こされているという事だ。

 

 「………ああそれと………、私は貴方への愛故だったけど………そいつらは憎しみが動機って事も……………。……………正に恩知らずね。」

 「そんな言い方良くないよほむらちゃん……。…………でも…そうだね、私も最初はショックだった。……………………まさか浄化されたくなかった魔法少女がいたなんて……………………。」

 

 堕天使軍が抱く憎しみとは、まどかに救済された事に対してだった。彼女ら曰く、動機に差はあれど自分達は魔女になる気満々だったそうだ。

 そんな破滅願望がほむらとの戦争ではまどかの窮地を救ったが。実はあの時天界に穴を開けたのは彼女ら堕天使軍なのだ。

 

 「……あの時共同戦線を張ってくれたのは今でも感謝してるけど。」

 「…………それも……ある意味奴らが戦争の発端だったからマッチポンプじゃない。」

 「…………………。」

 

 本来なら、神であるまどかに『悪魔如き』であるほむらが干渉出来る訳がないのだ。キュゥべえを同時に相手取っては尚更である。それでもほむらがまどかを天界から引き摺り下ろせたのは堕天使軍の存在が大きい。

  自分の全てを犠牲にした願いを迷惑だと思う存在がいたのは、まどかを著しく弱体化させる程の精神的ショックだったという。

 

 「それも………感謝してるかもしれない。お陰で私は改めて自分自身と向き合えたから。…………もう私が円環の理になった自分を後悔する事は無いよ。」

 「……………………。」

 

 確かに堕天使軍の存在はまどかにとって良い経験になったようだ。アダムとリリスの再融合に成功しているのがその証拠である。

 

 「……………でも……私にはまだ貴方が迷っているようにも見えるけど?」

 「!」

 

 彼女の言う通り、まどかは何だか思い詰めた表情をしていた。それも何だかかつて無い程に。

 

 「……………………うん…………、実は最近深刻な問題が発生して…………………。……天使軍からいっぱい離反者が出たの。」

 「!! 何ですって………?」

 「中には親衛隊クラスの人も居て………。どうしてだろう、別に魔女化願望なんてなかった筈なのに…………。」

 

 離反者は今までも居なくもなかった。だが今回は元々忠誠心の強い者達ばかりだからまどかも戸惑っていた。

 

 「……………でも………当然の事かもしれない。私もキュゥべえ程じゃないにしろ、世界を運営する為に天使達に迷惑を掛ける事は多いから。………例えば………増え過ぎた天使の暮らしをどうするかとか…………。」

 

 まどか曰く天使の待遇や格差など、円環の理が正常に機能しているからこその問題も発生しているそうだ。

 

 「………貴方は何もしていないの?」

 

 彼女は前提の確認をする。

 

 「一応、これ以上増えないように…ミッきいが魔法少女の勧誘を行う際は実態や結末を事前に相手に伝えるようにさせたりはしてるよ! …誰かを騙す事がなくなって一石二鳥だしね。」

 

 『ミッきい』とはまどかが生み出した新しいインキュベーターの事である。天使の雇用先の一つだ。

 

 「………だけどそのせいで今度は………地上の魔法少女の数が魔獣に追い付かなくなっちゃってるんだけどね〜………。」

 

 この問題の厄介なところは、基本的に天使は特殊な条件で……しかも不完全な形でしか受肉出来なかったりするので、天使を地上に派遣すれば良いと言う話では無いところだ。

 例外は今まどかの目の前に居たりするが。

 

 「ねえ〜〜ほむらちゃーん、どうして貴方は人の形で人の生活が送れてるの〜〜? 一度浄化されたのに………。」

 

 まどかは彼女に何度もした、返事の分かり切った質問をヤケクソ気味にした。

 

 「さあ………奇跡も魔法もあったって事じゃない?」

 

 彼女自身も原因は分かっていないのだという。

 

 「言うと思った〜〜……………。本来神の私の方が使えるものの筈なのにぃ…………。………………………ママもこんな気持ちだったのかなあ…………………。」

 

 一つ問題を解決しても次から次へと新たな問題が発生して、それに対応しなければいけない。まるで社会人だとまどかは思った。

 

 「良かったじゃない、所詮貴方は人間って事よ。………じゃあそろそろ帰るわね。」

 

 彼女は席を立ち、出口の方へ歩き出す。

 

 「えー!? もう帰っちゃうの!? もっとお話ししようよー。」

 「ボロが出たわね、私に会いたがってるのは貴方じゃない。」

 「まだ今日は皆の話してないじゃーん。」

 

 彼女はまどかに取ったら、立場を気にしなくて済む良き話し相手なのである。

 

 「………そんなに懐いて大丈夫? 私に何かされるって心配はない訳?」

 「今のほむらちゃんなら大丈夫だと思うけど……。」

 「……地上に帰りたくても帰れない天使も居る中……条件付きとは言え罪人だけ帰れているのはおかしいって意見もあるのでしょう? ………だったら長々と天界に居るのは不味いわ。 …………………私も寂しいけど……貴方の為よまどか。」

 

 だからそもそもこの面会も極秘である。……これがバレたから離反者が出たのでは?とは突っ込んではいけない。

 彼女のマジレスに泣く泣く諦めたまどか。

 

 「…………ぐす…………、またね……ほむらちゃん。」

 

 反してこちらは笑みを浮かべる。

 

 「ええ、また。…………ああ…そうそう、」

 「?」

 

 彼女には一つ言い忘れた事があるようだ。

 

 「まどか……、貴方は今でも…………私の最高の友達よ。」

「……………! ………えへへ私もだよ。」

 

 まどかは気付いていない、目の前にいる彼女はほむらの片割れ『イヴ』であり、もう一方の片割れ『ルシファー』こそ、天界で暗躍し天使軍の離反者を大量発生させた張本人だと言う事に。

 誰も気付いていないのだ。ほむらの『悪魔』は浄化された訳では無く分離されただけだと言う事に。……ほむらがまだまどかを諦めていない事に。

 

 

              END

 




まどかがミッきいには、魔法少女の実態と結末を伝えさせてると言っていたが、それは円環の理に導かれることまででその後天使になるとかは伝えさせてない気がする。それをするとほむらのような悪魔がまた生まれる温床になってしまうだろうから。
魔法少女が悪魔になる条件は、円環の理に自分の愛する誰かが必ずいるという確信がトリガーという解釈。
ただ、ほむらの場合はキュゥべえから既に融合されていたから出来たのかもしれない。
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