ARMORED Archive   作:暁真

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思いつき短編(思いついても続きが難産)
許し亭許して


依頼:未確認兵器調査-2

 

「クソっ、あの車輪の何処にあんな機動力がある!?」

「ミサイルに火炎放射......とんだゲテモノね」

「来るぞ、避けろ」

『このままあれが暴れ続ければこの基地は間違いなく崩壊します、急いでください!』

 

「な、何あれ、あんなのがあるなんて聞いてなぁ!?」

「ひっ......撤退、撤退!巻き込まれたらたまったもんじゃない!」

 

「ハンドラー、ナイトフォールは間に合う?」

『……今から最高速度で出撃したとしても到着まで最低7分、その上地下に潜り込むとなれば、到底基地崩壊まで間に合いません……!』

「……生身で、なんとかしなきゃ、か」

 

ポイントβはたった一つの兵器が作り出す阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。

ヘリアンサス型が一度突進すれば壁は粉砕され、火炎放射とミサイルで進路上にある全てを根こそぎ破壊し、後に残るのは瓦礫のみ。

レイヴンがACを持ち込んでいればすぐ終わったかもしれないが無いものを嘆いても仕方がなく、独立傭兵たちは今ある物でどうにかすることを強いられていた。

 

「レイヴン、ハンドラー!あれとはやりあったことがあるんだろ!何か弱点とか分からないのか!?」

「......弱点、って言っても。あの時は我武者羅で……」

『レイヴン、こちらでデータを確認します。戦闘に集中を!』

「……待って、思い出した、あれは……側面ががら空き」

 

迫りくる車輪を必死に躱しながら、レイヴンはかつて夜のルビコンで対峙した時の対処法を思い出す。

 

「なるほど側面……って、あの暴走兵器の側面をどう狙えと!?方向転換する一瞬に狙えってか!?」

『確認が終了しました、どうやらヘリアンサス型は爆発による衝撃に弱いようです』

「爆発……そういうことなら私に任せて、レイヴン、貴方もグレランはあったよね、一緒に行くよ!」

「うん、やろう」

 

こんな状況で呑気にノリ突っ込みをかますキングを後目に、シャルトルーズとグレネードに持ち替えたレイヴンは壁を粉砕しながら方向転換するヘリアンサス型に銃口を向け、レイヴンはそのまま単騎で突っ込んでいく。

再び突撃しようとしてくる車輪にレイヴンが両腕のグレネードを1発ずつ正面に放ち、命中と共に轟音が部屋を揺らすと、ヘリアンサス型はわずかによろけ減速し、軌道をそらした。

 

「……うん、効いてる。シャルトルーズ、いける?」

「当然、私を誰だと思ってるわけ?」

 

データ通り効果があるのを確認した二人は軽口を交わし、レイヴンは間髪入れずグレネードをもう一撃壁に突き刺さった車輪に放つ。一撃では少しよろけるだけだった弾丸は命中すると同時にチェーンソーを数本へし折り、ひび割れた壁に車輪が斜めに食い込む。

その致命的な隙を見逃すわけもなくバズーカを構えたシャルトルーズは銃口を素早くヘリアンサスの側面に向け、耳を劈くような轟音と共に一撃を見舞う。ついに弱点に直撃したヘリアンサス型は壁という支えが砕けたことで負荷限界(スタッガー)に陥り、盛大に転倒する。

 

「キング、ハスラー!ボサッとしてないで追撃!」

「言われんでもわかってる、ハスラー、飛ばすぞ!」

「ああ、ここで仕留める」

 

キングが盾を横に構え、それに乗ったハスラーを剛力でヘリアンサス型へと勢いよく飛ばす。飛ばされたハスラーは側面を目視で確認すると得物のアサルトライフルを構え、躊躇なく連射。放った銃弾はミサイルの発射口に吸いこまれ、奇麗なまでに内部のミサイルを誘爆させた。

 

「止めは任せるぞ、レイヴン」

「うん、終わらせよう」

 

ハスラーが安全圏に着地したのを確認したレイヴンはミサイルの誘爆でもはや立ち上がることもままならなくなったヘリアンサス型を駆けあがる。

 

「……っ」

『……!』

 

チェーンソーを踏み台にしてハスラーと同じように飛び上がった彼女は何かに気づいて顔を顰めるも三度グレネードを構え、誘爆で脆くなったミサイル発射口に一撃。命中を目視で確認すると、急いで離脱を始めた。

 

「全員離れて、爆発する」

「爆発って……欠陥兵器にも程があんだろ……」

「機密保持とかそんなんでしょう、ひとまず部屋から出ましょう」

「……」

 

 

ACで対峙した時と違って爆発まで少し余裕があったようで、無事に全員が爆発までに安全圏まで離脱することには成功。それを見計らったかのようにヘリアンサス型はスパークを迸らせ、真っ赤な爆発炎が、部屋を焼き尽くした。

 

 

「……どう見ても機密保持ってレベルじゃねえな」

「行き場をなくした動力の誘爆……にしては威力が強すぎる」

「ああ、普通自爆にここまでの威力があるはずがない」

『……何はともあれ、これで依頼は完了です。こんなものをどうやって開発したのか気になるところですが……まあ今は関係ないことでしょう』

 

爆発を見届け、考察に走るブランチ一同。一方レイヴンは少しバイザーの内側に秘めた顔を歪ませながら、ハンドラーと話していた。

 

「……ハンドラー、『聞こえた』?」

『……ええ、聞こえました。同胞たちの、声が……でも、あれは……』

 

レイヴンとハンドラーにしか聞こえないC波形の『声』。破壊されたヘリアンサス型から聞こえてきたそれを、確かに二人は耳にした。

 

「……困惑してた。泣きわめいて、叫んで……」

『……恐らくは、レイヴンと同じようにリリースでC波形となった人間だったのでしょう。何もわからないまま戦うしかなくて……我々は、倒すしかなった』

「.......うん、そう、だね。こうするしか……」

『……レイヴン、この事実は』

「……秘密にしておこう。突拍子が過ぎるから」

『……はい』

 

知らぬうちに人を殺していたなど伝えれるわけもなく、レイヴンたちはこの事実を自分たちのなかに留めておくことにした。その選択が吉と出るか凶と出るかは、この場ではわからない。

せめて安らかにと祈りを捧げる中、一同は部屋が微妙に揺れているのに気が付いた。

 

「……なあ、ケイト」

『はい、キング』

「これってどう考えても」

『……ええ、もう保ちませんね、地下室』

 

考えてみれば当然のことだが、ヘリアンサス型が大暴れして地下室をめちゃくちゃにした上、独立傭兵達の攻撃でさらに被害は加速。故に崩れるのは道理であり。

 

「……よし」

「ええ」

「急ぐぞ」

「うん、急ごう」

『脱出経路をマークします、巻き込まれないでくださいね』

 

一周回って真顔になった独立傭兵一同は、急いで崩壊していく軍事基地から脱出するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ひゅう、派手だな」

「まるで映画のワンシーンね、撮影はしてないけど」

「……調査という名目だったが、報酬はどうなるか」

『破壊は許可されていますし、別に隠密に遂行せよとも言われてませんよ、むしろ報酬上乗せ交渉に使えるのでは?』

「……してやったりと言えばいいのか、やってしまったなのか……」

『ひとまずは無事を喜ぶべきでしょう』

 

当然というべきか、地下施設が崩壊した軍事基地は連鎖的に崩れていき、ギリギリ脱出に成功した傭兵達の目の前で豪快に崩れ落ちていった。感傷に浸るキングとシャルトルーズ、報酬を心配するハスラーとケイト、やらかしたことをどう受け止めればいいのか悩むレイヴンとハンドラー、と見事に反応が分かれ、先ほどまで命がけの戦闘をしていたとは思えないほど気の抜けた雰囲気が漂っていた。

 

「……さて、感想はここまでにして。ここまでやらかした以上カイザーPMCが増援を寄越してくるのは目に見えているけど」

「それまでに退散できるかって話だろ?なら大丈夫さ。ケイトがヘリを回してくれてる、腕はともかく奴らが来るまでにはブラックマーケットに帰れるはずだ」

『ぶっ飛ばしますよキング』

「おっ、噂をすれば」

「レイヴン、お前も乗っていけ。目的地は同じブラックマーケットだ」

「助かる、ありがとう」

 

逃走手段として唐突に罵倒されてキレたケイトが操縦する輸送ヘリが着陸し、傭兵一同はそそくさと乗り込んで急ぎ軍事基地だった場所を後にする。ヘリの内部でブランチが談笑する中、レイヴンは一人考え込んでいた。

 

『レイヴン、まだあれについて?』

「……いや、違うよ」

『……では、何を?』

「……コーラルリリースで拡散したコーラルは、此処にも流れ着いてきてる。それは私とエアがいるからわかってた」

 

ハンドラーの反応を受けたレイヴンは、考え込んだ末の仮説を話し出す。

 

「ACやC兵器が流れ着いてるのもわかってた……でも、私たちだけだと思ってた」

『……ですが、今回の件で私たち以外のC波形やC兵器が流れ着いたことが、証明されたと』

「うん……ってことは、さ」

 

「ウォルター、カーラ、ラスティ、イグアス……皆、もしかしたら、流れ着いてるのかな、って……」

『……!』

 

かつての主と、ルビコンで時に共闘し、時に銃口を向けあった、ラスティの言葉を借りれば「戦友」と呼べる存在達。彼らがもしかしたらC波形としてキヴォトスに流れ着いているのかもしれない、とレイヴンは淡い希望を抱いていた。

 

『ですがレイヴン、V.IVラスティやG5イグアスはともかく、カーラとウォルターがC波形になっているとは……』

「……うん、だから、もしかしたら……」

『……』

 

ない、と切って捨てれるわけでもなく、ハンドラーは口を噤む。

 

 

「……あい、たいよ……ウォルター……」

 

バイザーに隠れたレイヴンの目から、涙が一粒零れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




またなんか思いついたら続きます。

レイヴン、仕事の時間です。

  • 「ティーパーティー」からの依頼です。
  • 「セミナー」からの依頼です。
  • アビドス対策委員会からの依頼です。
  • 私からの私的な依頼です。
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